社長業の鉄則2|社会の変化にフィットする経営スタイルを確立する


社会の変化は一見して分からないが、


過去を振り返ると、以前とは違う風景が目に入り、新しい現実が始まっていることに気が付くものだ。


小さな変化、大きな変化、一周回って元通りなど、社会の変化の程度や過程は様々だが、いち早く変化に気が付き、その変化にフィットする経営スタイルを確立できる会社は強い。


社会の変化は、会社経営の様々な領域に大きな影響を及ぼすからだ。


例えば、人々の労働意識はここ30年ほどで大きく変わった。


日本経済バブル全盛期の1988年、「24時間働けますか?」というキャッチコピーのCMが放映されたが、当時は私生活を犠牲にして働くことが常識として受け入れられていた。


寝てない自慢、休んでない自慢、家に帰ってない自慢など、今、考えたらとても可笑しな会話が職場に飛び交っていた...。


バブルが崩壊した後は、ワークライフバランス等の考え方が浸透し、仕事だけではなく、私生活の充実も追求する風潮が生まれた。労働者の主張や権利も、ずいぶん発言し易くなった。


私生活を犠牲にして働くことが当たり前だった時代は、自己犠牲、休日出勤、長時間残業など、多くの社員が権利よりも義務を重んじて、献身的に会社に尽くしていたので、経営者からすれば、楽な一面もあったと思う。


しかし、昔の社会は良かった、昔の社員の方がよく働いた等と過去を懐かしむのは無意味だ。どういう社会が良いか悪いかを問うことにも意味はない。


重要なことは、今この瞬間の社会に馴染む経営スタイルを誰よりも早く見つけることだ。


社会に合った経営スタイルの確立


社会は絶え間なく変化する。


その変化は、人財育成の方針、労働環境の整備、生産性改善の必要性など、あらゆる方面の経営采配に影響を及ぼす。


当然、社会の変化に無頓着だと、時代に合わない経営スタイルが原因で、社員の離職や生産性の悪化を招き、会社は衰退する。


逆に、社会の変化に敏感だと、時代にあった経営スタイルが確立されて、社員の定着率、顧客の純増数、事業活動の生産性、経営資源の最適化等、あらゆる成績が好転し、会社は繁栄する。


社会の変化にフィットする経営スタイルは未来を明るくする。


皆さまもどうか、社会の変化を的確に捉えて、時代に合った経営スタイルをしっかり確立頂ければと思う。


(この記事は2023年9月に執筆掲載しました)


筆者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」