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    経営ノウハウ情報局|全カテゴリー一覧会社を経営をするうえで社長が持つべき重要な経営ノウハウを徹底解説しています。中小企業は社長の能力がそのまま業績に表れます。業績を改善するには経営者自身の能力研鑚が欠かせません。中小企業経営者のみならず、これから起業する方、経営幹部、後継者の方々にも必見の経営ノウハウが満載です。儲かる実践経営ノウハウ経営者必見の儲かる100以上の実践経営ノウハウを紹介しています。経営スキルとマインド経営スキルとマインドを高めるノウハウを紹介しています。会社経営の基本失敗しない為に絶対に抑えるべき会社経営の基本を数多く紹介しています。組織力強化のノウハウ強い組織を作り上げる実践ノウハウを紹介しています。売上拡大のノウハウ売上拡大の実践的戦略とノウハウを紹介しています。税金の基本ノウハウ経営者が知るべき税金の知識を紹介しています。イノベーション戦略イノベーション経営のノウハウを紹介しています。生産性改善のノウハウ生産性改善の実践的ノウハウを紹介しています。超速で拡大するノウハウ超速で事業を拡大する実践ノウハウを紹介しています。社長のための実践経営学経営を学びたい社長ための現場ですぐに役立つ実践経営学を紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。経営者が知るべき知識経営者が知るべき知識を数多く紹介しています。会社経営で大切なこと経営者が抑えるべき会社経営で大切なことを数多く紹介しています。会社経営のレアな知識会社経営に活かせるレアな知識を数多く紹介しています。後継者の経営能力強化後継者の経営能力を高めるノウハウを紹介しています。経営者を助ける経営ノウハウ経営の悩みを解消する実践的な経営ノウハウを数多く紹介しています。会社経営を成功に導く法則失敗しない会社経営を実現するノウハウを数多く紹介しています。中小企業がとるべき経営戦略会社の将来を形作る重要な道しるべになりうる戦略を紹介しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。社長のお悩みTOP3と解決策中小企業経営者の悩みTOP3と解決策について詳しく解説します。起業の成功ノウハウ起業に失敗しないための基本知識と成功ノウハウを詳しく紹介しています。経営改善を成功させる方法経営者が抑えるべき経営改善を成功させる方法を詳しく解説しています。成功する経営者の5つの特徴成功している経営者の特徴(事例)を沢山紹介しています。
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  • 経営管理のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    経営管理のノウハウ中小企業の経営管理は、社長の重要な仕事です。経営管理(マネジメント・リーダーシップ・コミュニケーション等)の範囲は多岐にわたり、経営面、営業面、開発面、人事面、投資面、リスク面等、挙げたらキリがありません。当然ながら、社長が経営管理をおざなりにすると会社はいとも簡単に衰退します。経営管理の精度を高める独自ノウハウを徹底解説しています。社長がやるべき仕事中小企業の社長がやるべき仕事内容とその重要性について解説しています。仕事を成功に導く軌道修正力仕事やビジネスの成功の肝になる軌道修正について解説しています。経営改善を成功させる方法大きな成果を出す経営改善の具体的手法について詳しく解説しています。社長の時間の使い方仕事の成果を上げる社長の時間の使い方と作り方を解説しています。リーダーに必要な3つの条件リーダーに必要な3つの条件・資質・役割りについて詳しく解説しています。経営マネージャーの真の仕事経営者の最も重要な仕事と言われるマネジメントについて解説しています。ビジネスリスクのトップ3中小零細企業におけるビジネスリスクのトップ3を解説しています。経営リスクを発掘する方法経営リスクを上手に発掘・管理する具体的方法を解説しています。経営課題の抽出フレームワーク経営課題の抽出・分類・分析フレームワークを解説しています。コスト削減の原理原則コスト削減のの目的・方法・効果・メリット等について詳しく解説しています。コストダウンのネタは無限コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで詳しく解説しています。コストプラス法の計算方法コストプラス法の計算方法とCP法のメリット・デメリットについて解説しています。経営を可視化する方法経営を簡単に可視化する方法について解説しています。目標を数値化するアイデア目標を数値化するアイデアと方法について解説しています。事業分析に役立つ数値指標事業分析に役立つ数値指標と計算公式について解説しています。
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  • 管理会計のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    管理会計のノウハウ管理会計は、経営数値を有益な情報に変換・管理・運用し、経営力を高める会計手法です。中小企業の管理会計未導入率は80%と云われていて、赤字経営率70%とほぼ相関が取れています。経験と勘に頼った采配で安定経営を実現するのは困難です。企業経営に役立つ管理会計の独自ノウハウを徹底解説しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。経営を可視化する方法経営を簡単に可視化する方法について解説しています。目標を数値化するアイデア目標を数値化するアイデアと方法について解説しています。事業分析に役立つ数値指標事業分析に役立つ数値指標と計算公式について解説しています。管理会計を活用した経営改善管理会計を活用した経営改善手法について解説しています。管理会計の5つのメリット管理会計の5つのメリットについて解説しています。経営と統計学の関係性統計学と経営の密接な関係性について解説しています。
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  • 会計財務のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    会計財務のノウハウ会社経営には様々な業務が付随しますが、会計財務は必須業務です。決算や確定申告の知識のみならず、財務諸表の仕組みも知る必要があります。企業の経営力を高めるには会計財務の知見が必要です。財務会計の基本ノウハウを徹底解説しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。図解で分かる財務諸表の見方財務諸表を簡単に理解できるように図解で分かりやすく解説しています。超分かりやすい減価償却の説明減価償却制度の仕組みを超分かりやすく解説しています。どんぶり勘定のデメリットどんぶり勘定の会計メリット・デメリットについて解説しています。
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  • 財務分析のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    財務分析のノウハウ日常的に財務分析を行っていると、業績の現状認識と未来予測の精度が高まります。財務諸表の分析は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロでも簡単に習得することができます。中小企業経営者が身につけるべき財務分析の独自ノウハウを分かりやすく徹底解説しています。ぜひ、お役立てください。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。会社の数字を分析する基本手法会社の数字を分析する基本手法について解説しています。本部経費の目安と考え方本部経費の目安と考え方について解説しています。不採算事業の撤退基準不採算事業の撤退基準について解説しています。
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  • 経営診断のノウハウ|中小企業の経営ノウハウ情報サイト
    経営診断のノウハウ企業の健康状態を診ることを「経営診断」といいます。人間の身体と同じように、会社も定期的に健康診断(経営診断)することで、業績悪化という名の病気を予防できます。末期症状(債務超過等の倒産状態)の手前で業績悪化の芽を摘むには、日常的な経営診断が効果的です。自己経営診断スキルを高める独自ノウハウを徹底解説しています。中小企業の経営指標と分析手法中小企業に適した経営指標と経営分析手法を沢山紹介しています。よく分かる財務諸表のミカタ財務諸表を読み解くコツとポイントに焦点を絞ったノウハウを紹介しています。すぐ出来る経営診断のススメ会社の成長に役立つ中小企業に適した経営診断手法を紹介しています。中小企業の安全性診断中小企業の安全性の診断方法について解説しています。中小企業の生産性診断中小企業の生産性の診断方法について解説しています。中小企業の収益性診断中小企業の収益性の診断方法について解説しています。
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  • 経営を簡単に可視化する方法|経営の見える化が成長を加速する
    経営を簡単に可視化する方法|経営の見える化が成長を加速する経営を可視化するとは、数字を視覚化する、ということである。経営が可視化され、売上や現金といった数字の動きが経営者と社員の頭のなかに入ると、会社の成長スピードが一段と加速する。この記事では、経営の見える化メリット、並びに、経営を簡単に可視化する方法について、詳しく解説する。経営の見える化が成長を加速する経営の見える化が、会社の成長を加速する。なぜなら、業績変動の原因と結果の因果関係が客観的に整理されることで、組織の行動原理が明快になり、日を追うごとに事業活動の精度が高まるからだ。逆に、経営の可視化がされていない会社は、合理的な行動原理が組織に定着しないため、行き当たりバッタリの経営に陥り、会社衰退のリスクが高まるばかりとなる。事実、赤字経営に陥っている中小企業の殆どは、経営が可視化されていない。経営を可視化するには、会社の数字を把握するためのデータが必要だが、さまざまな経営データの中でも最低限必要なデータは「財務諸表の数字」になる。財務諸表には事業活動の結果のすべてが集約されている。従って、財務諸表から必要な数字を抜き取ると、明快に経営を可視化することができる。大企業のなかには分速で会社の数字が集計され、常に経営が可視化されている会社もあるが、中小企業の場合は、最低限、月単位で経営が可視化されていれば十分だ。財務諸表の数字で経営を可視化する方法経営を可視化するために抜き出す数字は、売上、利益、現金など等、会社の成長と密接に関係している数字に限定した方が分かりやすい。会社経営の目的は利益拡大にある。そして、会社は現金がなくなると倒産するので現金の残高も重要になる。この利益と現金を増やすには、売上の最大化と経費の最小化を同時に進めることが欠かせず、そのためには、売上・経費・利益等の可視化が不可欠になる。数字を視覚化し、経営を可視化するにはコツがある。まず抑えるべき点は、貸借対照表と損益計算書の数字の集計方法である。貸借対照表の数字は、現時点の残高を示すものなので、最新の月末残高を追いかけるだけで資産実態が可視化できる。損益計算書(月次試算表)は、ひと月単位の期間損益を示すものなので、必ず年計を用いる。例えば、4月時点の年計は、前年5月~当年4月を集計する。損益を年計すると、季節変動や特需要因などのバラツキが解消された年商単位の損益推移が可視化できる。次に、抑えるべき点は、貸借対照表と損益計算書から抜き出す数字、そして、その数字を視覚化する方法だ。貸借対照表から抜き出す数字は、現金預金、売掛金(受取手形含む)、棚卸残高、借入金(長期・短期)、純資産の5つである。損益計算書から抜き出す数字は、売上、売上原価、売上総利益、販売管理費、営業利益の5つである。それぞれの数字の月別推移をグラフにすると、数字が視覚化され、経営実態が分かりやすく可視化される。さらに、このグラフに現金残高や利益金額などの目標を加えると、優れた経営ツールとして活用することができる。経営の可視化効果を最大化するための方法経営を可視化した後にすべきことは、情報の共有だ。経営の可視化データを経営者と社員が共有すると、経営目標と行動原理が明快になり、会社の成長スピードが一段と加速する。また、事業活動の結果を絶えず可視化することで、経営者をはじめとする関係者全員が、しっかりとした手ごたえを感じながら経営改善を進めることができる。じつは、業績が悪い会社ほど、経営が可視化されていない。たとえ経営が可視化されていたとしても、データを隠したがる。繰り返すが、経営の可視化データは、全員で共有しなければ意味がない。経営実態を可視化し、さらにそのデータをすべて開示・共有することが、会社の更なる成長に繋がるのだ。
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  • 会社を立て直し黒字化する方法|会社の業績を改善する確かな手法
    会社を立て直し黒字化する方法|会社の業績を改善する確かな手法会社を立て直し黒字化する方法は、会社のあるべき姿を明確にイメージするところから始まる。なぜなら、会社のあるべき姿を明確にイメージしないと、会社を立て直すうえで障害になり得る経営課題を明らかにすることが出来ないからだ。会社のあるべき姿には、経営理念等の抽象的なものと、数値目標等の絶対的なものがあるが、会社を立て直し黒字化するには、最低限、経営理念と数値目標、この両面が欠かせない。じつは、業績が悪化する会社、或いは、赤字経営が常態化している会社に限って、会社のあるべき姿が曖昧だ。例えば、経営理念がないために組織が方向感覚を失い、行き当たりバッタリの経営に陥っている会社、或いは、数値目標がないために、強い利益意識やコスト意識が欠落している会社などは、あるべき姿が曖昧な会社の典型例である。また、経営理念や数値目標がない会社の業績がひとたび悪化すると、会社を立て直し黒字化することが難しくなるので、業績悪化の負のスパイラルに陥りやすくなる。場合によっては、会社の立て直しができず、倒産まっしぐらといった状況に陥ることもあり得る。あるべき姿を明確にイメージすることなく、会社を立て直すことは至難の業なのだ。会社の組織全員があるべき姿に向かうと、確実に、業績が好転する方向に組織の力が集結するので、黒字化と共に、会社立て直しの見通しが見えてくる。なお、経営理念は経営者の想いと会社の存在意義を掲げると、組織の力を1点に集中させる目標になり得る。創業から代が下るにつれて経営理念が曖昧になっている会社は少なくないが、会社を立て直し黒字化する出発点として、まずは経営理念を見直してみてほしい。会社を立て直し黒字化するための数値目標とは?会社を立て直し黒字化するには、然るべき数値目標を掲げ、組織に利益意識とコスト意識を定着させる必要がある。なぜなら、利益の追求と適正なコストコントロールなくして、会社の立て直しなど出来ないからだ。事実、業績が悪化する会社には利益目標がなく、コストも適正にコントロールされていない。なお、赤字経営、つまり、マイナスの状態から会社を立て直し黒字化する場合の数値目標は、営業利益ゼロが最初の目標になる。営業利益ゼロに向かって会社を立て直し黒字化する方法は、次の3つがある。1.マイナス分の利益をカバーするための売上を新たに作る2.利益の総量を増やすために利益率を改善する3.過分にかかっている経費をカットする上記3つの方法を会社の立て直しに即効性がある順番に並び変えると、3⇒2⇒1の順になる。会社を立て直すために売上拡大に躍起になる経営者をたまに見かけるが、売上拡大の優先度は最後尾である。そもそも、従前の売上拡大の活動が、業績悪化の元凶になっているケースも珍しくない。コストカット、利益率の改善を速やかに実行し、営業利益ゼロに回復した後に、資金的な余裕をもって売上拡大に移行するのが、会社立て直しの正攻法である。また、組織の不安や不満を徹底的に洗い出して会社の深刻な経営課題を浮き彫りにし、その経営課題を一つひとつ解消することも会社の立て直しに欠かせない取組みになる。
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  • 目標を数値化するアイデアと方法|数字目標のメリット・デメリット
    目標を数値化するアイデアと方法|数字目標のメリット・デメリット目標を掲げると、目標と現実の間のギャップが明らかになるので、やるべきことが明快になる。さらに、目標を数値化すると、結果測定や結果評価が容易になり、目標達成のプロセスを最適化し易くなる。この記事では、目標を数値化するアイデアと方法、並びに、数字目標のメリット・デメリットについて、詳しく解説する。数値目標のメリット数値目標の代表的なメリットは3つある。一つは目標がより明快になること。もう一つは目標達成の過程や結果の測定ができること。最後は目標達成のプロセスを最適化できることだ。目標が明快になることは数値目標の最たるメリットと言える。例えば、売上を増やすという目標と、売上を100万円増やすという目標があった場合、やるべき事がより明快になるのは後者の数字が入った目標である。さらに、売上100万円増加という目標を達成する過程において、途中経過(成果結果)を随時測定できる点も数値目標の大きなメリットになる。結果測定ができると、目標達成のための方法論の良し悪しを評価することができるので、数値目標が多岐にわたるほど、目標達成のプロセスを最適化し易くなる。目標数値化の方法論数値目標は単一的ではなく、複合的に設定すると、目標達成のための動きが洗練される。例えば、売上100万円アップという単一的な数値目標ではなく、売上100万円アップ+利益と現金を20万円残すという数値目標を加えると、目標達成のプロセスと成果結果が大きく変わる。具体的には、売上を増やすという意欲に加えて、適正利益を確保する意欲と現金回収の意欲も高まり、コスト意識と利益意識が強化される。当然ながら、こうした数値目標を活用するほど、事業活動の収益性と生産性は高まる。複合的な数値目標は、目標達成後の理想像を明確にイメージすることで見えてくるので、数値目標を設定する際は、何よりも優先して目指すべきゴールをしっかり見定めることをお薦めする。なお、事業活動を最適化するための数値目標は、金額ベースの他にも、営業件数、引合い件数、成約率、客数、購入単価、購入回数、サイトアクセス数、電話応対時間、製造能力、歩留まり率、クレーム件数等、沢山のアイデアがある。また、粗利率、経費率、営業利益率、売上成長率、売上占有率、労働分配率、本部経費率などの経営指標を多角的に活用する方法もお薦めする。【関連記事】中小企業に使える経営指標と経営分析手法数値目標のデメリット数値目標の危険なデメリットは一つである。それは、行き過ぎた「数字至上主義」の定着である。例えば、数字必達のためなら手段は構わない。数字でしか社員を評価しない。数字のためなら他者に犠牲を強いる、などの経営姿勢は典型例と言える。数字至上主義のデメリットが色濃くなると、社員や顧客からの信用を失うリスクが極めて高くなるので、たとえ成功したとしても短命で終わり易い。社員あっての数字、顧客あっての数字という原理原則を忘れず、社員と顧客に感謝し、社員と顧客に尽くす姿勢が、良い数字を作り出す。この理を無視すると、数字に翻弄される行き当たりバッタリの会社経営に陥るので、くれぐれも注意してほしい。数字はあくまで結果に過ぎない。数字が悪いという事は、社員と顧客への感謝、或いは、社員と顧客に尽くす姿勢が不足している表れでもある。
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  • 事業分析に役立つ数値指標と計算公式|事業活動をセルフチェックする
    事業分析に役立つ数値指標と計算公式|事業活動をセルフチェックする事業分析を定期的にセルフチェックすることはとても重要である。事業活動の現状が分かれば、経営課題やライバルとの差が明確になり、経営改善の効率が格段に上がるからだ。この記事では、事業分析に役立つ数値指標と計算公式について、詳しく解説する。事業分析に役立つ指標「粗利率」事業分析に役立つ「粗利率」について、詳しく解説する。粗利率は経営者やビジネスパーソンにとって最も身近な指標だと思うが、事業分析においても非常に役立つ指標と言える。粗利率は、正式名称を売上総利益率と言うが、事業活動の収益性を示す重要指標になる。売上総利益率=(売上総利益高÷売上高)×100粗利率が競合他社よりも高い場合の事業分析結果の典型例を挙げる。付加価値の高い商品を提供しているコスト吸収力が高く、競争優位性が高い原価(仕入)を低く抑えて、収益性の高い売上を獲得している万が一、競合他社よりも粗利率が低い場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、事業付加価値を高める為の対策を早急に打つ必要がある。このように、粗利率を用いて事業分析するだけで「事業付加価値の良し悪し」が良く分かる。また、事業分析の結果に応じて先手先手で対策を打てば、効率よく粗利率を改善することができる。事業分析に役立つ指標「売上成長率」事業分析に役立つ「売上成長率」について、詳しく解説する。売上成長率は、事業の成長率を示す指標で、事業の営業力・販売力・将来性等の分析に活用できる。売上成長率=((当期売上高-前期売上高)÷前期売上高)×100売上成長率が競合他社よりも高い場合の事業分析結果の典型例を挙げる。市場の将来性が大きい顧客からの信用信頼が大きい商品力・営業力・販売力・マーケティング力が高い万が一、競合他社よりも売上成長率が低い場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、商品力や営業力を強化する対策を早急に打つ必要がある。なお、売上成長率の適正水準は5-20%の緩やかな成長曲線である。成長率が20%を超える場合は、一時的な流行に乗っただけ、或いは、顧客サービスの悪化を招く可能性が高いので注意が必要だ。また、売上成長率の公式を応用すれば、利益、顧客数、アクセス数などの成長率も計算でき、活用の幅を広げるほど事業分析の内容が充実する。事業分析に役立つ指標「売上占有率」事業分析に役立つ「売上占有率」について、詳しく解説する。売上占有率は、顧客毎の売上の占有率を示す指標で、顧客の貢献度や依存度の分析に活用できる。顧客毎の売上占有率が分かれば、貢献度上位の顧客を特定し営業攻勢を強める、或いは、貢献度下位の顧客を特定し集中的に育成するなどの戦略を効率的に展開することができる。また、売上占有率の高低は、そのまま事業リスクに直結するので、リスクマネジメントの観点からも、とても役立つ指標と言える。売上占有率=(顧客単体売上高÷全体売上高)×100売上占有率は1社当たり10%以下が目標になる。すべての顧客が目標に収まっている場合の事業分析結果は以下の通りである。下請構造になっていない連鎖倒産のリスクがない販売網のリスクヘッジができている万が一、売上占有率10%を超える顧客が1社でもいる場合は、全て真逆の事業分析結果になるので、新規顧客や販売網を開拓するなどして、大口顧客の占有率(依存度)を下げる努力が必要になる。なお、売上占有率は、顧客単位だけではなく、販路別(法人・個人,小売・卸売、実店舗・ネット、直接販売・間接販売等)の分析にも活用できる。当然ながら、多角的に分析するほど、事業リスクがより明快になる。
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  • 費用対効果とは|事業拡大はROI投資対効果とコストパフォーマンスで決まる
    費用対効果とは|事業拡大はROI投資対効果とコストパフォーマンスで決まる費用対効果とは、投入したコストに対して得られる効果のことである。費用対効果は、ビジネスのあらゆるシーンで広く使われており、主に経営判断や投資判断の貴重な根拠情報として活用されている。この記事では、費用対効果の基本概要、並びに、事業拡大を決定付けるコストパフォーマンスとROI投資対効果について、詳しく解説する。費用対効果(コストパフォーマンス)とは費用対効果とは、投入したコストに対して得られる効果のことで、ビジネスシーンで広く使われている。費用対効果は、主に経営判断や投資判断の貴重な根拠情報としてビジネスの現場で活用されているが、顧客側も企業が提供する商品やサービスの価値を測定する基準として幅広く活用している。費用対効果のことを、経営用語でビーバイシー(B/C=benefit by cost)、或いは、コストパフォーマンス(cost performance)とも云い、費用対効果が高いことを「コスパが高い」などの短縮言葉で表現されることもある。費用対効果の「費用」は、事業全体のコストだけでなく、成長投資のコスト、販促等の広告コスト、市場開拓や商品開発等の先行コストなど等、対象となる費用領域はじつに幅広い。また、投じたコストだけでなく、時間、手間、労力、距離など等、対象となる費用基準も数多にある。費用対効果の「効果」は、事業全体の収益(営業利益・経常利益)や投じた種々のコストに対する個別収益だけでなく、ブランド価値向上等の無形効果に至るまで、効果測定の対象が多種多様にある。また、経済的価値だけでなく、感情的価値などに至るまで、価値判断も多岐にわたる。費用対効果(コストパフォーマンス)の計算方法費用対効果(コストパフォーマンス)の計算方法について、詳しく解説する。費用対効果は、投入したコストに対して得られる効果(利益等)の大きさを測定することで計算できる。事業運営の費用対効果の場合は、営業利益が「効果基準」になるので、投入コストに対する営業利益の大きさが費用対効果を表す。例えば、総事業コスト(投入コスト)10億円に対して、A社:営業利益1億円、B社:営業利益0.1億円、C社:営業利益△0.1億円であれば、A社の費用対効果が一番高いということになる。C社は利益がマイナスなので、費用対効果が全くない、或いは、費用対効果がマイナスということになる。費用対効果を利益ベースで計算する場合に注意すべき点は、期間設定(時間軸)である。例えば、費用対効果が1億円だった場合、期間設定1年と10年では、費用対効果の大きさに10倍の開きが出る。期間設定が長期化するほど将来収益の見通しが不透明になり、費用対効果の計算精度が低下するので、期間設定はなるべく短く、最長でも1年以内に設定することをお薦めする。但し、グーグルのようなフリーサービス(無料サービス)を提供する対価として広告収入を得るようなビジネスモデルの場合は、収益化までの時間が必然的に長くなるので、費用対効果を計算する際の期間設定が長くても差し支えない。また、ブランド価値、モチベーション、顧客の評価・評判など等の無形の費用対効果を計算する場合は、コスト投入前後のブランド価値等の測定結果(アンケート結果・調査会社の報告等)を比較することで計算できる。費用対効果が上がれば事業が拡大する費用対効果とは、投じたコストに対する効果(利益)の大きさのことなので、費用対効果が上がれば、自然と事業規模が拡大する。そもそも、ビジネスにおける費用とは、売上を作るために費やす全てのコストのことなので、費用対効果(コストの売上貢献度)が上がれば、無駄なコストが無くなる一方で最終利益と成長投資の規模が拡大し、事業拡大のスピードが加速する。ちなみに、創業当初や新規事業の立ち上げ時等は費用対効果に敏感になるので、費用対効果の最大化に自然と意識が向くが、会社経営が安定するほど、この意識が低下しやすくなる。例えば、経営者の油断や慢心、或いは、世の中の進化に後れをとることで費用対効果が低下するケースは、経営者の意識の欠落に伴い費用対効果が低下する典型になる。ビジネスにおいて、顧客やライバルは競争の手を一切緩めないので、費用対効果が一度低下すると挽回するのが至難の業になる。つまり、日頃から、費用対効果を意識した会社経営を定着させることが繁栄の基本姿勢になるのだ。投資対効果(ROI)とは何か投資対効果(ROI)について、詳しく解説する。投資対効果(ROI)とは、投入した「投資コスト」に対して得られる効果のことで、費用対効果同様に、ビジネスシーンで広く使われている。投資対効果のことを略してROI(Return on Investment)と云うが、これは、投資(Investment)に対する対価(Return)を意味する言葉になる。投資対効果(ROI)の計算方法は、対価である「最終利益」と「投資コスト」の比率を算定することで計算でき、投資対効果(ROI)のことを、投資対効率、あるいは、投資収益率や投資利益率とも云う。費用対効果のコスト範囲はじつに広範囲にわたっているが、投資対効果のコスト範囲は「投資」に限定されており、この点がこの指標の最たる特徴といえる。投資対効果(ROI)の計算方法投資対効果(ROI)=(最終利益÷投資コスト)×100※最終利益=売上-売上原価-投資コスト投資対効果(ROI)の判断は100%が基準になる。例えば、最終利益100万円に対して、A社:投資コスト10万円、B社:投資コスト100万円、C社:投資コスト200万円であれば、A社の投資対効果(1,000%)が一番高いということになる。C社は投資コストが利益を上回っているので、投資対効果(50%)が全くない、或いは、投資対効果がマイナスということになる。なお、費用対効果と同様に、期間設定が長期化するほど将来収益の見通しが不透明になり、投資対効果の計算精度が低下するので、期間設定はなるべく短く、最長でも1年以内に設定することをお薦めする。また、例外も同様である。費用対効果・ROI投資対効果のまとめ費用対効果(コストパフォーマンス)と投資対効果(ROI)は、何れも、投入したコストに対して得られる効果のことで、ビジネスシーンで広く使われている。費用対効果と投資対効果(ROI)は、何れも、投入したコストに対して得られる効果(利益等)の大きさを測定することで計算できる。投入するコストと得られる効果の基準、視点、範囲は多種多様にあるので、柔軟な考えで費用対効果と投資対効果(ROI)を運用することが、計算精度を高めるコツになる。費用対効果と投資対効果(ROI)が高まると、無駄なコストが少なくなる一方で、最終利益と成長投資の規模が拡大するので、事業拡大のスピードが一段と加速する。会社経営を安定させる上で最重要指標といっても過言ではない。
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  • 業績目標の正しい設定方法と運用効果|業績の良し悪しは目標で決まる
    業績目標の正しい設定方法と運用効果|業績の良し悪しは目標で決まる業績目標とは、事業活動の結果を表す売上や利益などの客観的数値目標のことである。業績目標は、会社全体の経営目標としてだけではなく、部門ごと、或いは、担当者単位の人事評価基準としても活用できる。この記事では、業績目標の正しい設定方法、並びに、業績目標の運用効果に至るまで、詳しく解説する。業績目標の基本指針業績目標とは、事業活動の結果を表す売上や利益などの客観的数値目標のことで、幅広い領域で活用できる。業績目標を立てるうえで注意すべき点は、売上一辺倒(売上至上主義)にならないことである。なぜなら、会社の存続を保障するのは売上ではなく、利益だからだ。利益が欠落した業績目標は、杜撰なコスト管理を生み出し、目標が仇となって、かえって業績が悪化する場合がある。例えば、売上が拡大している一方で、赤字金額が膨れ上がるケースは業績目標の典型的な失敗パターンになる。業績目標は売上と利益をセットに考える、これが効果的な業績目標の基本指針になる。正しい業績目標の設定方法正しい業績目標の設定方法は、売上と利益をセットで行うことが大原則になる。また、成長率や達成率よりも改善金額をベースに業績目標を設定した方が、会社の成長スピードが加速しやすい。例えば、下表のような事例を見れば、改善金額ベースの業績目標の方が、会社の成長に貢献することが理解できると思う。(金額単位:万円)前期売上売上目標当期売上成長率達成率改善金額A部門1,0001,1001.20020%109.1%200B部門2,0002.4002,30015%95.8%300それぞれの指標の計算式成長率=〔(当期売上-前期売上)÷前期売上〕×100達成率=(当期売上÷売上目標)×100改善金額=当期売上-前期売上ご覧の通り、A部門は成長率と達成率の成績がB部門よりも上回っているが、改善金額はB部門より劣っている。A部門とB部門の社員数が同じであった場合、業績への貢献度が高いのは、売上改善金額が大きいB部門である。また、売上金額よりも利益金額をベースに業績目標を設定することも大切になる。例えば、下表のような事例を見れば、利益金額ベースの業績目標の方が、会社の成長に貢献することが理解できると思う。(金額単位:万円)前期売上当期売上売上改善前期利益当期利益利益改善C部門2,0003,0001,0002002000D部門2,0002,500500200500300ご覧の通り、C部門は売上改善の金額がD部門よりも上回っているが、利益改善の金額はD部門より劣っている。この場合、業績への貢献度が高いのは、少ないコストで大きな利益改善を達成したD部門である。このように、業績目標は、率よりも金額、売上金額よりも利益金額を重視して設定した方が、会社の成長を一層加速させる業績目標に仕上がる。管理部や事務職に適した業績目標収益を生み出さない事務職、或いは、管理部門であっても然るべき業績目標が必要だ。なぜなら、事務職等に業績目標を与えないと、コスト意識が低下し、ムダムラを助長しかねないからだ。事務職等に与える業績目標は、売上や粗利といった収入ではなく、会社の収入に対して、自分達の経費がどの程度消費されているかを示す「売上総利益高管理部門経費率」が適している。売上総利益高管理部門経費率とは、売上総利益高(粗利高)に占める管理部門経費の構成比率のことで、事務職等の利益意識を高める業績目標として有効活用できる。売上総利益高管理部門経費率の計算方法は下記の通りである。売上総利益高管理部門経費率=(管理部門経費÷売上総利益)×100例えば、会社全体の売上総利益高が5,000万円で、管理部門経費が500万円だった場合の売上総利益高管理部門経費率の計算式は次のようになる。売上総利益高管理部門経費率=(500÷5,000)×100=10%売上総利益(粗利)は、経費を賄う原資なので、売上総利益高管理部門経費率が分かると、事務職等の管理部門が会社全体の粗利をどの程度消費しているのかが一目瞭然で分かる。事務職等の業績目標に導入すると、事務職全体の生産性が上がり、少ない管理部門経費で大きな売上総利益(粗利)を生み出す収益基盤が整い易くなるので、おススメの業績目標である。業績目標を人事評価に運用する方法業績目標は人事評価の基準として運用することもできる。業績は社員や部門の活動結果を如実に表すので、公平性と客観性に優れた人事評価基準ではあるが、業績目標をもとに行う人事評価は慎重にしなければならない。なぜなら、業績結果ばかりに捉われた人事評価を優先すると、業績を作るプロセスが軽視されて、モラルや組織力の低下を招くリスクが高まるからだ。例えば、業績目標が「売上と利益を2倍に増やす」だった場合、業績結果だけでなく、目標達成までのプロセスも含めてしっかり評価することが大切だ。業績目標を達成するプロセス評価がしっかりしていれば、その社員の弱みや強みの理解が深まり人材育成の効率が上がる、或いは、成功プロセスの共有度が高まり経営の精度が上がる、等の効果が得られる。また、業績目標を達成するためのプロセス(PDCAサイクル)に人事評価者(経営陣)が積極的に関わると、社員のPDCAサイクルの精度が一段と上がる効果も得られる。結果だけでなく、プロセスをしっかり評価することが業績改善や人材育成の効率を高め、強いては、業績目標を人事評価の基準として効果的に運用する秘訣になるのだ。業績目標の設定方法と運用効果のまとめ業績目標とは、事業活動の結果を表す売上や利益などの客観的数値目標のことだ。業績目標の設定は、率よりも金額、売上金額よりも利益金額を重視して設定した方が、会社の成長に貢献する業績目標に仕上がる。業績目標は人事評価の基準として運用することもできるが、業績結果だけでなく、目標達成までのプロセスも含めてしっかり評価しなければならない。また、収益を生み出さない事務職に適した業績目標をうまく活用することで、会社の生産性を一段と引き上げることもできる。業績目標は、会社経営に不可欠な要素(ツール)といって過言ではない。業績目標の正しい設定方法と運用効果を理解し、上手に運用することをお薦めする。
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  • 会社を拡大する正しい利益目標の立て方|正しい利益水準から利益金額まで徹底解説
