業績低迷の原因と対策|中小企業が陥る落とし穴と改善の正攻法

会社の業績が低迷する原因と対策


中小企業の業績が低迷する原因は様々あるが、ある日突然、会社の業績が低迷することはない。


会社の業績が低迷する原因には必ず予兆がある。当然、経営者が業績低迷の予兆を見逃すと、ずるずると会社の業績が低迷し、復活のきっかけが掴めないまま衰退の一途を辿る場合もあり得る。


この記事では、業績低迷の原因と対策、並びに、中小企業が陥る落とし穴と改善の正攻法について、詳しく解説する。



会社の業績が低迷する根本原因


会社の業績が低迷する原因には、必ず予兆がある。


従って、会社の業績低迷を未然に防ぐには、業績低迷の予兆を捉え、適宜、対策を打つことが絶対条件になる。


また、中小企業の業績低迷は「経営課題の見落とし」を無意識レベルで繰り返していることが大きな原因だ。


わたしの経験上、中小企業の業績低迷の根本原因は、経営課題の見落としにあり、この根本原因を解消している限り、会社の業績が低迷することはない。


業績低迷を防ぐには、経営課題の見落としを意識化することが欠かせないが、こうした経営課題の温床になり得る代表的な業績低迷の原因を3つ紹介する。


一つ目は「経営力低下」、二つ目は「組織力の低下」、三つ目は「お家騒動」である。それぞれの業績低迷の原因と対策を理解することが業績低迷の予兆を見逃さない秘訣になるが、以下、順を追って、詳細を解説する。


業績低迷の原因1「経営力低下」


業績低迷の原因1は、経営力の低下だ。


経営力の低下とは、端的にいって、勘に頼った自己流の会社経営に陥ることだ。


例えば、経営活動の結果である会社の数字を無視した会社経営等は、勘に頼った経営の典型になる。


経営活動の良し悪しを客観的事実(会社の数字)に照らし合わせて検証することなく突き進んでいれば、何れ失敗を犯し、業績が低迷することは容易に想像ができるだろう。


また、経営力が低下すると、業績や課題を正しく捉えることができなくなる。こうなると、解決すべき課題を見逃したり、課題を解決するための糸口が見つからなかったりして、衰退リスクが加速度的に膨らむ。


日頃から業績を把握していなくても、経営者の勘が冴えている、或いは、取引先に恵まれて販売が安定しているうちは経営が傾くことはない。


しかし、ひとたび経営者の勘が鈍ったり、或いは、販売が減少傾向に転じた途端に、歯車が狂ったように一気に業績が低迷する。


当然ながら、一度狂った歯車を修正することは至難の業だ。業績低迷に転じる中小企業の多くは、このパターンで衰退の一途を辿っているので、心して注意してほしい。


なお、勘に頼った会社経営から脱却するための有効な対策に「予算管理」がある。


予算管理とは、売上から営業利益までの全ての損益項目の将来推移を予測して、事前に損益計画を立てる経営管理手法のひとつだ。


予算の計画と実績のモニタリング(予実管理)を継続すると、経営戦略や収支計画の修正が自然と働くので、業績低迷の未然防止に役立ち、さらには、会社の経営力も一段と高めてくれる。


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業績低迷の原因2「組織力低下」


業績低迷の原因2は、組織力の低下だ。


業績と組織力は比例関係にあるので、組織力が低下すると、決まって業績も悪化する。


ちなみに、中小企業の組織力低下は、経営者、若しくは、経営幹部の能力不足から端を発することが多い。


例えば、


☑隠ぺい体質


☑指示系統が不明瞭


☑お客様の声が会社に届かない


☑社員の声が経営に反映されない


☑部門間・部門内の情報共有や協力体制がない


など等の組織の問題は、すべて社長や経営幹部の能力不足からくる問題が多く、一般社員の落ち度は小さいケースが多い。


社長や経営幹部の能力不足から組織力が低下すると、事業効率の低下、マンパワーの低下、商品やサービスの品質低下など、業績低迷に繋がる深刻な原因が山積する。


能力のない経営幹部の下で働く社員は不幸であり、能力がないにも関わらず、経営幹部の役職を担わされる人も不幸である。そして双方の不幸が、最終的には、会社の業績低迷という不幸に繋がる。


このように、人事権(任命責任)を持った経営者が、経営幹部の能力不足を見逃すと、不幸の連鎖を生み出し、会社の業績が低迷するきっかけを生み出しかねない。


中小企業に限らず、全ての会社において組織力が低下すると簡単に業績が低迷するので、組織が良好に機能しているか否か、経営者は日ごろから注視する必要がある。


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業績低迷の原因3「お家騒動」


業績低迷の原因3は、お家騒動だ。


中小企業のお家騒動は一番厄介である。


お家騒動に巻き込まれる社員はたまったものではないが、例えば、両親が株主かつ会長で、子供が二人兄弟で、兄が社長、弟が専務という構成の中小企業があったとする。


会長と社長は会社経営に関与せず専ら道楽ばかりで、弟の専務が実質ひとりで会社経営を行っていて、ある日、会長が株式の100%を兄の社長にすべて譲ると一方的に決めたとする。


この決定に納得のいかない弟の専務は会社を去る決断をし、人望の厚かった弟の専務を追いかけるように優秀な社員も居なくなった。そして、まもなく会社の業績は低迷の一途を辿った...。


架空の話ではあるが似た話は実際に沢山あり、親子や兄弟で仲違いして会社の経営がめちゃくちゃになった中小企業は少なくない。


これでは何のために会社を創業し、代々経営してきたのか分からないが、中小企業のお家騒動は、経営者の欲得で会社と社員を不幸に巻き込む典型的なパターンである。


例えば、下記チェック項目に一つでも該当する項目がある場合はお家騒動が勃発する可能性がある。


☑オーナーと経営者が不仲(親子間に問題がある)


☑経営陣に派閥がある


☑経営者に愛人がいる


☑経営者と社員が対立している


☑経営者が2/3以上の株式を保有していない


☑経営者の行き過ぎた公私混同が放置されている


☑経営者の行き過ぎたワンマン経営が放置されている


お家騒動を未然に防ぐには、経営者が創業の精神に立ち返り、損得を超えた姿勢で社員とお客様の幸せのために会社経営を采配することが大切だ。社員とお客様の幸せを考えない会社の業績は、絶対に上向かない。


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業績が低迷する予兆の捉え方とは?


中小企業の業績が低迷する予兆は必ずある。


例えば、経営力が低下すると、コスト管理に甘さが出て、利益水準が低下する。


組織力が低下すると、事業活動のパフォーマンスが悪化し、収入が減り、支出が増える。


お家騒動が起きると、経営者と社員の信頼関係が崩れ、あるいは、組織の中で派閥や敵対が生まれ、社員とお客様の幸せが二の次になる。


挙げたらキリがないが、中小企業の業績低迷の予兆は至るところに表れる。そして、業績低迷の予兆は全て会社の数字に表れる。会社の数字を無視した経営が怖いと云われる所以は、ココにある。


伊藤のワンポイント
 

業績低迷の予兆は必ずあります。特に、会社の数字には如実に表れます。業績低迷から逃れるには、低迷の予兆を捉え、先手先手で手を打ち続けるしかありません。終わりがなく、根気のいる作業ですが、少しでも気を抜くと、その瞬間から業績の低迷が始まります。奢らず謙虚に、弛まぬ努力を継続することが何よりも大切です。


(この記事は2016年6月に執筆掲載しました)