
組織の目標達成スキルは、企業の永続性を確実に高める。
目標を掲げ、それに向かい行動し、スピーディーに結果を出し、また新たな目標に向かう組織マインドが定着するほど、業績好調をキープし易くなるからだ。
目標を掲げること自体が目的化し、目標に向かう行動が伴わないまま時間だけが過ぎるパターンに陥っている中小企業は少なくないが、その根本原因は逆算思考の欠如にある。
逆算思考とは、最終的な目標(ゴール)を明確に掲げ、目標を達成するために必要なステップやプロセスを未来から現在に向かって細分化し、計画を構築する思考法だ。
逆算思考のことを、未来を起点に現在の行動を考え、今の行動を決めるバックキャスティング思考法とも言うが、この思考法は、理想の未来を実現するうえでとても効果的だ。
例えば、逆算思考で目標達成の道筋を明快に計画すると、日々の延長線上でできる範囲でやる、という曖昧な発想がなくなり、日、週、月、年単位で、やるべきことが明快になる。
計画未達の管理も綿密になるので、日々の行動修正や戦略修正の打ち手も自然と早くなる。結果、組織の目標達成スキルが高まり、どんな環境であっても成果が出せる経営基盤が整う。
逆算思考は単なるスケジュールや計画管理のテクニックではなく、社長の決断や組織の行動原理そのものを変える強力なフレームワークなのだ。

逆算思考の効果は小さな会社ほど大きくなる。
本当に必要な行動だけが浮かび上がり、選択と集中やイノベーションが推進されて、成長の壁を突破する進化と変革のチャンスに恵まれるからだ。
また、慣れた仕事のやり方や昔からやっている従来の方法といった既存の枠から解放されて、発想がより自由になるので、不要な業務や非効率な仕組みを改善し易くなる。
この他にも、先手必勝の決断が定着する、赤字経営に陥るリスクが最小化する、資金繰りに追われなくなる、計画の不備がなくなり「忙しい」という言い訳が社内から消える、労働生産性が向上し、持続的成長が続く、等の効果も期待できる。
これらの効果は、ゴールをより明快に設定し、逆算思考で計画を綿密に立てるほど大きくなる。
なお、逆算思考で計画を立てる際は、地に足がついた行動目標を、より具体的に考えることが大切だ。
期日、数字、責任者は必須で、いつまでに、どのくらいの数字(売上・利益・現金)を、誰の責任で推進するのかを具体的に落とし込むほど、計画の行動プロセスと責任の所在が具体的になり、達成達成の確度が高まる。
また、経営者は現場進捗と最終目標との乖離と、社員の適材適所とストレス耐性をよく観察し、時には行動スケジュールや最終目標そのものを調整することも必要だ。
加えて、社長自身が今の行動の意味づけを逆算で語るほど、組織に逆算思考が定着し、受動的から能動的に動ける組織体に変貌する。目標未達に悩んだ時は、逆算思考で計画を見直すことをお薦めする。
(この記事は2026年1月に執筆掲載しました)
ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」