    会社を拡大する正しい利益目標の立て方|正しい利益水準から利益金額まで徹底解説利益目標なくして、会社の拡大はあり得ない。しかし、正しい利益目標の立て方を知っている中小企業経営者は決して多くない。この記事では、会社を拡大する正しい利益目標の立て方、並びに、正しい利益水準から利益金額に至るまで、詳しく解説する。利益目標なくして会社の拡大なし利益目標なくして会社の拡大はあり得ないが、中小企業において、利益目標を運用している経営者は多くなく、中には、会社の利益すら見ていない経営者もいる。然るべき利益目標がなければ合理性のない行き当たりバッタリの会社経営に陥り、会社を拡大することが難しくなる。事実、利益目標がない中小企業の赤字経営率は非常に高い。会社経営者の使命は利益拡大にある。新しい価値観を顧客に提供し続け、なお且つ、競合他社に勝ち続けることができなければ、利益拡大は頓挫する。そして、こうした成長投資の源泉は利益になる。新しい価値観を提供するための開発投資、或いは、競合他社よりも優位な市場環境を構築するための成長投資は、すべて会社が生み出す利益が源泉になる。利益目標なくして会社の拡大はあり得ないと云われる所以はココにある。会社を拡大する利益目標の立て方利益目標は3つの指標を使って立てると、会社の拡大を後押しする利益目標に仕上がる。ひとつは「率」、もう一つは「額」、そして「現金」である。利益目標「率」率は、掛け算の世界だ。プラスの率は儲けを加速するが、マイナスの率は損失を加速させる。つまり、利益目標の達成速度は、率によって決まる。利益目標「額」額は、足し算の世界だ。額は絶対的な利益目標を示すので、率で追いつかない利益拡大策を考えるきっかけを与えてくれる。利益目標「現金」現金は、会社の生存を保障する唯一の要素だ。なぜなら、現金がなくなると、会社が倒産するからだ。利益の大きさと現金の大きさは比例関係に無いので、利益目標と共に現金残高の目標も掲げないと、経営に失敗するリスクが高まる。売上拡大と共に、この3つの指標を使って利益目標を立てると、会社の拡大スピードが加速する。それぞれの利益目標の立て方について、順を追って詳しく解説する。利益目標の立て方1「利益率」利益率の目標は、売上総利益高営業利益率を用いて立てる。売上総利益高営業利益率とは、売上総利益に占める営業利益の構成比率のことだ。業種業態関係なく活用できる指標なので、使い勝手の良い目標でもある。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100利益率の目標水準は20%である。(標準水準は10%)利益目標を目指して経営改善を進めると、会社拡大のスピードが一気に加速する。利益目標の立て方2「利益金額」利益金額の目標は、前年よりも大きい金額を目標にする。(金額指標は営業利益金額)例えば、前年の利益金額が1,000万円であれば、今期の目標金額は1,500万円にする、というように、常に前年の利益を上回る目標金額に設定する。利益率が目標水準に達している状態でさらに利益金額を増やすには、利益金額を目標に加えて、売上拡大と経費削減を同時に推進しなければならない。率に加えて金額を利益目標に立てると、会社拡大のスピードが更に加速する。利益目標の立て方3「現金水準」率と額の利益目標と共に、現金水準の目標を立てることも重要だ。なぜなら、安定経営を支えるのも、成長投資の原資も、すべて現金だからだ。利益目標を達成したとしても、税金を支払えば現金が減る。また、せっかくの利益が売掛金や商品在庫に流れてしまっては、会社の現金は一向に増えない。つまり、一定の現金を残さなければ、利益目標の達成効果が無くなってしまうのだ。現金水準の目標は下記計算式の通りである。現金目標水準=〔月商-(減価償却費+営業利益金額)〕×2現金残高が目標水準に達した後は、前年を上回る現金残高を目標に立てて、現金残高の更なる拡大を推進する。以上の通り、利益率、利益金額、現金水準の3つの指標を使った利益目標が、会社を拡大する正しい利益目標の立て方である。
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  • どんぶり勘定とは|丼勘定の意味・会計メリット・経営デメリット
    どんぶり勘定とは|丼勘定の意味・会計メリット・経営デメリットどんぶり勘定とは、収支の勘定がいい加減なことを云う。会社経営における「どんぶり勘定」は収支管理の簡素化メリットがある一方で、収支計算の精度を低下させるデメリットがある。この記事では、どんぶり勘定の意味、並びに、どんぶり勘定の会計メリットや経営デメリットに至るまで、詳しく解説する。どんぶり勘定とは?どんぶり勘定とは、収支の勘定がいい加減なこと、或いは、細かな収支を勘定せずに無計画にお金を使うことを云う。どんぶりの語源は、江戸時代に職人(火消し・大工・商人等)が身につけていた腹掛けについていた「どんぶり」と呼ばれる大きなポケットと云われている。腹掛けそのものをどんぶりと呼んでいた節もあり、そのどんぶりから無造作にお金を出し入れする仕草、或いは、どんぶりを愛用している職人衆のあるにまかせて無計画にお金を使う姿勢がどんぶり勘定のルーツと思われる。どんぶり勘定の歴史は古いが、現代においても使い方は変わらず、例えば、収支の勘定がいい加減な会社経営を表す「どんぶり経営」、あるにまかせて無計画にお金を使う社長を表す「どんぶり勘定」などは典型例になる。どんぶり勘定の会計メリットどんぶり勘定の会計メリットは多くない。せいぜいあって、会計の作業や手間が簡素化されることが唯一のメリットといえる。どんぶり勘定のよくある会計パターンを挙げると、極力勘定科目を増やさない、事業別や担当者別の仕訳を増やさない、経費精算を数カ月分ため込む、売上請求を数カ月分ため込む、領収証等を税理士に丸投げする、など等がある。何れも、会計に携わる当事者の作業が簡素化されるため、どんぶり勘定が定着するほど、会計作業が楽になる。どんぶり勘定の会計デメリットどんぶり勘定の会計デメリットはじつに多い。例えば、期間損益の収支が曖昧になる、整合性が低下する等は典型的なデメリットで、商品や事業の個別収支が不明になる等の深刻なデメリットもある。また、収支が曖昧になるほどに会計資料の精度(正確性)が低下するので、経営判断の根拠に使えない、或いは、銀行等からの信用が低下するといった二次的なデメリットも生まれる。こうしたデメリットを払拭するには、どんぶり勘定から脱却するために、会計の精度と整合性を高めることが不可欠になる。どんぶり勘定の経営メリットどんぶり勘定の経営メリットは多くない。せいぜいあって勘と経験に頼った会社経営を何の制約もなく推し進めることができることが唯一のメリットといえる。例えば、数字が苦手な経営者であれば、どんぶり勘定に固執することで苦手な数字から解放されるメリットが享受できる。計画や節約が嫌いな経営者であれば、どんぶり勘定に固執することで、あるにまかせて無計画にお金を使えるメリットが享受できる。このように、あるがまま、思うがまま、ストレスフリーで会社経営ができる点が、どんぶり勘定の唯一のメリットといえる。【関連記事】どんぶり勘定のダメ社長どんぶり勘定の経営デメリットどんぶり勘定の経営デメリットはじつに多い。例えば、勘と経験に頼った会社経営に陥ることで頻発する決断ミスや長期的視点の欠落から陥る資金繰りの失敗などは、どんぶり勘定の典型的なデメリットになる。また、数値管理が組織に定着しない、事業活動の検証精度が著しく低下する等のデメリットもあり、大概は、経営者の勘が鈍った瞬間に衰退リスクが噴出する。更に、万が一業績が悪化すると、業績悪化の原因特定(損益の詳細分析)に時間がかかり、健全化の成功確率が著しく低下するデメリットもある。業績が好調であっても、どんぶり勘定で複数の事業部の収支が曖昧になっている場合は、成長投資の正しい采配ができなくなるデメリットもある。【関連記事】どんぶり勘定が企業を滅ぼすどんぶり勘定は百害あって一利なしどんぶり勘定は、百害あって一利なしだ。どんぶり勘定は、会社経営の生命線になる決断の精度と検証精度を著しく低下させる。経営者の論理性と客観性も著しく低下させるので、漠然とした経営不安も消えなくなる。事業活動の結果、並びに、成功と失敗の兆候は、すべて数字に表れる。どんぶり勘定に固執すると、そうした成功と失敗の兆候を見落とし、高確率で経営に失敗するので、くれぐれも気をつけてほしい。
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  • 会社の数字を分析する基本の手法|経営者とビジネスパーソンの必須スキル
    会社の数字を分析する基本の手法|経営者とビジネスパーソンの必須スキル会社の数字を分析する手法は、経営者とビジネスパーソンの必須スキルといって過言ではない。なぜなら、会社の数字は事業活動(仕事)の結果であり、結果である会社の数字を無視した事業活動(仕事)に成功はあり得ないからだ。正しい事業活動(仕事)を推進するには、会社の数字の分析スキルが不可欠であり、このスキルなくして、会社の成長も、経営者(ビジネスパーソン)としての成長もあり得ない。この記事では、会社の数字を分析する手法について、詳しく解説する。会社の数字を分析する手法会社の数字を分析する手法は、大きく二つある。ひとつは、財務分析、もう一つは、管理会計(計数管理)と云われる分析手法だ。財務分析は、株式市場等への公表を前提とした透明性と公平性の高い数字の分析手法のことで、管理会計(計数管理)は、財務諸表等の経営データの数値を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営力を高める数字の分析手法のことである。中小・中堅企業経営者とビジネスパーソンが身につけるべき数字の分析手法は、会社の成長のために会社内部の数字を緻密に分析する手法である後者の管理会計(計数管理)である。参考まで、それぞれの分析手法の特徴を、詳しく解説する。財務分析財務分析とは、外部公表を前提とした会社の数字の分析手法である。財務分析は、どんな会社であっても、大よそ共通の公式や分析手法で会社の実態を外部に公表するために行う分析である。財務分析の数字は、主に株式市場や投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められる。例えば、財務分析には、ROA(総資本利益率)、ROE(自己資本利益率)、DEレシオ(負債資本倍率)、財務レバレッジ、インタレスト・カバレッジ、PBR(株価純資産倍率)、PER(株価収益率)、EPS(1株当たり利益)などの指標が使われる。管理会計(計数管理)管理会計(計数管理)とは、内部分析に活用する会社の数字の分析手法である。財務分析とは違い、いかに経営の実態を掴むか、或いは、経営に役立つ数字をいかに導き出すか、というポイントが分析の基本になる。従って、業種業態によって計算手法が変わるし、その企業オリジナルの分析手法も沢山ある。例えば、管理会計には、売上高成長率、営業利益率、自己資本比率、など等の経営指標が数多く活用されるが、会社を取り巻く事業環境によって、経営指標の選別、経営指標の適正水準、経営指標の活用方法、など等の方針や基準が微妙に変わる。会社の数字の分析手法の学術理論会社の数字の分析手法である管理会計(計数管理)の学術理論は、統計学の範疇に入る。統計学とは、バラツキのあるデータの性質を調べたり、或いは、大きなデータから一部を抜き取って、その抜き取ったデータの性質を調べることで、元の大きなデータの性質を推測したりするための方法論を体系化したものである。統計学には、大きく分けて2種類の統計体系があり、ひとつは、あるデータを集めて、表やグラフを作り、平均や傾向を見ることでデータの特徴を把握する「記述統計」、もうひとつは、母集団からサンプルを抜き取って、そのサンプルの特性から母集団の特性を推測し、それが正しいかどうかを検定する「推測統計」がある。記述統計と推測統計は会社の数字を分析する管理会計に広く活用されており、例えば、記述統計は、売上、経費、利益等の業績推移の把握に活用され、推測統計は、業績予測や予算管理、ABC分析(パレート分析)や事業計画作成等に活用されている。会社の数字分析で分かること会社の数字を分析することで分かることは数知れない。会社の数字を分析すると、会社の現状も分かるし、更なる成長のための経営課題も明らかになる。簡単かつ効果的な分析指標を3つ紹介するので、決算書を2期分用意して、自己診断してみてほしい。売上高成長率売上高成長率とは、会社の売上がどの程度成長したかを示す経営指標のことである。売上高成長率を見れば、その会社の将来性が自ずと見えてくる。例えば、売上高成長率がプラス成長であれば会社の衰退リスクが低く、売上高成長率がマイナス成長であれば会社の衰退リスクが高い、ということが分かる。計算式と適正水準はこちら>>売上高総利益率売上総利益率は、別称「粗利率」とも云い、会社の利益指標として最も馴染みのある経営指標である。売上総利益率を見れば、その会社の収益性が自ずと見えてくる。例えば、売上総利益率が他社よりも高ければ収益性が高く、売上総利益率が他社よりも劣っていれば収益性が低い、ということが分かる。計算式と適正水準はこちら>>売上総利益高営業利益率売上総利益高営業利益率は、会社の本業の利益(儲け)の水準を示す経営指標である。売上総利益高営業利益率を見れば、その会社の競争力が自ずと見えてくる。例えば、売上総利益高営業利益率が他社よりも高ければ競争力が高く、売上総利益高営業利益率が他社よりも劣っていれば競争力が低い、ということが分かる。計算式と適正水準はこちら>>【関連記事】中小企業に適した経営指標の計算式と適正水準会社の数字分析で大切なこと会社の数字を分析するうえで最も大切なことは継続性だ。なぜなら、会社の数字の分析を断片的に行っても、経営課題の本質を明らかにすることができないからだ。例えば、単月比較ばかりの数字分析では、数字が上がった下がったと一喜一憂するばかりで、なかなか、経営課題の本質にたどり着くことはできない。せいぜい数字に振り回されて、行き当たりバッタリの会社経営に陥るのが関の山だ。会社の数字を継続的かつ正確に分析するには、年計の数字をベースに分析するのが一番である。年計の数字の推移は、決算数値の連続推移を表すので、季節変動や特需に伴う数字の増減がすべて解消され、分析結果のバラツキが一切なくなる。従って、過去から現在に至る数字の傾向が手に取るように分かるようになり、将来予測の精度も格段に上がる。伊藤のワンポイント数字が分かると決断の精度が高まります。決断の論理的根拠が増えるからです。経済の多様化は進む一方です。ですから、論理性に欠けた勘や経験に頼った決断だけで乗り切れるほど会社経営は簡単ではありません。これからの会社経営は、経営者(ビジネスパーソン)の数字力が明暗を分かちます。
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  • 営業利益を改善する3つの基本戦略|利益拡大が企業の強みを磨く
    営業利益を改善する3つの基本戦略|利益拡大が企業の強みを磨く会社経営を存続するうえで、利益改善は欠かせない取り組みだ。利益改善をおざなりにすると、利益を押し上げる会社の競争優位性が失われ、次第に利益が減少し、資金繰りに支障をきたすからだ。この記事では、営業利益を改善する3つの基本戦略について、詳しく解説している。営業利益を拡大する営業利益は本業の儲けを示す指標になる。この営業利益を拡大する経営姿勢は、即、利益改善に繋がる。営業利益とは、売上から仕入原価を引いて残る売上総利益(粗利)から、さらに販売管理費を差し引いた金額のことだ。粗利に注目する経営者は多いが、営業利益に注目している経営者は意外と少ない。売上を拡大するためにコスト管理が甘くなる経営者は典型と言える。売上が横ばい、或いは、売上が下がっていても営業利益を減らさない経営者は、コスト管理がシビアで、営業利益を常に意識した采配ができている。当然、会社全体の利益改善意識もしっかり定着している。事業コストを抑える事業コストを抑えることで、利益を改善する方法も有効だ。売上に連動する事業コスト(仕入原価と販売管理費)が減れば、自ずと、営業利益が拡大するからだ。利益改善のために事業コストを削減する方法は無限にあるが、中でも、新たな技術やテクノロジーを活用して、利益改善を推進する方法はお薦めだ。時代の進行とともに絶えず生まれる新たな技術やテクノロジーをタイミングよく取り込み続けることで、事業コストが最適化され、一定の利益水準をキープし易くなるからだ。利益を生み出すために大胆に事業コストを使うことは大切なことだが、コストの使い方を常に最適化することを忘れないことだ。利益の回転と利幅を追求する利益改善は、回転を上げるか、利幅を上げるかのどちらかを追求すると、大きな成果が得られる。重要なポイントは、ビジネスモデルや業種業態によって、回転と利幅の選択が変わることだ。例えば、同じお寿司屋でも、回転すしは「回転」、カウンターすしは「利幅」、同じ塾でも、集団学習は「回転」、マンツーマン学習は「利幅」、同じ飲食業でも、仕出し屋は「回転」、懐石料亭は「利幅」というように、ビジネスによって取るべき選択が変わる。また、回転と利幅の選択によって、ターゲット顧客も変わる。当然ながら、正しい選択ができれば、情報発信や広告展開等のマーケティング戦略の質も高まり、利益改善と共に売上拡大にも拍車がかかる。以上、営業利益の拡大、事業コストの抑制、回転と利幅の追求をライバル社よりも一所懸命に行うほど、会社の利益改善が進み、企業の強みも研鑽される。当然、儲かる状態もキープされるので、ますます繁栄する。
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  • 減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる|減価償却と設備投資の関係と節税効果
    減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる|減価償却と設備投資の関係と節税効果減価償却が分かれば、キャッシュフローが良くなる。なぜなら、減価償却費は経費として計上しても、現金流出が伴わないからだ。この記事では、減価償却とキャッシュフローの関係性、或いは、減価償却と設備投資の関係性、並びに、減価償却の節税効果に至るまで、詳しく解説する。減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる。わたしの経験からも言えるが、減価償却の理解が浅い社長の会社は、間違いなく、キャッシュフローが悪化し、会社の成長が鈍化する。逆に、減価償却の本質を理解している社長の会社は、減価償却でストックした現金をうまく成長投資に振り向け、大きなキャッシュフロー(プラスの現金収支)を生み出すスパイラルを上手に作り出している。つまり、減価償却の理解度の差で、キャッシュフローの優劣が決まり、しいては、企業の盛衰が決まるといっても過言ではないのだ。特に、減価償却資産が多い資本集約型の会社(主に製造業や装置産業)を経営している社長にとって、減価償却の理解は不可欠なので十分に意識してほしい。減価償却の目的と必要性減価償却の目的は、「合理的かつ正確な損益計算のため」と「投資原資の蓄積(プラスのキャッシュフロー増加)のため」のふたつの目的が挙げられる。例えば、5年間にわたり会社の収益に貢献する減価償却資産を500万円で購入した場合、その貢献年数に応じて購入資金を分割して費用計上(100万円×5年間)することで、毎期、合理的かつ正確な損益計算が可能になる。また、減価償却は、費用計上しても実際は現金流出が伴わないので、減価償却分の費用は、次の投資資金の原資として蓄積(プラスのキャッシュフロー増加)することが可能になる。つまり、減価償却を適切に処理しなければ、正しい損益計算も次の投資費用の蓄積(プラスのキャッシュフロー増加)も、ままならなくなってしまうのだ。この目的が分かれば、減価償却の必要性も理解できると思うし、減価償却がキャッシュフローに与える影響の大きさも理解できると思う。なお、減価償却の基本的概要、減価償却の会計的理論に関しては、次の二つの記事を参考にしてほしい。【関連記事】超分かりやすい減価償却の説明【関連記事】減価償却費の仕訳と計算の仕組み減価償却と設備投資とキャッシュフローの関係性減価償却と設備投資とキャッシュフローには、密接な関係性がある。例えば、設備投資の建物や機械は減価償却資産として減価償却の対象になり、設備投資を借入金で賄っている場合は、その返済資金を減価償却費で捻出するのが返済計画の正攻法になる。この場合、減価償却費より設備投資の借入返済の金額が下回るとキャッシュフローがプラスに振れ、減価償却費より設備投資の借入返済の金額が上回るとキャッシュフローがマイナスに振れる。また、減価償却期間(設備の耐用年数)より借入返済期間が短いとキャッシュフローがプラスに振れ、減価償却期間(設備の耐用年数)よりも借入返済期間が長いとキャッシュフローがマイナスに振れる。つまり、減価償却と設備投資、並びに、減価償却とキャッシュフローには、密接な相関関係があるのだ。なお、減価償却と設備投資の関係性でキャッシュフローがマイナスになる場合は、利益から返済原資を充当する必要があるため、その場合は、十分な利益水準を確保することを忘れてはならない。減価償却の節税効果減価償却の節税効果は、適正に減価償却費を計上(経費化)することで得られる。例えば、法人において、減価償却は任意制度になっているが、毎期、必ず減価償却費を計上(経費化)することで、その分の節税効果が生まれる。また、減価償却費の計算は、定額法よりも定率法を採用した方が、税金の繰り延べ効果が大きい。中小企業においては、少額減価償却資産の一括損金処理などの特例があるため、そうした制度を積極的に活用することも節税効果を生み出す秘訣になる。赤字企業の場合は、減価償却費を計上していないケースが多々あるが、赤字であっても減価償却費を計上した方が、節税メリットがある。なぜなら、損金(当期純損失)は数年間繰り延べることができ、翌年以降の利益を相殺する節税効果を生むからだ。また、赤字だからといって減価償却費を適正に計上しないと、会社の正しい損益が把握できなくなるので、黒字・赤字を問わず減価償却はした方が良い。減価償却とキャッシュフローの基本ノウハウ最後に、当サイト内の記事から減価償却とキャッシュフローの理解が更に深まるお薦めの基本ノウハウを紹介する。超分かりやすい減価償却の説明減価償却は会計上だけではなく、会社の投資戦略やキャッシュフローにも大きく関わっているので、理解が浅いと会社経営に失敗するリスクが高まる。この記事では、減価償却制度の仕組みを、超分かりやすく解説している➡この記事を読む減価償却費の仕訳と計算の仕組み減価償却制度とは資産性の高い減価償却資産を耐用年数に応じて費用化していく会計制度のことだ。この記事では、減価償却費の概要や減価償却資産の種類、並びに、減価償却の会計例とメリットに至るまで詳しく解説している➡この記事を読むキャッシュフロー経営で利益を劇的改善キャッシュフロー重視の経営は、会社の利益を押し上げ資金繰りを改善する効果がある。なぜなら、キャッシュフロー重視の経営は、会社のお金の動きを可視化し、経営者に明快な損得基準を与えるからだ。この記事では、キャッシュフロー経営の基本について詳しく解説している➡この記事を読む伊藤のワンポイント会社経営者にとって減価償却ほど難解な会計制度はないのではないかと思います。減価償却は難しく考える必要はなく、目的と仕組みをシンプルに捉えるだけで、容易に理解することができます。減価償却の理解が深まると会社のキャッシュフローが良くなり、成長投資のスパイラルも上手に作れます。
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  • 本部経費の目安と考え方|経営者が抑えるべき賢い本部経費のコントロール法
    本部経費の目安と考え方|経営者が抑えるべき賢い本部経費のコントロール法本部経費とは、収益を生み出さない管理部門の維持管理に費やされる経費のことだ。本部経費の対象になる管理部門は、経営陣、総務経理やコールセンター、或いは、会社全体の将来収益に貢献している開発部門などの維持管理費用も含まれる。中小企業の場合、本部経費は少ないほど良い。なぜなら、会社の収益にさほど貢献せず、さらには会社の機動力の足を引っ張る本部経費を低コストに抑え、収益を生み出す営業部隊に経営資源を集中させた方が、会社の競争力が高まるからだ。例えば、創業以来、増収増益を維持している(株)未来工業は、社員数が800名を超えているにも関わらず人事部がない。創業者の山田昭男氏の方針で、もったいないから設置していないとの事だが、これなどは、ムダな本部経費をかけず、収益を生み出す営業部隊に経営資源を集中させている好例である。中小企業のなかには、年商が大きくなると管理部門を拡大しようとするケースを見かけるが、ムダな本部経費は少ないほどよい。また、収益に見当たった範囲内で本部経費をコントロールすることも大切である。当然ながら、収益度返しの本部経費の散財は、会社の成長に少しも役立つことはなく、かえって、会社の衰退を早める結果を招いてしまう。とはいっても、すべての本部経費をゼロにすることはできない。例えば、コールセンターや総務経理といった本部経費はアウトソーシングできるが、機密性が高く、将来の収益源になり得る新商品の開発経費などの本部経費は必要不可欠だ。会社の成長に欠かせない本部経費を、自社に見合った適正水準の範囲内でコントロールすることが、会社全体の収益バランスを整えるコツである。中小企業に適した本部経費の目安とは中小企業に適した本部経費の目安は、粗利高本部経費率で測定できる。粗利高本部経費率とは、粗利高(売上総利益高)に占める本部経費の構成比率のことだ。会社の収益に対する本部経費の割合が分かるので、本部経費のコントロールに活用できる。粗利高本部経費率の計算式は下記の通りである。粗利高本部経費率=(本部経費÷粗利高)×100%例えば、本部経費が5千万円で、粗利高が10億円であれば、(5千万円÷10億円)×100%で、粗利高本部経費率は5%となる。本部経費には、管理部門の総人件費、管理部門に係る変動費(光熱費等)と固定費(家賃や減価償却費用等)等が含まれる。中小企業の粗利高本部経費率の標準水準は10%以下である。従って、粗利高本部経費率が10%超であれば、本部経費の削減を検討しなければならない。たとえ粗利高本部経費率が10%以下であっても、営業スタッフを兼任させるなどして、本部経費のさらなる削減を検討することも大切である。好調な業績を維持している中小企業は、営業部門だけに利益目標を与えるのではなく、管理部門に対してもしっかり利益目標を与えている。当然ながら、全社員の利益意識が高まると、業績拡大のスピードは一段と加速する。伊藤のワンポイント収益を生み出さない管理部門は、人一倍、ロス・ムダ・ムラに敏感でなければなりません。その意識が収益部門の利益意識を高め、会社全体の経費の使い方に締まり(秩序と節度)を与えるのです。管理部門の利益意識が低下すると、会社全体が利益に無頓着になりますので、くれぐれも注意してください。
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  • 会社のお金の流れを明快にする方法|お金の流れが分かれば会社は潰れない
    会社のお金の流れを明快にする方法|お金の流れが分かれば会社は潰れない会社のお金の流れは、実に複雑だ。事実、利益を上げているにも関わらず、会社のお金の流れを見失い、黒字倒産に陥る企業は決して少なくない。また、日々の資金繰りに悩んでいる中小企業も少なくない。会社のお金の流れを複雑にしている最たる要因は、帳簿とキャッシュフローの不一致である。帳簿とは、会社の損益を計算する財務諸表等のことで、キャッシュフローとは、現金収支の流れのことだが、普通の会社は、帳簿とキャッシュフローが殆ど一致しない。例えば、帳簿上は、売上から費用を減ずれば利益が計算されるが、帳簿上の利益が増えれば、会社のお金も増えるのかというと、そうでもない。実際には、帳簿上の利益がプラスであっても、売上金の回収が完了しない限りは、手元のお金がプラスになることはない。さらに言えば、実際のキャッシュフローは、人件費等の諸経費や販売商品の仕入費用の支払いが先に発生し、売上が現金化されるのは、その後になる。このように、帳簿とキャッシュフローは、お金の流れが真逆の感覚になるので、会社のキャッシュフローを軽視すると、簡単にお金の流れを見失ってしまう。会社はお金で始まり、お金で終わる。つまり、会社はお金がなくなると倒産する、ということだ。会社のお金の流れを見失わないためには、帳簿とキャッシュフロー、それぞれのお金の流れをしっかり理解することが欠かせないのだ。会社のお金の流れを明快にするキャッシュフロー経営とは?会社のお金の流れを明快にする経営を、キャッシュフロー経営という。キャッシュフロー経営は、会社のお金の流れ(増減)と、会社のお金を増やすことを重視するので、会社のお金の流れがより明快になる。また、キャッシュフロー経営は、会社のお金の流れと共に経営者の損得基準も明快にするので、会社の利益を押し上げる効果がある。会社のお金の源泉は利益なので、利益拡大を後押しするキャッシュフロー経営は、会社の永続性を高める優れた経営手法といっても過言ではない。キャッシュフロー経営の典型例は、現金商売や前金商売だ。商品やサービス提供と同時に現金収入が発生する現金商売、或いは、商品等を提供する前に現金が入る前金商売は、会社のお金の流れが明快で、なお且つ、一定(損益分岐点以上)の顧客数が確保された時点で、会社のお金が減らなくなる。利益=お金という公式も成り立つので、利益の再投資を加速すると、会社の成長スピードと共にお金の増え方も一段と加速する。キャッシュフロー経営は、現金商売以外でも工夫次第で、いかようにも実践できる。例えば、売上金の回収後に仕入代金を支払う、結果が出てから対価を支払う、など等は、会社のお金を減らさないキャッシュフロー経営の秘訣になる。キャッシュフロー経営を軽視すると、会社が成長するほどに、お金が不足する事態を招きかねない。お金の調達手段に限りのある中小企業ほど、キャッシュフロー経営を重視してほしい。伊藤のワンポイント年商が1億円を超えたあたりからお金の流れを見失いやすくなります。一度お金の流れを見失うと、会社経営の悩みが山積すると共に、資金繰りも悪化し易くなります。最悪、黒字倒産という残念な結果もあり得ます。そうならないためには、年商が小さい内からキャッシュフロー重視の経営を実践することです。
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  • 在庫と利益の関係と在庫とお金の関係|在庫を制するものはお金を制する
    在庫と利益の関係と在庫とお金の関係|在庫を制するものはお金を制する在庫と利益の関係と在庫とお金の関係に頭を悩ます経営者は少なくない。在庫はお金そのものなので、在庫コントロールが杜撰な会社は、利益もお金も増えないことが往々にしてある。この記事では、在庫と利益の関係、並びに、在庫とお金の関係について、詳しく解説する。在庫と利益の関係と在庫とお金の関係在庫と利益の関係は、単純だ。なぜなら、会計上、適正な在庫評価(棚卸)がされている限り、在庫が多かろうが少なかろうが、利益は変わらないからだ。在庫によって利益が不自然に変動するのは、在庫を水増しした時、或いは、在庫の評価額を作為的に操作した時だけである。在庫の水増し等は、いわゆる粉飾行為だが、在庫の粉飾をしない限り、在庫が利益に与える影響は殆どない。一方、在庫とお金の関係は、複雑だ。例えば、在庫が売れても売上金の回収が完了しなければお金は増えない。或いは、在庫に然るべき利益を乗せて販売しなければお金は増えない。さらに言えば、在庫が売れなければ、一生、お金が増えることはなく、最悪、在庫処分の費用がかかり、お金が減ることもあり得る。このように、在庫とお金の関係は、在庫と利益の関係に比べて、非常に複雑になる。会社は、お金がなくなると倒産するので、在庫とお金の関係を見失うと、簡単に会社が衰退することも珍しくない。在庫と利益の関係を理解することも大切だが、在庫とお金の関係は、安定経営を目指すうえで欠かせないポイントといっても過言ではないのだ。なお、在庫と利益の関係については当サイト内の「棚卸が決算だけの会社は倒産リスクが高い」の記事で詳しく解説しているので、是非、参考にしてほしい。在庫とお金の関係が安定経営の分かれ目在庫はお金である。従って、在庫を寝かせている状態は、お金を寝かせている状態と何ら変わりない。また、多くの利益を稼ぎ出したとしても、その利益が在庫に消えてしまっては、お金が増えることはない。例えば、年間1億円の利益を稼いだとしても、期首からの在庫残高が1億円増えれば、すべての利益が在庫に姿を変えたことになり、お金は一切増えない。増えないどころか、税金支払い分のお金が無くなり、場合によっては資金繰りが悪化する。利益が拡大しているにも関わらず資金繰りが悪化する会社の殆どは、在庫とお金の関係を見失ったことで起きている。このケースは多くの中小企業で見受けられるので、是非とも、注意してほしい。在庫を制するものはお金を制する在庫を制するものはお金を制する。例えば、☑在庫の現金化が早ければお金に余裕が生まれ成長投資が加速する☑在庫が少なければ、在庫の値下がりに伴うお金の損失リスクが小さくなる☑在庫代金の支払いよりも販売代金の回収が早ければ、売上拡大と共にお金がどんどん増えるこのように、在庫とお金の関係を理解し、在庫を制するものは、お金を制することができる。当然ながら、会社のお金が潤沢になれば、会社の成長スピードは一段と加速する。トヨタは、ジャスト・イン・タイム(必要なものを、必要なときに、必要なだけ)の生産体制(カンバン方式)を確立し、世界的自動車メーカーに躍進した。材料在庫1日以下、製品在庫ゼロの生産販売体制を確立したデルコンピュータは、創業から早い段階で世界的企業の仲間入りを遂げている。在庫は、会社の成長と衰退を分かつ重要な要素なので、決して、軽く見てはいけない。伊藤のワンポイント利益が出ているにも関わらず、なぜかお金が増えない、という悩みを持つ経営者はとても多いです。原因を辿ると、在庫とお金の関係性を見失っているケースが実に多く、大概は、在庫の扱いを改善するだけで、お金が増え始めます。お金を増やしたければ、常に在庫とお金の動きに目を光らせることです。
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  • 売上増でも資金繰りが悪化する本当の原因|なぜ資金繰りが悪化し続けるのか?
    売上増でも資金繰りが悪化する本当の原因|なぜ資金繰りが悪化し続けるのか?会社の生存は、資金繰りで決まる。なぜなら、資金繰りが悪化し、現金が底をつくと、会社が倒産するからだ。黒字経営だろうが、いかに儲かっていようが、会社の資金がなくなると、会社はあっさり倒産する。この記事では、売上増でも資金繰りが悪化する本当の原因について、詳しく解説する。売上増でも資金繰りが悪化する原因資金繰りが悪化する根本原因は現金の減少にあるが、現金の源泉になる売上を上げさえすれば、資金繰りが改善されるかというと、そうでもない。売上が増加傾向にあっても、資金繰りが悪化している中小企業は沢山あるし、ある年の倒産企業の内、黒字倒産の割合が44.7%(東京商工リサーチ2012年調査結果)という結果もある。つまり、売上が増えようが、黒字経営だろうが、資金繰りが悪化する中小企業は珍しくなく、資金繰り悪化の原因は単純ではないのだ。また、資金繰りを改善する為に貸借対照表の理解が欠かせないことも、資金繰りの悪化原因を複雑にしている要因として考えられる。損益計算書に馴染みのある経営者は多いが、貸借対照表を読み解ける経営者は決して多くない。じつは、資金繰り悪化の原因は、貸借対照表のなかに隠されている。従って、資金繰りの悪化に連動している貸借対照表のチェックポイントをモニタリングすることが、資金繰り悪化原因を捉える秘訣であり、効果的に資金繰りを改善する方法になる。資金繰りの悪化原因が分かるチェックポイント資金繰りの悪化原因が分かる貸借対照表のチェックポイントを、順を追って詳しく解説する。資金繰りの悪化原因が分かる貸借対照表のチェックポイントは、「現金預金・売掛金(受取手形含む)・棚卸資産」の3つになる。この3つの数字をモニタリングしていれば、資金繰りの悪化原因を捉えることができ、資金繰りを効率よく改善することができる。資金繰りの悪化チェック「現金預金」現金預金は、常に増加傾向が適正基準になる。減少傾向にある場合は、利益が減少している、或いは、売掛金と棚卸資産が増加している、のどちらかの原因で資金繰りが悪化している可能性がある。利益を増やす、或いは、売掛金と棚卸資産を減らせば、資金繰りを改善することができる。資金繰りの悪化チェック「売掛金」売掛金(受取手形含む)は、売上の増減と連動している。例えば、売上増加分よりも売掛金が増えると資金繰りが悪化する、逆に、売上増加分よりも売掛金が増えなければ資金繰りが良好になる。売掛金は回収してはじめて現金になり、資金繰りに役立つ資産になる。いかに早く売掛金を回収するかが、資金繰りを改善する秘訣になる。当然ながら、売上が一定なのに、売掛金ばかりが増えていくと、資金繰りは悪化する一方になる。資金繰りの悪化チェック「棚卸資産」棚卸資産は、商品在庫のことで、せっかく利益を上げても、利益以上に商品在庫が増えると、資金繰りが悪化する。例えば、期首からの利益が100万円増えたとしても、期首からの商品在庫が200万円増えれば、現金残高がマイナス100万円になり、それだけ資金繰りが悪化する。また、商品在庫は現金化までのスピードが非常に遅いので、資金繰りを悪化させる大きな原因になり得る。資金繰りが悪化する本当の原因のまとめ繰り返すが、会社の生存は資金繰りで決まる。会社倒産の半数が資金繰りの悪化というデータもある通り、良好な資金繰りの実現なくして、会社の生存はないといっても過言ではない。資金繰りの悪化原因は、売上を増やしても解消することはできない。また、損益計算書の数値を改善しても解消することができない。資金繰り悪化の殆どの原因は、貸借対照表の中に隠されている。貸借対照表の「現金預金・売掛金(受取手形含む)・棚卸資産」の3つの数字をモニタリングすることが、資金繰りの悪化原因を捉える秘訣であり、効果的に資金繰りを改善する秘訣になる。他にも、利益以上に固定資産が増えている、利益以上に借入返済金がある、などの状況も資金繰りを悪化させる原因になり得る。資金繰りの悪化を防ぐには、貸借対照表の理解が欠かせない。是非とも、この記事で解説した貸借対照表のチェックポイントのモニタリングを継続し、資金繰りの改善に取り組んでほしい。伊藤のワンポイント売上を増やしても資金繰りは良くなりません。現金の源泉になる利益を増やし、更に、現金が眠る「売掛金と在庫」を減らす努力が資金繰りを改善する秘訣です。資金繰りは社長の仕事です。ですから、貸借対照表の理解を深め、資金繰り表も自分の責任で作成する事が大切です。
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  • 会社の資金繰りを改善して運転資金を増やす方法|資金繰り改善の正攻法とは?
