後継者不足に陥っている中小企業は年商規模によっては最大八割(帝国データバンク調べ)と云われている。つまり、多くの中小企業は後継者を探しているのだ。
後継者になりたい人の受け皿は思った以上に大きく、やる気さえあれば、誰でも後継者になり得るし、後継者から経営者を目指すことも夢ではない。
この記事では、後継者になりたい人が目指す道、並びに、後継者になることのメリット・デメリットについて、詳しく解説する。
後継者になりたい人が目指す道を大きく分けると「職人の道」と「経営者の道」の二つがある。
職人の世界は、伝統工芸、和菓子、料理人、数寄屋大工、庭師、士業、一次産業(農業・漁業・林業等)、日本古来の手仕事や芸事など等、じつに幅広いが、後継者になりたいのであれば、一定の技量と才能が求められる。
更に、職人の世界といえども、これからの時代は後継者に一定の経営感覚がなければ、生きていくのは厳しいだろう。
経営者の世界は、1億円未満の零細企業は八割もの会社が後継者不足と云われ、中小企業全体でも半数以上の会社が後継者不足と云われているので、ビジネスパーソンが後継者になろうと思えば、その実現は難しくない。
但し、経営感覚がない状態で後継者になろうと思っても、会社経営はそれほど甘くない。
後継者になりたいと人にとっては無限の可能性と沢山の選択肢があるのは間違いないが、職人であれ、経営者であれ、後継者になるには一定のスキルを身につける必要がある。
後継者になることのメリットは様々ある。
後継者として認められて晴れて職人なり経営者になれば、それ相応の社会的地位と報酬が手に入る。好きな世界(仕事)の後継者になることができれば、ストレスフリーで仕事に邁進することができる。
自分の裁量で会社経営ができる喜びや楽しみが手に入る、或いは、自分の好きな作品作りに没頭できるといったメリットもある。会社であれば、一から起業するよりも少ない負担で事業展開できるメリットもある。
また、「好きこそ物の上手なれ(誰でも好きなことに対しては一生懸命になり、向上心を持って勉強もするので自然に上達する様)」ということわざがあるが、得意分野の後継者になることが出来れば、先代を超える成果を出す事も期待できるし、ライバル会社に脅威を与える存在になることもあり得る。
何より、自分の意志で、自分の仕事と人生を開拓できる喜びが、後継者になることの最大メリットではないかと思う。
後継者になることのデメリットは、職人であれば修行期間があること、経営者であれば業績悪化のリスクを背負うこと等がある。また、職人も経営者も、後継者になることで収入が一時的に減少するリスクもある。
後継者を探している優良会社を見つける手間も相当かかる。最近は、後継者を探している会社と後継者になりたい人を結び付けるマッチングサイトがあるが、都合の悪い情報が隠され、経営をバトンタッチした途端に深刻な問題や課題が発覚するケースもある。
但し、こういったデメリットは、後継者になる前の準備で払拭することができる。貯蓄を増やせば収入減に耐えられるし、経営の勉強をすれば業績悪化のリスクを軽減でき、なお且つ、優良会社を見極めるスキルも養われる。
人生は一度きり。時間は後戻りしない。
後継者になりたいのであれば、リスクを小さくする努力と、新しい世界に挑戦する勇気を強く持つことが大切だ。
後継者になりたい人の受け皿は大きく、人生のひとつの選択肢として誰でも選ぶことができます。後継者になるデメリットは多少ありますが、殆どは、準備段階で小さくできます。入念な準備と成功するまで諦めない根気強さも重要ですが、ご縁とタイミングも成功を左右しますので、チャンスしっかり見極めることが大切です。