社長業の鉄則|やるべきことをいつまでも継続する


会社経営は、これだけやれば成功する、などという近道は一切ない。


ピアノやゴルフを習い始めるのと同じで、日々学び、実践(練習)し続けることで、少しずつ社長業の精度が上がり、成功が見えてくる。


当然、継続が途絶えると、社長業の質は低下し、業績が悪化する。


逆に言えば、やるべきことさえきちんと続けていれば、業績は自然と好転する。


会社経営において、やるべきことの代表格は、数字・社員・お客様をよく観察することだ。


数字の良し悪し、社員の好不調、お客様の反応や要望など、


数字・社員・お客様から何かを学び、新しい行動を取り続けていれば、会社の業績は自然と安定する。


業績が安定するにつれて、やるべきことがおざなりになるケースがあるが、ひとたび継続が途絶えると、経営はあっという間に傾く。


そこから挽回するのは至難の業で、全力で取り組んでも半年から一年程度、経営陣の力量によっては挽回できないまま悪化の一途を辿る場合もある。


簡単なことほど継続する


簡単なことほど誰もやらない。


だからこそ、継続が思いもよらない成果を生み出す。


数字・社員・お客様を観察することは、決して難しいことではない。


事業を始めた頃を思い返せば分かるように、誰しもがごく当たり前にやれることだ。


今月の売上はどうだったのか、コストは増えたのか減ったのか、利益はどれくらい残ったのか、社員の動きに異変はないか、お客様の反応はいつもと変わりないか。


何れもルーティンのように、とても簡単に、ごく当たり前に継続できていたと思う。


経営が軌道に乗り、会社が大きくなっても、簡単なことほど継続することが大切だ。


とにかく、結果が出たからやめるのではなく、結果が出ようが出まいが、大切なことは何事も継続することだ。


継続の先に、新たな発見や創意工夫が生まれ、革新のアイデアや飛躍のチャンスが巡ってくることを決して忘れないことだ。


社長業の学びを続けることも大切


日々の社長業から、


何かを学び続けることも大切だ。


社長の椅子にさえ座っていれば立派に会社経営ができると思ったら、それは大間違いだ。


会社経営は生き物と同じで、実際に見て、実際にやってみないと分からないことだらけだ。


たとえ名門校で経済学を修めた人間であっても、社長業の経験のない人間に、会社経営はできない。


不測の事態が起こると、過去の事例や教科書との違いに戸惑い、あたふたするのがオチだ。


日々、社長業を積み重ねている人は、経済学など知らなくても、立派に会社経営をする。


あらゆる方面の知見や人脈からヒントを学ぶセンスもあり、応用力や突破力などのスキルも極めて高い。


経験から学び続けるほど、


経営の本質・真髄・原理原則に近づく。


社長業を極めるには、とにかく経験から学ぶことが大切だ。


経験に良し悪しはない。たくさんの失敗があれば、たくさんの成功の芽が出る。だから無駄な経験はひとつもない。


経験して、無知を知り、知見を深め、どんどん経験に活かす。この繰り返しだ。


経験して積み上げたことは、社長の力量に繋がるし、ピンチの時の助けにもなる。


また、経験値が上がるほど、決断に迷いがなくなる。


難しい岐路に立たされても、迷うことや自信を失うことが起きても、自分の経験を信じて前に進むことができる。


皆さまもどうか、実際に働き、経験し、学び続けることに重きをおいて、社長業の成果をどんどん拡大頂ければと思う。


(この記事は2023年9月に執筆掲載しました)


筆者プロフィール

ビジネスコンサルティング・ジャパン(株)代表取締役社長 伊藤敏克。業界最大手の一部上場企業に約10年間在籍後、中小企業の経営に参画。会社経営の傍ら、法律会計学校にて民法・会計・税法の専門知識を学び、2008年4月に会社を設立。一貫して中小・中堅企業の経営サポートに特化し、どんな経営環境であっても、より元気に、より逞しく、自立的に成長できる経営基盤の構築に全身全霊で取り組んでいる。経営者等への指導人数は延べ1万人以上。主な著書「小さな会社の安定経営の教科書」、「小さな会社のV字回復の教科書」