    会社の資金繰りを改善して運転資金を増やす方法|資金繰り改善の正攻法とは?会社の資金繰りは、企業の生命線を握っている。なぜなら、会社の資金繰りが行き詰ると、会社が倒産するからだ。会社の資金繰りを改善する方法は単純で「入るを量りて出ずるを為す(いるをはかりていずるをなす)」の言葉通り、収入に合わせて支出をコントロールすることが資金繰り改善の基本になる。会社の収入と支出の増減、つまり、会社の資金繰りは、売上代金の回収と費用等の支払い条件で決まる。例えば、費用等の支払いよりも売上代金の回収が早ければ、資金繰りが改善される。逆に、売上代金の回収よりも費用等の支払いが早ければ、資金繰りが悪化する。この法則に則れば、現金商売や前金決済の会社は、一定(損益分岐点以上)の顧客がいる限りは、資金繰りに窮することはない、といえる。一方、売掛商売、或いは、手形や信用取引が主流の会社は、資金繰りを誤ると、簡単に資金繰りが悪化し、倒産の危機に瀕することになる。また、資金の貸し倒れリスクと債権債務の管理コストを抱え、資金繰りが複雑になるデメリットもある。事実、複雑な資金繰りが原因で、儲かっているにも関わらず経営が破たんする黒字倒産の会社、或いは、売上が増加しているにも関わらず資金繰りが悪化する会社は、じつに多い。繰り返すが、会社の資金繰りは、売上代金の回収と費用等の支払い条件で決まる。会社の資金繰りを改善するには、回収と支払を上手にコントロールすることが欠かせないのだ。会社の資金繰りを改善する具体的方法論会社の資金繰りは「資金の回収を早めて、資金の支払いを遅らせる」というお金の交渉を、会社として真摯に取り組むことで改善できる。何れの交渉もどんな会社であっても取り組むことができ、交渉がうまくいくほど、会社の資金繰りが改善される。とはいっても、交渉の進め方には、コツがいる。お金の交渉を強引に進めると、相手の反発や不信感を招いて、交渉が暗礁に乗り上げることもある。例えば、売上代金の回収を早める場合の短縮日数は「10日」が成功ラインになる。代金回収の短縮日数が半月や一ヶ月になると、相手の抵抗が大きくなり、なかなか合意を得られない。回収短縮期間を10日に設定し、なお且つ、「他社もこの条件でご納得頂いています」というセールストークを織り込めば、大概の取引先は協力してくれる。売上代金の回収期間が10日短縮できると「(月商÷30日間)×10日間分」の資金が手元に増えて、その分だけ会社の資金繰りが改善される。また、仕入や経費等の支払いを遅らせる場合の延長日数も「10日」が成功ラインになる。支払いの延長日数が半月や一ヶ月になると、業績や資金繰りが悪化していると思われ、取引自体を解消されるリスクが高まる。支払い延長期間を10日に設定し、なお且つ、「売上がプラス成長で先行費用がかさんでおり、他社もこの条件でご納得頂いています。しっかり販売を増やして恩返しします。」というセールストークを織り込めば、大概の取引先は協力してくれる。支払いが10日延期できると「〔(月商×経費率)÷30日間〕×10日間分」の資金が手元に増えて、その分だけ会社の資金繰りが改善される。このように、資金の回収を10日短縮し、費用等の支払を10日延期すると、都合20日間分の運転資金を増やすことができる。会社の資金繰りを良好に保つことは、安定経営の絶対条件だ。会社の資金繰り改善は、決して、おざなりにしてはならない。伊藤のワンポイント資金繰りは会社経営の生命線であり、安定経営の必須条件です。資金繰りに失敗すると上場企業でも簡単に倒産します。良好な資金繰りのコツは収入と支出のプラスバランスを常に保つことです。これが出来れば運転資金が増えて成長投資と共に、会社の成長スピードが一段と加速します。
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  • 中小企業が知っておくべき銀行融資のルール|融資基準から融資条件まで徹底解説
    中小企業が知っておくべき銀行融資のルール|融資基準から融資条件まで徹底解説銀行からの融資は、会社経営の潤いになる。なぜなら、資金調達の手段が限られている中小企業の場合、銀行からの融資で多少の潤いを作っておくことが、安定経営の秘訣になるからだ。この記事では、中小企業が知っておくべき銀行融資のルール、並びに、融資基準から融資条件に至るまで、詳しく解説する。中小企業の銀行融資形態中小企業の銀行融資の難しさは、必要な時に、必要な金額を簡単に引き出せないところにある。銀行融資のハードルを下げるには、日頃から融資実績や返済実績を作ることが大切で、融資実績があれば、資金需要に合わせた柔軟な融資環境が整いやすくなる。当然ながら、融資実績も返済実績もない中小企業に対して、即日でお金を貸し出す銀行など、殆どない。ほんの少額でも良いので、日頃から小さな関係を作っておくことが、銀行融資を円滑に進める秘訣になるのだ。中小企業が銀行融資を受ける際の融資形態は、大別して二つあり、ひとつは「非定形銀行融資」、もう一つは「定形銀行融資」である。銀行融資を上手に活用するには、このふたつの銀行融資のルールを最低限抑える必要がある。非定形銀行融資非定形銀行融資とは、銀行融資を審査する際の定形がない融資形態のことである。融資決済までの手続きが定形化されていないので、銀行担当者の忖度が加わるのが大きな特徴である。一般的な法人の銀行融資が該当する。定形銀行融資定形銀行融資とは、銀行融資を審査する定形がある融資形態のことである。融資決済までの手続きが定形化されているので、必要書類を機械的に処理するだけで融資の可否が決まるのが大きな特徴である。ビジネスローンや事業者ローンといった銀行融資が該当する。非定形銀行融資のルール非定形銀行融資とは、銀行融資を審査する際の定形がない、融資形態のことだ。融資決済までの手続きが定形化されていないので、銀行担当者の忖度が加わるのが大きな特徴になる。銀行側の融資決済までの流れは、銀行融資の対象になる中小企業の経営状態を銀行担当者が綿密に評価、格付けを行い、一連の評価内容を稟議制で回覧し、最終的に融資責任者が決裁する、という手続きになる。銀行担当者の忖度が加わるので、担保や連帯保証なし、或いは、赤字経営であっても黒字化の見通しがあれば銀行融資が下りることもあり得る。ただし、非定形銀行融資は、銀行から専属担当者がつくので、銀行側のコスト負担が大きくなる。トヨタのような大企業であれば多額の融資額でコストを吸収できるだろうが、小さな中小企業の融資額ではコストが吸収しきれないケースもある。費用対効果が小さい少額融資は、金融機関によって融資姿勢が変わるので、その点は、注意が必要だ。なお、非定形銀行融資の詳しい審査基準、銀行側の業績評価方法、各金融機関の融資姿勢などは当サイト内の「銀行融資の審査基準と融資条件」で解説している。定形銀行融資のルール定形銀行融資とは、銀行融資を審査する定形がある、融資形態のことだ。融資決済までの手続きが定形化されているので、必要書類を機械的に処理するだけで融資の可否が決まるのが大きな特徴になる。銀行融資の決裁スピードが非常に速く、担保や連帯保証が不要という点も特徴のひとつだ。銀行側の融資決済までの流れは、銀行融資の対象になる中小企業の経営資料を機械的審査にかけて融資条件と融資限度額を決める、という手続きになる。定形銀行融資は、殆どが機械的な自動審査なので、専属の担当者がつかない。従って、審査書類の評価が悪ければ、原則、銀行融資が下りない。ビジネスローンや事業者ローンなどが定形銀行融資に該当するが、貸し倒れの想定コストが金利に加算されているので、借りる側の資金調達コストが高いというデメリットがある。定形銀行融資は銀行にとっては安い運用コストで大きな収益が得られるメリットがあるが、融資を受ける側の長期的メリットはさほどないので、できれば、一般的な法人の銀行融資を活用した方が得策だ。(この記事は2018年3月に執筆掲載しました)
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  • 借金で成功する会社と失敗する会社の違い|お金の区別が借金経営成功の秘訣
    借金で成功する会社と失敗する会社の違い|お金の区別が借金経営成功の秘訣借金で成功する会社と失敗する会社の違いは、どこにあるのだろうか?借金で成功する会社がある一方で、借金で失敗する会社があるのは事実であり、私自身も、借金で失敗した会社を数多に見てきた。この記事では、借金で成功する会社と失敗する会社の違いについて、詳しく解説する。借金で成功する会社と失敗する会社の違いわたしの経験上、借金の失敗リスクを低下させる借金経営の基本は「お金の区別」にある。例えば、自分で稼いだ利益(自分のお金)と借金(他人のお金)の区別がちゃんと出来ている会社は、間違いなく借金で会社経営を成功に導いている。逆に、お金の区別が曖昧、或いは、出来ていない会社は、かなりの高確率で、借金で会社経営に失敗している。借金で怖いのは、借金以上の利益を上げることに失敗した場合に、借金の返済と利息の支払いがそのまま残ることだ。当然ながら、借金返済と利息支払いの原資になり得る会社の利益を十分に上げることが出来なければ、借金の返済苦(借金地獄)に陥り、倒産まっしぐらということもあり得る。お金の区別ができず自分のお金を見失うと、その瞬間から会社経営が失敗に傾く。借金によって自分のお金を見失う危険性を回避するには、第一に「お金の区別」をしっかりすることが大切なのだ。成功する借金経営の基本借金をすると、会社のお金が一時的に増加する。そのお金を使って、なお且つ、借金を毎月返済すると、会社のお金がダブルで減ることになる。当然ながら、借金のリターン(将来収益・投資回収)を考慮せずに借金を散財すると、借金漬けの進行スピードが早まり、会社経営が加速度的に失敗に傾く。つまり、借金で成功するには、借金で調達したお金のリターン(将来収益・投資回収)を絶えず意識することが不可欠になるのだ。例えば、借金の返済は、借金を元手にした投資収益で賄うのがベストだが、最初からプラスの投資収益を確保するのは容易ではない。この場合、投資収益のマイナス期間を2年以内に抑えることが、借金返済に失敗しない目安になる。3年目以降から投資収益がプラスに転じれば、その収益を借金返済に充てることができるので、借金で失敗するリスクが解消される。逆に、3年目以降も投資収益がマイナスのままだと、借金返済が苦しくなり、借金で失敗するリスクが高まる一方になる。借金で調達したお金のリターン(将来収益・投資回収)を絶えず意識した経営采配が、借金で成功する必須条件になるのだ。借金で失敗しない借入限度額の計算方法借金で失敗しないためには「自分と他人のお金を区別すること」、「借金のリターン(将来収益・投資回収)を意識すること」、このふたつ以外に、もう一つ注意すべき点がある。それは、借入限度額のコントロールだ。借入限度額とは、返済能力の安全性を示す経営指標の一種だが、借入限度額のコントロールが効いていれば、危険な借入ラインを超えることがなくなるので、返済苦や借金漬けといった失敗リスクが軽減される。借入限度額の計算式は下記の通りである。借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=「借入限度額2,500万円~5,000万円」ということになる。”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、或いは、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。年商に関係なく、会社の収益性から借入限度額を計算するので、返済能力の安全性が考慮された借入限度額が分かる。この方法で借入限度額をコントロールしている限りは、返済苦や借金漬けといった失敗リスクが高まることはない。
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  • 理想の利益率|売上に対する粗利・営業利益・経常利益・純利益
    理想の利益率|売上に対する粗利・営業利益・経常利益・純利益会社経営は利益を出すことによって成り立つので「利益率」は最重要指標といっても過言ではない。利益率の指標は、売上総利益率(粗利率)、営業利益率、経常利益率、純利益率等々があるが、それぞれに理想の利益率がある。この記事では、各利益指標の理想の利益率について、詳しく解説する。理想の利益率とは?利益は、収益から費用を引くことで計算でき、利益の種類は、売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益、純利益の4種類ある。利益率は、収益に対する利益の構成比率を求めることで計算できるが、計算式は利益指標によって異なる。理想の利益率を業界平均などに求める風潮もあるが、業界平均には、上位企業だけでなく、下位企業も混入しているので、理想に程遠いケースが往々にしてある。結論からいうと、最良の理想値は、ライバル企業に負けない、或いは、高収益業界に負けない利益率を確立することであり、そのために、1%ずつでも着実に会社として、或いは、業界として利益改善することが理想の利益率に近づく正攻法になる。とはいっても、ある程度の理想の利益率はあったに越したことはないので、私が運用している理想の利益率を以下に紹介する。なお、以下に説明する各利益指標の理想の利益率は、中小企業、なお且つ、三次産業の中でも労働集約型と資本集約型の中間に位置する「卸売・小売・飲食業等」を前提としている。売上総利益率(粗利率)の理想売上総利益率は「(売上総利益÷売上)×100」で計算できる。売上総利益率は、粗利率(あらりりつ)などの略称で呼ばれ、多くの経営者に最も馴染みのある利益率といってよい。売上総利益率の理想は、卸売は15~25%、小売は25~50%、飲食は75~85%になるが、独自性のあるビジネスモデルの場合は、この理想に収まらないケースがある。また、化粧品、健康食品、ブランド服等の高付加価値品の場合は、売上総利益率が90%を超えるケースもあり、業種や扱う商品によって利益率の理想が大きく変わる。営業利益率の理想営業利益率は、売上高と売上総利益高の二つの収益をベースに計算する方法があるが、理想の利益率は、売上総利益高営業利益率をお薦めする。売上高営業利益率は、粗利率の水準によって理想値が大きく変わるが、売上総利益高営業利益率であれば大概の業種共通で理想値を掲げることができる。売上総利益高営業利益率は「(営業利益÷売上総利益高)×100」で計算でき、理想の利益率は20%以上になる。利益率が20%以下の会社は、この理想値に向かって利益改善を推進することが大切で、既に20%を超えている会社は、現状よりも1%でも高い利益率を理想に掲げることが大切になる。経常利益率と純利益率の理想経常利益率と純利益率も、売上高と売上総利益高の二つの収益をベースに計算する方法がある。営業利益率同様、やはり、理想の利益率は、売上総利益高経常利益率、並びに、売上総利益高純利益率になる。売上総利益高経常利益率&純利益率は「(経常利益or純利益÷売上総利益高)×100」で計算でき、理想の利益率は20%以上になる。つまり、営業利益率よりも悪化させないために、営業外費用を少なくする、或いは、特別損失を極力出さない等の経営努力が経常利益、並びに、純利益の理想の利益率を実現する秘訣になる。
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  • 営業利益率の業界平均は使えない指標|目指すべき営業利益率の目安とは
    営業利益率の業界平均は使えない指標|目指すべき営業利益率の目安とはいつも不思議に思うのだが、営業利益率の業界平均を気にする経営者は、じつに多い。営業利益率を経営目標として運用している会社経営者は多く、わたし自身、製造業やサービス業など、さまざまな業界の経営者から営業利益率の平均をよく尋ねられる。営業利益率を経営目標として運用することは結構なことだが、業界平均を気にすることの無意味さを理解している経営者は少ない。じつは、営業利益率の業界平均はまったく使えない指標の典型だ。下図は業界平均の計算構造を示したグラフである。ご覧の通り、僅かな上位集団の実績を、数多の下位集団が足を引っ張る構図で業界平均が計算されていることが分かると思う。業界平均の計算構造は殆どこのようなものである。つまり、業界平均には、数多くの下位集団の実績が混入しているので、業界平均=優良会社という相関性は殆ど成立しないのだ。当然ながら、営業利益率の業界平均を目標に掲げて改善活動を展開しても、トップ集団に追いつくことはできない。業界平均を達成したからといって、実は標準よりも下位ということもあり得る。業界平均を目標にするのではなく、然るべき適正な目安を基準に目標設定することが、トップ集団に追いつく秘訣であり、高い営業利益率を確立する方法なのだ。業界平均に頼らない営業利益率の目安とは?営業利益率とは、売上等の収入金額に占める営業利益金額の構成比率のことだ。営業利益率は本業の儲ける力を示す指標なので、会社経営において最重要指標といって過言ではない。それでは一体、業界平均に頼らない営業利益率の目安はあるのだろうか?製造業やサービス業、或いは、飲食業や小売業など、業種業態や業界が変わっても共通して使える営業利益率の目安はあるのだろうか?業界関係なく使える営業利益率の目安はある。それは、売上総利益金額に占める営業利益金額の構成比率を示す「売上総利益高営業利益率」だ。業界平均に頼らず、すべての業界に共通して使える利益指標なので、現状モニタリングや目標設定におススメの指標である。売上総利益高営業利益率の計算式と目標の目安は以下の通りである。計算式:売上総利益高営業利益率=(営業利益金額÷売上総利益金額)×100売上総利益高営業利益率の目標目安:10~20%業界平均に頼ることなく、売上総利益高営業利益率10~20%を目標の目安として運用すると、経営改善が効果的に推進され、徐々に事業の収益性が高まる。結果として業界平均をはるかに超える高い営業利益率を確立することも可能になる。会社経営の本質は、他力本願ではなく自力本願である。つまり、他人の実績が多く混入した業界平均よりも、然るべき営業利益率の目標を掲げた方が、さらに成長するための会社の欠点や課題が明かになり、よほど効率的に経営改善を進めることができるのだ。業界平均は使えない目標の最たる例である。業界平均に翻弄されることなく、独立独歩で経営に向き合ってほしい。伊藤のワンポイント業界平均は使えない目標の典型です。平均値=みんなと一緒という安心感を抱くかも知れませんが、みんなと一緒レベルでうまくいくほど会社経営は甘くありません。周囲から一歩抜け出すには独立独歩で高い目標(課題)に向かう姿勢が不可欠です。クリアすべき目標(課題)は必ず企業の内部にあります。
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  • 税金を未納するとどうなるのか?|延滞税と財産差し押さえのリスクとは
    税金を未納するとどうなるのか?|延滞税と財産差し押さえのリスクとは税金を未納するとどうなるのか?税金を未納すると延滞税の支払い義務と財産差し押さえのリスクを抱えることになる。この記事では、税金未納のリスクと末路、並びに、税金未納に伴う延滞税と財産差し押さえについて、詳しく解説する。税金未納のリスクと末路税金を未納すると延滞税の支払い義務と財産差し押さえのリスクが高まる。当然ながら、税金未納を放置し続けると、事業継続を断念せざる得ない事態に陥ることもあり得る。国に治める税金である国税の種類は21種類に及び、そのうち、会社経営に深く関わる税金には、法人税、消費税などがあり、代表者個人に関わる税金には、所得税、贈与税、相続税などがある。会社にしろ、代表者個人にしろ、収入(所得)に応じて税金が課されるわけなので、すべての収入(所得)を税金支払い前に使い果たすと、税金の支払いに充当する現金がなくなり、税金未納に陥ってしまう。ビジネスパーソンの源泉徴収制度を除いて、殆どの税金は後払い制になっているので、収入(所得)には税金の支払い義務がついて回ることを決して忘れてはならない。万が一、経営者の頭から税金の支払いが欠落すると、税金未納に陥るリスクが高まるばかりになる。事実、中小零細企業の経営者の中には、法人税や消費税の支払いに困窮している方も少なくない。税金の未納を回避するには、日頃から、税金の支払いを考慮した会社経営を心がける必要があるのだ。税金未納に伴う延滞税と財産差し押さえとは?税金を未納すると、原則として法定納付期限の翌日から税金を完納する日までの日数に応じて計算される延滞税が課される。税金未納に課される延滞税の年率金利は最大10%を軽く超えるので、決して負担が小さいとはいえない。また、税金未納が始まった段階で、税金の支払いを促す督促状が所轄税務署から送付される。この督促状を無視し続けると、財産調査が着手され、さらに税金未納が続くと、財産を差し押さえられ、取立て・公売を通じて、その売却代金を税金未納分に充当される。つまり、税金の強制徴収である。なお、財産差し押さえの流れは概ね下記の通りである。督促状送付税金の納付期限を過ぎても支払いがない場合は、督促状が送付される。さらに、税金の未納が続くと財産調査の着手に移行する。財産調査金融機関や取引先などに対し財産の調査が行われる。また、財産調査の一環で税務署職員が自宅や会社の捜索を行うこともある。さらに、税金の未納が続くと財産を差し押さえられる。財産差し押さえ動産(貴金属等)、債権(売掛金、預金等)、不動産などの財産の差し押さえが行われる。なお、差し押さえは法律で定められた強制的な未納税金の徴収手続きである。取立て・公売差し押さえた債権の取り立てが行われ、動産や不動産等は入札等による公売が行われる。未納税金に充当取り立てた債権や公売による売却代金を税金未納分に充当される。税金未納の救済処置である猶予制度とは?税金の支払手続きには、税金を納付できない経営者のための猶予制度がある。猶予制度の一つは「納税の猶予」、もう一つは「申請による換価の猶予」である。納税の猶予の適用要件は以下の通りで、次のような理由により税金を一時に納付できないときは所轄税務署に申請することにより、原則として、1年以内の期限に限り、納税の猶予が認められる場合がある。①災害、病気、休廃業、事業上の著しい損失、など②本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告等により納税すべき税額が確定したこと申請による換価の猶予の適用要件は以下の通りである。税金を一時に納付することにより事業継続または生活の維持を困難にする恐れがあり、他の税金の滞納がないなどの一定の要件に該当するときは、その税金の納付期限から6カ月以内に所轄税務署に申請することにより、原則として、1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められる場合がある。税金支払いの猶予が認められると、猶予期間中の延滞税の全部、又は一部が免除される。また、財産の差し押さえや換価(売却)が猶予される。税金の支払いに困窮する恐れが判明した場合は、税金の未納に陥る前に、即座に税務署に相談することをおススメする。
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  • 節税のメリット・デメリット|会社の税金コストを最適化する方法
    節税のメリット・デメリット|会社の税金コストを最適化する方法会社が納めるべき税金の節税には、一長一短(メリット・デメリット)がある。当然ながら、節税のデメリットを理解せずに、過度な節税に走ると会社が衰退することもあり得る。この記事では、節税のメリット・デメリット、並びに、会社の税金コストを最適化する方法について詳しく解説する。会社経営と税金の関係性会社経営と税金は切っても切れない関係にある。事業活動を始めれば法人税がかかり、一定の売上規模になると消費税がかかる。固定資産を持てば固定資産税がかかり、契約事があれば印紙税がかかる。とかく会社経営には税金(納税)がついて回り、税金の知識に乏しいほど、税金の過払いや未払いなどの納税トラブルが頻発する。また、税金を合法的に節約する「節税」という手法があるが、この節税にはメリット・デメリットがあるので、節税一辺倒では会社の発展基盤がなかなか整わない。会社の発展を加速するには、節税のメリット・デメリットをしっかり理解し、税金コストの最適化を実現することが欠かせないのだ。節税のメリット節税の最大メリットは納税額が安くなる、あるいは、納税額がコントロールできることだ。節税の基本手法は、事業活動に関わる必要コストを全て経費化する。固定資産の収益性を高める。不良資産等を減損処理する。保険や投資商品を活用する等がある。何れの節税手法も完璧に出来ている会社は少なくない。つまり、殆どの会社は、節税メリットを最大限活用できていない。例えば、減価償却費の未計上。固定資産の収益性低下。不良資産等を減損していない。年度によって利益高に波があるにも関わらず保険や投資商品を活用して税金の繰り延べを行っていない等のパターンは多く見受けられる。節税のメリットを最大化しなければ、税金の過払いに繋がるので、節税の基本手法が実践できているか否か、適宜チェックすることをお薦めする。節税のデメリット節税のデメリットは、節税の手法によって程度(濃淡)が変わる。例えば、前章で解説した基本手法による節税であればデメリットは何もない。節税のデメリットは、事業活動に関係のない車両・贅沢品・接待交際等の散財コストで利益を圧縮する手法や過度に保険・投資商品を活用した場合に色濃く出る。こうした節税が行き過ぎると、散財したお金が事業活動(発展成長)に活かされないだけでなく、会社にお金が残らないので資本力が一向に強化されない。また、節税ばかりに気を取られ、大切な社員、お客様、関係者等のフォローが後手に回りがちになり、知らぬ間に衰退リスクが山積する。結果として、少しのきっかけで衰退する。納税すれば、納税分と同じだけの現金が会社に残る。現金が増えれば成長投資が加速するので、節税メリットを最大限に活かしつつ、納税額を拡大する姿勢が会社発展の原理原則になる。節税のメリット・デメリットを理解したうえで、会社の税金コストが最適化されているか否か、適宜チェックすることをお薦めする。
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  • 中小企業必見の節税の方法|節税に無頓着な社長ほど会社経営に失敗する
    中小企業必見の節税の方法|節税に無頓着な社長ほど会社経営に失敗する税金の節税は会社経営の基本である。なぜなら、会社経営と税金は、切っても切れない関係にあるからだ。会社経営に関わる税金は、法人税、消費税、固定資産税、印紙税、地方税、など等、挙げたらキリがないほどあるが、とにかく、会社経営には税金がついて回る。当然ながら、経営者が節税に無頓着でいると、ムダな税金を支払うリスクが高まる。事実、節税の知識がないために資金繰りが悪化する会社、或いは、節税の方法を誤って衰退する会社など、節税(税金)に無頓着な中小企業経営者ほど、経営に失敗する確率が高い。税金の計算方法は税の種類によって異なるが、殆どの税金は、会社の所得(利益)かそのモノの評価額に対して課せられる。従って、税法のルールのなかで、会社の所得(利益)をいかに最小化するか、或いは、そのモノの評価額をいかに最小化するかが、節税の基本になる。例えば、会社の所得(利益)を最小化するために、然るべき経費をすべて計上することは、節税の基本中の基本である。節税に繋がる経費化の例は、減価償却費、旅費交通費の日当、経営者個人の保険料、役員の退職金、貸倒引当金、などがある。なかでも、減価償却費は節税効果のほかに、現金貯蓄(再投資の原資)の性格もあるので、積極的に経費化してほしい。減価償却費は、保有固定資産の減価償却費の適正計上の他にも、社用車を中古にする、会社に供する建物を会社所有にする、といった工夫ひとつで節税効果を上げることができる。節税に繋がる経費化が十分にされているか否か、一度、点検してみてほしい。経費化以外にもある節税の方法中小企業の節税方法は、積極的な経費化以外にもある。例えば、「損失の利用」と「税金の繰り延べ」は、節税効果が大きい。損失の利用とは、繰越損失を活用した節税方法のことである。会社の損失は、繰越損失として翌期に繰り越され、翌期以降の利益を相殺してくれるので、節税効果がある。損失になり得る負の遺産は意外と多い。先行投資優先の計画的赤字経営、使い物にならない遊休資産、回収不能な売掛金、売れ残った商品在庫、経営破たん先の出資金、帳簿価値を大きく下回っている株式、不動産、会員権、など等、損失になり得る負の遺産は、処分と同時に損失が計上されるので、節税効果を生み出す。税金の繰り延べとは、利益を圧縮し、税金の支払いを先送りする節税方法のことである。例えば、中小企業の法人税は、800万円以下の利益に対する法人税率が優遇されているが、一時的に800万円以下の利益に圧縮したい場合などは、税金の繰り延べによる節税が効果的だ。但し、使って無駄になる経費で利益を圧縮しても、それは節税ではなく、ただのお金の無駄使いである。節税しながら利益圧縮に使った経費が全額戻ってくる方法こそが、賢い節税方法である。おススメの方法は、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の利用である。この共済は、少額の掛け金から加入でき、一定の契約期間を経て解約した時に、掛け金が全額返金されるので、税金の繰り延べ、つまり、節税効果がある。
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  • 経営者が知っておくべき決算と確定申告の流れ|決算と申告が分かれば税金が分かる
    経営者が知っておくべき決算と確定申告の流れ|決算と申告が分かれば税金が分かるすべての法人には、決算書の作成と法人税の確定申告が義務付けられている。確定申告の期日も決まっており、万が一、申請期日を過ぎると、様々な罰則を受けることになる。この記事では、経営者が知っておくべき決算と確定申告の流れ、並びに、決算と確定申告の手続きについて、詳しく解説する。決算と確定申告とは?すべての法人は会計期間ごとに決算書を作成し、その決算期から2カ月以内に、法人税の確定申告を行わなければならない。万が一、決算と確定申告を忘れると、税務調査が入り指摘納付額に対して加算税が課されたり、青色申告が取り消されたりと、諸々の罰則を受けることになる。本来、支払う必要のない税金が発生することになるので、決算と確定申告をしないことで被るダメージは大きい。また、重い税負担で支払いが滞ると、財産差し押さえといった法的手段で税金を強制徴収されるリスクも抱えることになる。税金トラブルを未然に防ぐには、経営者が決算と確定申告の流れを理解することが欠かせないのだ。決算と確定申告の流れ決算と確定申告の流れは概ね下図の通りになる。事業活動でやり取りされるすべての金銭取引や権利義務は試算表に集計され「決算調整」を経て、決算書が作成される。株主総会の承認を受けた決算内容は「申告調整」を経て、確定申告書が作成される。そして、期限内に確定申告書を税務署へ提出し、税金を納税すると、決算と確定申告の一連の手続きがすべて完了する。なお、決算と確定申告の手続きの中で特に注意が必要なのは上図の赤枠で囲っている「決算調整」と「申告調整」といわれる税務調整だ。決算と確定申告の肝になる税務調整会社の会計上(決算書)の利益と、法人税の計算上(確定申告)の課税所得の金額は一致しない。なぜなら、会計と税務には、計算ルールに大きな違いがあるからだ。例えば、会計上は役員報酬や接待交際費はいくら計上して問題ないが、税務上は役員報酬や接待交際費の計上に一定の制限が設けられていて、公平な税負担が担保されている。つまり、税務ルールは、利益が出たからといって役員報酬を引き上げる、或いは、派手な接待交際費を繰り広げて利益を圧縮するといった、恣意的な利益操作を制限しているのだ。また、税金を決定する課税所得は、確定した決算が計算のベースになるため、決算の作成がいい加減だと、ムダな税金が発生しやすくなる。決算と確定申告はそれぞれ独立したものではなく、密接に関わり合っており、中でも税務調整の「決算調整」と「申告調整」は、税金(納税額)を左右する重要ポイントになる。税務調整の重要ポイント「決算調整」決算調整とは、会計期間における事業活動でやり取りされたすべての金銭取引や権利義務の計上と整合性を最終調整する会計処理のことである。主な決算調整の内容、並びに、決算調整の実務チェックポイントは下記の通りである。決算調整の主な内容現金預金の残高確認、有価証券の評価、棚卸資産の数量確認と価額決定、売掛金・買掛金の照合、仮払金・借受金の整理、未収収益・未払費用・前受収益・前払費用の整理、減価償却資産・繰延資産の償却費の計算、引当金の計算、消費税の納付額計算、中小企業の特例会計基準に基づいた費用計算、など等決算調整の主な実務チェックポイント売上計上時期及び計上金額は適正か?仕入計上時期及び計上金額は適正か?棚卸資産数量及び評価は適正か?人件費勤務実態のないものが含まれていないか?役員報酬損金算入が認められていないものが含まれていないか?費用計上費用の中に事業活動に関係ないものが含まれていないか?資産計上本来資産に計上すべきものが費用に含まれていないか?交際費他の勘定科目に含まれていないか?貸倒損失計上は妥当か?税務調整の重要ポイント「申告調整」申告調整とは、確定申告書を作成する過程で、公平な税負担や種々の政策目的のために決算利益を調整する手続きのことである。申告調整には、すべての会社が必ず調整しなければならない「必須的調整事項」と、会社の税負担が軽くなる調整が多い「任意的調整事項」のふたつがある。主な申告調整の事項、並びに、申告調整の実務チェックポイントは下記の通りである。申告調整の主な事項必須的調整事項減価償却費の超過額、引当金の繰入限度超過額又は取崩額、損金に算入されない役員報酬、寄附金、交際費等の損金不算入額、益金計上の還付金等、青色申告に係る繰越欠損金の損金算入、損金計上の法人税等、公正妥当な会計処理基準に合致していないもの、など等任意的調整事項受取配当金の益金不算入、所得税額控除、研究開発税制等の法人税額の特別控除、収用等による資産譲渡の場合の特別控除、など等申告調整の主な実務チェックポイント貸倒引当金繰入超過額の調整は適正か?減価償却費償却超過額の調整は適正か?接待交際費接待交際費の調整は適正か?役員報酬損金算入が認められていないものが含まれていないか?租税公課法人税等損金の額に算入されていないものの調整は適正か?
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  • 節税の前に理解すべき交際費の仕訳ルール|節税と交際費の密接な関係性とは
    節税の前に理解すべき交際費の仕訳ルール|節税と交際費の密接な関係性とは節税といわれて真っ先に思う浮かべるのが交際費という経営者は多いのではないかと思う。事実、思いのほか会社の利益が大きくなることが分かると、慌てて接待攻勢をかけて交際費で節税を図ろうとする経営者は決して少なくない。交際費とは、接待等に消費される費用のことだが、企業体質の強化を図るという政策的見地から税法上の限度額が設けられている。交際費の限度額は国税庁のホームページに詳しい計算方法が掲載されているので割愛するが、交際費の仕訳には税法上の一定ルールがある。当然ながら、本来、交際費ではない費用を交際費に計上し、なお且つ、計上した交際費が限度額を超過した場合は、超過分の交際費が費用として認められず、ムダな税金を支払うことになってしまう。例えば、1人当たり5千円以下の飲食費は、飲食の相手が社員であろうが取引先であろうが、交際費にはならない。(会議費として仕訳するのが正解)展示会や会社見学等の招待費用(交通費、食事、宿泊代金含む)も交際費にならない。(旅費交通費として仕訳するのが正解)また、本来、交際費に計上すべき費用の仕訳を誤って他の経費に仕訳したことで、交際費の限度額を見誤るケースも、ムダな税金を支払うリスクを高める。例えば、特定の社員と飲食した費用は福利厚生費にはならず、交際費として仕訳しなければならない。全社員出席の会社の記念式典に取引先が若干名参加した費用も福利厚生費にはならず、全額を交際費として仕訳しなければならない。交際費として仕訳した費用であっても、その使途が明らかでないものは交際費として認められることはなく、さらには、税法上の費用としても認められない。税法上の交際費の仕訳ルールとは?交際費等とは、交際費、接待費、機密費の総称で、取引先に対して接待、供応、慰安、贈答などの目的で支出した費用科目のことだ。交際費の仕訳ルールの中で最も身近なものは飲食代だが、飲食のあった年月日、参加者の氏名、参加人数、飲食店等を記載した帳簿書類がなければ、交際費として認められないばかりか、そもそも、費用としても認められない場合がある。税法上の交際費等の具体的な仕訳ルールは下表の通りである。交際費の仕訳ルール勘定科目/区分交際費等にならない費用税法上の交際費の例人件費低廉譲渡、個人的費用福利厚生費社員の慰安旅行、運動会、社員に一律で支給される飲食費用、社員に一定の基準で支給される慶弔や表彰費用など記念行事の宴会、記念品等の費用で左以外のもの、取引先への慶弔費用、特定の社員との飲食代など旅費交通費展示会や会社見学等の招待費用(交通費、食事、宿泊代含む)接待等のためのハイヤーやタクシー代など広告宣伝費カレンダーや手帳等の宣伝を意図した少額物品、一般消費者に抽選で支給される賞金や賞品、一般消費者への試食やモニターの謝礼費用、取引先への見本品等の支給費用など左以外の金品の交付、旅行費用など販売促進費、売上割戻等売上に比例して取引先に交付する金銭、事業用資産、少額物品など売上に比例して取引先に交付するものであっても左以外のもの、或いは、旅行費用など支払手数料、会議費、会費等契約に基づいて支払う手数料等、会議に関連した飲食費用、寄附金など契約に基づいて支払う手数料を相手方の社員に支払うもの、取引の謝礼で支払う金品等の費用、ゴルフクラブの年会費、プレー代、会費など
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  • 役員報酬で税金をコントロールすることはできない|税金と役員報酬の密接な関係性とは
    役員報酬で税金をコントロールすることはできない|税金と役員報酬の密接な関係性とは役員報酬で税金をコントロールすることは殆どできない。なぜなら、定期同額支給以外の役員報酬は、原則、経費として認められていないからだ。この記事では、役員報酬で税金をコントロールすることはできない理由、並びに、税金と役員報酬の密接な関係性について、詳しく解説する。役員報酬で税金をコントロールすることはできない定期同額支給以外の役員報酬は、原則、経費として認められていないため、役員報酬で税金をコントロールすることはできない。例えば、利益を圧縮するために期中で役員報酬を増額しても、その増額分は経費として認められないため、税金を減らすことはできない。むしろ、期中で増額した役員報酬相当分に法人税が課せられるため、税金を減らすメリットは全くない。また、不当に高額な役員報酬や事実を隠蔽又は仮装して経理処理した役員報酬も、経費として認められていない。さらに、上場企業では一般的な業績連動の役員報酬も、同族会社(殆どの中小企業が該当)には認められていない。このように、恣意的な税金操作ができないように、役員報酬の取り扱いには厳重なルールが敷かれている。なお、役員報酬の支給額を変更する場合は、株主総会の決議を経て、期首から3ヵ月以内に変更しなければならない。決議もれ、変更期日切れの場合は、増加分の役員報酬が経費として認められないため、注意してほしい。高額な役員報酬の上限は一体いくらなのか?経営者の関心事は、高額な役員報酬の上限は一体いくらなのか、という点にあると思うが、これに関しても税法で取り決めがされている。ひとつは実質基準で「役員報酬のうち、その役員の職務内容、その法人の収益、社員の給与状況、同業他社の役員報酬状況等に照らして、不相当に高額な部分の金額」という基準。もう一つは形式基準で「役員報酬が定款の規定、或いは株主総会などで決めた役員報酬限度額を超える部分の金額」という基準である。この実質基準と形式基準のいずれか多い金額が、基準超過分として経費として認められないことになっている。とはいっても、この基準は、高額な役員報酬を制限するにはじつに曖昧である。裏を返せば、定款や株主総会で役員報酬の上限額を決議することは必須だが、合理的基準さえあれば、高額な役員報酬は認められる余地があるということである。例えば、前期の当期利益と役員報酬を合算した金額の〇%を役員報酬にするといった、その会社の収益の実態に合わせた実質基準に基づいて支給される役員報酬は合理性が高いといえる。役員報酬と税金の関係役員報酬には所得税が課せられる。役員報酬に課せられる所得税は累進課税で最大税率は45%である。つまり、役員報酬の金額が多いほど、税金の税率が高くなるということだ。なお、役員報酬の金額に応じた所得税率は下表の通りである。所得税率課税所得金額税率控除額195万円以下5%0円195万円超え 330万円以下10%97,500円330万円超え 695万円以下20%427,500円695万円超え 900万円以下23%636,000円900万円超え 1,800万円以下33%1,536,000円1,800万円超え 4,000万円以下40%2,796,000円4,000万円超え45%4,796,000円(2019年4月時点の所得税率表)ご覧の通り、役員報酬の課税所得が1,800万円を超えると、中小企業の実効法人税よりも税負担が重くなる。多くの中小企業はオーナー兼社長というケースが多いと思うが、支払う税金を抑えて会社に財産を増やすか、或いは、多少の税金を払って個人財産を増やすかは、ひとつの選択ポイントになる。例えば、役員報酬を抑えて会社の利益を出し、会社の財産を増やすことを優先すれば、会社の自己資本が増強されるので経営の安定感が増す。逆に、会社の利益を極限まで減らして役員報酬を最大限に引き上げれば、税金の負担は重くなるが、自由に使える個人財産(お金)が潤沢になる。どちらを選択するかは経営者の自由だが、わたしの考えは、会社の収益が突き抜けるレベルに達するまでは会社の成長を優先し、節税を考えながら役員報酬をコントロールするのが最も賢い方法ではないかと思っている。
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  • 経営者が知っておくべき法律10選|会社経営・社長業に関わる基本の法律知識
