経営者が業績に責任を持つ理由は簡単だ。
会社の業績は、最高経営責任者である社長の決断の連続で決まるからだ。
この記事では、経営者が業績に責任を持つ理由、並びに、経営者の業績責任の取り方について、詳しく解説する。
会社の頂点に君臨する経営者は、意思決定の最高責任者だ。
つまり、副社長以下は自分の決断を委ねる相手がいるが、経営者は意思決定の最後の砦であり、全て自分の責任で決断しなければならない立場にいる。
当然ながら、経営者は、自分の決断の失敗を他人のせいにしたり、責任転嫁できる立場になく、すべて自分の責任というが経営者のあるべき立場である。
会社の事業活動は意思決定の連続で決まるので、事業活動の結果である「業績」に対する経営者の責任は非常に重いものになる。
また、トップダウン構造の中小企業は、経営者の能力がそのまま会社の業績に直結するので、業績が下降線を辿り、赤字経営に転落するようなことになれば、その責任は全て経営者に帰結する。
中小企業の経営者が会社の業績に責任を持つ理由はココにある。
経営者は、会社の事業活動に対して全責任を負う最高経営責任者である。
従って、会社が赤字経営に転落した場合、経費の中で真っ先に削減する必要があるのは、経営者自身の報酬だ。
赤字脱却のための経営改革の本気度と共に、経営者の責任を社員に示すために経営者自身の報酬を真っ先に削減することが大切で、経営者が身を切る覚悟を社員に示せば、社員は多少苦しくても最後までついてくるものだ。
逆に、経営者自身の報酬は一切下げず、真っ先に社員を解雇したり、社員の報酬を下げるような経営者であれば、社員の気持ちが会社から離れてしまい、黒字化の道のりが険しくなる。
深刻な赤字経営で厳しい会社再建が必要な際は社員の解雇や社員の報酬削減も致し方ないが、最初に経営者、次に社員という順番で報酬を削減する意識を忘れてはならない。
じつは、過去に再建調査に入った中小企業の経営者の中には、業績に責任を持たない社長が沢山いた。
☑赤字なのに、オロオロするだけの社長
☑赤字なのに、毎日、愛人宅に通う社長
☑赤字なのに、損益管理を放棄する社長
☑赤字なのに、自身の報酬を下げない社長
☑赤字なのに、毎日接待狂いをやめない社長
など等、業績責任に鈍感な経営者が本当に沢山いた。そして、このような経営者には共通した特徴があった...。
業績責任を取らない経営者には共通の特徴があった。
それは、「数字に弱い」ということだ。
赤字経営というのは分っていても、その深刻度が全く理解できない。中には、資金繰りがあと3ヶ月でショートする、という中小企業もあった。
繰り返すが、中小企業は経営者の能力が会社の業績に直結する。つまり、黒字経営も赤字経営も経営者次第ということだ。
会社(社員)にとって黒字経営は幸せを運ぶが、赤字経営は不幸を運ぶ。進んで不幸を運びたいと思っている経営者はいないだろうが、数字の弱さを放置していると、赤字経営のリスクは高まるばかりとなる。
また、数字に弱い経営者ほど、「業績悪化=社員の責任」と考えがちだ。
逆に、数字に強い経営者は、「業績悪化=社長の責任」と考える。
社員の立場になれば、どちらが望ましい経営者か、答えるまでもないだろう。
会社の数字が理解できないと正しい会社経営ができないといっても過言ではない。業績責任を一身に背負う経営者は、決して数字の弱さを放置してはならない。
会社の業績を他人事で片付けられないのが経営者の辛いところだが、たとえ1円の利益であっても黒字経営さえ実現できれば業績責任を問われることはない。
健全な経営状態が持続されている限り、社員は雇用に不安を抱くことなく、経営者を信頼し、会社の為に尽くしてくれる。
経営資源が限られているナイナイ尽くしの中小企業にとって黒字経営の実現は多少の困難を伴うケースもあるが、経営者自身が数字に強くなることは誰にでもできることだ。
経営者さえ数字に強くなれば、黒字経営の道筋が必ず見えてくる。
数字に強くなることは難しいことではないので、赤字経営に陥っている会社経営者は、業績責任を払しょくするためにも、積極的に数字の勉強に取り組んでほしい。
経営責任を一身に背負う社長の覚悟と姿勢は、経営能力を高めると同時に、社長の威厳と風貌を一段と高めます。また、社長の責任感が強いほど、社員の結束が強くなり、組織力が盤石になります。会社を成長させたかったら、社長がすべての経営責任を背負うことです。その覚悟と姿勢が、成功の出発点になります。