    経営者が知っておくべき法律10選|会社経営・社長業に関わる基本の法律知識会社を経営するうえで守るべきルールは沢山あるが、その中でも、最低限守らなければならないルールが法律になる。なぜなら、道徳や倫理といったルールから外れても罰則(社会的制裁は除く)はないが、法律から外れると必ず罰則を課せられるからだ。この記事では、経営者が知っておくべき法律10選、並びに、会社経営・社長業に関わる基本の法律知識について、詳しく解説する。会社経営(社長業)に関わる法律を知るメリット中小企業の場合は、法律問題に触れる機会は少ないかも知れないが、やはり、会社経営(社長業)に関わる法律を知るメリットは数多にある。例えば、社員を雇えば労働基準法や労働契約法など、商品やサービスを顧客に販売すれば民法、商法、消費者契約法など、広告展開には景品表示法などの法律がついて回る。当然ながら、経営者が法律を知っていれば、利害関係者同士の権利と義務、或いは、会社の利益を守るための判断を正しく下すことができる。逆に、経営者が法律を知らなければ、良かれと思ってやったことが実は法律に抵触していて、会社衰退のきっかけを作ることになるかも知れない。無知は最大の罪なり、と云われるが、法律も例外ではない。法律を知ろうが、法律を知るまいが、法律を破れば、即、罰則が下される。最悪、刑事事件に発展する場合もあり得る。商品の返品やサービスの解約、損害賠償請求、会社イメージの棄損、など等、法律を破った場合の罰則リスクは決して小さくない。以下に紹介する10の法律は、中小企業経営者が最低限知っておくべき法律になる。経営者の法律知識が会社の明暗を分かつ場面は沢山あるので、是非とも理解を深めてほしい。社長が知るべき「会社経営に関連する法律」社長が知っておくべき「会社経営に関連する法律」の代表例は、税法、労働基準法、個人情報保護法の3つの法律になる。税法は会社の税金に関する法律、労働基準法は最低の労働基準を定めた法律、個人情報保護法は顧客情報の取り扱いに関する法律である。この3つの法律は、すべての中小企業に関わる法律なので、経営者はしっかり抑えておきたい。それぞれの法律について、詳しく解説する。税法税法は、会社のあらゆる税金に関する法律だ。会社の利益に課される法人税、会社の資産に課される固定資産税、社員の給与に課される源泉所得税、会社の売上等の収益に課される消費税、事業承継時に課される相続税、など等、会社経営と税金は切っても切れない関係にある。税金の支払いを見誤って会社の現金が枯渇する事態に陥ると、倒産の危機に瀕することもあり得るので、税法は経営者がしっかり抑えておきたい法律である。税法に無頓着な経営者は、高い確率で経営に失敗する。労働基準法労働基準法は、最低の労働基準を定めた法律だ。労働基準法は、会社で働くすべての労働者に関わる法律である。また、この法律を知ると、社員である労働者の権利と義務、並びに、経営者が守るべき義務が良く分かる。例えば、労働基準法には、給与の支払いルール、休日日数、時間外労働の賃金計算基準、或いは、社員に課された法律上の義務、など等、最低限の労働基準が事細かに定められている。労働基準法の違反は罰則だけに止まらず、刑事事件に発展する場合もあるので、法律違反のリスクが極めて大きい。この点も、経営者が知っておきたい大切なポイントである。個人情報保護法個人情報保護法は、顧客や社員情報を保有する全ての会社にかかわる法律だ。平成27年9月9日に個人情報保護法が公布された際は、5千件以上の個人情報保有事業者のみが法律の対象だったが、全面施行日の平成29年5月5日以降は、個人情報を保有するすべての事業者が法律の対象になる。個人情報の漏えい事故等で被害が発生したときは、被害者(顧客或いは社員)から民事上の損害賠償責任を追求される可能性があるので、経営者がしっかり理解しておきたい法律である。社長が知るべき「営業販売に関連する法律」社長が知っておくべき「営業販売に関連する法律」の代表例は、独占禁止法、消費者契約法、景品表示法の3つの法律になる。独占禁止法は公正な競争環境を整える法律、消費者契約法は消費者保護に関する法律、景品表示法は商品やサービスの表示を規制する法律である。この3つの法律は、殆どの中小企業に関わる法律なので、経営者はしっかり抑えておきたい。それぞれの法律について、詳しく解説する。独占禁止法独占禁止法は、公正な競争環境を整える法律だ。独占禁止法は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できる環境を推進する法律なので、市場を私的独占する企業に対してさまざまな法的制限が設けられている。例えば、同じ業界や地域の会社がカルテル(複数事業者が価格を決定して競争原理をなくすこと)を結び、私的に市場を独占すると法律違反になる。また、製造者という有利な立場を利用して、小売業等の販売者に対して一方的に価格(定価)を厳守させる行為も法律違反になる。或いは、小売業等の販売者が、不当に安い価格で市場を独占しようとする行為も法律違反になる。独占禁止法は、時に企業のマーケティングやブランディングの障害になることがあるので、経営者がしっかり理解しておきたい法律である。消費者契約法消費者契約法は、商品やサービスを末端消費者に販売している会社に関わる法律だ。例えば、販売時の勧誘に問題があると売買契約が無効になる、消費者が一方的に契約解消できるクーリングオフ制度、消費者に不利な特約が無効になる、などの消費者保護の規定は、すべてこの法律の範囲内である。消費者契約法を知ると、消費者契約時の不当な勧誘や不当な契約条項が事細かに分かるので、経営者が知っておきたい法律である。景品表示法景品表示法は商品やサービスの表示を規制する法律だ。景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制している法律なので、末端消費者向けの商品やサービスを提供している中小企業の経営者はしっかり抑えておきたい法律である。この法律の対象は幅広く、商品パッケージのみならず、ホームページ、チラシ、ダイレクトメール、各種広告、さらには、営業トークといった形のないまで、法律の対象になる。この法律を知ると、不当な表現や誇大広告の判定基準がよく分かるので、経営者が知っておきたい法律である。社長が知るべき「会社間取引に関する法律」社長が知っておくべき「会社間取引に関連する法律」の代表例は、下請法、不正競争防止法の2つの法律になる。下請法は下請取引の公正化と下請事業者の利益保護に関する法律、不正競争防止法は事業者間の公正な競争環境を整える法律である。この2つの法律は、殆どの中小企業に関わる法律なので、経営者はしっかり抑えておきたい。それぞれの法律について、詳しく解説する。下請法下請法は下請取引の公正化と下請事業者の利益保護に関する法律だ。下請法を知っていると、不当な下請け関係をスムーズに解消することができるので、経営者が抑えておきたい法律である。例えば、発注側からの不当な値下げ要求、支払代金の減額、不当返品、協賛金や社員派遣の強要などは、双方合意のうえでも下請法の違反になる。また、この法律を知ると、下請法の取引内容や対象がよく分かるので、下請け構造にある中小企業の経営者は知っておきたい法律である。不正競争防止法不正競争防止法は事業者間の公正な競争環境を整える法律だ。例えば、他社のブランド名、ブランドロゴ、ブランド形態を模倣した商品やサービスは不正競争とみなされ法律違反になる。また、他社の営業秘密情報を不正利用した場合、他社の会社名等をホームページのドメイン名に利用した場合なども、不正競争とみなされ法律違反になる。不正競争防止法の違反は罰則だけに止まらず、刑事事件に発展する場合もあるので、法律違反のリスクが極めて大きい。この点も、経営者が知っておきたい法律のポイントである。社長が知るべき「権利保護に関する法律」社長が知っておくべき「権利保護に関連する法律」の代表例は、著作権、産業財産権の2つの法律になる。著作権は著作物保護に関する法律、産業財産権は産業財産保護に関する法律である。この2つの法律は、殆どの中小企業に関わる法律なので、経営者はしっかり抑えておきたい。それぞれの法律について、詳しく解説する。著作権著作権は著作物保護に関する法律だ。著作権で保護される著作物の代表例は言語の著作物である。小説や論文のみならず、個人のブログ文章も著作物の対象になる。また、オリジナルの商品画像なども著作物として保護される。ホームページ、ネットショップ、チラシやカタログ作成の際に、著作物を転用、若しくは、多少の編集を加えて使用した場合は、著作権の侵害で訴えられる可能性があるので注意が必要だ。この法律を知ると、著作物の対象と、著作物の使用ルールがよく分かるので、中小企業の経営者は知っておきたい法律である。産業財産権産業財産権は産業財産保護に関する法律だ。産業財産権の保護対象の代表例は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの独占使用権である。商品やサービスの技術、或いは、商品名や商品デザインが権利侵害で訴えられるケースは、すべての中小企業で起こり得ることである。産業財産権の侵害は販売停止や損害賠償請求等の罰則だけに止まらず、刑事事件に発展する場合もあるので、法律違反のリスクが極めて大きい。この点も、経営者が知っておきたい法律のポイントである。
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  • 数字力を学ぶ|ビジネスの成功スキル・数字力の養成法
    数字力を学ぶ|ビジネスの成功スキル・数字力の養成法数字力は、成功社長の必須スキルといって過言ではない。事業活動の全ての結果が表れる数字という客観的情報なくして、正しい決断はできないからだ。この記事では、数字力の基本から数字力を学ぶための基本ノウハウに至るまで、詳しく解説する。数字力とは?数字力とは、あらゆる会社の数字を活用する力のことで、数字力に長けている経営者ほど、好業績をキープしている。例えば、会社の業績は社長の決断の連続で形成されるが、事業活動の全ての結果が表れる数字という客観的情報なくして、正しい決断はできるものではない。つまり、数字力がそのまま決断力に直結し、数字力の良し悪しが業績を大きく左右する。また、安定経営に欠かせない資金繰りのスキルも数字力ありきであり、売上・利益・現金といった重要な数字の拡大スピードも社長の数字力ひとつで決まる。更に、生産性の改善や顧客やライバルの分析も数字力がモノをいう。このように、数字力なくしてまともな会社経営は実現できず、数字力の高低が会社経営の成功を決定付けるといっても過言ではない。数字力の養成法数字力を学び、数字力を養成する方法は様々なアプローチがあるが、自分の会社の数字を徹底的に活用(分析)する方法が最も効果的だ。特に、財務分析や経営指標を駆使する管理会計の運用はじつに効果的で、僅かな運用期間で数字力が磨かれ、スキルの養成に役立つ。しかも、管理会計は数字力と共に企業の経営力も高めてくれるので、運用するほどに業績が上向き、事実、管理会計運用企業の黒字経営率は極めて高い。自分の会社の数字を使った管理会計を実践すると、事業活動(社長の決断・判断)と数字の相関関係の理解が一段と深まり、決断の質も高まるので数字力を養成したい経営者はすぐにでも実践してほしい。数字力を学ぶ会社成長を決定づける決断の質は数字力で決まるので、如何にして、数字力を学び、数字に強い社長になるかが企業の生命線になる。最後に、数字力を学ぶ基本ノウハウとして、当サイト内のお薦め記事を紹介する。経営と数字の関係性中小企業の業績は経営者の能力に比例する。経営者の能力を測定する尺度は様々だが、最も端的に業績と直結している経営能力は「数字に強いか弱いか」である。この記事では、数字力チェックシートを紹介しているので、ぜひ自己診断してほしい。【この記事を読む】会社の数字を分析する基本の手法会社の数字を分析する手法は、経営者の必須スキルといって過言ではない。なぜなら、会社の数字は事業活動の結果であり、結果である会社の数字を無視した事業活動に成功はあり得ないからだ。この記事では、会社の数字を分析する基本手法について、詳しく解説している。【この記事を読む】ビジネスの数字を一から勉強するビジネス数字の勉強は、中小企業経営者にとって欠かせない。なぜなら、ビジネスの成功はすべて会社の数字の中にあるからだ。この記事では、ビジネス数字の重要性からビジネス数字の勉強法に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】経営分析・経営判断の指標例まで徹底解説経営指標は、安定経営の必須ツールといって過言ではなく、経営指標の活用度合いが大きいほど、経営改善の精度が高まり、業績改善のスピードが加速する。この記事では、経営指標の基本概要、並びに、経営分析・経営判断の指標例について詳しく解説している。【この記事を読む】企業の財務分析から効率性分析まで徹底解説経営分析は、企業の経営状態を可視化するために行われる会計手法の総称だが、その分析手法は多岐にわたる。この記事では、経営分析の基本概要、並びに、企業の財務分析から効率性分析に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】
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  • 損益分岐点の捉え方と分かりやすい計算方法|商売の成功は損益分岐で決まる
    損益分岐点の捉え方と分かりやすい計算方法|商売の成功は損益分岐で決まる損益分岐点とは、利益と損失の分かれ目を示す分岐点のことである。商売の成功は、利益を出す事で成立するので、損益分岐点を把握することは安定経営の絶対条件といっても過言ではない。この記事では、損益分岐点の捉え方と分かりやすい計算方法について、詳しく解説する。損益分岐点の捉え方損益分岐点とは、利益と損失の分かれ目を示す分岐点のことで、会社経営を成功に導く重要指標として広く活用されている。損益分岐点が分かると、絶対に必要な売上高が分かるので、売上目標が明快になり、会社経営の失敗リスクが低下する。損益分岐点は「損益分岐点売上高=固定費÷(1-売上高変動費率)」の公式で計算することができる。例えば、売上1,000万円、固定費500万円、売上高変動費率40%の損益構造の場合の損益分岐点は「500万円÷(1-0.4)=833.3万円」になる。【関連記事】損益分岐点の計算方法と適正水準損益分岐点の計算方法1損益分岐点を計算する上で、固定費や変動費率の計算が面倒という場合は、もっとシンプルな捉え方をしても差し支えない。例えば、売上から経常利益を引くと最低限消費されるコストが分かるが、それを損益分岐点と捉えても良い。売上が1,000万円、経常利益が100万円の損益構造の場合の損益分岐点は「1,000万円-100万円)=900万円」になる。また、損益計算書上(帳簿上)ではなく、正確なキャッシュフローの損益分岐点を知りたければ、運転資金「売上-経常利益-減価償却費」を計算すれば、キャッシュアウトする金額が分かるので、それを損益分岐点と捉えても良い損益分岐点の計算方法2損益分岐点のシンプルな計算方法はまだある。例えば、小さな会社やひとり社長の場合は、不要不急の経費を使わずに2~3ヶ月程度会社を運営すると、ひと月に必要な最低コストが大よそ分かる。このひと月に必要な最低コストは絶対に稼がなければならない売上の金額でもあるので、その金額を損益分岐点と捉えても良い。損益分岐点は、プラスとマイナス収支の境目、つまり、現金が入るか消えるかの分岐点を表すので、どんなビジネスであっても把握しなければならない。会社は現金がなくなると倒産するので、損益分岐点は、企業の盛衰(デット・オア・アライブ)を分かつ最重要指標といっても過言ではない。
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  • 儲かっている会社と儲かっていない会社の差
    儲かっている会社と儲かっていない会社の差儲かっている会社と儲かっていない会社の差はどこに表れるのか。一般的には、儲かっている会社は黒字経営と云われ、儲かっていない会社は赤字経営と云われるが、黒字倒産という言葉がある通り、黒字経営であっても経営破たんすることは決して、珍しいことではない。この記事では、儲かっている会社と儲かっていない会社の差について、詳しく解説する。儲かっている会社「営業利益」儲かっている会社を示す指標として「営業利益」がある。営業利益は、本業の儲けを示す利益指標であり、プラスであれば黒字経営、マイナスであれば赤字経営になる。黒字経営は儲かっている証拠、赤字経営は儲かっていない証拠になるが、黒字倒産という言葉がある通り、たとえ黒字経営であっても倒産する場合がある。一般的には売上総利益高営業利益率「(営業利益÷売上総利益高×100)が20%を越えていれば儲かっている優良な会社といえるが、儲けを示す絶対的な指標とは言い切れない側面がある。儲かっている会社「現金水準」儲かっている会社を示す指標として「現金水準」がある。たとえ営業利益がプラスでも、資金繰りに失敗し、現金が一時的に枯渇すると会社はあっさり倒産する。いわゆる黒字倒産でる。従って、儲けの基準を営業利益だけに着目するのではなく、現金水準に余裕があるか否か、或いは、毎年、現金水準が増えているか否かに着目することが、儲かっている会社を見極める重要な視点になる。中小企業においては、運転資金「売上-(減価償却費+経常利益)」の3倍以上の現金があれば、儲かっている会社といえる。儲かっている会社「成長率」儲かっている会社を示す指標として「成長率」がある。一般的には、売上、営業利益、現金水準等の重要指標が年率5~20%の範囲で成長していれば、儲かっている会社といえる。また、売上、営業利益、現金水準等の成長率が横ばい~微増であっても、設備投資(成長投資)の大きさを示す減価償却費が常に前年を上回っていれば、同様に、儲かっている会社といえる。なお、上記重要指標の成長率が20%を越えると危険リスクが高まる。例えば、注文や発送対応が追いつかない、商品製造や品質管理がキャパオーバー、人員不足で業務効率が著しく低下する、など等、経営や組織の管理体制に綻びが出始めて、会社のサービス低下と共に、客離れを引き起こすことがある。企業の成長率は下がっても問題だが、伸びすぎても問題が生じる。また、20%を超える急激な成長は、特需や流行等に乗った一時的なものかも知れない。このような急成長の最中に投資を加速すると、成長が鈍化した途端に人員が溢れたり、経費が賄えなかったり、操業度が落ちたり、等々、至る所に衰退リスクが噴出する。会社が急成長した後に倒産するケースは稀にあるので、くれぐれも注意してほしい。
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  • 経営者の数字力が業績を上げる|経営と数字の関係性と重要性
    経営者の数字力が業績を上げる|経営と数字の関係性と重要性中小企業の業績は数字力で決まる。全ての事業結果が表れている数字を起点に経営采配する、或いは、数字を活用することで失敗リスクを抑える事ができるからだ。この記事では、経営者の数字力の重要性、並びに、数字力のチェックシートに至るまで、詳しく解説する。経営者の数字力と業績の関係性中小企業の経営成績、つまり会社の業績は、経営者の能力に比例する。なぜなら、中小企業の多くはトップダウン構造にあり、経営者の意志ひとつで事業活動が決定するからだ。経営者の意志決定を覆す仕組みは殆どの中小企業にないことからも、経営者の能力が会社の業績を左右する最も大きい要素といえる。経営者の能力を測定する尺度は様々だが、最も端的に業績と直結している経営能力は何かと問われれば、それは「数字に強いか弱いか」だ。つまり、中小企業の業績は、経営者の数字力が生命線を握っている。このセオリーに則れば、中小企業は、経営者の数字力が優れていれば業績が伸び、経営者の数字力が劣ると業績が低迷する、ということになる。言い換えれば、「経営者の数字力さえ高めることができれば業績が伸びる」ということだ。元々数字力が高い人はほんの一握りだが、他の人はもう駄目なのかというとそんなことはない。諦める必要はなく、これから数字力を高めればよいのだ。経営者の数字力チェックシート次の数字力チェックシートで一つでも該当する項目があれば、あなたの数字力は低い可能性がある。また、その部分が会社の経営課題に直結している可能性がある。経営者の数字力チェックポイント☑ 損益計算書が読めない☑ 貸借対照表が読めない☑ 月次決算書を毎月見ていない☑ 具体的な数値目標が導入されていない☑ 会社の数字よりも勘や経験を優先している☑ 会社の数字と経営課題を関連付けて考えていない☑ 会社の数字管理を経理担当者や税理士に任せている☑ 人件費や経費の適正水準や適正なバランスが分らない。☑ 会社全体が赤字経営なのはわかるが深刻度合が分らない。☑ 現金収支(キャッシュフロー)がプラスかマイナスか分らない☑ この先、会社の利益がどのように推移していくのかが予測できない。☑ 大口の販売先に依存しているが会社の業績に与えるリスク度合が分らない。☑ 売上の増減くらいは把握できても、会社のどこの事業が黒字経営で、どこの事業が赤字経営なのか分らない。経営者の数字力の低下が衰退リスクを生み出す会社の数字には事業活動の結果が全て表れる。当然ながら、経営者の数字力が劣っていると、会社の数字が把握できないという事になる。会社の数字が把握できなければ、正しい現状分析は不可能だ。更に現状を正しく認識することができないので、会社の未来像と現状の間にある正しいギャップがつかめず、経営課題も見誤ってしまう。間違った経営課題にどんなに一生懸命取り組んでも、思ったような結果にならないであろうことは一目瞭然だろう。何より、経営課題の見誤りや見落としは、中小企業の最たる倒産原因だ。例えば、医者に健康診断の結果をきちんと読み解く能力がなければ、病気の予兆がそこに現れていたとしても見落としてしまう。誤診の結果、まったく見当違いの治療をしたがために本来治せる病気が重症化してしまうこともあり得る。経営者の数字力が自己診断力を高める医者の低い診断力が災いして病気を更に悪化させる原理は、会社経営も同じだ。例えば、経営者の数字力が優れていれば、会社の健康状態を自己診断できるので、会社の大病(経営悪化や倒産危機等)を未然に防ぐことができる。また、ヒトが病気をした場合は、数値基準を設けて日常生活復帰のためのリハビリを行い、復帰後もさらに高い健康レベルを目指すために数値目標を掲げて、より具体的なトレーニングを行い、心身ともに健康で魅力的な人を目指す。会社もそうありたいはずだ。経営者の数字力が優れていれば、現状認識と目標設定を誤るリスクがグッと下がる。そして、正しい現状認識は正しい未来を予測する。また、理想の未来像に対してどう取り組むかも正しい現状認識ありきで、それらの繰り返しが会社の成長発展を後押しする「良いスパイラル」を生み出す。良いスパイラルに入る為にも、まず経営者の数字力を高めることが先決だということがお分かり頂けただろうか。
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  • 図解で簡単に分かる財務諸表の見方|財務諸表の読み解き方
    図解で簡単に分かる財務諸表の見方|財務諸表の読み解き方財務諸表とは、会社の資産状況や損益状況等、事業活動の成績が集計された経営資料のことだ。財務諸表は、社長の決断を支える根拠資料にもなるので、中小企業経営者にとって、財務諸表の理解は必須スキルといっても過言ではない。この記事では、財務諸表の見方や読み解き方に至るまで、簡単に理解できるように図解で分かりやすく解説する。財務諸表とは?中小企業の財務諸表は、「貸借対照表」、「損益計算書」、「株主資本等変動計算書」の3つで構成されている。このうち、中小企業の経営実務で大いに活用できる財務諸表は貸借対照表と損益計算書になる。財務諸表に対してアレルギー反応を抱き、あまり経営に活用していない経営者を稀に見かけるが、財務諸表の活用なくして、正しい会社経営はできるものではない。なぜなら、財務諸表には、事業活動のすべての結果(正否)が集約されているからだ。自らの行動の結果(正否)を確認することなく前に突き進んでいては、何れ失敗することは容易に想像できるだろう。財務諸表を理解するコツは?財務諸表を会計の知識ゼロから理解するには、それなりのコツがある。例えば、最初から財務諸表の難しい理論や専門家の説明を頭に入れようとしても、なかなか理解できるものではない。逆に、財務諸表に対する拒絶反応が大きく育ってしまい、ますます理解が遠のくかも知れない。複雑化した事柄や難しい物事は、図解で理解するのが手っ取り早く、財務諸表も同じである。図解で財務諸表の仕組みを整理すると本質がスッキリ分かり、物事の本質が分かると理解のハードルはグッと下がる。財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の見方と読み解き方について、順を追って図解で分かりやすく解説する。図解で分かる貸借対照表の見方貸借対照表とは、会社の資産状況を表す財務諸表のことである。貸借対照表は「資産の部=(負債の部+資本の部)」のバランスが均等にとれることから、バランスシート(Balance sheet)、略してB/S(ビーエス)とも呼ばれている。貸借対照表の構成は下図の通りだが、見方と仕組みもさることながら、どこが重要なポイントで、どこが日頃からチェックすべきポイントなのか分からない、といった中小企業の経営者も多いのではないかと思う。この貸借対照表の構成を極限までシンプルに分かり易く図解すると、下図の通りとなる。このように、貸借対照表は「資産の部」と「負債の部」と「純資産の部」の3つの構成に図解すると分かり易い。それぞれの構成を以下に解説する。資産の部資産の部は「資産の保有形態」を表すエリアになる。例えば、現金、預金、商品、土地建物などの資産である。資産の購入原資が、負債(他人のお金=借金)なのか、はたまた純資産(自分のお金=利益)なのかは分からないが、原則、会社が保有している全ての資産が表示される。資産の部のチェックすべき重要ポイントは1つだ。それは「現預金」の増減である。現預金が増加傾向にあれば問題ないが、現預金が減少傾向にあるようなら様々な経営課題が内在している証拠になる。例えば、赤字経営、現金回収の遅延、不良在庫の増加など等だ。負債の部負債の部は「資本の調達手段」を表すエリアになる。例えば、売掛金、未払金、借入金などである。負債の部に表示される項目は、すべて他人のお金、つまり、借金(必ず返すべきお金)のことだ。負債の部は、資産の部よりも少ないに越したことはないし、できれば純資産よりも少ない方が安全だ。純資産の部純資産の部は「利益の累積」を表すエリアになる。つまり、自由に使える自分の貯金のようなものである。純資産の部のチェックすべき重要ポイントは1つである。それは、「純資産」の増減だ。純資産が増加傾向にあれば問題ないが、純資産が減少傾向にあるようなら赤字経営に転落しているということだ。貸借対照表は「現預金の増減」と「純資産の増減」の2点を常にチェックしていれば、経営リスクの早期発見ができるので、毎月のチェックを習慣化することをお薦めする。【関連記事】貸借対照表の重要なチェックポイント図解で分かる損益計算書の見方損益計算書とは、会社の業績状況を表す財務諸表のことである。損益計算書は、プロフィットアンドロス(Profit and loss statement)、略してP/L(ピーエル)とも呼ばれている。損益計算書の構成は下図の通りだが、これだけで収支のイメージを捉えることは困難だ。損益計算書の収支イメージを分かり易く図解すると、下図の通りとなる。このように、損益計算書は「3つの収入」と「2つの支出」に図解すると分かり易い。それぞれの収入と支出を以下に解説する。3つの収入3つの収入は「売上・売上総利益・営業利益」の3つの収入で構成されている。売上総利益のことを粗利(あらり)というが、売上と粗利まではチェックしているという経営者は多いのではないかと思う。しかし、粗利から販売管理費を差し引いた「営業利益」までチェックしないと、正しい会社経営はできるものではない。なぜなら、営業利益までチェックしないと正しい経費コントロールができず、まともな経営ができなくなってしまうからだ。例えば、売上と粗利が増加している一方で、販売管理費が大幅に増加し、赤字経営に転落してしまったらどうなるだろうか?当然ながら、利益を生み出さない事業の寿命は、そう長くない。全ての費用を差し引いた後の収入の正否をチェックするには「営業利益」のモニタリングが欠かせないのだ。2つの支出2つの支出は「売上原価・販売管理費」の2つの支出で構成されている。売上原価は、売上に対応する仕入、或いは、製造原価のことである。販売管理費は、売上を作るための事業活動に関わる費用のことである。事業発展の秘訣は、売上最大化と経費最小化を同時に進めることだが、売上や売上総利益に占める経費の構成が小さければ小さいほど、その事業の付加価値は高いといえる。付加価値の高い事業とは、利益率の高い事業ということだ。当然ながら、下図のような赤字経営の損益では、付加価値の低い事業ということになってしまう。2つの支出を収入(売上)よりも小さくすることが経営の鉄則になる。【関連記事】損益計算書の重要なチェックポイント図解で分かる貸借対照表と損益計算書の関係性財務諸表を構成する貸借対照表と損益計算書は、常に連動している。連動している領域は2つに大別することができ、ひとつは「損益計算書の営業取引」と「貸借対照表の資産の部と負債の部」、もう一つは「損益計算書の営業利益」と「貸借対照表の純資産の部」である。貸借対照表と損益計算書の連動のイメージは下図の通りとなる。※貸借対照表の純資産の部と連動しているのは、本来、損益計算書の当期純利益だが、便宜上、営業利益としている「営業取引」と「資産の部と負債の部」損益計算書の営業取引と貸借対照表の資産の部と負債の部の連動事例は下表の通りである。損益計算書貸借対照表売上が発生売上が計上される現金が増加、或いは、売掛金、受取手形等の売上債権が計上される売上原価(仕入)が発生売上原価(仕入)が計上される現金が減少、或いは、買掛金、支払手形等の仕入債務が計上される販売管理費が発生水道光熱費、家賃などの経費が計上される現金が減少、或いは、未払金、未払経費等の支払債務が計上される「営業利益」と「純資産の部」純資産の源泉は、会社の利益である。つまり、営業利益がプラスであれば純資産も増加、営業利益がマイナスであれば純資産も減少、というように純資産と営業利益は常に連動している。なお、純資産はすべて自分のお金なので、増えれば増えるほど会社の経営が安定する。
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  • 超分かりやすい減価償却の説明|減価償却制度の仕組みが丸分かり
    超分かりやすい減価償却の説明|減価償却制度の仕組みが丸分かり中小企業の経営者にとって、減価償却ほどややこしく、分かりづらい会計制度はないのではないかと思う。事実、わたしも会計知識を習得するまでは、減価償却はチンプンカンプンだった。減価償却は会計上だけではなく、会社の投資戦略やキャッシュフローにも大きく関わっているので、理解が浅いと会社経営に失敗するリスクが高まる。この記事では、減価償却制度の仕組みを、超分かりやすく解説する。減価償却とは?減価償却とは、資産性の高い設備等の減価償却資産を耐用年数に応じて費用化する制度のことである。減価償却の対象資産や耐用年数などは税法で全て取り決めされているが、難しい理論や決め事はひとまず置いておいて、この記事では減価償却の仕組みを理解することに焦点を絞って解説する。減価償却の仕組みは「会計の仕組み」と「費用の仕組み」を理解すると見えてくる。この二つの仕組みさえ分かれば、減価償却の仕組みが簡単に理解できる下地が整う。順を追って、減価償却制度の基本を支えている二つの仕組みを解説する。会計の仕組みを理解する減価償却は、会計の仕組みが分かると簡単に理解できる。会社の会計には、絶対的なルールがある。それは、会計期間だ。会計期間は創業期を除いて「1年間」と定められている。なぜ、3年や10年ではダメなのか?それは、1年間という会計期間ごとに会社の税金が確定しないと、国の予算管理に支障をきたすからだ。会社の税金は、国の収入になる。国にも会社同様に1年間の会計期間があり、会計期間に合わせて予算を作成し、予算を消化する仕組みがある。当然ながら、収入(税収)が確定しないと、予算自体が実効性の低いものになってしまう。国の予算管理に合わせるために、会社の会計期間が1年間と決まっているわけだ。この会計期間が1年というルールが、減価償却を簡単に理解する上で抑えるべき重要なポイントになる。【関連記事】「会社の決算とは?決算の仕組み」費用の仕組みを理解する減価償却は、費用の仕組みが分かると簡単に理解できる。会計期間に続いて、費用の仕組みを解説するが、前章で解説した通り、会社は1年間という会計期間ごとに税金が確定する。中小企業の税金の計算方法は難しくなく、実にシンプルだ。会社の税金は、利益に対して課税される。つまり、利益が0円であれば、原則、税金(均等割りや消費税除く)は発生しない。会社の利益は、会社の売上から費用を減じた金額になる。費用とは経費のことだが、会社の売上には関係のない経営者の生活費や娯楽費等を経費化して、課税対象になる会社の利益を減額する事は認められていない。このような会計操作は、脱税に当たり、重い罰則を課せられる。つまり、売上に対応する費用だけが経費として認められる、というルールが会計の大原則になる。この売上に対応する費用だけが経費化されるというルールが、減価償却を簡単に理解する上で抑えるべき重要なポイントになる。減価償却の仕組みを理解する会計期間が1年間と決まっていること、そして、売上に対応する費用のみが経費として認められること。この二つが理解できれば、減価償却の仕組みを簡単に理解する下地がほぼ整う。減価償却の対象となる資産は、資産性の高いものに限定されている。例えば、文房具やコピー紙のような1年以内に消費される消費財、何年利用しても一切価値が目減りしない土地などは、減価償却の対象資産にはならない。減価償却の対象資産は、3年経過しても会社の売上に貢献する機械、20年経過してもガタが来ない建物など、1年間という会計期間に収まらずに長期間にわたって会社の売上に貢献する資産が対象になる。そして、この減価償却資産を耐用年数に応じて費用化する制度が、減価償却の仕組みになる。具体的には、耐用年数3年の機械を300万円で購入した場合は、購入時に一度資産計上し、その資産を、年間100万円のペースで減価償却費として経費化する仕組みが、減価償却の基本になる。減価償却の仕組みが分かる会計処理例最後に、減価償却の簡単な会計処理例を解説する。例えば、耐用年数3年の機械(減価償却資産)を300万円で購入したとする。この製造ラインの年間の売上は1,000万円、機械費用以外の年間一般経費は800万円とする。まずは、減価償却を加味しない会計処理の例である。1年目:売上1,000万円-(一般経費800万円+機械購入経費300万円)=▲100万円の損失2年目:売上1,000万円-一般経費800万円のみ=200万円の利益3年目:売上1,000万円-一般経費800万円のみ=200万円の利益次に、減価償却を加味した会計処理の例である。機械費用300万円は耐用年数の3年間で均等に減価償却費として費用化する。(この場合、貸借対照表の資産欄に300万円の機械資産が計上されるが、3年目で資産価値が0円になる)1年目:売上1,000万円-(一般経費800万円+減価償却費100万円)=100万円の利益2年目:売上1,000万円-(一般経費800万円+減価償却費100万円)=100万円の利益3年目:売上1,000万円-(一般経費800万円+減価償却費100万円)=100万円の利益いかがだろうか?減価償却の有り無しによって、それぞれの会計期間内の利益金額に違いが生じることが分かったと思う。また、売上に対応していない経費計上を認めると、適正な利益計算ができないということも分かったと思う。減価償却資産を耐用年数に応じて費用化する理由はここにあり、この仕組みこそが、減価償却制度の基本である。
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  • 会社の数字に強くなる方法|経営者の数字力が会社の成長を牽引する
    会社の数字に強くなる方法|経営者の数字力が会社の成長を牽引する数字に強くなることは、経営者の絶対条件になる。なぜなら、数字に強くなることが、安定経営の絶対条件になるからだ。この記事では、会社の数字に強くなる方法について、詳しく解説する。数字に強くなることが成功条件数字に強くなることが、安定経営の絶対条件になる。なぜなら、事業活動の結果は全て数字に表れ、数字を無視した会社経営に成功はないからだ。事実、倒産の危機に陥る中小企業の経営者は総じて数字に弱く、安定的に会社を成長させている中小企業の経営者は総じて数字に強い。中小企業経営者にとって、数字に弱いというのは致命的な欠点になり、数字に強くなることが安定経営、強いては、成功の絶対条件になるのだ。【関連記事】図解で簡単に分かる財務諸表の見方数字に強くなることの必要性数字に強くなることの必要性は簡単だ。経営者が数字に強くなれば、会社の経営力も上がるからだ。数字力と経営力、そして、経営力と業績は比例関係にあり、数字に強くなるほど経営力が上がり、経営力が上がるほど業績が上がる。なぜ、数字に強くなると経営力が上がるかというと、正しい経営判断を支える根拠になり得る数字の活用が多彩になり、判断ミスが少なくなるからだ。逆に、数字に強くない社長は、数字を見落としたまま会社経営を続けるので失敗リスクが高まる。会社の数字を無視した会社経営は、標識や信号を無視して自由気ままに自動車を運転しているようなもので、これでは、何れ事故を起こすことは想像に難くないだろう。会社経営は、事業活動の結果である数字を起点に経営采配することで安定経営の基盤が整う。成功するには、数字に強くなる必要があるのだ。数字に強くなるには何をすべきか?数字に強くなるためには何をすべきか?例えば、「この経営者は数字に強い社長です」と紹介された場合、あなたはどんなイメージを抱くだろうか?普通は、財務諸表をスラスラと読み解き、会社の数字を上手に活用している経営者像をイメージするのではないかと思う。財務諸表をスラスラ読み解くには、それなりの知識と訓練が必要だし、簿記や会計の素人が簡単に理解できるものではない。だからといって、簿記や会計の勉強をすれば良いのかというと、そうでもない。例えば、もともと数字に弱い経営者が簿記や会計の勉強しても、結局、財務諸表が理解できずに終わり、かえって嫌いになってしまうことがある。(財務諸表に苦手意識を持っている中小企業経営者は典型になる)数字に強くなるためには、財務諸表の理解が不可欠と思っている経営者が多いが、じつは、ここに、大きな勘違いがある。数字に強い社長は、初めから財務諸表が理解できた訳ではなく、結果として、財務諸表が理解できるようになったケースが多い。会社の数字に強くなる方法と習慣財務諸表の理解は、数字に強くなるための習慣ひとつで深めることができる。具体的には、会社の数字に強くなるための「はじめの一歩」として、財務諸表から数字を拾い、有益な数字に変換する管理会計の実践がお薦めだ。管理会計は簡単で、売上成長率や営業利益成長率の計算も管理会計になる。売上成長率と営業利益成長率は「売上高」と「営業利益」の僅か二つの数字を使って計算する事ができ、この売上と利益の成長率が分かると、会社の事業規模の伸縮が判定できる。計算式売上成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100営業利益成長率=〔(当期営業利益-前期営業利益)÷前期営業利益〕×100計算例当期:売上高1,500万円 営業利益 100万円前期:売上高1,200万円 営業利益 90万円項目名ここに説明文を入力)★ -->売上成長率=〔(1,500-1,200)÷1,200〕×100=25%営業利益成長率=〔(100-90)÷90〕×100=11.1%判定例上記例のように、売上高、営業利益、共にプラス成長であれば、順調に会社の事業規模が拡大していることが分かる。これが、共にマイナスであれば、会社の事業規模が縮小していることが分かる。売上高がプラスで営業利益がマイナスであれば、商品、或いはサービスが価格競争に巻き込まれていて、事業の収益性が低下していることが分かる。売上高がマイナスで営業利益がプラスであれば、事業規模は縮小しているが、商品、或いはサービスの収益性は高まっていることが分かる。このように、売上高と営業利益、たった二つの数字を有益な情報に変換するだけで、会社の経営状態が浮き彫りになる。数字に強くなる社長が習慣づけしているのは、管理会計の実践ひとつである。この習慣が定着すると、数字に弱い社長であっても、僅か数ヵ月で数字に強くなることができる。数字に強くなる管理会計の基本概要最後に、数字に強くなる管理会計の基本概要について解説する。管理会計とは財務諸表等の経営データの数値を有益な情報に変換、管理、運用し経営力を高める会計手法のことだ。管理会計は、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロでも簡単に習得することができる。しかも、管理会計は会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで数字力と共に経営力が一段と向上する。しっかり運用すれば、三ヵ月程度で、数字に強くなること可能だ。会社経営は、勘や経験だけでは心許なく、数字無視の経営は失敗リスクが高い。資本力の乏しい中小企業は、たった一つの小さな判断ミスが原因で会社経営が傾くこともあるので、正しい経営判断の根拠になり得る数字という根拠が大切になる。数字に強くなる方法は簡単だ。今日からでも管理会計を実践してほしい。
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  • ビジネスの数字を一から勉強する|ビジネスの成功は数字にある
    ビジネスの数字を一から勉強する|ビジネスの成功は数字にあるビジネス数字の勉強は、中小企業経営者にとって欠かせない。なぜなら、ビジネスの成功はすべて会社の数字の中にあるからだ。この記事では、ビジネス数字の重要性からビジネス数字の勉強法に至るまで、詳しく解説する。ビジネス数字の習得法ビジネスと数字は密接な関係にある。数字の活用なくしてビジネスの成功はないといっても過言ではない。しかし、会社の数字に苦手意識を持つ中小企業経営者は少なくない。例えば、数字の苦手な経営者が、ビジネス数字が分かる本、財務諸表が読める本、会計本や簿記本などを手に取っても途中で挫折する、或いは、理解が不十分で不完全燃焼に終わってしまう、というパターンはよく見かける。ビジネスの数字を勉強するために本を買ったり、会計を学んだり、或いは、ビジネス動画を漁ったりする必要はない。これから解説するビジネス数字の勉強法とビジネスで成功するための数字の考え方さえ理解できれば、経営で実践できるビジネス数字の知識が身につく。ビジネスの数字とは?まず最初に、そもそも、ビジネスの数字とは一体何なのか、というところから解説する。ビジネス数字とは、端的に、会社の数字のことである。会社の数字は、事業活動を行うことによって生み出される。モノを売れば「売上」が発生し、モノを仕入れれば「経費」が発生する。そして、売上と経費の差し引きが「利益」であり、この利益を出すことこそビジネスの真の目的であり、会社の存在意義でもある。会社はお金が無くなった時点で倒産(経営破綻)するので、利益が取れないビジネスはビジネスではなく、ただの、ボランティア活動に過ぎない。つまり、売上を作り、売上以下の経費でビジネスを継続し、利益を残すところに会社経営の本質があるのだ。この「売上を上げる・経費を抑える・利益を拡大する」という、ビジネスを成立させている3つの要素を数字で捉えることができれば、ビジネスと数字の関係性と重要性が深く理解でき、合理的な会社経営が実現できる。ビジネスの成立に不可欠な3大要素を数字で捉えるには?ビジネスを成立に不可欠な3大要素(売上・経費・利益)を数字で簡単に捉える方法としてお薦めなのは「因数分解」の活用だ。因数分解とは代数的対象を、それらを掛け合わせると元に戻る別の対象である因数の積に分解することで、因数分解の目的は、何らかのもの(自然数ならば素数)を基本的な構成要素に帰着させることである。例えば、15という数は3×5という因数の積に分解されるが、これと同じ要領で、ビジネスを成立させている3大要素(売上・経費・利益)を因数分解すると、次の数式で表すことができる。ビジネス数字の因数分解売上=客数×客単価×購入回数利益拡大=売上増×経費減利益=売上×営業利益率売上を上げるためにすべきことは「売上=客数×客単価×購入回数」の数式をベースに対策を考えれば具体策が見えてくる。経費を抑える、及び、利益を拡大するためにすべきことは、「利益拡大=売上増×経費減」と「利益=売上×営業利益率」の数式をベースに対策を考えれば具体策が見えてくる。この3つの数式が経営者の頭の中にある限り、ビジネスが行き詰ることはなく、むしろ、ビジネスの成長発展が加速する。また、この3つの数式を、会社全体、取引先別、商品別という要領で母集団を分解すると、ビジネスの数字の理解と分析が一層深まる。自分の会社の数字を使った勉強ほど、実務に役立つことはないので、手元に会社の数字を取り寄せて、すぐにでもトライしてみてほしい。ビジネスで成功するための数字の考え方ビジネスで成功するための数字の考え方はとても重要だ。なぜなら、ビジネスの成功と失敗は、数字の考え方ひとつで決まるからだ。ビジネスの成功と失敗を分かつ数字が何であるかお分かりだろうか?ビジネスの成功に欠かせない重要な数字は「利益」で、利益を最優先に考えている限りビジネスはそう簡単には行き詰らない。ビジネスは、利益を軽視したところから悪化に転じる。なぜ利益が重要なのかというと、利益はビジネスの成長を牽引する要素を持っているからだ。成長投資を加速するのも利益、売上を拡大するのも利益、事業価値を向上させるのも利益、など等、ビジネスの成長発展を支えるすべての源泉が利益になる。当然ながら、会社の利益が減少し始めると、そのビジネスは次第に衰退する。利益の拡大なくしてビジネスの成長はなく、モノを売ったら必ず利益を残すことがビジネスの鉄則になる。ビジネスの成功を支える利益を数字で勉強する最後に、ビジネスの失敗リスクを高める誤った数字の使い方を解説する。例えば、売上を上げるために「売上=客数×客単価×購入回数」の算式を持ち出し、客単価を下げて、客数と購入回数を上げる方法は、間違いなくビジネスの失敗リスクを高める。なぜなら、安値販売は利益軽視の最たる例だからだ。具体例を一つ挙げると、例えば、商品価格を10%オフ(値下げ)にした場合、利益がどのくらい減少するか分かるだろうか?もしも、商品を販売するために費やす経費が同じであれば、価格を下げた分そっくりそのまま利益も減少することになる。値下げ前の売上高営業利益率が10%であれば利益が0%になり、値下げ前の売上高営業利益率が5%であれば利益がマイナス△5%の赤字取引に陥ってしまう。赤字取引の場合、売上を構成する3要素(客数×客単価×購入回数)のうち、客数と購入回数をいくら増やしても利益は一切増えず、むしろ売れば売るほど赤字金額が拡大し、倒産まっしぐらである。ビジネスの成功を支える最も重要な数字が「利益」と云われる所以は、ココにあるのだ。ビジネス数字のまとめビジネス数字を勉強するうえで最も大切なのは、ビジネスの成功を支える三大要素(売上・経費・利益)と共に、この三大要素の数字を可視化する次の3つの数式を常にセットで考え、ビジネスの良し悪しを判断することだ。ビジネス数字の三大数式売上=客数×客単価×購入回数利益拡大=売上増×経費減利益=売上×営業利益率売上一辺倒に走っていないか?経費削減一辺倒に走っていないか?会社の利益を見落としていないか?ビジネスの成功は数字で決まるといっても過言ではない。日常的に会社の数字を点検し、ビジネスの正否をチェックすることをお薦めする。
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  • 財務諸表の読み方|初心者でも簡単に分かる財務会計の見方
    財務諸表の読み方|初心者でも簡単に分かる財務会計の見方財務諸表とは、会社の経営成績が記録された会計資料のことである。財務諸表は会社経営の判断基準データとして、あるいは、金融機関等との交渉データとして幅広く活用できる。この記事では、初心者でも分かる財務諸表の読み方・見方について、詳しく解説する。財務諸表の読み方財務諸表の読み方について、詳しく解説する。財務諸表は会社経営の精度を左右する重要なデータになるので、財務諸表を読み込むスキルは、経営者の必須スキルといって過言ではない。わたし自身、財務諸表のデータを重要な判断基準の一つとして大いに活用しているし、財務諸表を読み込み、有効に活用している企業ほど業績好調を維持している。財務諸表に苦手意識を持っている経営者やビジネスパーソンは少なくないが、難しく考える必要はなく、財務諸表の読み方はいたってシンプルである。例えば、車の運転はスピードメーターとガソリンメーターの2つの数字だけを見ていれば、老若男女問わず、誰でも上手に運転できるが、会社経営も一緒である。見るべき数字を絞り、その数字だけを読み込むだけで上手に運営できる。しかも、財務諸表は、資産状況が分かる貸借対照表と損益状況が分かる損益計算書の二つしかない。この二つの財務諸表に記載されている数字は膨大だが、見るべき数字は2~3つ程度に絞り込むことができる。つまり、わずか2~3つの重要な数字の読み方さえ分かれば、初心者であっても財務諸表を読み解くことができ、そのスキルをベースに会社経営を上手に運営することが出来るのだ。貸借対照表の読み方資産状況が分かる財務諸表「貸借対照表の読み方」について、詳しく解説する。貸借対照表は、一定時点の会社の財産状況(資産・負債・資本等)が分かる財務諸表で、会社経営の観点で最も重要な財務諸表になる。貸借対照表が読めないと、資金繰り悪化、借金過多、投資判断ミスなど等の失敗リスクが噴出し、高確率で会社経営に失敗する。逆に、貸借対照表さえ読めれば、会社経営の失敗リスクは著しく低下する。貸借対照表は借方と貸方に分かれていて、例えば、資本金1,000万円で会社を創業した場合は、借方(現金1,000万円)|貸方(資本金1,000万円)」というように、必ず左右のバランスが取れる仕組みになっている。貸借対照表のことをバランスシート(Balance/sheet)、略してB/S(ビーエス)と云う所以はココにある。貸借対照表の読むべき数字は「現金・純資産・負債」の3つに絞り込める。会社は現金が無くなった瞬間に破綻するので現金は最も重要で沢山あるほど良い。純資産は利益の累積なので多いほど良い。負債は、簡単に言えば他人からの借金なので少ないほど良い。つまり、現預金と純資産は増加傾向、かつ、負債は減少傾向が業績好調、逆の傾向は業績不調と考えて貸借対照表を毎月読み込むと、会社経営に役立つ読み方が簡単に習得できる。また、読み込むほど、数字の探求心が旺盛になるので、継続するほど読み込むスキルが高まる。ちなみに、純資産が資本金よりも少ない場合は「資本欠損」となり、純資産がマイナスの場合は「債務超過」となり経営破たん懸念状態となる。何れも、経営改革のギアを数段上げなければならない状態を示唆しているので、財務諸表からこうしたサインを読み取るスキルも重要になる。損益計算書の読み方損益状況が分かる財務諸表「損益計算書の読み方」について、詳しく解説する。損益計算書は、一定期間の会社の損益状況(売上・コスト・利益等)が分かる財務諸表で、会社経営の観点で重要な財務諸表になる。損益計算書は簡単に言えば会社の儲かり具合の成績表のようなもので、収入(売上)からコスト(原価と販売管理費)を引くことで利益が計算される。利益がプラスであれば黒字経営、利益がマイナスであれば赤字経営になる。損益計算書の読むべき数字は「売上・営業利益」の2つに絞られる。売上と営業利益、共に増加傾向が業績好調、逆の傾向は業績不調と考えて、損益計算書を毎月読み込むと、会社経営に役立つ読み方が簡単に習得できる。また、単月の数字だけでなく、年計の数字の推移を必ず読み込むようにすると、損益状況の理解が更に深まる。会社は1年単位という期間でしか評価されないので、年計の損益把握は損益計算書を読み込む最重要スキルといって過言ではない。財務諸表の読み方は難しくない。読み込むポイントを絞って、読み続けるだけで簡単に習得できる。また、財務諸表の参考書や問題集を読んでもあまり意味はなく、自分の会社の財務諸表を読むことが最も早く財務諸表の読み方を習得するコツになる。
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  • 財務諸表の分析方法|財務諸表の簡単なチェックポイントと見方
    財務諸表の分析方法|財務諸表の簡単なチェックポイントと見方財務諸表とは、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書等で構成されている。事業活動の結果は必ず数字に表れるので、事業活動の結果が集計されている財務諸表の分析は大変に重要になる。この記事では、財務諸表の分析方法、並びに、財務諸表の簡単なチェックポイントと見方に至るまで、詳しく解説する。財務諸表の分析とは財務諸表の分析は、企業の経営状態を可視化するために行うもので、企業内部の現状分析、或いは、信用会社や投資家等が特定の企業を客観的に分析するために行われる。財務諸表を分析すると、会社の安全性や成長性など、経営の健全度がある程度判定できるので、会社の経営力を高めるため、或いは、客観的評価を与えるために広く活用されている。また、事業活動の結果は必ず数字に表れるので、事業活動の結果が集計されている財務諸表の分析が定着するほど、事業活動の精度が高まり業績が上向く。事実、業績を伸ばしている会社経営者ほど財務諸表の分析スキルが高く、逆に、業績が低迷している会社経営者ほど財務諸表の分析スキルが低い。因みに、財務諸表の分析は、主に株式投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められ、大よそ1960年代からアメリカの財務アナリストを中心に、企業の利益の量だけでなく質を問う概念として定着している。財務諸表の簡単なチェックポイントと見方財務諸表は資産状況を表す貸借対照表と収支状況を表す損益計算書の二つが重要になる。そして、この二つの財務諸表のチェックポイント絞ることで、簡単かつ実践的な分析習慣が定着し易くなる。例えば、貸借対照表は、現預金と純資産の増減を絶えずチェックする、損益計算書は、売上や売上総利益(粗利)だけでなく営業利益や経常利益まで絶えずチェックすると、会社衰退に繋がる決断ミスが少なくなる。(現預金、純資産、売上、粗利、営業利益、経常利益は常に増加が目標指標になる)財務諸表の分析スキルは、経営者のみならず、最早、ビジネスパーソンの必須スキルといって過言ではない。数字といった客観的根拠がない中で、正しい判断が下せるほど会社経営(ビジネスの世界)は甘くないからだ。これからの時代は、財務諸表が読めない経営者は生き残っていけないだろう。財務分析の具体的分析方法最後に主な財務分析の具体的方法、特に経営者とビジネスパーソンが習得すべき、財務諸表の比較分析、安全性分析、成長性分析について詳しく解説する。財務諸表の比較分析財務諸表の分析は単一な分析結果を見ても経営状況の詳細を把握することはできない。分析結果は、前年実績や業界平均と比較する実数分析、或いは、特定指標に対する構成比率や相互比率の推移を比較する比率分析を行うことで、数値の良し悪しを客観的に判定できる。財務諸表の安全性分析財務諸表の安全性分析は、企業の資産(資本)の調達構造、並びに、支払能力や返済能力を分析するもので、分析には主に貸借対照表のデータを用いる。主に、自己資本比率、負債比率、流動比率、当座比率などの経営指標を用いて分析する。財務諸表の成長性分析財務諸表の成長性分析は、企業の売上高や利益水準の成長率(伸び率)を分析するもので、分析は主に複数年度の損益計算書のデータを用いる。売上高、営業利益高の各種成長率のほかにも年平均成長率(CAGR)などの経営指標を用いて分析する。中小企業の経営指標と経営分析手法
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  • 累損とは?|累積損失・累損赤字と黒字・税金メリット・債務超過
    累損とは?|累積損失・累損赤字と黒字・税金メリット・債務超過累損とは累積損失の略で、会社の損失の累積金のことだが、累損を抱えている会社は意外と多い。累損(累積損失)を抱えている会社は経営が悪化していると思われがちだが、果たして真相はいかに。この記事では、累損とは何か、累損赤字と累損黒字の概要、並びに、累損時の税金メリットや債務超過との関係性に至るまで、詳しく解説する。累損(累積損失)とは?累損とは、累積損失の略で、会社の損失の累積金のことだ。帳簿上は、貸借対照表の純資産の部に計上され、具体的には「利益剰余金のマイナス表示」が累損の金額となる。利益剰余金は会社が獲得した利益、或いは、損失の累積金なので、利益ができるとプラスに転じるが、損失が出るとマイナスに転じる。従って、会社の損失が膨らむほど、利益剰余金のマイナス金額も膨らみ、その金額がそのまま累損(累積損失)として帳簿(貸借対照表)に残ることになる。【関連記事】利益剰余金がマイナスの謎解き|マイナス理由・マイナス補填・債務超過累損の原因は赤字経営にある累損の根本原因は赤字経営にある。赤字経営は、収入よりも支出が多い状態なので、赤字に転落すると、即、累損が発生する。しかし、累損が発生したからといって、経営が悪化するかといえば、そうとも言い切れない。例えば、帳簿上は赤字経営であっても、損失金額よりも減価償却費の大きければ、累損が出たとしても、キャッシュフローがプラスなので経営はさほど悪化しない。また、長年蓄積した不良性の資産を処分することで、一時的に累損が発生した場合も、キャッシュフローがプラスであれば経営は悪化しない。累損が発生した後も、利益剰余金のプラスの蓄積が多額にある、或いは、自己資本比率が高い等の場合も、経営は悪化しない。このように、累損は赤字経営が原因で発生するが、累損の発生状況によっては、累損=経営悪化とはならないケースもある。累損は黒字経営でも残る累損は黒字経営でも残る。なぜなら、累損は、過去に累積した損失の金額なので、累積した損失を穴埋めするだけの利益が蓄積されない限り、累損は一掃されないからだ。過去に大きな赤字決算をしている会社や過去の赤字金額の累積が大きな会社等は、一回の黒字経営だけでは累損を一掃することができないケースが多い。なお、累損が残っている場合は、金融機関の融資条件や取引先の与信管理に悪影響を及ぼす場合があるが、黒字経営であれば累損のマイナス評価が軽減されるので、やはり、経常的に黒字経営をキープすることが大切になる。累損と税金の関係性累損と税金の関係はじつに深い。なぜなら、累損は、黒字決算の利益を相殺する効果があるからだ。過去の累損のおかげで利益がゼロになれば法人税負担もゼロになるため、節税効果が生まれる。つまり、節税メリットが累損唯一のプラス面といえる。累損の事をマイナスの資産と呼ぶことがあるが、大企業であれ、中小企業であれ、節税目的で累損を活用するケースはよくあるパターンになる。累損があると債務超過!?累損が発生しても、すぐに債務超過に陥ることはない。累損が発生すると、過去の利益の蓄積である利益剰余金が減少し、その利益剰余金がマイナスになると資本欠損、更に、利益剰余金のマイナス金額が資本金以上に大きくなると債務超過に陥る。債務超過は倒産状態といっても過言ではないが、創業期、或いは、大型の投資案件を実行した直後は、累損が膨らみ債務超過に陥り易くなるので、経営状況、或いは、経営方針によっては債務超過も止む得ない時がある。赤字経営の常態化で多額の累損を抱えた結果の債務超過は、倒産リスクが極めて高いので、抜本的な経営改善を断行することが大切になる。
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  • 利益剰余金がマイナスの意味|マイナス理由・補填方法・債務超過
    利益剰余金がマイナスの意味|マイナス理由・補填方法・債務超過利益剰余金とは、会社が獲得した利益の累積金のことだが、利益剰余金がマイナスになる会社は意外と多い。利益剰余金がマイナスの会社は経営が悪化していると思われがちだが、果たして真相はいかに。この記事では、利益剰余金がマイナスになる理由、並びに、利益剰余金がどのような経営状態を表すのかについて、詳しく解説する。利益剰余金とは?利益剰余金とは、会社が獲得した利益の累積金のことで、貸借対照表の純資産の一部を構成している。下図は貸借対照表の構成になるが、純資産の中の橙線で囲った部分が利益剰余金になり、純資産=利益剰余金+資本金という計算が成り立つ。利益剰余金は、利益準備金(株主配当に関連)と任意積立金(増資の原資等)と繰越利益剰余金の3つで構成されているが、株主配当や増資の実態がない中小企業においては、利益剰余金=繰越利益剰余金と考えて差し支えない。利益剰余金は会社が獲得した利益の累積金なので、利益がプラスであれば増加し、利益がマイナスであれば減る。つまり、利益剰余金は、会社の財務体質を表す重要指標であり、内部留保の大きさを示す指標でもある。利益剰余金がマイナスの理由利益剰余金がマイナスになる理由は難しくない。利益剰余金は、会社の利益がマイナスになった時、つまり、赤字経営に陥った時にマイナスになる。従って、赤字金額の累損が膨らむほど、利益剰余金のマイナス金額も大きくなる。それでは、帳簿上(貸借対照表上)における利益剰余金のマイナスはなぜ起こるのか?利益のマイナスは、資本金の減少を意味するので、資本金の金額をマイナスすれば良いと思われがちだが、資本金が変動すると、種々の税金計算に支障が出るので、便宜上、貸借対照表上の資本金の金額は不変になる。資本金の金額が不変なので、何らかの勘定科目で会社の利益の蓄積を調整・管理する必要が生じるが、その科目が「利益剰余金」になる。会社が赤字経営に陥り、利益がマイナスになると資本金が減少し、その資本金の減少を帳簿上に表すために利益剰余金がマイナスになる。これが、利益剰余金がマイナスになる根本の理由になる。利益剰余金がマイナスになるとどうなる?利益剰余金がマイナスになるとどうなるのか?まず、利益剰余金がマイナスになると、過去の累損で資本金が欠ける資本欠損という財務状況に陥る。そして、利益剰余金のマイナス金額が資本金以上に大きくなると債務超過という財務状況に陥る。債務超過は倒産状態といっても過言ではないので、利益剰余金がマイナスになった瞬間に、抜本的な経営改善を断行することが大切になる。但し、創業期、或いは、大型の投資案件を実行した直後は、利益剰余金がマイナスに陥り易くなるので、経営状況、或いは、経営方針によっては利益剰余金のマイナスも止む得ない時がある。利益剰余金がマイナスになる原因が、赤字経営の常態化で、資本欠損を経て債務超過に陥る場合は、倒産リスクが極めて高いといえるので、くれぐれも注意してほしい。利益剰余金のマイナス補填・清算利益剰余金のマイナスを補填・清算する方法はひとつしかない。マイナスをプラスに転換するだけの利益を出す、或いは、利益を蓄積することだ。利益剰余金がマイナス100万円であれば、プラス100万円の利益を出す。これが、利益剰余金のマイナスを補填・清算する方法になる。利益剰余金がマイナスの場合は、銀行融資の条件や取引先の与信評価にマイナスの影響を及ぼすので、利益剰余金は、マイナスよりもプラスの方が良い。従って、一時的、或いは、創業期等に利益剰余金がマイナスになった場合は、先手必勝でマイナス理由を相手に説明した方が良い場合もある。
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  • 自己資本比率がマイナスの場合|マイナス理由・債務超過・倒産状態
    自己資本比率がマイナスの場合|マイナス理由・債務超過・倒産状態自己資本比率とは、会社の資本力や経営の安全性を示す経営指標である。自己資本比率がマイナスということは、資本力や安全性が極めて低いということなので、なるべく早く、マイナス状態から脱出することが望ましい。この記事では、自己資本比率がマイナスになる理由、並びに、自己資本比率がどのような経営状態を表すのかについて、詳しく解説する。自己資本比率とは?自己資本比率とは、会社の総資本に占める自己資本の構成比率のことで、会社の資本力や経営の安全性を表す経営指標として活用されている。下図は貸借対照表の構成になるが、自己資本比率は〔純資産(自己資本)÷総資本(自己資本+他人資本)〕×100という計算で分かる。自己資本比率は、総資本に占める自己資本の割合が大きくなるほどプラスに傾き、自己日本比率が50%を超えると優良水準になる。逆に、総資本に占める自己資本の比率が小さくなるほど、つまり、返済すべき他人資本の割合が大きくなるほど自己資本比率がマイナスに傾く。自己資本比率がマイナスの理由自己資本比率がマイナスになる理由は簡単だ。純資産がマイナスになると、自己資本比率もマイナスになる。それでは、自己資本比率のマイナス理由に繋がる純資産がマイナスになる理由はどこにあるのか?純資産がマイナスに理由も簡単で、純資産は、会社の利益がマイナスになった時、つまり、赤字経営に陥った時にマイナスになる。従って、赤字金額の累損が膨らむほど、純資産の減少ペースが加速し、純資産よりも赤字金額の累損が大きくなった瞬間に、純資産と自己資本比率がマイナスになる。自己資本比率がマイナスになるとどうなる?自己資本比率がマイナスになるとどうなるのか?自己資本比率がマイナスになると、総資本よりも返済すべき他人資本(債務)が多くなる債務超過という財務状況に陥る。債務超過は倒産状態といっても過言ではないので、自己資本比率がマイナスに陥る予兆を感じたら、速やかに抜本的な経営改善を断行することが大切になる。但し、創業期、或いは、大型の投資案件を実行した直後は、自己資本比率がマイナスに陥り易くなるので、経営状況、或いは、経営方針によっては自己資本比率のマイナスも止む得ない時がある。自己資本比率がマイナスになる原因が、赤字経営の常態化で債務超過に陥った場合は、倒産リスクが極めて高いといえるので、くれぐれも注意してほしい。自己資本比率のマイナスを脱出する方法自己資本比率のマイナスを脱出する方法はひとつしかない。マイナスをプラスに転換するだけの利益を出す、或いは、利益を蓄積することだ。自己資本がマイナス100万円であれば、プラス100万円の利益を出す。これが、自己資本比率のマイナスを脱出する方法になる。当たり前だが、自己資本比率がマイナスの場合は、銀行融資の条件や取引先の与信評価にマイナスの影響を及ぼすので、自己資本比率はマイナスよりもプラスの方が良い。従って、一時的、或いは、創業期等に自己資本比率がマイナスになった場合は、先手必勝でマイナス理由を相手に説明した方が良い場合もある。
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  • 資本欠損とは?|倒産の危機を知らせる資本欠損が図解でよく分かる
    資本欠損とは?|倒産の危機を知らせる資本欠損が図解でよく分かる資本欠損とは、資本金が欠損した状態を表す会計用語である。資本欠損は、会社の倒産危機を知らせる重要なサインなので、決して見逃してはならない。この記事では、資本欠損とは何か、並びに、倒産の危機を知らせる資本欠損について、図解で詳しく解説する。資本欠損とは何か?資本欠損とは、資本金が欠損した状態のことだが、資本欠損とは何かを理解するには、第一に資本金の仕組みを理解する必要がある。なぜなら、資本欠損とは、会社の損失で資本金が欠ける現象だからだ。資本金とは、会社を設立するために必要な最初の運転資金(自己資金)のことで、資本金という自己資本を元手に会社経営を順調に続けると、事業活動を通じて生み出された利益が上積みされて、会社の自己資本が徐々に増加する。この自己資本は、自身で調達した資金(資本金)と自身で生み出した利益の貯蓄(利益剰余金)なので、返済義務がない。下図は、貸借対照表の構成である。赤枠部分が自己資本で、会社を設立したときに払い込まれた「資本金」と、会社が生み出した利益の貯蓄である「利益剰余金」の合計が自己資本、いわゆる純資産になる。自己資本(純資産)の計算式は「資本金+利益剰余金」ということなので、会社が常に利益を出し続けている限りは、資本金よりも純資産が下回ることはなく、自己資本が欠損することもない。逆に、会社の利益がマイナスになり、損失が出ると会社の利益剰余金が減少し、何れ自己資本が欠損する事態に陥る。つまり、資本欠損に陥る。資本欠損の正体は利益剰余金の減少資本欠損の正体は利益剰余金の減少にある。資本欠損に至るプロセスを説明すると、まず、会社の利益がマイナスになり損失の垂れ流しが続くと、何れ会社の利益剰余金が0円以下(マイナス)になる。そして、過去の利益の貯蓄である利益剰余金が全てなくなると、資本金が欠損する事態に陥る。この、資本金を損失で食いつぶす現象を「資本欠損」という。下図は、資本欠損の仕組みを図解したものである。例えば、会社を500万円で設立して、1期目、2期目ともに▲100万円の赤字、合計▲200万円の累損になった場合、設立当初から利益剰余金が増加することはなく、2年で▲200万円の資本金が欠損することになる。貸借対照表上では資本金の額は不変なので、帳簿上は資本金500万円+利益剰余金▲200万円=純資産300万円という記載で表示されるが、実態は、資本金がマイナス△200万円欠損した、ということになる。資本欠損とは、上記例のように資本金が損失で欠ける現象で、資本欠損を数式で表すと、下記算式の通りとなる。資本欠損の数式資本欠損 = 資本金 > 純資産(資本の部)資本欠損は経営改革のラストチャンス!!資本欠損は、会社の倒産危機を知らせる重要なサインだ。従って、資本欠損に陥る予兆を感じた瞬間に抜本的な経営改革を断行しないと、経営破たんのリスクが飛躍的に高まる。当然ながら、資本欠損の状態を放置すると、倒産状態に等しい債務超過に陥るのは時間の問題となる。資本欠損からの会社再建は難しくないが、債務超過からの会社再建は、大きな痛みを伴う経営改革を断行しなければ成功しない。中小企業の経営者が誰かに助けを求める段階は、殆どが「債務超過」に陥った時だが、債務超過で助けを求めても、最早、手遅れだ。資本欠損は経営破たんを知らせる危険なサインである。自覚症状を感じたときは、時すでに遅しなので、絶対に資本欠損を見過ごさないでほしい。資本欠損が倒産危機にならない例外ケース資本欠損が倒産危機にならない例外ケースがある。それは、黒字経営が持続できており、なお且つ、現金残高が増加傾向にある時だ。現在進行形で資本欠損の状況が悪化している場合は待ったなしで経営改善に着手しなければならないが、今現在、すでに黒字経営に浮上し、なお且つ、現金残高が増加傾向に転じていれば何の問題もない。この状況下で大切なことは、資本欠損を解消するために経営改善のスピードを加速し、一つでも多くの成果を積み重ねることである。この経営姿勢が定着すると、資本力がますます強化され、時の経過と共に経営基盤が盤石になる。伊藤のワンポイント創業期や成長段階で一時的に陥る資本欠損は経営破たんのリスクが低いですが、赤字経営が常態化した結果の資本欠損は深刻です。一刻も早く資本欠損を解消しないと打つ手が限られてきますので、躊躇なく経営改革を断行してください。経営の苦労を軽減させるには先手必勝を意識することです。
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  • 債務超過とは?|倒産状態に等しい債務超過が図解でよく分かる
    債務超過とは?|倒産状態に等しい債務超過が図解でよく分かる債務超過とは、資本金よりも返済すべき負債が多い状態を表す会計用語である。債務超過は、会社の倒産状態を表す危険なサインなので、決して見逃してはならない。この記事では、債務超過とは何か、並びに、倒産状態を表す債務超過について、図解で詳しく解説する。債務超過とは何か?債務超過とは、資本金よりも返済すべき負債が多い状態のことだが、債務超過とは何かを理解するには、第一に資本金の仕組みを理解する必要がある。なぜなら、債務超過とは、会社が支払うべき債務(負債・借金等)が資本金を超過する現象だからだ。資本金とは、会社を設立するために必要な最初の運転資金(自己資金)のことで、資本金という自己資本を元手に会社経営を順調に続けると、事業活動を通じて生み出された利益が上積みされて、会社の自己資本が徐々に増加する。この自己資本は、自身で調達した資金(資本金)と自身で生み出した利益の貯蓄(利益剰余金)なので、返済義務がない。一方、他人から調達した資金(資本)のことを他人資本という。他人から調達した資金(資本)なので、返済義務がある。債務超過を理解するには、まず、この自己資本と他人資本の関係性をしっかり理解しなければならない。債務超過は貸借対照表で分かる債務超過は貸借対照表を見れば一目瞭然で分かる。下図は、貸借対照表の構成である。赤枠部分が自己資本で、会社を設立したときに払い込まれた「資本金」と、会社が生み出した利益の貯蓄である「利益剰余金」の合計が自己資本、いわゆる純資産になる。自己資本(純資産)の計算式は「資本金+利益剰余金」ということなので、会社が常に利益を出し続けている限りは、資本金よりも純資産が下回ることはなく、自己資本が欠損することはない。逆に、会社の利益がマイナスになり、損失が出ると、会社の利益剰余金が減少し、自己資本が欠損する事態に陥る。さらに、会社の損失が大きくなり、会社が支払うべき債務(負債・借金等の他人資本)が資本金(自己資本)を超過すると債務超過に陥る。債務超過の正体は資本金の消失にある債務超過の正体は資本金の消失にある。債務超過に至るプロセスを説明すると、まず、会社の利益がマイナスになり、損失の垂れ流しが続くと、何れ会社の利益剰余金が0円以下(マイナス)になる。そして、過去の利益の貯蓄である利益剰余金が全てなくなると、資本金が欠損する事態に陥り、さらに、会社の損失が大きくなり、会社が支払うべき債務(負債・借金等の他人資本)が資本金(自己資本)を超過すると債務超過に陥る。この、会社の債務が資本金を超過する現象のことを「債務超過」という。下図は、債務超過の仕組みを図解したものである。例えば、会社を500万円で設立して、1期目、2期目ともに▲300万円の赤字、合計▲600万円の累損になった場合、設立当初から利益剰余金が増加することはなく、2年で資本金(500万円)を超過する債務(▲600万円)が積み上がったことになる。貸借対照表上では資本金の額は不変なので、帳簿上は、資本金500万円+利益剰余金▲600万円=純資産▲100万円という記載で表示されるが、実態は、資本金よりもマイナス△100万円債務が超過した、ということになる。債務超過とは、上記例のように損失で資本金が全て欠け、純資産がマイナスに転じる現象で、債務超過を数式で表すと下記算式の通りとなる。債務超過の数式債務超過 = 純資産がマイナス(資本の部がマイナス)資本欠損から債務超過に至る図解プロセス健全経営から債務超過に至るプロセスは、3段階で説明できる。下図は、健全経営(正常)から資本欠損を経て債務超過に至るプロセスを図解したものだ。ご覧の通り、資本金よりも純資産が多い状態が健全経営、資本金よりも純資産が下回ると資本欠損、純資産がマイナスになると債務超過となる。債務超過はすでに倒産状態に等しい債務超過は、倒産状態に等しい経営状態だ。資本金(自己資本)よりも返済義務のある他人資本の金額が超過している状態なので、待ったなしで抜本的な経営改革を断行しなければならない。不採算部門の閉鎖、人員整理、返済計画のリスケジュール、等々、債務超過の原因になり得る損失を早急に取り除かないと、会社全体が蝕まれる。じつは、債務超過からの会社再建は、大きな痛みを伴う経営改革を断行しなければ成功しない。中小企業の経営者が誰かに助けを求める段階は、資金繰りの悪化や返済苦など、明らかな自覚症状が出る「債務超過」に陥った時が多いが、債務超過に陥ってから助けを求めても、最早、手遅れである。債務超過は従来の経営が破綻していることを示す超危険サインなので、全うな会社経営を目指すのであれば、債務超過だけは避けなければならない。債務超過が倒産危機にならない例外ケース債務超過が倒産危機にならない例外ケースがある。それは、黒字経営が持続できており、なお且つ、現金が増加傾向にある時だ。現在進行形で債務超過の状況が悪化している場合は待ったなしで経営改善に着手しなければならないが、今現在、すでに黒字経営に浮上し、なお且つ、現金残高が増加傾向に転じていれば何の問題もない。この状況下で大切なことは、債務超過を解消するために経営改善のスピードを加速し、一つでも多くの成果を積み重ねることである。この経営姿勢が定着すると、資本力がますます強化され、時の経過と共に経営基盤が盤石になる。伊藤のワンポイント会社の不良性資産を除外すると、途端に債務超過に陥るケースはとても多いです。このような隠れ債務超過企業も経営破たんのリスクが大きいので、躊躇なく経営改革を断行してください。債務超過のリスクを放置するほど企業の生存率が低下しますので、くれぐれも甘く見ないことです。
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  • 減価償却しないとどうなる|簡単に分かる減価償却の仕組み
    減価償却しないとどうなる|簡単に分かる減価償却の仕組み減価償却とは、複数年にわたって事業活動に貢献する資産の価値を一定期間で償却(資産価値を減額)する会計制度である。減価償却は、個人事業主は強制的にしないとダメだが、法人は任意となっているため、減価償却をしない法人も珍しくない。この記事では、減価償却をしないとどうなるかについて、詳しく解説する。減価償却しないと税額に影響が出る減価償却しないとどうなるかというと、「税額」に影響が出る。減価償却は資産価値を減額するためのコスト(減価償却費)として認められるため、減価償却しないと、その分のコストが利益に転換し、納税額が増える。しかも、減価償却費は、法定で決まった金額しかコスト計上できないため、毎年コンスタントに計上することが最大の節税に繋がる。従って、赤字決算であっても、減価償却しない選択をせずに、しっかり減価償却した方がよい。減価償却費を計上することで赤字額が膨らんだとしても、累損として節税効果を翌期以降に繰り越せるので何も問題はない。減価償却しないと損益計算に影響が出る減価償却しないとどうなるかというと、「損益計算」に影響が出る。減価償却は資産価値を減額するためのコスト(減価償却費)なので、減価償却しないと、このコストが損益計算にカウントされず、損益が不明瞭になる。例えば、耐用年数3年の機械設備を300万円で購入した場合、耐用年数3年を基準に、購入年から3ヵ年、毎年100万円ずつ減価償却費として費用計上できるが、減価償却しないと、この損益計算が狂ってしまう。また、設備投資後の正しい利益も分からなくなり、投資効率の判断も曖昧になる。ちなみに、減価償却した途端に赤字に転落するケース等は、投資効率の判断基準の甘さからくる失敗の典型になる。減価償却しないとキャッシュフローに影響が出る減価償却しないとどうなるかというと、「キャッシュフロー」に影響が出る。減価償却費は、コストとして認められているが、減価償却資産を購入する際にすでに購入取引が完了してるので、減価償却費としてコスト計上したとしてもキャッシュが減るわけではない。つまり、減価償却費の金額は、そっくりそのまま現金として手元に残ることになるので、減価償却しないと、その分の現金が手元に残らなくなる。フリーキャッシュフロー(会社に残る現金)の計算式「経常利益+減価償却費」を見れば、この理屈が理解できると思う。製造業などの資本集約型の産業ほど、減価償却しないとキャッシュフローが悪化し、成長投資のサイクルが小さくなるので、くれぐれも注意してほしい。また、減価償却でストックしたキャッシュを設備投資以外に散財すると高い確率で会社経営に失敗するので注意してほしい。
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  • リース資産とは何か?|リース資産とリース契約の概要とメリットを徹底解説
    リース資産とは何か?|リース資産とリース契約の概要とメリットを徹底解説リース資産とは、リース契約に基づいて会社に導入する資産のことである。リース資産(リース契約)は会社経営のスタンダードといっても過言ではないほど、大企業から中小零細企業まで多くの会社に定着している。この記事では、リース資産の基本概要と契約形態、並びに、リース資産のメリットに至るまで、詳しく解説する。リース資産とは?リース資産とは、リース契約に基づいて会社に導入する資産のことである。リース契約とは、お金を支払ってモノを借りる取引のことで、広義的には、賃貸借取引のことである。リース資産は、第三者から一時的に借り受ける資産なので、購入資産とは一線画した資産になる。中小企業においてもリース資産は珍しいものではなく、パソコンや複合機などのOA機器をリース契約で導入するケースは一般的だ。【関連記事】リース資産・契約のデメリットリース資産の契約形態リース資産は、リース会社等とリース契約を締結することで導入できるが、リース契約の当事者は3者に集約される。リース資産を導入する会社、リース資産を提供するリース会社、そして、リース資産をリース会社に提供する会社である。リース資産の契約に関わる当事者の取引概要と役割は下記の通りだ。リース導入企業リース会社とリース契約を締結し、リース資産を導入する。リース資産のリース料金はリース会社に支払う。リース会社リース資産保有会社と売買契約を締結後、売買代金を支払い、リース資産を購入する。リース資産をリース導入企業に貸し出す。また、リース資産の保険料や固定資産税を負担する。資産保有会社リース会社にリース資産を売却(提供)する。なお、リース資産の契約形態は、ファイナンスリースとオペレーティングリースの2つのリース契約に分類される。それぞれのリース契約形態の詳細解説は下記の通りだ。ファイナンス・リースファイナンス・リースとは、顧客が選定した物件を、リース会社が顧客に代わって購入したうえで、リース物件(リース資産)を顧客に貸し出し、リース会社が投下した資金全額をリース料金として回収する取引のことだ。リース物件(リース資産)の所有権はリース会社に帰属し、リース会社が保険料や固定資産税等の諸費用を負担する。リース物件(リース資産)の取得価額と付随費用がリース料金に反映されるので、物件価格よりもリース料総額の方が大きくなる。例えば、リース物件の取得価額が100万円であれば、100万円に付随費用を加算した金額がリース料金の総額になる。なお、ファイナンス・リースは、原則としてリース期間中の途中解約ができない。リース期間とリース料金は、対象物件の性質や耐用年数等が考慮され、顧客とリース会社の協議のうえで決定される。法定耐用年数3-456-789-1112-1314最短リース期間2345678日本国内におけるリース契約とは、一般的にファイナンスリースのことをいう。オペレーティング・リースオペレーティング・リースとは、リース会社がリース契約終了時のリース物件(リース資産)の残存価額を査定し、査定した残存価額を差し引いてリース料を計算する取引のことだ。一般的には、法定耐用年数前にリース契約が終了し、契約終了時点でリース会社がリース物件(リース資産)を引き取る流れになる。リース物件(リース資産)の取得価額と付随費用から残存価額が差し引かれてリース料が計算されるので、物件価格よりもリース料総額の方が小さくなる。例えば、リース物件(リース資産)の取得価額が100万円であれば、100万円から残存価格を減算した金額がリース料金の総額になる。法定耐用年数の期間満了まで使用する見込みのないリース資産の場合は、ファイナンスリースよりも割安なリース料金でリース物件(リース資産)を導入することができる。リース期間が短期間で尚且つリース料金が高額な重機、或いは、予算的にリース料金を抑えたいときはオペレーティング・リースの方が適している。リース資産の導入メリットリース資産を導入するメリットは様々あるが、主だったものを挙げると下記の通りである。少ない資金で設備投資ができる月々のリース料で、希望の資産を導入することができる。導入時に多額の資金を必要としないので、効率的な資金運用ができる。最新設備が導入できる技術革新の早い設備などは、短いリース期間を設定することで、最新設備への入れ替えがスムーズに行えるようになるので、設備や機器の陳腐化を防ぐことができる。事務と仕訳負担が軽減できる減価償却、税金負担、保険手続きなどの資産所有に伴う面倒な手続きはすべてリース会社が行うため、事務と仕訳作業が大幅に合理化される。リース料を全額経費処理できるリース資産のリース料を全額経費処理できる。また、リース料は月々一定なので、予算や事業計画の策定が容易になる。リース資産の会計処理リース料金をリース費用として全額経費計上する会計処理を賃貸借処理という。オペレーティング・リースの会計処理は賃貸借処理になる。一方、リース資産とリース債務の総額を資産計上し、減価償却と支払利息で費用計上する会計処理を売買処理という。ファイナンス・リースの会計処理は原則、売買処理になる。但し、中小企業は、中小企業会計指針の特例(以下参照)で、ファイナンス・リースとオペレーティング・リース、何れの会計処理も賃貸借処理が認められている。中小企業会計指針の特例(リース会計基準)リ-ス会計基準では、少額&短期リ-スに限って従来通りの賃借料処理が認められている。中小企業の場合は、会計処理負担を考慮し、以下の通り「少額&短期」の条件をつけずに賃借料処理を認められることになった。ファイナンス・リ-ス取引に係る借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。但し、中小企業は通常の賃貸借処理に係る方法に準じて会計処理を行うことができる。この場合は、未経過リ-ス料を注記する。(中小企業会計指針:H20年5月1日公表)リース料金の算定方法と再リースの手続き一般的な月々のリース料金の算定方法と再リースの手続き方法は下記の通りである。月々のリース料金の算定方法リース物件(リース資産)の取得価格に金利、固定資産税、保険料、諸税、手数料を加えたリース料総額をリース契約月数で割ったものが月額のリース料になる。再リースの手続き方法リース会社から顧客に向けてリース期間満了の案内が送付される。リース物件(リース資産)の再リースを選択し返送すると、再リースの手続きが完了し、その後の契約は自動更新(1年間延長)される。伊藤のワンポイントリース資産(リース契約)の活用は経営のスタンダードです。経営の自由度が上がり、キャッシュフロー重視の経営が実現できるからです。リース取引は、お金の流れが分かりやすくなるメリットがある一方で、リース残高が簿外負債になるため、負債コントロールを誤るデメリットがあります。その点、注意してください。
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  • 決算とは何か?|会社決算の仕組みと決算書の作成ルールを徹底解説
    決算とは何か?|会社決算の仕組みと決算書の作成ルールを徹底解説会社の決算とは、会社の会計期間末に取引勘定記録をもとに収入と支出を計算し、保有資産残高と利益を確定させ、経営成績を明らかにする一連の手続きのことである。決算は、納税額の確定を目的とした重要な手続きであり、法人、個人問わず、事業を行っている全員に関わる必須事項になる。この記事では、中小企業の決算の仕組みと作成と運用ルールについて、詳しく解説する。決算とは?決算書とは?会社の決算とは、法人税等の納税額の確定のために、会社の会計期間末に取引勘定記録をもとに収入と支出を計算し、保有資産残高と利益を確定させ、経営成績を明らかにする一連の手続きのことである。決算は、法人、個人問わず、すべての事業者に関わる手続きであり、様々な作成ルールが決まっている。そして、決算手続きの過程で作成される資料のことを「決算書」といい、中小企業の決算書は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書の3つの財務諸表で構成される。決算書は税金確定の根拠資料になるだけでなく、会社経営に役立つ貴重な資料にもなるので、決算の仕組みから決算書の作成ルール等に至るまで、しっかり理解したいところだ。【関連記事】図解で簡単に分かる財務諸表の見方決算書の作成ルールと会計基準とは?大企業と中小企業では、決算書の作成のルールと会計基準や考え方に大きな違いがある。例えば、大企業の決算書は、税法の他、金融商品取引法、証券取引法、会社法、投資家保護法、国際会計基準等々、複雑な会計基準のもとに作成される。一方、中小企業の決算書は、税法に準拠した会計基準で作成される。税法に準拠した会計基準なので、中小企業の決算書は、確定申告の課税所得を確定するための「根拠資料」という位置付けになる。中小企業の決算書は、大企業に比べると厳格さや複雑なルールはないが、決算の仕組みとルールは概ね同じである。(なお、中小企業の決算書の詳しい会計基準については当サイト内の「中小企業の会計基準と会計の考え方」を参照してほしい)中小企業の決算の仕組みと運用ルール中小企業経営者が会社の決算を迎えるうえで理解しておきたい決算の仕組みと運用ルールを、詳しく解説する。中小企業の決算の仕組みと運用ルールは「決算の目的」、「会計期間」、「決算月」、「決算の流れ」、「保管期間」、「資料価値」などが分かると、概ね理解できる。それぞれの詳しい解説は下記の通りだ。決算の目的中小企業の決算書は、債権者保護(商法)、並びに、課税の公平性の担保(税法)の目的で作成が義務付けられている。一方、大企業(上場企業)の決算書は、前記に加えて、投資家保護(金融商品取引法)の目的で作成される。決算書は、当事者並びに第三者に対して、会社の経営成績を明らかにするために作成される経営資料である。当然ながら、決算書が正しく作成されなければ、会社の経営成績が曖昧になり、当事者はもちろん、第三者に対しても、儲かっているのか、或いは、損をしているのかを正しく伝えることができなくなってしまう。つまり、いい加減な決算書は、会社の経営実態を表す根拠資料になり得ないということだ。このような決算書では、オーナーや社員、取引先や金融機関から信用を得られないことは想像に難くないだろう。また、法人には個人と同様に、国や地方自治体に対する納税義務がある。決算書は、納税の課税所得を確定するための根拠資料としても使用される。当然ながら、決算書をいい加減に作成したり、売上を過少計上するなどして脱税行為を行うと、犯罪行為として厳しく罰せられる。決算の会計期間と決算月決算の会計期間は1年間と決まっている。(決算月は会社によって区々)会社によって会計期間が異なると、会社によって納税額が変わり課税の公平性が失われる。また、第三者が、会社の成績判定を行う上でも公正な比較が出来なくなる。従って、会計期間は必ず1年間と決まっている。この一定の会計期間のことを事業年度といい、事業年度(会計期間)を超過した取引があった場合は、決算整理仕訳として全て修正される。例えば、事業年度末が12/31の場合、12/31以前に翌年1月~3月までの3ヵ月分のサービス対価(売上)を受け取っている場合は、3ヵ月分の売上を前受金に振替えて売上を減じる決算整理仕訳が必要になる。決算の流れ決算の流れは概ね下図の通りである。事業活動でやり取りされるすべての金銭取引や権利義務は試算表に集計され「決算調整」を経て、決算書が作成される。株主総会の承認を受けた決算内容は「申告調整」を経て、確定申告書が作成される。そして、期限内に確定申告書を税務署へ提出し、税金を納税すると、一連の決算手続きがすべて完了する。【関連記事】経営者が知っておくべき決算と確定申告の流れ決算書の保管期間法人は、その事業年度の確定申告の提出期限から7年間、「決算書」並びに「帳簿」と「書類」を保管しなければならない。保管対象の帳簿は、決算書の作成根拠になった総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがある。保管対象の書類は、決算書である貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書のほか、棚卸表、注文書、契約書、領収書、などがある。※ 繰越欠損金が生じている場合の保管期間はこの限りではない決算書の資料価値決算書は、会社の経営状態が全て分かる重要な経営資料だ。従って、決算書を読み解く能力は、安定経営の実現に欠かせない必須条件といっても過言ではない。例えば、金融機関からの資金調達の際の根拠資料として、或いは、会社の成長を一層後押しする経営改善を推進する際の根拠資料として、決算書はさまざまな局面で活用できる。また、新年度の予算作成、株主への業績説明、従業員への業績説明、助成金や補助金申請の際の補足資料、取引先への新規取引開始に伴う補足資料、金融機関からの融資申請の際の補足資料、等々、様々な局面においても決算書が役立つ。決算書は成績次第で資料価値が変わる!!決算書は経営成績(内容)の良し悪しで資料価値が変わる。決算書の内容が、会社の成長と衰退を決定づけるといっても過言ではない。例えば、経営成績の良い決算書には、株主や従業員の経営者に対する信頼が高まる、或いは、助成金や銀行融資の審査ハードルが下がる、といったメリットがある。一方、経営成績の悪い決算書には、株主や従業員の経営者に対する信頼が下がる、或いは、助成金や銀行融資の審査ハードルが上がる、といったデメリットがある。安定経営を実現するためには、中小企業の決算の仕組みとルールを十分に理解した上で、経営成績の良い決算書作りを目指すことが大切だ。伊藤のワンポイント決算とは、経営成績を確定させる一連の手続きのことです。決算書をいい加減に作ると、経営判断の精度が低下しますので、結局、経営者自身が困ることになります。また、年に一回の年度決算だけなく、月次決算書を正確に作成する心がけも大切です。業績が低迷している会社ほど、月次決算書の作成が不十分です。
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  • 法人の確定申告とは|確定申告の仕組みから申告書類の活用法まで徹底解説
    法人の確定申告とは|確定申告の仕組みから申告書類の活用法まで徹底解説法人の確定申告とは、事業年度の課税標準を確定させて法人税額を決定するために、管轄税務署に必要な計算書類を申告する一連の手続きのことだ。全ての法人は、事業年度終了日の翌日から2カ月以内に、法人税額を確定するために確定申告の手続きを取らなければならない。この記事では、法人の確定申告の仕組みから申告書類の活用法に至るまで、詳しく解説する。法人の確定申告とは法人の確定申告とは、事業年度の課税標準(※)を確定させて法人税額を決定するために、事業年度終了日の翌日から2カ月以内に、管轄税務署に必要な計算書類を申告する一連の手続きのことである。法人の確定申告は税務署から連絡が来るわけではないので、期限内に忘れずに申告する必要がある。万が一、確定申告期限を超過した場合は、その法人に延滞税が課せられる。法人の確定申告計算書類は、確定申告書(一式)、決算書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)で構成される。確定申告義務者が一切の計算書類を作成し、管轄税務署に申告した時点で、申告内容が受理される。そして、確定申告した課税標準に応じて法人税額等が確定する。※課税標準とは、税額を算出するうえで基礎となる課税対象の所得のことである確定申告は申告主義確定申告内容については、急激な業績の変化、又は、目に余る書類の不備や明らかな脱税行為がない限り、税務署から詮索されることはない。従って、計算過程を誤って利益が過大計上されていても、修正申告をしない限り、一度確定した納税額が修正されることはない。つまり、税金の過払いがあったとしても、修正申告をしない限りは払い過ぎた税金が還付されることはないのだ。このような申告制度を「申告主義」といい、法人の脱税行為や粉飾決算が後を絶たないのは、申告主義の弊害といえる。しかし、約500万社の法人数に対して、税務職員が1社1社監督することは不可能である。最大規模の東京国税局(1都3県を管轄)でさえ、約1.5万人の税務職員しかいない。やはり、経営者が良識と確かな知識を持って、正しい確定申告書類を作成することが求められる。※法人の確定申告は管轄税務署にほか、都道府県税事務所に対しても確定申告する必要がある法人の確定申告書類の活用法法人の確定申告は税理士の仕事だと思っている経営者もいるかも知れない。税理士は法定で確定申告の代理申告が認められているが、じつは経営者自身が確定申告を行うこともできる。但し、法人の確定申告書類の作成には多少の専門知識が必要なことから、一般的には、税理士に代理申告を依頼するケースが多い。税理士に代理申告を依頼している中小企業経営者の中には、確定申告書類の内容を確認したことがない、若しくは、内容が理解できないという経営者も珍しくないが、じつは、法人の確定申告書類のなかには、会社経営に役に立つ有益な情報が沢山含まれている。例えば、法人の確定申告書類の、別表一(一)、別表二、別表七(一)は、会社経営にとても役に立つ。何れの書類にも、貸借対照表や損益計算書には記載されていない重要な経営情報が含まれているので、最低限、この3点の別表だけは内容確認することをおススメする。会社経営に役立つ確定申告書類の解説は以下の通りである。別表一(一) 「普通法人の法人税確定申告書」納税額の基準となる所得金額(課税標準)、並びに、法人税額、地方法人税額の確定金額が確認できる。納税に必要な資金を準備するためにも早々に確認した方が良い。また、会社の所得金額に対する法人税額も把握することができる。別表二 「同族会社の判定に関する明細書」会社の株式を「特殊な関係にある個人や法人」が50%以上保有している場合は同族会社になる。同族企業の判定のほか、株主の順位も明記されているので、それぞれの株主の持株比率も確認することができる。同族会社にも拘わらず、経営者自身の持株比率が2/3を下回っている場合は、経営課題として解決方法を検討する必要がある。別表七(一) 「欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書」過去の青色欠損金等の残高が確認できる。税法では、会社が赤字経営で損失が出た場合は、青色申告に限り、損失の繰り越しが認められている。例えば、当期以前に赤字▲100万円分の繰越損失があり、当期が100万円の黒字だった場合、当期の所得金額は0円になり、法人税も0円になる。繰越損失には有効期限があるので、過去に損失を計上している会社は必ず確認した方が良い。
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  • 中小企業の会計基準と会計の考え方|経理と財務方針を決定付ける会計基準とは
    中小企業の会計基準と会計の考え方|経理と財務方針を決定付ける会計基準とは全ての会社は商法に基づいて「公正なる会計慣行を斟酌した」決算書(財務諸表)を作成する義務が課せられている。しかし、大企業と中小企業では決算書(財務諸表)を作成するうえでの会計基準や考え方に大きな違いがある。この記事では、中小企業の会計基準と会計の考え方、並びに、経理と財務方針を決定付ける会計基準について、詳しく解説する。中小企業の会計基準と会計の考え方大企業と中小企業では決算書(財務諸表)を作成するうえでの会計基準や会計の考え方に大きな違いがある。例えば、大企業(上場企業)の財務諸表は、税法の他、金融商品取引法、証券取引法、会社法、投資家保護法、国際会計基準、など等、複雑な会計基準のもとに作成される。一方、中小企業の財務諸表は、税法に準拠した会計基準で作成される。税法に準拠した会計基準なので、中小企業の財務諸表は、確定申告の課税所得を確定するための「根拠資料」という位置付けになる。確定申告の課税所得を確定するための根拠資料は下記3点である。貸借対照表損益計算書株主資本等変動計算書中小企業においては、この3点の根拠資料のことを「決算書(財務諸表)」と呼び、年に1回、決算を迎える月に決算書(財務諸表)を作成さえすれば、中小企業の会計義務は果たされた、ということになる。中小企業の会計基準とは?中小企業の会計基準は実にシンプルだ。税法に準拠した会計基準に基づいて、貸借対照表、損益計算書、株主資本等計算書の3点の財務諸表を決算月に作成するだけでよい。事実、多くの小規模事業主や中小企業は、毎月の月次決算書を作成せず、年1回の決算月に決算書を作成して、確定申告を迎えるケースが多い。しかし、年1回の決算書の作成だけでは、会社の経営課題を明らかにすることはできない。また、銀行等の金融機関や取引先、株主や従業員の信頼も勝ち取ることができない。中小企業の会計基準は最低限のルールに過ぎない。やはり、公正なる会計慣行を斟酌した基準で毎月の月次決算書(月次試算表)を作成し、その過程を経て作成された決算書でなければ、企業の信用は得られない。【関連記事】月次決算書(月次試算表)の見方と仕組み中小企業庁の「中小企業の会計」について中小企業の会計基準は不明瞭な点が多いので、「公正なる会計慣行を斟酌した基準」といわれても、戸惑いを覚える経営者も多いと思う。そこで、中小企業庁は、決算書を作成する際に、中小企業にふさわしく、また、過重な負担とならないものとして中小企業が準拠することが望ましい会計のあり方を「中小企業の会計」として明らかにした。中小企業庁が提示した会計基準である「中小企業の会計」に基づいた決算書作成のチェックリストは下表の通りである。中小企業の会計№項目会計基準チェック内容1記帳決算書作成の基礎となる会計帳簿の記帳は、整然かつ明瞭に行っているか。すべての取引事実を証拠書類に基づき、正確かつ網羅的に記録しているか。記帳は取引後できる限り速やかに行っているか。2現金及び預金金融機関が発行した残高証明書と合っているか。3金銭債権と貸倒引当金売掛金・受取手形・貸付金等で取立不能の恐れがあるものはないか。ある場合には、その取立不能見込額を貸倒引当金として計上しているか。4有価証券原価法を採用した有価証券において、時価が取得原価より著しく低いときは、将来回復の見込みがある場合を除いては、時価で評価しているか。5棚卸資産原価法を採用した棚卸資産において、時価が取得原価より著しく低いときは、将来回復の見込みがある場合を除いては、時価で評価しているか。6固定資産固定資産の減価償却は、定率法、定額法その他の方法に従い、毎期継続して、規則的に行っているか。予測できなかった著しい資産価値の下落があった場合、減損額を控除しているか。7負債項目支払うべき負債はもれなく計上しているか。金融機関からの借入残高は、残高証明書と合っているか。8引当金将来の費用又は損失が特定されその発生原因が当期以前の事象にあり、費用又は損失の発生の可能性が高く、設定金額の見積りを合理的に行いうるものであり、かつ、法的債務性のあるものは、引当金を計上しているか。9退職給付債務将来、追加拠出の可能性がある退職給付制度を採用している場合、退職給付引当金を計上しているか。10費用・収益の計上一定の期間に企業が獲得した収益と、それを獲得するために費やされた費用とを対応させているか。費用の計上基準は、発生主義(※1)を原則としているか。収益の計上基準は、実現主義(※2)を原則としているか。※1発生主義とは?費用計上基準の発生主義とは、モノやサービスを使った時点で費用計上する会計基準のことである。例えば、切手を10枚購入して、未使用が5枚あったとすると、使用した5枚分が通信費として費用計上、未使用の5枚分は貯蔵品として資産計上する。※2実現主義とは?収益計上基準の実現主義とは、モノやサービスの代金である現金や売掛金の受け取りが確定した時点で収益を計上する会計基準である。モノやサービスの売上債権の確定は、納品書や請求書の発行時期に合わせる。チェックリストの全ての会計基準がクリアされていれば、会社の実質的な財務状況が適切に反映された決算書が作成されていると考えられる。第三者に対して信用力のある財務諸表ということになるので、金融機関や取引先の信頼を得るにふさわしい決算書といえる。中小企業の会計基準は最低限のルールにすぎない中小企業庁が提示した会計基準である「中小企業の会計」は、適正な決算書を作成するための最低限のルールに過ぎない。金融機関や取引先の信頼を得るための資料にはなるが、会社の経営課題を明らかにする資料としては物足りない。繰り返すが、会社の経営課題を明らかにするためには、年1回の決算書のみならず、毎月の月次決算書(月次試算表)を適正に作成しなければならない。事業活動の結果は、すべて財務諸表に反映される。そして、会社経営において、数字は不可欠な要素である。当然ながら、財務諸表を年1回だけ作成している会社と、毎月作成している会社を比べた場合、事業拡大の成功確率が高いのは後者の会社だ。作成義務がないから作成しないでは、いつまで経っても大成功を収めることはできない。また、税法に準拠した会計基準も最低限のルールである。例えば、任意対象である減価償却費や減損処理などを適正に決算書(財務諸表)に反映させて、毎期、正しい会社の損益実態を把握している中小企業は決して多くない。中小企業の会計基準は最低限のルールに過ぎず、会社の損益実態を正しく表わす財務諸表を作成できるか否かが、会社経営の成功と衰退を分かつといっても過言ではない。伊藤のワンポイント中小企業の会計基準と考え方は簡単です。大切なのは、最低限の基準や考え方を理解したうえで、会社の資産と損益の算定を毎月正しく行うことです。業績悪化の兆候は必ず数字に表れます。月次決算をしない会社は、業績悪化の兆候を見逃し、気が付いたときには衰退スパイラルにハマっている、というケースが多いです。
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  • 月次決算書(月次試算表)とは|読み方・分析・いつまでに仕上げる
    月次決算書(月次試算表)とは|読み方・分析・いつまでに仕上げる月次決算書とは、会計期間を1ヵ月に区切って作成する月単位の決算書のことである。月次決算書のことを、月次試算表、残高試算表とも呼び、月次決算書は、貸借対照表と損益計算書の2つの財務諸表で構成される。この記事では、月次決算書の概要・作成要領・いつまでに仕上げる必要があるのか等、並びに、月次決算書の読み方や分析方法に至るまで、詳しく解説する。月次決算書とは?月次決算書とは、会計期間を1ヵ月に区切って作成する月単位の決算書のことで、月次試算表、残高試算表とも呼ばれている。月次決算書は、貸借対照表と損益計算書の2つの財務諸表で構成されている。月次決算書には会社の一ヶ月分の業績が集計されているので、月次決算書を診れば、その月の会社の経営成績が一目瞭然で把握できる。安定経営の第一歩は経営成績を確認することから始まるので、月次決算書は安定経営の必須ツールといっても過言ではないが、有効活用している中小企業は決して多くない。また、月次決算書の作成を税理士事務所に丸投げし、決算内容を深く理解・確認していない中小企業経営者も珍しくない。月次決算書(試算表)の作成ルール月次決算書なくして安定経営の実現は不可能だが、月次決算書は、たんに作成すれば良いというものでもない。やはり、適正な会計ルールに基づいて月次決算書を作成しないと、会社の経営実態を正確に捉えることはできない。なかでも、月次決算書を作成する上で省略しがちな、減価償却費と棚卸残高の計算(計上)は省略せずに、毎月行った方が良い。減価償却費と棚卸を省略すると、月次決算書の利益計算が不正確になり、経営の決断ミスや資金繰りの失敗リスクを高める。月次決算書は、会社の経営実態を正確に反映してこそ、安定経営に役立つ有益な資料になる。従って、適正な会計ルールに則ることが大切になる。月次決算書(試算表)の作成ポイント会社の経営実態を正確に表す月次決算書を作成するポイントは一つである。それは、「一ヶ月という会計期間内の収入と費用の整合性をしっかり取って月次決算書を作成する」ことだ。分かり易く言い換えると、売上に対応している費用をすべて計上するということだ。例えば、一ヶ月分の売上を正確に計上していても、費用の集計が杜撰で、費用のみ半月分、或いは、二カ月分の計上になると、その月の損益計算の整合性は完全に崩れる。収支の整合性が崩れた月次決算書は、会社経営に全く役立たない。経営者の最低限の仕事と思って整合性の高い月次決算書を作成することが、正しい会社経営の出発点になる。月次決算書(試算表)の読み方と分析方法月次決算書の読み方と分析方法は、通常の決算書(貸借対照表・損益計算書)と同じ要領になる。月次決算書には、事業活動の全ての結果が集約されているので、会社経営の道しるべになり、更に、経営改善や経営判断の根拠にもなる。ハッキリ言って、月次決算書がなければまともな会社経営はできないと断言できる。例えば、年度末に決算書を見て経営改善策を考える会社と、一ヶ月おきに月次決算書を見て経営改善策を考える会社を比較した場合、業績改善のスピードが早いのは後者の会社である。月次決算書を読み解くスキルと分析スキルが高いほど、安定経営の基盤が整い易くなるので、とにかく、毎月のチェックを定着させることが大切になる。なお、月次決算書(財務諸表)の読み方については当サイト内の「図解で簡単に分かる財務諸表の読み方」を、月次決算書の分析方法は「財務諸表の簡単な分析チェックポイント」で詳しく解説している。月次決算書はいつまでに仕上げるべきか?月次決算書は早く仕上がるほど、早い決断が可能になるので、早ければ早いほど良い。できれば月末締めから1週間以内に月次決算書を仕上げるのがベストだが、最低でも月初10日迄に仕上げるのが良い。月次決算書は、効率的かつ効果的な経営改善を推進し、会社の成長発展を加速するための必須ツールだが、業績が好調な会社ほど仕上がりが早い。逆に、業績が悪い会社ほど、月次決算書の仕上がりが遅く、ひと月遅れで仕上がってくる中小企業もザラにある。仕上げスピードを意識している経営者も意外と少ない。月次決算書の仕上がりが遅い会社の特徴月次決算書の仕上がりが遅い会社には共通の特徴がある。それは「経営者自身が会社の利益に興味を持っていない」という点だ。売上だけ把握していれば良いと考える経営者ほど月次決算書に興味を示さないが、月次決算書を見落とし続けると、必ず会社経営に失敗する。なぜなら、会社存続の生命線になる「利益の動き」と「現金の動き」を見失うからだ。会社はお金が無くなると倒産するので、利益と現金の動きを見失う、或いは、見誤ると、ほんの少しのきっかけで経営が破たんする。例えば、黒字倒産、赤字拡大、過大投資、資金枯渇、返済苦、多角化失敗、など等の失敗は、月次決算書をチェックしていれば事前に防ぐことができる。月次決算書を早く仕上げ、しっかりチェックすることが失敗しない会社経営の絶対条件になるのだ。月次決算書の理解なしに会社経営の成功なし月次決算書をチェックすることの重要性は「利益と現金の動きを把握する」ことだけに止まらない。月次決算書をチェックすることで、売上・原価・経費・利益・現金等々の数値バランスの適正可否や将来予測ができる。さらに、経営改善の数値目標や社員に対する数値目標を正しく設定することもできる。数値目標は継続的な経営改善に不可欠になる。なぜなら、数値目標がないと場当たり的な会社経営に陥り、経営改善の成果が上がらず、商品やサービスの質と共に会社の競争力が低下するからだ。月次決算書を重要視しない会社の経営マネジメントの質は著しく低下する。正しい経営マネジメントは、正しい月次決算書の運用から始まることを決して忘れないでほしい。伊藤のワンポイント業績好調な会社ほど、月次決算書の仕上がりが早く、内容が正確です。ですから、月次決算書の内容と扱いを見れば、その会社の実力が大体分かります。月次決算書の精度の良し悪しで、経営マネジメントの基本になるPDCAサイクル・現状認識・将来予測の精度が決まるので、常に正確性と迅速性を追求してください。
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  • 中小企業の財務諸表とは/見方と仕組み|財務諸表を分かりやすく徹底解説
    中小企業の財務諸表とは/見方と仕組み|財務諸表を分かりやすく徹底解説財務諸表とは、会社の資産や損益状況等の経営状態を表す会計資料のことだ。経営者の財務諸表を読み解く能力は、会社経営を成功に導くための必須スキルといっても過言ではない。この記事では、中小企業の財務諸表の見方と仕組み、並びに、財務諸表を構成する財務資料について、詳しく解説する。財務諸表は会社経営の必須ツール財務諸表とは、会社の経営状態を表す会計資料のことである。財務諸表は会社経営の必須ツールであり、財務諸表の読解力は経営者の必須スキルといっても過言ではない。なぜなら、財務諸表の活用なくして、まともな会社経営など出来るものではないからだ。例えば、経営者が財務諸表を読み解ければ、経営状態を十分に理解した上での経営采配が可能になるので、失敗リスクが低くなる。一方、経営者が財務諸表を読み解けなければ、経営状態がよく分からない状態での経営采配を余儀なくされるので、失敗リスクが飛躍的に高まる。また、中小企業の業績は経営者の能力に比例するので、経営者の財務諸表の理解度が、そのまま業績に反映される。つまり、会社の盛衰は、財務諸表の理解度や活用度合いで決まるのだ。財務諸表の構成資料会社の財務諸表は、一般的には決算書を構成する次の3つを指す。貸借対照表損益計算書キャッシュフロー表この3つの財務諸表を総称して財務三表とも呼ぶ。財務諸表の貸借対照表には”経営の質”が、損益計算書には”経営の収益性”が、キャッシュフロー計算書には”会社の経営状態・戦略・意思”が反映されている。従って、財務諸表をみれば、その会社の経営成績だけでなく、経営者のスタンスから過去の実績や将来の見通しまで、あらゆる情報を読み解くことができる。また、財務諸表は、会社経営(検証根拠・判断基準等)の根幹を支える資料価値もあるので、経営者にとって欠かせないツールでもある。中小企業の財務諸表とは?中小企業の場合、財務三表のうち、キャッシュフロー表の作成義務がない。従って、中小企業の財務諸表は、貸借対照表と損益計算書の二つを指すことが一般的だ。なお、中小企業の決算書を構成する資料に「株主資本等変動計算書」があるが、この財務諸表を経営分析に活用することは殆どない。従って、「貸借対照表」と「損益計算書」の二つの財務諸表が読み解ければ、会社の経営状態を十分に理解することができる。中小企業経営者が読み解くべき、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書について、順を追って詳しく解説する。貸借対照表の見方と仕組み貸借対照表は、会社の資産状況を表す財務諸表である。この財務諸表には、資金の調達方法と調達した資金で購入した資産の保有状態が記録・表示されている。貸借対照表の構成を大別すると、資産の部・負債の部・資本の部の三つで構成されており、資金調達の手段を「負債の部(借金)と資本の部(自己資金)」で表し、調達した資金で購入した資産の保有形態を「資産の部」で表している。従って、『資産の部=負債の部+資本の部』という数式が成り立つ。貸借対照表は、「資産の部」=「負債の部+資本の部」のバランスが均等にとれることから、バランスシート(Balance sheet)、略してB/S(ビーエス)とも呼ばれている。下図は、貸借対照表の構成である。【関連記事】貸借対照表の重要なチェックポイント損益計算書の見方と仕組み損益計算書は、会社の業績状況を表す財務諸表である。この財務諸表には、会社の事業活動の損益結果(収支結果)が表示される。損益計算書は、プロフィットアンドロス(Profit and loss statement)、略してP/L(ピーエル)とも呼ばれている。損益計算書は、営業取引・営業外取引・特別取引の三つの収支で構成されており、三つの収支の利益は、営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の四つの利益で表される。営業取引とは本業の収支のことで、中小企業経営者が最も重要視すべき収支部分になり、売上から売上原価と販売管理費を差し引いた収支金額は、営業利益、若しくは、営業損失として表される。営業外取引とは、本業以外の収支のことである。例えば、預金の受取利息は営業外収入、借入金の支払利息は営業外費用として計上される。営業利益(損失)に対して、営業外取引の収支を加減して求めた金額は、「経常利益」もしくは「経常損失」として表される。特別取引とは、営業取引、営業外取引以外の収支のことである。例えば、貸倒損失、固定資産売却損益等の経常的に発生しない特別な収支のことである。経常利益(損失)に対して、特別取引の収支を加減して求めた金額は、「税引前当期純利益」、もしくは「税引前当期純損失」として表される。最後に、税引前当期純利益(損失)から法人税等の支払金額が差し引かれて、当期純利益、若しくは当期純損失が計算される。下図は、損益計算書の構成である。【関連記事】損益計算書の重要なチェックポイントキャッシュフロー計算書の見方と仕組みキャッシュフロー計算書は、会社のお金の流れを表した財務諸表である。キャッシュフロー計算書は、キャッシュフロー(Cash flow statement)、略してC/Sとも呼ばれている。この財務諸表は中小企業には作成義務はないが、会社の事業活動を通したお金の増減が明確に把握できるので、自社の経営分析のため、或いは、金融機関等、外部の信頼を得るための財務諸表として大変有効に活用できる。キャッシュフロー上の事業活動は、「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」、「財務活動によるキャッシュフロー」の三つの活動分野に分類される。夫々の活動分野のキャッシュフローの状態に応じて会社の経営状態が理解できる。例えば、営業活動によるキャッシュフローがプラスでも、財務活動である借入返済が過大で全体のキャッシュフローがマイナスでは、借入過多で経営バランスが崩れていることが分かる。又は、営業活動によるキャッシュフローがマイナスで、財務活動である金融機関からの借入で会社全体のキャッシュフローをプラスしている場合は、健全な経営体質にないことが分かる。財務諸表の歴史・成り立ち財務諸表の歴史は古く、ヨーロッパの大航海時代に遡ると云われている。当時の交易は、航海で他国に赴き、自国と他国の物品を交換して利益を生み出す手段が一般的だった。従って、交易の主人公は冒険家風の商人が主流だった。商人は、貴族や資産家から集めた資金を元手に航海に出発し、あらゆる港町との交易を経て、元手を増やして帰港する。貴族や資産家への資金返還と関係者への利益配当を公正に行うためには、航海に費やした費用や交易取引を証明する公正な書類が必要だった。そのために発明されたのが、財務諸表の原型と云われている。当時の資金提供者である貴族や資産家は、現代で云えば、投資家のようなものだ。当然ながら、公正で透明性の高い財務諸表を提示できた商人、或いは、財務諸表を深く理解し、航海の度に利益を拡大してくれる商人は人気があっただろう。逆に、不明瞭な財務諸表しか提示できない商人、或いは、財務諸表の理解が不十分で航海の度に利益をマイナスにするような商人は人気がなかっただろう。「財務諸表の理解度が、成功と失敗を分かつ」この法則は、今も不変である。伊藤のワンポイント財務諸表を読み解くスキルは経営者のみならず、ビジネスパーソンの必須スキルといって過言ではありません。財務諸表は数字(算数)の世界ですから、決して難しいものではなく、コツさえつかめば誰にでも理解できます。例えば、自分の会社の財務諸表を読み解く練習は、事業活動が分かっているだけに理解が進み易いです。
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  • 貸借対照表とは/見方と仕組み|貸借対照表を分かりやすく徹底解説
    貸借対照表とは/見方と仕組み|貸借対照表を分かりやすく徹底解説貸借対照表は、会社の資産状況を表す財務諸表である。貸借対照表を見ると会社の安全性が簡単に分かるので、重要な会計資料といえる。この記事では、貸借対照表の見方と仕組みについて、詳しく解説する。貸借対照表で何が分かる?貸借対照表には、資金の調達方法と調達した資金で購入した資産の保有状態が記録される。つまり、資産(現預金・売掛金・不動産・投資設備等)と負債(買掛金・借金等)の保有状態やバランスが一目瞭然で分かる。貸借対照表は、大別して「資産の部・負債の部・資本の部」の三つに区分される。負債の部(借金)と資本の部(自己資金)には「資金の調達手段」が記録され、資産の部には「調達した資金で購入した資産、或いは、調達資金の保有形態」が記録される。従って、資産の部=負債の部+資本の部という数式が成り立ち、また、双方のバランスが均等にとれることから、貸借対照表のことをバランスシート(Balancesheet)、略してB/S(ビーエス)とも呼ばれている。貸借対照表の構成と見方と仕組み貸借対照表に対して苦手意識を持つ中小企業経営者は少なくないが、理解が浅いと会社経営の失敗リスクが高まるので、しっかり理解すべき会計資料である。貸借対照表の構成は下図の通りである。ご覧の通り、貸借対照表は「資産の部・負債の部・資本の部」の三つに区分され、貸借対照表の各区分の見方と仕組みは以下の通りなる。貸借対照表の「資産の部」貸借対照表の「資産の部」には、負債(他人資本=主に借金)と資本(自己資本=元手)で調達した資金を投じて購入した資産の保有形態が記録される。資産の保有形態は、財産価値と換金価値、並びに、流動性の高い資産である「流動資産」と、長期間に亘って保有する「固定資産」、支出効果が一年以上に及ぶ「繰延資産」の三つで構成される。それぞれの詳細解説は下記の通りである。流動資産流動資産とは、1年以内に現金化される資産のことである。現金、預金、売掛金、受取手形、有価証券等、流動性の高い資産が該当する。固定資産固定資産とは、1年以後に現金化される資産、並びに、長期間に亘って保有する固定資産が該当する。1年以後に現金化される資産は、長期未収入金、長期貸付金等、流動性の低い資産がある。長期間に亘って保有する固定資産は、形のある有形固定資産と、形のない無形固定資産がある。有形固定資産は、建物、建物付属設備、構築物、車両運搬具、工具、器具備品、機械装置、などが挙げられる。無形固定資産は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、ソフトウエア、営業権、などが挙げられる。繰延資産繰延資産とは、財産価値と換金価値がなく、支出の効果が1年以上に及ぶ資産が該当する。例えば、会社を設立する際に要する創立費、店舗を新規出店する際の開業費、新商品の開発費などである。この他にも、公共施設や共同施設の改良費用、建物賃借の権利金、電子機器の賃借に伴なう支出費用、広告資産の贈与に伴う費用、ノウハウの頭金、出版権の設定対価、等々も繰延資産の例として挙げられる。なお、繰延資産は償却対象資産である。償却期間は税法で定められている。貸借対照表の「負債の部」貸借対照表の「負債の部」には、他人から調達した資金の保有形態が記録される。負債の保有形態は、1年以内に支払期限が到来する「流動負債」と、1年以後に支払期限が到来する「固定負債」の2つで構成される。それぞれの詳細解説は、下記の通りである。流動負債流動負債とは、1年以内に支払期限が到来する負債である。買掛金、支払手形、短期借入金、未払金等、流動性の高い負債が該当する。固定負債固定負債とは、1年以後に支払期限が到来する負債である。長期借入金、社債等、流動性の低い負債が該当する。貸借対照表の「資本の部」貸借対照表の「資本の部」には、自己資本で調達した資本金と利益剰余金の累計金額が記録され、この部分を「純資産」ともいう。資本金は増資や減資を行わない限り不変だが、利益剰余金の金額は毎期の利益に応じて増減する。利益剰余金がマイナスになると資本欠損になり、利益剰余金のマイナス金額が資本金で賄えなくなると債務超過になる。伊藤のワンポイント貸借対照表は重要な経営資料です。貸借対照表の理解が浅いと、資金繰り悪化、借金過多、投資判断ミスなど等の失敗リスクが高まり、高確率で会社経営に失敗します。会社はお金が無くなると倒産しますので、貸借対照表の現預金と純資産の残高には特に目を光らせてください。
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  • 貸借対照表の重要なチェックポイント|経営リスクは貸借対照表に現れる
    貸借対照表の重要なチェックポイント|経営リスクは貸借対照表に現れる貸借対照表は、会社の資産状況を表す財務諸表である。損益計算書が経営の収益性を表すのに対して、貸借対照表は経営の質を表す。この記事では、貸借対照表の重要なチェックポイントについて、詳しく解説する。貸借対照表の重要性貸借対照表は、会社の資産状況と共に経営の質を表す財務諸表である。例えば、100m走のタイムは損益計算書(今この瞬間の測定結果)に記録され、100m走を走るための練習過程や体力は、貸借対照表(過去から現在までの蓄積)に記録されるイメージだ。貸借対照表は損益計算書に比べると、苦手意識を持っている経営者が少なくないが、貸借対照表のチェックポイントを抑えないと、会社経営の失敗リスクが高まる。なぜなら、会社のお金の動きは、損益計算書ではなく、貸借対照表を見なければ分からないからだ。会社はお金で始まり、お金で終わる。つまり、会社のお金がなくなると、会社が倒産する。従って、会社経営を成功に導くためには、お金の動きが分かる貸借対照表をしっかり理解する必要があるのだ。貸借対照表のチェックポイント貸借対照表の構成は下図の通りである。経営者が最低限理解すべき貸借対照表のチェックポイントは、赤枠で囲っている二つエリアである。貸借対照表の重要なチェックポイントは「流動資産と純資産」で、この二つの増減を見れば、会社のお金の動きが簡単に把握できる。繰り返すが、会社はお金がなくなると倒産するので、お金の動きを表わす流動資産と純資産が、貸借対照表の中で、最も重要なチェックポイントといっても過言ではない。流動資産のチェックポイント貸借対照表の最重要チェックポイントである「流動資産」のチェック方法を詳しく解説する。流動資産とは、1年以内に現金化される資産のことで、現金、預金、売掛金、受取手形、有価証券等、流動性の高い資産が該当する。流動資産の中でも「現金・預金」は最も換金性の高い資産なので、この現預金の増減は、経営者がチェックすべき最重要ポイントになる。貸借対照表のなかの現金・預金の残高が増加傾向にある限り、会社が衰退することはそうそう起こり得ないが、貸借対照表上の現金・預金の増減チェックの計算式は下記の通りである。現金・預金の増減=当月残高-前月残高例えば、現金・預金の当月残高が110万円で、前月残高が100万円であれば、110万円-100万円=10万円の増加ということになる。前月よりも当月残高が増加した場合は「良好(資金繰りが楽)」、逆に、前月よりも当月残高が減少した場合は「悪化(資金繰りが苦しい)」と判断できる。ちなみに、貸借対照表の現金残高と損益計算書の利益金額は一致しない。なぜなら、現金商売以外の会社は、売上代金が遅れて入金されるからだ。例えば、損益計算書上で売上100万円、営業利益が10万円の収益が上がっていたとしても、現金の入金がない限り、貸借対照表の現金残高は0円のままである。10万円の営業利益=10万円の現金残高と勘違いして、10万円を使い込んだらどうなるだろうか?当然ながら、借金をしない限り、資金繰りに窮してしまう。黒字倒産(※1)の多くは、現金残高の見誤りが原因だ。現金の流れが損益計算書ではなく、貸借対照表でなければ分からないと云われる所以はココにある。※1 黒字倒産とは、一時的に入金よりも出金額が上回り現金残高が底をつき支払不履行で倒産すること【関連記事】必要運転資金の計算式と適正水準純資産(資本の部)のチェックポイント貸借対照表の最重要チェックポイントである「純資産」のチェック要領を詳しく解説する。純資産は、自己資本で調達した資本金と利益剰余金の累計金額で構成されていて、資本の部ともいう。資本金は増資や減資を行わない限り不変だが、利益剰余金の金額は損益計算書の当期純利益に応じて増減する。純資産は会社の資本力を示す重要な経営指標なので、現預金の動き同様に、重要なチェックポイントになる。貸借対照表上の純資産の増減チェックの計算式は下記の通りである。純資産の増減=当月残高-前月残高例えば、純資産の当月残高が110万円で、前月残高が100万円であれば、110万円-100万円=10万円の増加ということになる。前月よりも当月残高が増加した場合は「良好(黒字経営)」、逆に、前月よりも当月残高が減少した場合は「悪化(赤字経営)」と判断できる。赤字経営を続けていると会社経営が行き詰ってしまうので、貸借対照表の純資産は経営者が見逃してはならない重要なチェックポイントである。なお、純資産が資本金を下回ると資本欠損、純資産がマイナスになると債務超過になり、会社は倒産状態に陥ってしまう。【関連記事】自己資本比率の計算方法と適正水準貸借対照表の重要なチェックポイントは「現金・預金」と「純資産」の二つのエリアになる。損益計算書に加えて、貸借対照表の重要ポイントを読み解くことができれば、会社経営の失敗リスクは一段と低くなる。伊藤のワンポイント貸借対照表に苦手意識を持つ経営者は少なくありませんが、チェックポイントを超シンプルにしてしまえば難なく読み解けます。貸借対照表の中で重要なのは「現預金と純資産」の増減です。この二つの数字さえ毎月チェックしていれば、会社衰退のリスクを抑えることができます。
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  • 損益計算書とは/見方と仕組み|損益計算書を分かりやすく徹底解説
    損益計算書とは/見方と仕組み|損益計算書を分かりやすく徹底解説損益計算書は、会社の業績状況を表す財務諸表である。損益計算書は会社の収益性を示す重要な会計資料で、会計用語でプロフィットアンドロス(Profit and loss statement)、略してP/L(ピーエル)とも呼ばれている。この記事では、損益計算書の見方と仕組みについて、詳しく解説する。損益計算書の基本構造損益計算書は、会社の業績状況を表す財務諸表である。損益計算書は、会社の儲けの実態を表す収支計算書であり、収支計算の範囲は、営業取引・営業外取引・特別取引の「3つの収支」で構成される。そして、3つの収支は、営業利益・経常利益・税引前当期純利益の「3つの利益」に表れる。損益計算書は、この3つの収支と3つの利益の関係性が分かれば、大よその仕組みと見方が理解できる。【関連記事】図解で簡単に分かる財務諸表の見方損益計算書の3つの収支と利益損益計算書の3つの収支と利益について、詳しく解説する。「営業取引」と「営業利益」営業取引とは本業の収支のことである。売上から売上原価と販売管理費を差し引いた収支金額は「営業利益」もしくは「営業損失」として表示される。この営業取引と営業利益は、損益計算書の最重要ポイントといっても過言ではない。なぜなら、損益計算書の営業取引の成績が良いほど、会社の成長が加速するからだ。「営業外取引」と「経常利益」営業外取引とは、本業以外の収支のことである。例えば、預金の受取利息は営業外収入、借入金の支払利息は営業外費用として計上される。営業利益(損失)に対して、営業外取引の収支を加減して求めた金額は「経常利益」もしくは「経常損失」として表示される。「特別取引」と「税引前当期純利益」特別取引とは、営業取引、営業外取引以外の収支のことである。例えば、貸倒損失、固定資産売却損益等の経常的に発生しない特別な収支のことである。経常利益(損失)に対して、特別取引の収支を加減して求めた金額は「税引前当期純利益」もしくは「税引前当期純損失」として表示される。「当期純利益」(参考)最後に税引前当期純利益(損失)から法人税等の支払金額が差し引かれて、当期純利益、若しくは当期純損失が計算される。損益計算書の構成と見方と仕組み損益計算書の構成は下図の通りである。損益計算書の各項目の計算過程、並びに、見方と仕組みについて、詳しく解説する。営業取引売上会社の本業である営業活動を通じて得られた収入金額が計上される。売上原価売上に連動して仕入れた商品、又は製品化、サービス提供に伴ない支出した外注費等の金額が計上される。売上総利益売上から売上原価を差し引いた金額になる。略して、粗利益ともいう。販売管理費売上に連動して費やされた種々の支出金額が計上される。正式名称は、「販売費及び一般管理費」という。営業利益売上総利益から販売管理費を差し引いた金額になる。営業外取引営業外収益会社の本業以外の活動で得られた収入が計上される。例えば、銀行預金の受取利息、不動産業以外の会社の不動産賃貸収入、自動販売機の収入等が該当する。営業外費用会社の本業以外の活動で費やされた経費が計上される。例えば、借入金の支払利息、社債利息等が該当する。経常利益営業利益に対して、営業外収支を加減した金額になる。特別取引特別利益会社の本業以外の活動、且つ経常性のない臨時収入が計上される。例えば、固定資産売却益、有価証券売却益等が該当する。特別損失会社の本業以外の活動、且つ経常性のない臨時費用が計上される。例えば、固定資産売却損、固定資産除却損、貸倒損失、有価証券売却損、商品廃棄損等が該当する。税引前当期純利益経常利益に対して、特別収支を加減した金額になる。当期純利益(最終利益)税引前当期純利益に対して、法人税等の支払金額を差し引いた金額になる。※ 上記の営業利益、経常利益、当期純利益がマイナスになった場合は、夫々、営業損失、経常損失、当期純損失になる伊藤のワンポイント損益計算書は会社経営の必須ツールです。ですから、毎月の月次決算で内容を確認する習慣をつけてください。また、売上や粗利(売上総利益)だけを見るのではなく、営業利益までしっかり確認してください。営業利益の確認がいい加減になると高い確率で会社が衰退します。
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  • 損益計算書の重要なチェックポイント|経営リスクは損益計算書に現れる
    損益計算書の重要なチェックポイント|経営リスクは損益計算書に現れる損益計算書とは、会社の業績状況を表す財務諸表のことである。会社経営の成功は業績理解度で決まるといっても過言ではないので、経営者の損益計算書を読み解く力が、会社の明暗を分かつ重要な要素になる。この記事では、損益計算書の重要なチェックポイントについて、詳しく解説する。損益計算書の重要性損益計算書とは、会社の業績状況を表す財務諸表のことだ。中小企業経営者にとって、損益計算書は貸借対照表よりも馴染みがあると思うが、重要なチェックポイントを理解した上で、細部まで読解している経営者は決して多くない。例えば、粗利までは把握しているが、営業利益や経常利益を見落としている経営者等は珍しくない。損益計算書には未来の業績を左右する良い兆候も悪い兆候も全て表れるので、それらの兆候を早い段階でキャッチすることができれば、失敗の少ない経営采配が可能になる。つまり、会社経営に失敗しないためには、損益計算書の理解が欠かせないのだ。損益計算書のチェックポイント損益計算書の構成は下図の通りである。損益計算書の重要なチェックポイントは、赤枠で囲っている5つの利益になるが、中でも「売上総利益・営業利益・経常利益」は最重要チェックポイントになる。会社は利益がなくなると現金が減り、現金が底をつくと会社が倒産するので、常に、売上拡大よりも利益拡大を意識した方が、会社の衰退リスクが低くなる。損益計算書の最重要チェックポイントである「売上総益利益・営業利益・経常利益」のチェック方法について、順を追って詳しく解説する。売上総利益のチェックポイント売上から売上原価(商品仕入・製造原価・外注費等)を差し引いた利益を「売上総利益」といい、略して、粗利益(あらりえき)ともいう。そして、売上に占める売上総利益の構成比率を「売上総利益率」といい、略して、粗利率(あらりりつ)ともいう。売上総利益は利益改善の目標指標として最も活用しやすく、事実、財務諸表が苦手な経営者であっても、粗利(粗利率)を活用している経営者はじつに多い。損益計算書上の売上総利益と売上総利益率の計算式は下記の通りである。売上総利益=売上-売上原価売上総利益率=(売上総利益÷売上高)×100例えば、売上原価1円のものを100円で販売すると、売上総利益は100円-1円=99円になる。そして、売上総利益率は(99円÷100円)×100=99%になる。売上原価99円のものを100円で販売すると、売上総利益は100円-99円=1円になる。そして、売上総利益率は(1円÷100円)×100=1%になる。両者を比べると、売上総利益率1%よりも99%の方が、商品の付加価値と利益金額が大きく、会社の収益力が高いということになる。なお、売上総利益率は業界ごとに平均的な水準があるが、平均水準が夫々の会社に適した水準とは限らない。なぜなら、平均水準の母集団には悪い会社の実績が混入しているからだ。決して業界の平均水準で満足せず、1%でも改善する地道な経営努力を続けることが、会社の収益力を高める秘訣になる。また、売上総利益は事業活動を行うための販売管理費(経費)を賄う原資でもあるので、売上総利益を増やすほど、経費を賄う余裕が生まれ、衰退リスクが低くなる。損益計算書の売上総利益は、会社の盛衰を決定付ける重要なチェックポイントだ。【関連記事】売上総利益率の計算方法と適正水準営業利益のチェックポイント売上総利益から事業活動を行うための販売管理費(経費)を差し引いた利益を「営業利益」という。そして、売上に占める営業利益の構成比率のことを、売上高営業利益率という。営業利益は会社の本業の損益(儲け)を表す指標なので、経営者だけでなく、金融機関等の第三者も重要視する、損益計算書の中でも最も重要なチェックポイントといっても過言ではない。損益計算書上の営業利益と売上高営業利益率の計算式は下記の通りである。営業利益=売上総利益-販売管理費売上高営業利益率=(営業利益÷売上高)×100例えば、売上が200円で、売上総利益が100円で販売管理費が10円であれば、営業利益は100円-10円=90円になる。この場合、営業利益率は、(90円÷200円)×100=45%になる。売上が上例同様200円で、売上総利益が100円で販売管理費が90円であれば、営業利益は100円-90円=10円になる。この場合、営業利益率は、(10円÷200円)×100=5%になる。両者を比べると、営業利益率5%よりも45%の方が、会社の収益力が高いということになる。営業利益は経営者の能力(成績)を如実に表す重要な経営指標である。経営者として高い評価を得るには、日頃から営業利益をチェックして、利益拡大のために何をすべきかを真剣に考えることが大切になる。【関連記事】営業利益と営業利益率の計算方法と適正水準経常利益のチェックポイント営業利益から営業外収支を加減した利益を経常利益という。そして、売上に占める経常利益の構成比率のことを売上高経常利益率という。経常利益の計算に関わる営業外収支とは「営業外収益」と「営業外費用」のことで、何れも、会社の本業以外の収入と費用が計上される。例えば、営業外収益であれば銀行からの受取利息等、営業外費用であれば銀行に対する支払利息等が該当する。損益計算書上の経常利益と売上高経常利益率の計算式は下記の通りである。経常利益=(営業利益+営業外収益)-営業外費用売上高経常利益率=(経常利益÷売上高)×100例えば、売上が200円で、営業利益が100円で営業外収益が10円、営業外費用が20円であれば、経常利益は(100円+10円)-20円=90円になる。この場合、経常利益率は、(90円÷200円)×100=45%になる。売上が上例同様200円で、営業利益が100円で営業外収益が10円、営業外費用が100円であれば、経常利益は(100円+10円)-100円=10円になる。この場合、経常利益率は、(10円÷200円)×100=5%になる。両者を比べると、経常利益率5%よりも45%の方が、会社の収益力が高いということになる。経常利益は、借金過多等、財務状況に問題を抱えると営業利益よりも悪化する。また、営業利益同様に、経常利益も経営者の能力(成績)を如実に表す経営指標なので、損益計算書の経常利益も決して見逃せない重要なチェックポイントになる。当期純利益のチェックポイント(参考)最後に、損益計算書に表示されている残り2つの利益についても参考程度にチェックポイントを解説する。一つは「税引前当期純利益」、もう一つは「当期利益」である。それぞれのチェック要領は下記の通りである。税引前当期純利益のチェックポイント経常利益から特別収支を加減した利益を税引前当期純利益という。税引前当期純利益の計算に関わる特別収支とは「特別利益」と「特別損失」のことで、何れも、会社の本業以外の活動、且つ、経常性のない臨時収入・費用が計上される。例えば、特別利益であれば固定資産売却益、有価証券売却益等が該当する。特別損失であれば、固定資産売却損、固定資産除却損、貸倒損失、有価証券売却損、商品廃棄損等が該当する。税引前当期純利益の計算式は下記の通りである。税引前当期純利益=(経常利益+特別利益)-特別損失例えば、経常利益が100円で特別利益が10円、特別損失が60円であれば、税引前当期純利益は(100円+10円)-60円=50円になる。特別収支が生じた事業年度は、必ずチェックしなければならない利益である。当期純利益のチェックポイント税引前当期純利益から法人税等の支払金額を差し引いた利益を当期純利益という。会社が最終的に生み出した利益なので、重要な利益といえる。当期純利益の計算式は下記の通りである。当期純利益=税引前当期純利益-法人税等損益計算書の重要なチェックポイントは、上記で解説した3つの利益(売上総利益・営業利益・経常利益)である。この3つの利益を意識した会社経営を心掛けると、自ずと収益性の高い骨太な経営体質に生まれ変わる。また、会社の衰退リスクもグッと低くなる。会社経営に失敗しないために定期チェックを定着させて、利益重視の経営を心掛けてほしい。伊藤のワンポイント損益計算書に馴染みのある経営者は多いですが、営業利益までチェックしている経営者は意外と少ないです。営業利益のチェックがおざなりになると、組織全体の利益意識が低下し、ムダ・ムラや赤字商品や赤字取引が生まれやすくなります。主要な利益チェックを定着させて、現状改善を推進することが損益改善の正攻法です。
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  • キャッシュフロー計算書とは/見方と仕組み|キャッシュフロー計算書を徹底解説
    キャッシュフロー計算書とは/見方と仕組み|キャッシュフロー計算書を徹底解説キャッシュフロー計算書は、会社のお金の流れが分かる財務諸表である。キャッシュフロー計算書を見ると、その会社のお金の流れが一目瞭然で把握できるので、会社の経営状態、経営戦略、経営者の意思が簡単に理解できる。この記事では、キャッシュフロー計算書の見方と仕組みについて、詳しく解説する。キャッシュフロー計算書とはキャッシュフロー計算書は、会社のお金の流れが分かる財務諸表だ。キャッシュフロー計算書は、キャッシュフロー(Cash flow statement)、略してC/Sとも呼ばれている。中小企業においては、キャッシュフロー計算表の作成義務はないが、大企業においては作成義務があり、財務諸表(決算書)の一部を構成している。キャッシュフロー計算書は、会社の事業活動を通して増減したお金の動きが明確に把握できるので、自己経営診断、或いは、金融機関等の信頼を得るための経営資料としても活用できる。キャッシュフロー計算書の見方と仕組みキャッシュフロー計算書は「営業活動・投資活動・財務活動」の3つの事業活動のキャッシュフローで構成されている。3つの事業活動のキャッシュフローを端的に表現すると、営業活動は本業、投資活動は資産売買、財務活動は借金になる。この3つの事業活動のキャッシュフローを見ると、会社のお金の流れと経営状態が深く理解できる。例えば、営業活動によるキャッシュフローがプラスでも、財務活動である借入返済が過大で全体のキャッシュフローがマイナスでは、借入過多で経営バランスが崩れていることが分かる。或いは、営業活動によるキャッシュフローがマイナスで、財務活動である金融機関からの借入で全体のキャッシュフローをプラスにしているケースも経営バランスが崩れていて、健全な経営状態にないことが分かる。キャッシュフロー計算書に、会社の経営状態、経営戦略、経営者の意思が反映されていると云われる所以はココにある。キャッシュフロー計算書の計算の流れキャッシュフロー計算書の「営業活動・投資活動・財務活動」の詳細、並びに、キャッシュフロー計算の流れは下記の通りになる。営業活動によるキャッシュフロー会社の本業である事業活動によって生じたお金の流れを表わすのが、営業活動によるキャッシュフローである。営業活動によるキャッシュフローがプラスであれば業績が良好、マイナスなら業績が不調ということになる。中小企業の場合、営業活動によるキャッシュフローの良し悪しが資金繰りに直結する。従って、営業活動によるキャッシュフローがマイナスに陥った場合は、早急に経営改善に取り組む必要がある。投資活動によるキャッシュフロー会社の投資活動によって生じたお金の流れを表わすのが、投資活動によるキャッシュフローである。投資活動によるキャッシュフローは、固定資産や有価証券の売却や取得に応じて増減する。事業用設備や機械等の投資(購入)を行う会社は多くあるので、投資活動によるキャッシュフローは一般的にはマイナスなる。投資活動によるキャッシュフローの増減を把握していれば、過剰投資の有無を検証することができるので重要な分野である。財務活動によるキャッシュフロー会社の財務活動によって生じたお金の流れを表わすのが、財務活動によるキャッシュフローである。財務活動によるキャッシュフローは、金融機関からの借入、借入金の返済、配当金の支払等々に応じて増減する。借入よりも借入金の返済を行っている会社の方が多いので、財務活動によるキャッシュフローは一般的にはマイナスになる。財務活動によるキャッシュフローの増減を把握していれば、借入過多の有無を検証することができるので重要な分野である。キャッシュフロー計算書の計算の流れキャッシュフロー計算書の計算の流れは下記の通りになる。営業活動によるキャッシュフロー投資活動によるキャッシュフロー財務活動によるキャッシュフロー期首キャッシュ残高期末キャッシュ残高キャッシュフロー計算書の計算例(間接法)キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書の数字を使って簡便に作成できる間接法が一般的である。間接法のキャッシュフロー計算書の作成要領は概ね下記の通りになる。営業活動によるキャッシュフロー金額 税引前当期純利益*** 減価償却費*** 支払利息*** 売上債権の増加*** 棚卸資産の増加*** 仕入債務の増加*** 法人税等の支払*** その他資産・負債の増減***合計A投資活動によるキャッシュフロー金額 固定資産取得*** 貸付による支出*** その他投資支出***合計B財務活動によるキャッシュフロー金額 借入収入*** 借入返済*** その他財務収支***合計C期首キャッシュ残高D期末キャッシュ残高A+B+C+D
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  • 株主資本等変動計算書とは/見方と仕組み|株主資本等変動計算書を徹底解説
    株主資本等変動計算書とは/見方と仕組み|株主資本等変動計算書を徹底解説株主資本等変動計算書とは、事業年度における純資産の変動を明らかにするための会計資料である。中小企業の決算書の一部を構成する資料であり、主に株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成される財務諸表になる。この記事では、株主資本等変動計算書の見方と仕組みについて、詳しく解説する。株主資本等変動計算書とは株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部の一会計期間における変動額のうち、主に株主に帰属する部分である株主資本の各項目の変動事由を報告するために作成される財務諸表である。株主資本等変動計算書は、2006年5月に施行された「新会社法」で作成が義務付けられ、中小企業の決算書を構成する会計資料になる。株主資本等変動計算書の作成義務付けの理由は、同法で、株主総会、又は取締役会の決議で利益剰余金の配当がいつでも行えるようになったからである。貸借対照表と損益計算書だけでは、資本金や剰余金の数値の連続性が容易に把握できないことから、「利益処分案(損失処理案)」の代わりに「株主資本等変動計算書」が作成されることになったのだ。株主資本等変動計算書は、会社の利益増減のみならず、会社株主による不適当な利益処分なども把握できるため、チェックしておきたい経営資料である。株主資本等変動計算書の見方と仕組み株主資本等変動計算書を見ると「会社の純利益の処分内容と純資産の変動内容」を簡単に把握することができる。下図は、株主資本等変動計算書の構成と、貸借対照表と損益計算書の相関である。株主資本等変動計算書の当期変動額に影響を及ぼす取引は「株主資本」と「株主資本以外」のふたつに分けることができる。従って、「株主資本」と「株主資本以外」に変動を及ぼす主な事項を理解すれば、株主資本等変動計算書の見方と仕組みが概ね理解できる。株主資本等変動計算書の「株主資本」の変動事項株主資本等変動計算書の「株主資本に変動を及ぼす主な事項」の詳細解説は下記の通りである。当期純利益会社が会計期間内(1年)で生み出した最終利益である。当期純利益がプラスであれば株主資本等変動計算書の株主資本が増額し、マイナスであれば減額する。中小企業の場合は、株主資本等変動計算書の変動事項が「当期純利益」だけというケースが殆どだ。新株の発行新たに株式を発行して自己資本を増額すると、株主資本等変動計算書の株主資本が増額する。なお、新株発行は株主総会や取締役会の決議をもって発行条件を決定し、金銭の払い込み後に新株が交付される。剰余金の配当会社の利益剰余金を株主に配当すると、株主資本等変動計算書の株主資本が減額する。なお、剰余金の配当は株主総会や取締役会の決議を持って配当金額を決定し、後日、株主に配当金が支払われる。利益準備金の積立て利益剰余金の配当時に利益準備金を積み立てると、株主資本等変動計算書の株主資本が増額する。利益剰余金の配当は、株主総会等の決議で自由に行えるので、株主の意向で際限なく配当を行うと会社の財務基盤が弱体化してしまう。そこで、株主以外の利害関係者保護のため、会社法で準備金の積立を義務化している。利益準備金の積立額は、配当金の1/10を、資本金の1/4に達するまで積み立てなければならない規定になっている。自己株式の処分自社の株式を自ら取得すると、株主資本等変動計算書の株主資本が減額する。なお、自己株式は資本(出資)の払い戻しなので、他社が発行した株式(有価証券)とは別個の扱いが必要である。株主資本等変動計算書の「株主資本以外」の変動事項株主資本等変動計算書の「株主資本以外に変動を及ぼす主な事項」は下記の通りである。その他有価証券評価差額金換金性の低いその他有価証券の評価替えを行った際に生じる時価と取得原価の差額金のことである。新株予約権一定の条件で会社に対して新株式の発行、或いは自己株式の提供を請求し、その株式を購入できる権利のことである。新株予約権保有者は事前に決定された価格で新株式を購入することができる。また、新株の購入権利者が会社の外部ではなく、取締役や社員であった場合、新株予約権のことをストックオプションともいう。伊藤のワンポイント株主資本等変動計算書は、株主(オーナー)と経営陣(取締役会)が分離している中小企業において、不自然な資本の動きや不当な利益処分がないか等をチェックするために、株主、経営陣の双方が重要視すべき資料です。一方、変動事項が当期純利益しかない中小企業にとっては、さほど重要性の高い資料ではありません。
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  • 減価償却費とは/仕訳と計算の仕組み|減価償却制度の概要から節税メリットまで徹底解説
    減価償却費とは/仕訳と計算の仕組み|減価償却制度の概要から節税メリットまで徹底解説減価償却費とは、減価償却制度に基づいて費用化する際に使われる科目名である。減価償却制度とは、資産性の高い減価償却資産を耐用年数に応じて費用化(減価償却費を計上)する会計制度のことである。この記事では、減価償却費の概要や減価償却資産の種類、並びに、減価償却の会計例とメリットに至るまで、詳しく解説する。減価償却制度とは?減価償却費とは、減価償却制度に基づいて費用化する際に使われる科目名で、減価償却制度とは、資産性の高い減価償却資産を耐用年数に応じて費用化する会計制度のことである。例えば、工場に機械設備を導入した場合、機械設備に投じた費用は、全て減価償却資産として貸借対照表上の資産に計上される。なぜ、費用にならずに資産計上されるのかというと、機械設備等の資産性の高いモノは、ボールペンやノートのように消費財的な性格を伴っていないからだ。消費財的な性格の強いモノは購入から1年もすれば消費されるが、消費財的な性格が弱く資産性の高いモノは1年以上に亘って消費効果が持続する。このように、1年超にわたって消費効果が持続する資産性の高いものを減価償却資産といい、その資産の耐用年数に応じて費用化していく仕組みを減価償却制度という。減価償却資産の種類は?減価償却資産は、有形固定資産と無形固定資産に分別され、有形・無形固定資産の一例は下表の通りである。有形固定資産無形固定資産建物及びその附属設備ソフトウエア構築物特許権・実用新案権機械及び装置意匠権・商標権車両及び運搬具営業権工具、器具及び備品鉱業権・漁業権・水利権船舶・航空機、など水道施設利用権、などまた、固定資産のメンテナンス等に費やした修繕費は、資本的支出(固定資産)と修繕費(費用)に分類され、資本的支出に該当する支出は固定資産に計上され、減価償却資産の対象になる。資本的支出の判定方法は下記の通りになる。資産の使用可能期間を延長する効果がある支出資産の価額を増加させる効果がある支出なお、減価償却資産は、時間(使用)の経過とともに価値が減少する資産のことなので、土地など、時間の経過と共に価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しない。※ 中小企業の場合、少額減価償却資産の一括償却等の特例がある。特例の範囲内で、資産購入支出を購入年度で全額費用化できる減価償却資産の耐用年数と計算方法減価償却資産の耐用年数(下表参照)は、全て税法で定められている。また、減価償却費の計算方法も、定額法と定率法の2種類の方法が税法で定められている。定額法は、購入金額を定額で費用化する計算方法で、定率法は、購入金額を定率で費用化する計算方法になる。定率法の方が資産の減価償却スピードが速いので、効率的な経営を目指すのであれば定率法をお薦めする。なお、減価償却は、個人事業主は強制償却、法人は任意償却になっている。主な減価償却資産の耐用年数は下表の通りである。主な減価償却資産の耐用年数減価償却資産名耐用年数資産例建物11~50年木造、鉄筋、鉄骨、石造等建物付属品3~15年電気設備、給排水設備等構築物5~17年果樹棚、農業井戸、用水路等車両・運搬具2~6年自動車、2輪車、リヤカー等機械装置3~17年機械設備全般、装備品等器具・備品2~20年家具、什器、事務機器、看板等※詳しくは国税局のホームページ参照のこと減価償却費の仕訳と計算例減価償却費の仕訳と計算の仕組みを分かりやすい例を用いて解説する。例えば、機械設備を100万円で現金購入したとして、減価償却の条件は、耐用年数3年,定額法(償却率0.334)とする。減価償却費の計算は、下表の通りになる。1年目 : 100万円×0.334=33.4万円2年目 : 100万円×0.334=33.4万円3年目 : 期首残高 33.2万円-1円=331,999円そして、減価償却費の仕訳処理は、下図の通りになる。ご覧の通り、時間の経過とともに減価償却資産の価値が減少しているのが分かると思う。この例の場合は、3年償却の減価償却資産なので、3年目で減価償却が完了する。なお、最終年に1円の資産価値が残っているのは備忘価格である。(平成19年4月1日以後に購入された資産に関しては備忘価格として1円の残存価額を残す)備忘価格まで償却が終わって、会社の設備として使用状況もなく減価償却資産を廃棄をした場合は、「固定資産除却損」で備忘価額を0円にすることができる。逆に、廃棄ではなく1円以上で売却できた場合は、残存価額と売却益の差額分を「固定資産売却益」として利益計上することになる。ちなみに、減価償却資産は購入時に現金決済が完了していれば、その後の減価償却費の費用計上時は現金が流出しない。つまり、減価償却費は、会社の損金として経費処理できるが、現金流出が伴わない特殊性のある費用になるのだ。減価償却のメリットとは?減価償却を適正に行うと、費用対効果の判定や再投資の促進など、様々なメリットがある。分かりやすい例で、減価償却のメリットを解説する。例えば、年間200万円のアルバイト1名の作業を300万円の機械で代替したとする。機械の耐用年数を5年とすると、年間の減価償却費は60万円(定額法)になる。売上は1,000万円、アルバイト料以外の経費は600万円とする。機械導入前の損益計算科目金額科目金額アルバイト料200万円売上1,000万円その他経費600万円当期利益200万円機械導入後の損益計算科目金額科目金額減価償却費60万円売上1,000万円その他経費600万円当期利益340万円アルバイト1名の作業を300万円の機械で代替した結果、年間利益が200万円から340万円に増額したことが分かる。このように、減価償却を適正に行うと合理的な損益計算が可能となり、結果として、投資効果や費用対効果の測定が正しくできるようになる。減価償却は節税効果もある?節税効果も減価償却制度の大きなメリットのひとつだ。減価償却費は現金支出が伴なわないので、費用計上しても、現金がなくなるわけではない。従って、先の例の場合であれば、年間60万円、償却期間5年でトータル300万円の減価償却費分の現金が会社に残ることになる。当然ながら、減価償却費で貯蓄した現金を投資原資に充てれば、再投資の循環を上手に作ることができる。減価償却制度は、合理的且つ整合性のとれた損益計算を可能にするとともに、再投資の循環を促進する優れた制度でもある。会社の成長を加速するためにも、積極的に減価償却制度を活用することをお薦めする。伊藤のワンポイント減価償却の理解が浅いと会社経営に失敗します。特に、資本集約型産業(主に製造業等)は減価償却が会社経営のキーポイントになりますので、しっかり理解を深める必要があります。キャッシュフローの拡大や成長投資の加速も減価償却の活用次第で決まりますので、理解をおざなりにしないでください。
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  • 経営指標とは|経営分析・経営判断の指標例まで徹底解説
    経営指標とは|経営分析・経営判断の指標例まで徹底解説経営指標とは、財務諸表等の数値を有益な情報に変換し、経営改善のベンチマークになり得る指標のことだ。経営指標は、安定経営の必須ツールといって過言ではなく、経営指標の活用度合いが大きいほど、経営改善の精度が高まり、業績改善のスピードが加速する。この記事では、経営指標の基本概要、並びに、経営分析・経営判断の指標例について、詳しく解説する。経営指標とは経営指標とは、財務諸表等の数値を有益な情報に変換し、経営改善のベンチマークになり得る指標のことだ。経営指標を活用すると、現状と目標の乖離が明快になるので、経営改善の精度が高まり、効率的かつ効果的に業績改善を推進することができる。財務諸表に記載されている数字は紛れもない事実の羅列ではあるが、何ら手を加えていない財務諸表等の数字を眺めていても、会社の経営課題は明らかにならない。経営指標を活用すると、会社の成長性、収益性、生産性、安全性など等、様々な角度から経営課題を明らかにすることができる。経営課題と共に、現状と目標も明快になるので、業績改善のスピードも一段と加速する。経営分析・経営判断の指標例中小企業の経営に役立つ経営分析・経営判断の指標例を紹介する。経営指標の分析や判定は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロでも簡単にできる。また、経営指標の分析や判定は、会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで経営者の数字力が高まる。成長性、収益性、生産性、安全性、企業力の経営分析と経営判断の指標例を紹介するので是非活用してほしい。成長性分析に用いる経営指標会社の成長性分析に用いる経営指標は「売上高成長率」がお薦めだ。売上高成長率とは、前年の売上に比べてどの程度売り上げが成長したかを示す経営指標で、会社の成長性(市場規模等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、プラス5%以上が優良水準になる。計算式【売上高成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100】収益性分析に用いる経営指標会社の収益性分析に用いる経営指標は「売上総利益高営業利益率」がお薦めだ。売上総利益高営業利益率とは、会社の本業の利益水準(儲け)を示す経営指標で、会社の収益性(商品力・競争力等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、プラス10%以上が優良水準になる。計算式【売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益高)×100】生産性分析に用いる経営指標会社の生産性分析に用いる経営指標は「人時生産性」がお薦めだ。人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの生産性を示す経営指標で、会社の生産性(労働効率・経費効率等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、常に増加が優良水準になる。計算式【人時生産性=営業利益金額÷総労働時間】安全性分析に用いる経営指標会社の安全性分析に用いる経営指標は「自己資本比率」がお薦めだ。自己資本比率とは、会社の総資本に占める自己資本の構成比率を示す経営指標で、会社の安全性(支払能力・資本力・体力等)を明快に表す。計算式は下記の通りで、プラス40%以上が優良水準になる。計算式【自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本〕×100】企業力分析に用いる経営指標会社の企業力分析に用いる経営指標は「売上高成長率・売上総利益高営業利益率・人時生産性・自己資本比率」に加えて、「売上総利益率」、「営業利益成長率」、「労働分配率」、「当座比率」等々の経営指標の分析を併用すると明快になる。それぞれの計算式と適正水準は「中小企業の経営指標と経営分析手法」のカテゴリーで解説しているので参考にしてほしい。伊藤のワンポイント経営指標は安定経営の必須ツールです。経営指標の活用度合いが大きいほど業績改善のスピードが加速します。また、衰退の予兆を先手先手で捉えることもできます。経営指標の分析と運用は簡単です。経営指標を活用した経営分析を継続するほど、安定経営が盤石になりますので、どんどん活用して下さい。
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  • 経営分析とは|企業の財務分析から効率性分析まで徹底解説
    経営分析とは|企業の財務分析から効率性分析まで徹底解説経営分析は、企業の経営状態を可視化するために行われる会計手法の総称である。経営分析は、上場企業などの経営状態を客観的に評価する財務分析、企業力を高めるために経営状態を主観的に評価する管理会計や計数管理など、その分析手法は多岐にわたる。この記事では、経営分析の基本概要、並びに、企業の財務分析から効率性分析に至るまで、詳しく解説する。経営分析とは?経営分析は、企業の経営状態を可視化するために行われる会計手法の総称である。経営分析は、企業(経営者)の立場から分析を行う内部分析(管理会計等)と、企業(経営者)以外の立場から分析を行う外部分析(財務分析等)の二つに大別される。例えば、企業力を高めるために経営状況を主観的に分析する管理会計等の分析手法は内部分析になる。事業活動の結果は必ず数字に表れるので、管理会計の運用精度によって企業経営の安全性や成長性は大きく変わり、事実、管理会計が定着している企業の大半は黒字経営(安定経営)を実現している。一方、上場企業などの経営状態を客観的に評価する財務分析は外部分析になる。財務分析は、投資分析や信用分析の手法として株式市場(株式投資家)や信用会社(与信管理)に幅広く活用されている。財務分析とは?財務分析は、どんな会社であっても、大よそ共通の公式や分析手法で会社の実態を外部に公表するために行う分析手法で、主に株式市場や信用会社で活用される経営分析手法になる。財務分析は、主に株式市場や投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められ、大よそ1960年代からアメリカの財務アナリストを中心に、企業の利益の量だけでなく質を問う概念として定着している。また、財務分析は、客観性と信頼性が高い財務諸表等の会計データを基礎にして、その企業の経営状況、経営方針、将来の見通し等の重要情報を内部整理、或いは、外部公表する分析方法なので、上場企業(上場準備企業)の監査において、分析的手続きの一環として行われる。財務分析は外部公表を前提とした経営分析手法で、一方の管理会計等は内部分析に活用する経営分析手法になるので、財務分析と管理会計は、似て非なるものになる。経営分析の基本手法1(財務分析)財務分析(外部分析)は、客観性と信頼性が高い財務諸表等の会計データを基礎にした分析手法が基本になる。財務分析の主要項目は以下の5つに分類される。収益性分析企業の収益水準を分析するもので、分析には主に損益計算書のデータを用いる。売上総利益、営業利益、経常利益等の各種利益率のほかにも総資本利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)などの経営指標も用いられる。成長性分析企業の売上高や利益水準の成長率(伸び率)を分析するもので、分析は主に複数年度の損益計算書のデータを用いる。売上高、営業利益高の各種成長率のほかにも年平均成長率(CAGR)などの経営指標も用いる。安全性分析企業の資産(資本)の調達構造、並びに、支払能力や返済能力を分析するもので、分析には主に貸借対照表のデータを用いる。長期・短期の支払い能力を評価する。主に、自己資本比率、負債比率、流動比率、当座比率などの経営指標が用いられる。生産性分析生産性つまり企業が投入した経営資源がもたらす付加価値や労働生産性を分析するもので、分析には財務諸表と勤怠管理データ等を用いる。主に、労働分配率、人時生産性などの経営指標が用いられる。効率性分析企業がインプットした資産(資本)をどれほど効率的に活用して売上や利益といったアウトプットを上げることができているかを分析するもので、分析には財務諸表のデータを用いる。主に、総資本回転率、固定資産回転率など経営指標が用いられる。※各経営指標の分析手法は当サイト内の「中小企業の経営指標と経営分析手法」を参照経営分析の基本手法2(管理会計等)管理会計等(内部分析)は、いかに経営の実態を掴むか、或いは、経営に役立つ数字をいかに導き出すかという観点での分析手法が基本になる。従って、前章で解説した財務分析に加えて、業種業態によって変わる経営指標の適正水準の把握や、その企業独自の分析手法や経営指標の発掘が肝になる。また、管理会計の運用精度を高めるには、定点観測と継続分析が不可欠になる。なぜなら、継続性なくして、独自の経営指標の発掘や適正水準の把握はできないからだ。以下に、どんな業種であっても有効活用できる経営指標と分析手法を紹介する。人時生産性人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの収益性を評価する経営指標のことで、本業の人時生産性を示す「営業利益金額÷総労働時間」の分析が最も重要になる。適正水準は常に増加になる。現預金・純資産の推移現金が無くなると会社が倒産する。純資産がマイナスに転じると倒産状態の債務超過に陥る。従って、現預金と純資産の推移分析は必須になる。適正水準は常に増加になる。売上総利益高営業利益率売上総利益高営業利益率とは、本業の利益水準(収益性)を評価する経営指標のことで、本業の利益水準を示す「(営業利益高÷売上総利益高)×100」の分析が重要になる。標準水準が10%以上、優良水準が20%以上になる。※各経営指標の分析手法は当サイト内の「中小企業の経営指標と経営分析手法」を参照経営分析の基本手法3(比較分析)経営分析は財務諸表や経営データを元に様々な経営指標を用いて行うが、単一な分析結果を見ても、分析企業の経営状況を把握することはできない。分析結果は、前年実績や業界平均との比較、或いは、特定指標に対する構成比率や相互比率の推移比較を行うことで、数値の良し悪しを客観的に判定することができる。経営分析における比較分析の基本手法は以下の2つがある。実数分析実数分析とは、各経営指標の数値を前年数値、或いは、他社数値や業界平均の数値等と比較する分析手法で、前年対比が典型になる。比率分析比率分析とは、各経営指標の構成比率や相互比率等を通じて行う分析手法で、関係比率法(例:流動資産と流動負債の割合を百分比で示した流動比率)と構成比率法(例:財務諸表の各項目の構成比を百分比で示したもの)が典型になる。効率性分析とは?効率性分析とは、財務分析のひとつで、資本効率性分析ともいう。企業がインプットした資産(資本)をどれほど効率的に活用して売上や利益といったアウトプットを上げることができているかを分析するもので、分析には財務諸表のデータを用いる。効率性分析に用いる経営指標は、主に、総資本回転率、在庫回転率、売上債権回転日数、労働分配率、人時生産性などが用いられる。効率性分析のアプローチは二つある。ひとつは、資本回転率、在庫回転率、売上債権回転日数など、資本(お金)等の投入要素の効率を分析する財務分析的アプローチ。もう一つは、労働生産性(労働分配率)、人時生産性など、資本(お金)等の投入要素以外の効率を分析する管理会計的アプローチがある。※各経営指標の分析手法は当サイト内の「中小企業の経営指標と経営分析手法」を参照効率性分析の基本手法効率性分析の代表的な経営指標は、総資本回転率、在庫回転率、売上債権回転日数などがある。総資本回転率が大きければ少ない資本を活用して多くの売上高を得ていることになる。在庫回転率が大きければ効率よく在庫が売上に転換していることになる。売上債権回転日数が短ければ売上代金の回収スピードが速く運転資金の効率性が高いことになる。効率性分析の結果数値は、時系列の推移分析や実数分析(前年数値、或いは、他社数値や業界平均比較)を行い、より詳細に分析する。但し、業種平均は下位企業の値が混入しているので、実数分析は自社の前回分析数値、或いは、上位企業の数値を目標指標(ベンチマーク)にするとよい。また、効率性分析の結果(目標)は、高ければ良いとは限らない。例えば、在庫回転率の向上を求めるあまり在庫欠品に伴う利益の機会損失を招いては本末転倒になる。従って、効率性分析は、常にリスクを加味した上で、適正水準、或いは、目標設定を行うことが肝要になる。
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  • 管理会計は会社の経営分析力を高める|中小企業の管理会計入門
    管理会計は会社の経営分析力を高める|中小企業の管理会計入門管理会計ほど優れた経営分析手法はない。なぜなら、日常的に管理会計を運用すると、会社の経営状況が明快になり、経営判断や成長戦略を誤るリスクがグッと低下するからだ。事実、管理会計を運用している中小企業の経営状況は極めて良好な一方で、管理会計を運用していない中小企業の経営状況は決まって芳しくない。この記事では、管理会計の概要から管理会計の導入方法、並びに、管理会計の運用方法に至るまで、管理会計の基本を詳しく解説する。管理会計とは?管理会計とは、財務諸表等の経営データの数値を有益な情報に変換、管理、運用し、会社の経営分析力を高める会計手法のことだ。簡単にいえば、会社の数字を有益な情報に変換する優れた経営分析ツールである。例えば、財務諸表に記載されている数字は紛れもない事実の羅列である。財務諸表をみれば、資産がいくらある、負債がいくらある、売上がいくらある、利益がいくらある、など等、それぞれの実績金額を把握することができる。しかし、資産と負債のバランスが適正なのか、売上の成長率は適正なのか、利益の水準は適正なのか、など等、会社経営の適正度合いを実績金額だけで判断するのは困難だ。つまり、何ら手を加えていない財務諸表等の経営データを眺めていても、データの性質や意味を知ることはできない。そこで活躍するのが「管理会計(計数管理)」になる。管理会計は、様々なデータ分析を通して、正しい経営判断を支える良質な根拠情報を生み出す。言ってみれば、管理会計とは、会社の数字を良質な情報に変換するフィルターのようなものだ。管理会計と財務分析の違いとは?管理会計と財務分析は、似て非なるものである。管理会計は内部分析に活用する会計手法、一方の財務分析は外部公表を前提とした会計手法である。財務分析は、どんな会社であっても、大よそ共通の公式や分析手法で会社の実態を外部に公表するために行う分析である。財務分析の数字は、主に株式市場や投資家向けの判断情報になるので、極めて高い公平性と透明性が求められる。一方の管理会計は内部分析に活用する会計手法なので、いかに経営の実態を掴むか、或いは、経営に役立つ数字をいかに導き出すか、という観点での運用が基本になる。従って、業種業態によって計算手法が変わるし、その企業オリジナルの分析手法も沢山ある。例えば、管理会計には、売上成長率、営業利益率、自己資本比率、など等の経営指標が数多く活用されるが、会社を取り巻く事業環境によって、経営指標の選別、経営指標の適正水準、経営指標の活用方法、など等の方針や基準が微妙に変わる。従って、管理会計は運用期間が長いほど、自社にマッチした内部分析のノウハウが蓄積され、管理会計の運用効果が一段と高まる。管理会計の運用期間が短いと、管理会計本来の効果が期待できないので、管理会計は長期運用が絶対条件になる。管理会計を導入すると経営力が高まる管理会計を導入すると経営力が高まる。なぜなら、管理会計を導入すると手元の情報精度が高まり、経営者の経営判断の精度が飛躍的に上がるからだ。下のグラフは、中小企業の管理会計の導入率と赤字経営率を表したものだ。ご覧の通り、中小企業の管理会計導入率は20%程度、一方、管理会計未導入の会社は80%と云われている。中小企業の70%が赤字経営と云われているので、管理会計未導入と赤字経営率は相関がとれている。会社の大小関係なく、不確定要素が多い経営環境を、経験と勘だけで乗り切れるほど会社経営は甘くはない。資本力に乏しい中小企業は、たった一つの判断ミスが致命傷になることがあり得るので、正しい根拠情報を導く管理会計なくして、安定経営は不可能といっても過言ではない。例えば、陸上選手が100m走と10,000m走のどちらに出走しているのか分からずにスタートを切った場合、結果はどうなるだろうか?考えるまでもなく、答えは明白だろう。100m走と10,000m走では、出走するまでのトレーニング方法やゴールまでのペース配分など、全ての条件が変わってくる。管理会計を無視した会社経営というのは、ゴールを知らずに走り出している陸上選手のようなもので、一等賞はもちろんのこと、一生、競争相手に勝つことは出来ないだろう。管理会計は入門者でも簡単に習得できる!!管理会計は、入門者でも簿記や会計の知識ゼロでも簡単に習得することができる。なぜなら、管理会計(経営分析)は、原則、四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界だからだ。また、管理会計(経営分析)は会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで経営者の数字力がみるみる高まる。運用開始から3ヵ月もすれば、数字に弱い社長が、数字に強い社長に変貌することも可能だ。但し、管理会計を導入するうえで気を付けるべきポイントがある。それは、「継続性(継続したモニタリング)」だ。前章で解説した通り、管理会計で活用する経営指標、並びに、経営指標の適正水準等は、事業環境や業種業態、企業文化や経営者の方針によって変化する。それぞれの企業に合った経営指標等は、管理会計を長期的に運用することでみえてくる。継続性なくして正しい経営指標等は見出せないので、会社に管理会計を導入する場合は、まず初めにいくつかの経営指標の分析を定期化し、更に長期運用することが欠かせない。会社にマッチした経営指標等が明確になると、経営分析の精度と共に、経営改善の効率が飛躍的に向上し、赤字経営に転落するリスクが殆どなくなる。管理会計を導入する場合のはじめの一歩会社に管理会計を導入したいと考えても、どこから手を付けたらいいのか分からない、といった経営者もいるかも知れない。そこで、管理会計を用いた経営分析を導入するうえで、はじめの一歩にお薦めの経営指標を紹介する。紹介する4つの経営指標は業種業態関係なく、どんな会社にも通用する指標になる。損益面(収益性)売上成長率、売上総利益高営業利益率資産面(安全性)当座比率、自己資本比率それぞれの単語(ワード)をクリックすると各経営指標の詳しい解説が分かる。実際に、自身の会社の決算書を3期分手元に用意して経営分析してみると、管理会計を用いた経営分析が意外と優しい会計手法であることが理解できると思う。なお、経営指標の分析は、1ヵ月分、或いは、直近の決算書1期分の数字を分析しても、会社の経営実態は見えてこない。決算書であれば、直近から過去3年から5年分の分析が必要だ。点から線へ、線から面へというように、過去から現在までの一定期間の業績推移が分かると、経営実態が明らかになり、将来の業績予測も容易にできるようになる。さて、損益面(収益性)と資産面(安全性)の分析結果は如何だったろうか?良い方向に進んでいただろうか?それとも、悪い方向に進んでいただろうか?たった4つの経営指標であっても、過去3~5年分の数字を並べてみると、会社が良い方向に進んでいるのか、或いは、悪い方向に進んでいるのかを、一目瞭然で判別できる。管理会計(会社の数字)は、衰退予防に役立つ情報を経営者に教えてくれる。例えば、売上総利益高営業利益率の水準が低い会社は、利益を上げるための経営改善策を真剣に考えるきっかけになる。自己資本比率の水準が低い会社は、利益を拡大して、借金を減らし、純資産を増やすための経営改善策を真剣に考えるきっかけになる。管理会計なくして、中小企業の安定経営は不可能に近い。経験や勘が鋭いのに越したことはないが、更に数字にも強くなれば、経営者としては言うことなしである。管理会計を用いた経営分析手法は難しくない。本当に実効性のある僅かな経営指標だけでも、十分に効果のある管理会計を運用することができる。伊藤式管理会計の原点とは?わたしが運用している管理会計は、次の3つの経験と体験をベースに独自開発したものである。会計の専門知識を習得私の場合、プロ経営者になるには会計の知識が必須条件と考え、法律会計学校に通って会計の勉強をスタートした。丸5年間は平日の夜と土日を勉強漬けにしたので、肉体的にも精神的にも大変だったが、苦労の甲斐あって、会社経営に活かせる会計知識(民法・簿記・会計・税法・etc)の習得ができた。中小企業の経営で実践会計の知識を習得する過程で思ったのだが、実は、会計や税法には会社経営の実務にそのまま活かせる知識は殆どなかった。例えば、成長発展に有効な経営分析手法、衰退予防に有効な経営分析手法、売上や利益拡大に役立つ経営分析手法、安定経営を実現するための経営分析手法、など等、会社経営の実務に活かせる知識は殆ど含まれていなかった。わたしが幸いだったのは、会計を学びながら、中小企業の経営に参画していたことで、この時期に、会計の専門知識と会社経営の実学をベースに、会社経営に有効な管理会計の経営分析手法を次々と開発した。巷の経営コンサルタントや税理士の先生が持っている会社経営の知識が如何に浅いものかを思い知ったのも、この時期である。中小企業の経営指導で実践経営コンサルティング会社を創業後(2008年)は、会社再建の仕事に恵まれた。会社再建は経営状態をマイナスからプラスに転換する仕事なので、経営力を磨く最短の近道であり、この時期に薄皮を一枚一枚重ねるように自身の経営力と共に管理会計技術を高めた。この管理会計技術が、私の経営サポートの肝であり、経営改善の成果を上げる必須ツールになっている。【関連記事】経営改善事例|中小企業の改善事例・成功のポイント管理会計は経営者を救う優れたツール!!管理会計ほど中小企業の成長発展を支えるツールはない。なぜなら、中小企業の安定経営の実現、中小企業に適した経営戦略の展開等々、堅実な会社経営を行う上で、管理会計ほど役立つツールはないからだ。例えば、倒産の危機に瀕するような中小企業は、例外なく管理会計を導入していなかった。そして、経営者は全員、数字に弱かった。経営者が数字に弱いゆえに、会社が傾いたケースも沢山あった。衰退する中小企業でも、例外なく利益水準が高く、好調な時期がある。好調な時期に、どうして経営者自身の経営能力を上げるための先行投資をしなかったのだろう?或いは、会社再建の仕事に関わるたびに「好調な時期に管理会計さえ導入していれば...」と、忸怩たる想いを抱いたことは数知れない。会社再建に支払う犠牲は半端なく大きい。倒産経験のない経営者には想像がつかないかも知れないが、わたしは、倒産の危機に瀕するような会社は1社でも少ない方が良いと、心の底から思っている。当サイトで貴重な経営ノウハウを無料で公開しているのも「赤字経営の中小企業を1社でも少なくしたい」という想いがあるからだ。会社の数字から顔を背けても何も発展しない。会社の発展は会社の数字と正面から向き合うところから始まる。会社の変調は必ず数字に表れる。普段から数字の理解に努めれば、きっと数字に救われる。そのためにも管理会計を導入し、経営者の経営分析力を高めることが欠かせないのだ。伊藤のワンポイント管理会計は正しい決断を支える客観的根拠を生み出すので、経営者の決断精度を飛躍的に高めてくれます。管理会計未導入率(80%)と赤字経営率(70%)の相関関係から分かる通り、管理会計なしの経営は失敗を早めるだけです。決断力を高めて安定経営を実現するには、管理会計の長期運用が必須条件です。
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  • 売上高成長率の計算式と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標
    売上高成長率の計算式と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標売上高成長率とは、会社の売上がどの程度成長したかを示す経営指標のことだ。売上高成長率を売上伸び率、或いは、売上伸長率ともいうが、売上高成長率を見れば、その会社の将来性が自ずと見えてくる。例えば、売上高成長率がプラス成長であれば会社の衰退リスクが低く、売上高成長率がマイナス成長であれば会社の衰退リスクが高い、ということが分かる。この記事では、売上高成長率(売上伸び率)の計算式や適正水準(目安)から経営に活かすポイントに至るまで、詳しく解説する。売上高成長率(売上伸び率)とは?会社の発展は売上の成長がなければ望めないので、売上高成長率は重要な経営指標のひとつといえる。また、売上高成長率(売上伸び率)の適正具合が判定できれば、現時点の会社の立ち位置が分かり、今後の対策を立てやすくなる。例えば、売上高成長率が適正水準よりも劣っていれば、売上を伸ばすための対策を冷静に改善することができるし、売上高成長率が適正水準内に収まっていれば、売上を伸ばすための活動を確信をもって推進することができる。中小企業の会社経営は、闇雲に管理するよりも、しっかりとした目標指標を持って管理した方が、数倍、経営効率が上がる。特に、売上高成長率は会社の将来を見通す重要な経営指標であると共に、経営改善の要の指標にもなり得るので、中小企業の会社経営に大いに役立つ。売上高成長率(売上伸び率)の計算式売上高成長率(売上伸び率)の計算式は下記の通りである。売上高成長率(売上伸び率)の計算式単年成長率の場合 : 売上高成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100単月成長率の場合 : 売上高成長率=〔(当月売上高-前年同月売上高)÷前年同月売上高〕×100例えば、当期売上高が10億円で前期売上高が9億円の場合の売上高成長率(売上伸び率)は、〔(10億円-9億円)÷9億円〕×100=11.11%になる。当月売上高が0.9億円で前年同月売上高が1億円の場合の売上高成長率(売上伸び率)は、〔(0.9億円-1億円)÷1億円〕×100=△10%になる。なお、売上高成長率を単月比較で計算する場合は、季節変動や特需に伴う売上の増減よって、実態とかけ離れた結果が出ることがあるので、季節変動や特需が多い会社は、単年比較で売上高成長率を計算した方が良い。売上高成長率の単年比較の計算は、決算を待たずとも、売上の年計を毎月集計すれば容易に計算できるので、単月比較と共に運用することをお薦めする。売上高成長率(売上伸び率)の適正水準(目安)中小企業の売上高成長率(売上伸び率)の適正水準(目安)は下記の通りである。売上高成長率(売上伸び率)の適正水準(目安)超優良水準 6~20%売上高成長率が6~20%の範囲内に収まっていれば超優良水準になる。この水準で売上が推移していれば会社は着実に成長する。現在の取り組みを積極的に継続展開すれば益々の売上成長が望める可能性が高い。また、この水準で成長してる時は、会社のサービスを低下させないために、組織や経営管理面の体制強化を同時に進める必要がある。安全水準 0~5%売上高成長率が0~5%の範囲内に収まっていれば安全水準になる。この水準で売上が推移していれば会社経営は安定する。成長の前期、もしくは、成長の後期に、この水準に位置していることが多い。更なる売上成長を望める位置にあるので、新しい経営戦略と戦術を積極展開すれば、超優良水準へステップアップできる可能性がある。超優良水準からの降格であれば、新たな取り組みを検討する必要がある。準危険水準 ▲1~▲10%売上高成長率が▲1~▲10%の範囲内は準危険水準になる。売上の成長が止まり、会社の業績が傾き始めている可能性が高い。既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みが必要である。また、売上減少分の経費を削減しないと、利益が減少し、赤字経営に転落するリスクが高まる。新たな取り組み+コストダウンをセットで取り組むことが大切だ。危険水準(1) ▲11~▲20%売上高成長率が▲11~▲20%の範囲内は危険水準になる。売上の成長が完全に止まっている。既に、赤字経営に陥っていて、厳しい経営状況に陥っている可能性が高い。この水準まで売上が落ち込んでいる場合は、真っ先に、会社のコストカットを行い、会社の黒字化を最優先しなければならない。黒字化した後、既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みを行い、売上の早期回復を図ることが危険水準を脱するコツになる。危険水準(2) 21%以上売上高成長率が21%以上であれば危険水準になる。売上は下がっても問題だが、伸びすぎても問題が生じる。この場合、会社の収益面は問題ないが、組織や経営管理の体制に問題が生じる可能性がある。例えば、☑注文や発送対応が追いつかない☑商品製造や品質管理がキャパオーバー☑人員不足で業務の効率が著しく低下している等々、組織や経営管理の体制に綻びが出始めて、会社のサービスが低下し、客離れを引き起こすことがある。また、20%を超える急激な成長は、ブーム等に乗った一時的なものかも知れない。このような急成長の最中に投資を加速すると、売上成長率が鈍ったときに人員が溢れたり、経費が賄えなかったり、操業度が落ちたり、等々、倒産リスクが高まる。会社が急成長した後に倒産するケースは稀に起こっている。会社が急成長した時ほど気を引き締めて、堅実な会社経営を心掛ける必要がある。超危険水準 ▲21%以下売上高成長率が▲21%以下であれば超危険水準になる。会社は赤字経営で、資金繰りにも支障が出始めている。恐らく、倒産の可能性が極めて高い。この水準まで売上が落ち込んでいる場合は、待ったなしで会社再建の手を講じる必要がある。不採算部門の閉鎖、人員整理、返済計画のリスケジュール、等々、会社の足を引っ張る部分を早急に取り除かないと、会社全体が蝕まれてしまう。会社が倒産すると経営者はもちろん、家族や社員、取引先も不幸にしてしまう。従って、売上成長率が危険水準に陥った時点で、待ったなしで経営改善の手を講じなければならない。経営改善の着手が遅れると、時すでに遅しとなる。売上高成長率で企業成長率は測定できない!?売上高成長率を用いて企業成長率を測定する経営者を稀に見かけるが、この測定方法で、正しい企業成長率を測定することはできない。なぜなら、企業の正しい成長率は、「売上」というたった一つの指標だけで測定することができないからだ。事実、売上が拡大している企業が倒産の危機に瀕するケースは珍しくなく、売上高成長率が企業成長率を正確に表していないことは明白である。企業の正しい成長率を測定するのであれば、売上高に、利益や現金といった、会社存続に欠かせない指標をプラスしなければならない。また、数値目標として売上高成長率を掲げる場合も、同様の注意が必要だ。【関連記事】企業成長率の計算式と適正水準売上高成長率を経営に活かすポイント売上高成長率(売上伸び率)は会社の成長を端的に表す、使い勝手の良い経営指標である。売上高成長率を日頃からモニタリングしていれば、「マイナス成長は経営改革の検討」を、「プラス成長であっても、行き過ぎたプラス成長は経営管理体制の見直し」を、というように、より良い成長環境を整えるための準備を手前手前で講じることができる。物事の成功は段取りで決まると云われているが、中小企業の会社経営も同じである。普段から準備を怠ることなく会社の経営にあたっていれば、自ずと会社の成長、強いては、経営の成功がみえてくるものだ。売上高成長率は、経営者が積極的に活用したい経営指標の一つだ。伊藤のワンポイント売上の成長は企業の存続に欠かせません。一般的には顧客の1~2割は常に入れ替わっていると云われていますので、売上高成長率をプラス維持することは並大抵なことではありません。しかし、その事実から逃げていては、売上は減る一方です。安泰はあり得ないという前提に立ち、果敢に挑戦する姿勢が新しい売上を生み出します。
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  • 売上原価率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標
    売上原価率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標売上原価とは、売上に占める原価(仕入等)のことで、売上に占める売上原価の構成比率のことを売上原価率という。会社経営は、売上原価以上の値段で商品やサービスを販売することで初めて成立するので、売上原価ほど重要な経営指標はない。この記事では、売上原価の基本概要から売上原価率の計算方法や売上原価率の目安、並びに、売上原価率の改善方法に至るまで、詳しく解説する。売上原価とは?売上原価は、仕入や外注費など販売管理費以外の経費のことだが、売上原価と売上原価率の把握なしに、まともな原価管理は絶対にできない。また、会社経営は、原価以上の売値で販売することで初めて成り立つので、売上原価と売上原価率の把握は経営管理の要といっても過言ではない。売上原価の構成イメージは下図の通りである。売上に占める売上原価の構成比が小さいほど売上原価率も低くなり、売上原価率が低いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源が大きくなる。逆に、売上に占める売上原価の構成比が大きいほど売上原価率も高くなり、売上原価率が高いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源が小さくなる。売上原価率の計算方法売上原価率の計算式は下記の通りである。売上原価率の計算方法売上原価率=(売上原価÷売上)×100例えば、売上原価1億円、売上2億円の会社があった場合の売上原価率は、(1億円÷2億円)×100=50%となる。商品を700円で仕入れて、その商品を1,000円で販売した場合の売上原価率は、(700÷1,000)×100=70%になる。材料を300円で仕入れて、その材料をもとに作った料理を1,000円で提供した場合の売上原価率は、(300÷1,000)×100=30%になる。売上原価率は、売上に占める売上原価の構成比率を表すので、売上原価率をモニタリングすると、会社の収益性やコスト構造を的確に分析することができる。売上原価率の適正水準(目安)と改善方法主要業界の売上原価率の適正水準(目安)と売上原価率の改善方法は下記の通りである。売上原価率の適正水準(目安)飲食業界 15%~25%飲食業界の売上原価率は15%~25%が標準水準になる。稀に、売上原価率が25%以上の飲食店があるが、超高単価、或いは、顧客回転率が高くなければ成り立たない。飲食業界において売上原価率を下げるには、独自の材料調達ルートの確保が有効だ。また、スープストック等、調理に時間のかかる材料を外注化し、半完成品として店舗に導入する方法もトータルコストが下がるので有効である。卸売業界 75~85%卸売業界の売上原価率は75%~85%が標準水準になる。卸売業界は売上原価率の水準が非常に高い。従って、商品の保管効率や配送効率を工夫しないと高い収益が確保できない。小売業界 50%~75%小売業界の売上原価率は50%~75%が標準水準になる。通販会社は50%、百貨店・雑貨店は50~60%、スーパーマーケット等は65%~75%というように、顧客層や業態によって標準水準に幅がある。また、稀に、売上原価率が75%以上の小売店があるが、顧客回転率が高くなければ成り立たない。小売業界において売上原価率を下げるには、独自商品の内製化が有効である。例えば、加工材料を仕入れて、オリジナルの餃子や饅頭等を社内製造し、売上原価率30~50%で販売できれば、お店全体の売上原価率を押し下げる効果が期待できる。売上原価率の業種別の平均は?売上原価率の業種別平均値はそれぞれの業界団体などが公開しているが、平均値を知ったところで経営に役立つことは何もない。なぜなら、売上原価率の平均値は、少数の良い会社の実績を多数の悪い会社が足を引っ張る構図で計算されているからだ。従って、平均値を目標指標に掲げて売上原価率の改善を推進しても、トップ企業に追いつくことはできず、まったく非効率な活動に陥る可能性もある。売上原価率の改善は、独立独歩で1%ずつ確実に改善する姿勢が正攻法になる。売上原価率の業界別の水準は?売上原価率の適正水準は飲食業や小売業にはあるが、その他の業種業態には適正水準がない。例えば、健康食品や化粧品等は、売上原価率が10%以下のものが数多くある。この分野は、「身体に効く」、「痩せる」、「美しくなる」等々、科学的根拠がなくても、付加価値のイメージを膨らませることができれば、際限なく商品の値段を釣り上げることが出来る。虚像で付加価値を高める手段は推奨しないが、競合他社に真似ができず、なお且つ、誠実な努力の元に作られた商品であれば、純粋に付加価値の高い商品といえるので、市場が許容する範囲内で、いくら高い値段をつけても問題はない。極端なはなし、売上原価が1円であっても、世界一の商品であれば、世界一高くても構わないのだ。当然ながら、売上原価と販売価格の差が大きくなるほど、売上原価率が低下し、会社の儲けが大きくなる。付加価値の高い商品にも関わらず、一般市場の価格に合わせてしまい、然るべき利益を獲得できていない中小企業は少なくない。付加価値の高い商品を元に高水準の利益体質が確立できれば、成長投資のサイクルが加速し、会社の優位性はどんどん高まる。中小企業経営者は、自社商品の付加価値の高さと売上原価率が見合っているか否かを、時折り点検することも必要だ。売上原価率を会社経営に活かすポイント中小企業が、最小の売上原価で最大の売上を得るには、会社が提供する商品の付加価値を極限まで高める努力が欠かせない。売上原価率を高めて(お金をかけて)、商品の付加価値を高めることは誰にでもできる。最小の売上原価で最大の売上を得るオンリーワン商品を目指すのであれば、売上原価率をキープして(お金をかけず)、商品の付加価値を高める努力が必要だ。つまり、付加価値を高めるための弛まぬ経営改善の継続と改善検証のための売上原価率のモニタリングが、最小の売上原価で最大の売上を獲得する秘訣になる。伊藤のワンポイント売上原価の管理が杜撰な会社は衰退します。赤字取引や赤字商品を生み出す元凶になるからです。会社を成長させるには、取引単位、商品単位レベルの売上原価の把握・分析が不可欠です。競合よりも低い売上原価で商品やサービスを提供することができれば競争優位性がグッと高まり、会社の成長が一段と加速します。
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  • 売上総利益率の計算式と適正水準(目安)|利益分析に用いる経営指標
    売上総利益率の計算式と適正水準(目安)|利益分析に用いる経営指標売上総利益とは、売上に占める売上原価(仕入等)以外の利益のことで、売上に占める売上総利益の構成比のことを売上総利益率という。会社経営は利益を出すことで初めて成立するので、売上総利益ほど重要な経営指標はない。この記事では、売上総利益の基本概要から売上総利益率の計算方法や売上総利益率の目安、並びに、売上総利益率の改善方法に至るまで、詳しく解説する。売上総利益率とは?売上総利益と売上総利益率は、別称「粗利(あらり)・粗利率」とも云い、会社の利益指標として最も馴染みのある経営指標でもある。会社経営は利益を生み出すことで初めて成り立つので、売上総利益と売上総利益率の把握は利益管理の要といっても過言ではない。当然ながら、売上総利益と売上総利益率の把握なしに、まともな利益管理も会社経営も出来るものではない。売上総利益の構成イメージは下図の通りである。売上に占める売上総利益の構成比が大きいほど売上総利益率も高くなり、売上総利益率が高いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源も大きくなる。逆に、売上に占める売上総利益の構成比が小さいほど売上総利益率も低くなり、売上総利益率が低いほど、商品の付加価値と販売管理費を賄う収益源も小さくなる。売上総利益率の計算方法売上総利益率の計算式は下記の通りである。売上総利益率の計算式売上総利益率=(売上総利益÷売上)×100例えば、売上総利益1億円、売上2億円の会社があった場合の売上総利益率は、(1億円÷2億円)×100=50%となる。商品を700円で仕入れて、その商品を1,000円で販売し、手元に300円の売上総利益が残った場合の売上総利益率は、(300÷1,000)×100=30%になる。材料を300円で仕入れて、その材料をもとに作った料理を1,000円で提供し、手元に700円の売上総利益が残った場合の売上総利益率は、(700÷1,000)×100=70%になる。売上総利益率とは、売上に占める売上総利益の構成比率を表すので、売上総利益率をモニタリングすると、会社の収益性を的確に分析することができる。会社の収益性は、企業存続を左右する重要な管理項目なので、売上総利益率は、会社経営の最重要指標のひとつといっても過言ではない。売上総利益率の適正水準(目安)と改善方法主要業界の売上総利益率の適正水準(目安)と改善方法は下記の通りである。売上総利益率の適正水準(目安)飲食業界 75%~85%飲食業界の売上総利益率は75%~85%が標準水準になる。稀に、売上総利益率が75%以下の飲食店があるが、超高単価、或いは、顧客回転率が高くなければ成り立たない。飲食業界において売上総利益率を上げるには、独自の材料調達ルートの確保が有効だ。また、スープストック等、調理に時間のかかる材料を外注化し、半完成品として店舗に導入する方法もトータルコストが下がるので有効だ。卸売業界 15~25%卸売業界の売上総利益率は15%~25%が標準水準になる。卸売業界は売上総利益率の水準が非常に低い。従って、商品の保管効率や配送効率を工夫しないと高い収益が確保できない。小売業界 25%~50%小売業界の売上総利益率は25%~50%が標準水準になる。通販会社は50%、百貨店・雑貨店は40~50%、スーパーマーケット等は25%~35%というように、顧客層や業態によって標準水準に幅がある。また、稀に、売上総利益率が25%以下の小売店があるが、顧客回転率が高くなければ成り立たない。小売業界において売上総利益率を上げるには、独自商品の内製化が有効だ。例えば、加工材料を仕入れて、オリジナルの餃子や饅頭等を社内製造し、売上総利益率50~70%で販売できれば、お店全体の売上総利益率を押し上げる効果が期待できる。売上総利益率の業種別の平均は?売上総利益率の業種別平均値はそれぞれの業界団体などが公開しているが、平均値を知ったところで経営に役立つことは何もない。なぜなら、売上総利益率の平均値は、少数の良い会社の実績を多数の悪い会社が足を引っ張る構図で計算されているからだ。従って、平均値を目標指標に掲げて売上総利益率の改善を推進しても、トップ企業に追いつくことはできず、まったく非効率な活動に陥る可能性もある。売上総利益率の改善は、独立独歩で1%ずつ確実に改善する姿勢が正攻法なのだ。売上総利益率の業界別の水準は?売上総利益率の適正水準は飲食業や小売業にはあるが、その他の業種業態には適正水準がない。例えば、健康食品や化粧品等は、売上総利益率が90%以上のものが数多くある。この分野は、「身体に効く」、「痩せる」、「美しくなる」等々、科学的根拠がなくても、付加価値のイメージを膨らませることができれば、際限なく商品の値段を釣り上げることができる。虚像で付加価値を高める手段は推奨しないが、競合他社に真似ができず、なお且つ、誠実な努力の元に作られた商品であれば、純粋に付加価値の高い商品といえるので、市場が許容する範囲内で、いくら高い値段をつけても問題はない。当然ながら、売上総利益と販売価格の差が小さければ小さいほど、売上総利益率が上昇し、会社の儲けが大きくなる。純粋に付加価値の高い商品にも関わらず、一般市場の価格に合わせてしまい、然るべき利益を獲得できていない中小企業は少なくない。付加価値の高い商品を元に高水準の利益体質が確保できれば、成長投資のサイクルが加速し、会社の優位性はどんどん高まる。中小企業経営者は、自社商品の付加価値の高さと売上総利益率が見合っているか否かを、時折り点検することも必要だ。売上総利益率を会社経営に活かすポイント売上総利益率のことを粗利率(あらりりつ)とも云うが、中小企業経営者にとって粗利や粗利率ほど馴染みのある経営指標はないだろう。売上総利益率を経営に活かすには、その性質をしっかり理解することが大切で、最も理解すべき性質は「売上総利益は会社の最終利益ではない」ということである。売上総利益は、経費(販売管理費)を差し引く前の仮の利益に過ぎない。当然ながら、売上総利益よりも経費が多ければ営業利益が赤字、売上総利益よりも経費が少なければ営業利益が黒字というように、常に経費を減じた後の営業利益に目を向けなければ会社経営の正否を判断することは出来ない。売上総利益一辺倒(粗利一辺倒)で、営業利益を見落としたまま会社が衰退するケースは多く、「売上総利益は経費を差し引く前の仮の利益」という意識なくして、確かな経営は出来ない。また、売上総利益率は僅か0.1%の改善でも大きな収益効果を生み出すが、売上総利益を上げるために過分に経費をかけた結果、経費率が0.1%でも上昇すると、せっかくの収益改善効果は消えてしまう。売上総利益と経費が常に対の関係にあることを意識したうえで、売上総利益率を改善することが、売上総利益率を押し上げる確かな法則になる。伊藤のワンポイント売上総利益率、略して粗利率は最も馴染みのある経営指標です。企業の収益性を表す重要指標には違いありませんが、更に重要なのは人件費などのコストバランスや営業利益にしっかり目を向けることです。業績が悪化している企業ほど、この点がなおざりになっていますので、くれぐれも注意してください。
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  • 経費率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標
    経費率の計算式と適正水準(目安)|コスト分析に用いる経営指標経費率とは、収入に対する経費の構成比率のことである。経費率は、会社の収入に対するコストバランスを示す経営指標だが、会社経営は収入以下のコストで運営することによってはじめて成り立つので、経費率ほど重要な経営指標はない。当然ながら、収入以上の経費をかけてビジネスを続けていては、何れ会社が倒産してしまう。従って、中小企業経営者が安定経営を目指すのであれば、然るべきコスト目標を立てて、適正な経費水準を維持することが欠かせない。この記事では、経費率の計算式と適正水準(目安)について、詳しく解説する。経費率の計算式(求め方)経費率は、会社の収入に対する経費の構成比率のことである。会社の収入には、売上と売上総利益(粗利)のふたつの収入があるため、経費率の計算方法も二通りに分かれる。それぞれの計算方法(求め方)は下記の通りである。経費率の求め方売上高経費率=(経費÷売上)×100売上総利益高経費率=(経費÷売上総利益)×100例えば、売上1,000万円、売上総利益500万円、経費400万円、営業利益100万円だった場合の経費率は下記の通りになる。経費率の計算例売上高経費率=(400÷1,000)×100=40%売上総利益高経費率=(400÷500)×100=80%会社経営の本質は最小のコストで最大の利益を上げるところにあるので、経営者の行動原理を明快にするコスト目標ほど重要なものはない。会社のコストコントロールがうまくいかずに衰退の一途を辿る中小企業などは、コスト目標がない、或いは、誤ったコスト目標を掲げているケースが多い。安定経営を実現するには、然るべき会社のコスト目標、或いは、目指すべき経費率の目標が不可欠なのだ。正しい経費率の指標と目標は?経費率は、会社の経費管理、或いは、コストコントロールに不可欠な指標だ。当然ながら、確かな指標なしに、経費の正しい管理も、コストコントロールもできるものではない。会社の経費が適正に保たれているのか?そもそも、会社の経費バランスの適正な水準はあるのか?など等、経費率のコントロールに悩みを抱えている中小企業経営者は多いと思うが、一般的には、経費率の計算式は「(経費÷売上)×100」で求めている会社が多い。しかし、この計算式だと売上に占める経費の構成比率は計算できるが、適正指標や目標として活用しにくいというデメリットがある。どういう事かというと、経費を賄う収益の源泉は、売上ではなく、売上総利益(粗利)だからである。売上=売上総利益(粗利)という収入構造の会社であれば問題はないが、売上総利益の水準は、業種業態、或いは、同じ会社であっても部門が違えば変わってしまうことがある。当然ながら、売上総利益の水準が変化すると、合理的且つ公平なコスト目標として活用しにくいというデメリットが生じてしまう。売上高経費率のデメリットとは?売上高経費率のデメリットについて、次の例で説明する。例えば、会社内に、売上1,000万円のA事業部とB事業部という部門があったとする。A事業部は、売上1,000万円に対して粗利が1,000万円(粗利率100%)で経費が500万円、B事業部は、売上1,000万円に対して粗利が500万円(粗利率50%)で経費が250万円だとする。この場合、それぞれ事業部の売上高経費率は、以下の通りになる。A事業部:(経費500万円÷売上1,000万円)×100=経費率50%B事業部:(経費250万円÷売上1,000万円)×100=経費率25%A事業部50%>B事業部25%となるが、経費率が低いB事業部の方が経営状態が良好とは断定できない。また、A事業部とB事業部、お互いのコスト目標となる経費率を掲げようと思っても、双方が納得する合理的なコスト目標を掲げることの難しさも残る。売上高経費率には、公平なコスト水準の測定だけでなく、合理的かつ公平なコスト目標も立てることができないデメリットがあるのだ。正しいコスト目標になり得る経費率とは正しいコスト管理、或いは、正しいコスト目標に適している指標は、売上総利益高経費率になる。なぜなら、前章で解説した売上高経費率のような不公平感が解消されて、公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てることができるからだ。例えば、前章のケース例を用いて「売上総利益高経費率」を計算すると下表の通りになる。A事業部:(経費500万円÷売上総利益1,000万円)×100=経費率50%B事業部:(経費250万円÷売上総利益500万円)×100=経費率50%ご覧の通り、経費の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、A事業部50%=B事業部50%、経費率が両事業部一緒になった。つまり、会社の儲けである売上総利益(粗利)に対する経費の占める割合は両事業部一緒だったということだ。これであれば、両事業部の成績(コスト優位性)がイーブンであることを合理的に示すことができる。また、経費率の改善も、共通の指標を持って取り組むことが可能になる。公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てるには「売上総利益高経費率」が最も適しているのだ。経費率の適正水準(目安)中小企業の売上総利益高経費率の適正水準(目安)は下表の通りである。売上総利益高経費率の適正水準(目安)80%以下経費率が80%以下であれば優良水準である。90%以下経費率が90%以下であれば標準水準である。100%以下経費率が100%以下であれば改善の余地がある。100%以上経費率が100以上であれば、危険水準である。収益以上の経費がかかっている状態、いわゆる赤字経営に陥っているため、早急に経費を削減するなどして、経費率を100%以下に抑える改革が必要だ。経費バランスの適正目安続いて、経費バランスの適正目安について解説する。経費バランスは、殆どの会社にとっての最大経費である人件費と人件費以外の経費を分解して考えると分かりやすい。下表は、経費バランスの標準ラインを示したものになる。売上総利益「100」に対して、経費率を標準の「90」として、その「90」を人件費と人件費以外の経費に分解している。経費率(経費バランス)の標準水準表売上総利益100100100100100経費合計9090909090人件費7060504030人件費以外2030405060営業利益1010101010経費率90%90%90%90%90%人件費率70%60%50%40%30%人件費以外率20%30%40%50%60%標準ラインの経費率90%に対して、人件費率の適正水準(目安)は、業種業態によって異なるが、概ね30%~70%の範囲内に収まる。一般的には、労働集約型の業種(例:コールセンター)は人件費率が高くなり、資本集約型の業種(例:無人化が進んでいる工場)は人件費率が低くなる。会社の経費バランスの適正目安が分かれば、効果的なコストコントロールが可能になるので、会社の生産性改善を効率的に進めることができる。また、売上が増加傾向にあり、なお且つ、経費バランスの水準が標準を上回ると、会社の成長基盤はますます盤石になる。【関連記事】人件費率の計算式と適正水準、並びに、業界平均と業種別の目安経費率の効果的なコスト改善手法とは?中小企業が経費率を活用してコスト改善する際の目標設定と改善プロセスは以下の手順で進める。経費率と人件費率を算定する会社の損益計算書から、売上総利益、経費合計、人件費、人件費以外の経費、営業利益を抽出し、売上総利益高経費率等を求める。売上総利益高経費率等の計算式は下記の通りである。経費率=(経費合計÷売上総利益)×100人件費率=(人件費÷売上総利益)×100人件費以外の経費率=(人件費以外の経費÷売上総利益)×100営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100適正指標を判定し改善目標を算定する会社の経費率等が前章で解説した標準水準表のどの水準に位置するかを判定する。下表は実績と改善目標の例である。実績(例)適正水準改善目標売上総利益100100-経費合計9790△7人件費5550△5人件費以外4240△2営業利益310+7経費率97%90%△7%人件費率55%50%△5%人件費以外率42%40%△2%経営改善目標の計算式会社の経費率等の実績と適正水準が判明したら、経営改善の数値目標を計算する。それぞれの計算式は下記の通りである。経費削減目標=適正水準-実績人件費削減目標=適正水準-実績人件費以外の経費削減目標=適正水準-実績営業利益目標=人件費の削減目標+人件費以外の経費の削減目標上記の通り、経費率等の適正水準が分かれば明確なコスト改善目標を掲げることができるので、経営改善のスピードが格段に上がる。何といっても、会社を経営するうえで目標ほど重要な要素を持っているものはない。なぜなら、確かな目標がなければ、何をすべきかが曖昧になり、効率的に経営改善を進めることができないからだ。勘と経験に頼った会社経営ではひとつの判断ミスで会社が傾くリスクがある。安定経営を目指すのであれば、正しい目標が欠かせないのだ。経費率を会社経営に活かすポイント経費率は、一般的には売上の構成比で求める。しかし、本記事で解説した通り、売上の構成比で求める経費率は、業種業態によっては合理性が崩れ、経営判断の根拠になり得ないことが起こる。中小企業の経費率は、どんな業種業態でも合理性が保て、且つ、正しい根拠になり得る、売上総利益の構成比で求めるのが正しい判断になる。「売上総利益高経費率」をモニタリングしていれば、経費バランスを保つための適切なコストコントロールが可能になる。多くの経営指標は、経営学や会計学、或いは簿記論や税法等の学術理論に則り運用されているケースが多いが、学術理論を鵜呑みにするのは危険な判断だ。何事も基本は大事だが、学術理論に振り回されて、会社経営に有効活用できない経営指標を使っていては意味がない。自分の会社経営を助ける経営指標は、経営者の創意工夫で生み出し、独自運用することが安定経営を実現する秘訣でもある。伊藤のワンポイント上手なコストコントロールは、経費率を把握することから始まります。そのうえで然るべき目標を立てて、その目標を基準にコストをコントロールすることが成功の秘訣です。会社経営は売上以下の経費で運営しなければ破綻するので、経費率の推移を常にモニタリングすることを忘れないでください。
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  • 人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで徹底解説
    人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで徹底解説人件費とはヒトに対して支払う費用の総称で、人件費率とは、収入に対する人件費の構成比率のことである。人件費はすべての企業において発生する費用であり、殆どの企業において最大の費用構成を占める重要度の高い費用だ。そして、人件費率は会社の収入に対する人件費バランスを示す経営指標なので人件費率ほど重要な経営指標はない。わたし自身、経営コンサルタントとして様々な会社の経営者にお会いしてきたが、人件費と人件費率に対する経営者の悩みは実に多い。この記事では、人件費と人件費率の計算と理想の目安から労働分配率との関係性まで、詳しく解説する。人件費とは?人件費率とは?人件費とは、企業の事業活動に参加しているヒトに対して支払う費用の総称のことである。人件費の集計対象は、社員給与のほか、一時金等のボーナス支給額、パートやアルバイトへの雑給、役員に対する報酬、給与に付随する法定福利費や福利厚生費なども含まれる。また、税理士や弁護士に支払う支払報酬、講師に支払う謝礼(支払手数料)、業務外注先への外注費なども、人件費の集計対象になる。一般的に、ひとりの社員を整理すると、その社員の報酬の1.5~2倍のコストが削減されるので、いかに人件費が重要な費用であるかが理解できると思う。人件費率とは、収入に対する人件費の構成比率のことで、収入に対する人件費バランスを示す経営指標である。殆どの会社の最大経費は人件費なので、人件費率ほど重要な経営指標はない。人件費率の計算方法は?人件費率の計算は、収入に対する人件費の構成比率を求めることで計算でき、計算式は下記の通りになる。人件費率の計算売上高人件費率=(人件費÷売上)×100売上総利益高人件費率=(人件費率÷売上総利益)×100例えば、売上5,000万円、売上総利益2,500万円、人件費1,250万円だった場合の人件費率は下記の通りになる。人件費率の計算例売上高人件費率=(1,250÷5,000万円)×100=25%売上総利益高人件費率=(1,250÷2,500万円)×100=50%以上の通り、人件費率は、売上と売上総利益(粗利)の二つの収益をベースに二通りの計算方法に分かれるが、業種業態や部門が変わっても高い公平性が保て、わたし自身、お薦めしている計算方法は、後者の売上総利益高人件費率である。(理由は後述する)なお、人件費の合計を求める場合は、社員給与(パート・アルバイト含む)の他、役員報酬、外注費、法定福利費、福利厚生費、支払報酬、謝礼等の支払手数料、など等、ヒトに関わる全ての費用が含まれるので留意してほしい。人件費率と労働分配率の関係性人件費率と同じような意味と役割を持つ、労働分配率という経営指標がある。労働分配率とは、売上総利益に占める人件費の構成比率のことで、会社の分配可能な付加価値(売上総利益)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標になる。労働分配率は会社の人的投下の構造(労働集約型or資本集約型)を明らかにするだけでなく、人件費配分の適正可否の判定基準としても活用できるので、人件費率同様、重要な経営指標といえる。なお、労働分配率の計算方法は、前章で解説した売上総利益高人件費率と同じになる。【関連記事】労働分配率の計算方法と適正水準正しい人件費率の指標と目標は?人件費率は、会社の人件費を管理、或いは、コストコントロールするうえで不可欠な指標だ。当然ながら、確かな指標なしに、人件費の正しい管理も、コストコントロールもできるものではない。会社の人件費バランスが適正に保たれているのか?そもそも、会社の人件費バランスの適正な水準はあるのか?など等、人件費率のコントロールに悩みを抱えている中小企業経営者は多いと思うが、一般的には、人件費率の計算式は「(人件費÷売上)×100」で求めている会社が多いと思う。しかし、この計算式だと売上に占める人件費の構成比率は計算できるが、適正指標や目標として活用しにくいというデメリットがある。どういう事かというと、人件費を賄う収益の源泉は、売上ではなく、売上総利益(粗利)だからである。売上=売上総利益(粗利)という収入構造の会社であれば問題はないが、売上総利益の水準は、業種業態、或いは、同じ会社であっても部門が違えば変わってしまうことがある。当然ながら、売上総利益の水準が変化すると、合理的且つ公平なコスト目標として活用しにくいというデメリットが生じてしまう。売上高人件費率のデメリットとは?売上高人件費率のデメリットについて、次の例で説明する。例えば、会社内に、売上1,000万円のA事業部とB事業部という部門があったとする。A事業部は、売上1,000万円に対して粗利が1,000万円(粗利率100%)で人件費が500万円、B事業部は、売上1,000万円に対して粗利が500万円(粗利率50%)で人件費が250万円だとする。この場合、それぞれ事業部の売上高人件費率は、以下の通りになる。A事業部:(人件費500万円÷売上1,000万円)×100=人件費率50%B事業部:(人件費250万円÷売上1,000万円)×100=人件費率25%A事業部50%>B事業部25%となるが、人件費率が低いB事業部の方が経営状態が良好とは断定できない。また、A事業部とB事業部、お互いのコスト目標となる人件費率を掲げようと思っても、双方が納得する合理的なコスト目標を掲げることの難しさも残る。売上高人件費率には、公平なコスト水準の測定だけでなく、合理的かつ公平なコスト目標も立てることができない、といったデメリットがあるのだ。正しいコスト目標になり得る人件費率とは正しいコスト管理、或いは、正しいコスト目標に適している指標は、売上総利益高人件費率になる。なぜなら、前章で解説した売上高人件費率のような不公平感が解消されて、公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てることができるからだ。例えば、前章のケース例を用いて「売上総利益高人件費率」を計算すると下表の通りになる。A事業部:(人件費500万円÷売上総利益1,000万円)×100=人件費率50%B事業部:(人件費250万円÷売上総利益500万円)×100=人件費率50%ご覧の通り、人件費の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、A事業部50%=B事業部50%、人件費率が両事業部一緒になった。つまり、会社の儲けである売上総利益(粗利)に対する人件費の占める割合は両事業部一緒だったということだ。これであれば、両事業部の成績(コスト優位性)がイーブンであることを合理的に示すことができる。また、人件費率の改善も、共通の指標を持って取り組むことができる。公平なコスト水準の測定と共に、合理的かつ公平なコスト目標を立てるには「売上総利益高人件費率」が最も適しているのだ。人件費率の理想の目安と業界水準売上総利益高人件費率の理想の目安は、概ね下表の通りである。売上総利益100100100100100人件費率70%60%50%40%30%営業利益10%10%10%10%10%人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型売上総利益を100として、営業利益は、中小企業の標準目標水準である10%としている。人件費の理想の目安は、前提として、自分の会社が、労働集約型なのか、資本集約型なのか、はたまた標準的な産業なのかを判定する必要があるが、上表の通り、概ね30%~70%の範囲内に収まる。なお、人件費率の各業界水準は以下の通りである。人件費率の高い業種「コールセンター」人件費率が高い水準の労働集約型の代表例は「コールセンター」である。コールセンターの運営には沢山の人員(電話オペレーター)が必要な反面、その他の費用はさほどかからない。なぜなら、拠点は地代(家賃)の安い地方が多く、地代家賃以外の経費も電話通信費以外は大してかからないからだ。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく低いのが、労働集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり、人件費率が高くなる。人件費率の低い業種「製造業」人件費率が低い水準の資本集約型の代表例は、無人化が進んでいる「製造業」である。無人化が進んでいる製造工場は、監督する人間が少なく済み、殆どが機械任せの運営になるが、一方で、人件費以外の費用はたくさんかかる。例えば、機械のリース代やメンテナンス費用、減価償却費用、などである。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく高いのが、資本集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり人件費率が低くなる。人件費率の低い業種「美容サロン等」人件費率が低い水準の資本集約型の代表例として、「美容サロン等」のサービス業も挙げられる。なぜなら、利便性の高い駅近で競争を強いられる美容サロン等のサービス業は、地代相場が高い駅近のテナントに入居するケースが多く、テナント料のほか、多額の広告宣伝費や設備代など等、人件費以外の費用が多くかかるからだ。このように、美容サロン等は、人件費よりも、人件費以外の経費が多くかかる資本集約型の特徴を持っていて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり人件費率が低くなるケースが多い。美容サロンのほか、ブランドショップ、アパレルショップ、不動産屋、駅近飲食店、歯科医院、弁護士事務所なども資本集約型の産業に近く、人件費率が低いケースが多い。人件費率が標準の業種「スーパー等小売業、飲食店、卸売業等」人件費率が標準の業種は、労働集約型と資本集約型のバランスが中間に位置する、スーパー等小売業、飲食業、卸売業などである。人件費率が標準の業種の適正水準は概ね40%~50%なので、50%超は人件費率が高いということになる。人件費率が適正水準より高い場合は、人件費の割に収益が少ないか、収益の割に人件費が多いか、のどちらかの状態に陥っているということなので、収益改善と同時に労働効率の改善を進めることが必要である。人件費率の業界平均人件費率の業界平均を気にする経営者は実に多く、わたし自身も、製造業やサービス業など、さまざまな業界の経営者から人件費率の平均を尋ねられることがよくある。人件費率を経営目標として運用することは結構なことだが、業界平均を気にすることの無意味さを理解している経営者は少ない。なぜなら、人件費率の業界平均はまったく使えない指標だからである。どういう事かというと、人件費率の業界平均は、僅かな上位集団の実績を、数多の下位集団が足を引っ張る構図で計算されているからだ。つまり、業界平均には、数多くの下位集団の実績が混入しているので、業界平均=優良会社という相関性は殆ど成立しないのだ。当然ながら、人件費率の業界平均を目標に掲げて改善活動を展開しても、トップ集団に追いつくことはできない。業界平均を達成したからといって、実は標準よりも下位ということもあり得る。業界平均を目標にするのではなく、理想の目安を基準に目標設定することが、トップ集団に追いつく秘訣であり、適正な人件費率を確立する確かな方法なのだ。人件費率を経営に活かすポイント人件費率は人件費を上手にコントロールするための経営指標として有効に活用できる。例えば、自分の会社が目標にすべき人件費率が分かれば、人員の補充調整や人員の配置換えなどによる労働効率の改善、など等、人件費率を改善するための初動判断を適切に下せるようになる。人件費率が悪化しているにも関わらず人員を補充している会社、或いは、人件費率が適正値よりも下回っているにも関わらず人員を十分に補充せずに社員に無理な労働環境を押し付けている会社など等、人件費のコントロールがうまくいっていない中小企業は少なくない。中小企業が、人員の補充調整を検討・判断するうえで、人件費率は有効な根拠として活用できるので、是非、積極的に活用してほしい。伊藤のワンポイント人件費は殆どの企業にとって、最大のコストになります。人件費率の把握はもちろんですが、最も大切なのは自分の会社に適した人件費の目安を持って日頃から適切にコントロールすることです。人件費のコントロールを誤ると、高い確率で会社が衰退するので、くれぐれも注意してください。
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  • 営業利益と営業利益率の計算式と適正水準(目安)|収益分析に用いる経営指標
    営業利益と営業利益率の計算式と適正水準(目安)|収益分析に用いる経営指標営業利益は会社の本業の儲けを示す経営指標で、営業利益率は儲けの水準を示す経営指標になる。会社経営は利益を出すことで初めて成立するので、営業利益と営業利益率は最重要指標といって過言ではない。この記事では、営業利益率の計算式と適正水準(目安)、並びに、営業利益率の効果的な運用方法について、詳しく解説する。営業利益|営業利益率とは?営業利益とは、会社の本業の利益(儲け)を示す経営指標のことで、営業利益の水準を示す経営指標を営業利益率という。営業利益は売上から売上原価や販売管理費を差し引くことで計算される。そして、会社の収入に占める営業利益金額の構成比率を計算すると営業利益率が分かる。営業利益と営業利益率は、会社の収益性を示す経営指標だが、会社経営は利益を出すことで初めて成立するので、この二つの指標ほど重要な経営指標はない。当たり前だが、営業利益率の水準が低く、営業利益が十分に取れないビジネスを続けていては、少しの経営環境の変化よって会社が赤字経営に転落し、何れ会社が倒産してしまう。従って、中小企業経営者が安定経営を目指すのであれば、然るべき営業利益率の水準を確保し、適正な営業利益金額を上げることが欠かせない。営業利益率の計算式(求め方)営業利益率とは、会社の収入に対する利益の構成比率のことである。会社の収入には、売上と売上総利益(粗利)のふたつの収入があるため、営業利益率の計算方法も二通りに分かれる。それぞれの計算式(求め方)は下記の通りである。営業利益率の求め方売上高営業利益率=(営業利益÷売上高)×100売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益高)×100例えば、売上が1,000万円、売上総利益が500万円、営業利益が50万円だった場合、夫々の営業利益率の計算式は下記の通りになる。営業利益率の計算例売上高営業利益率=(50万円÷1,000万円)×100=5%売上総利益高営業利益率=(50万円÷500万円)×100=10%会社経営の本質は利益拡大にあるので、経営者の行動原理を明快にする営業利益目標ほど重要なものはない。事実、会社の利益拡大がおぼつかず衰退の一途を辿る中小企業などは、営業利益目標がない、或いは、誤った営業利益目標を掲げているケースが多い。安定経営を実現するには、然るべき営業利益目標、或いは、目指すべき営業利益率の目標が不可欠なのだ。売上高営業利益率のデメリット利益目標を立てるための然るべき利益指標はたくさんある。単純に売上総利益率(粗利率)を利益目標に据えるケース、前章で紹介した売上高営業利益率や売上総利益高営業利益率、或いは、売上高経常利益率を利益目標に据えるケース、など等、、、。どの利益指標を目標に採用したら良いのか悩んでいる中小企業経営者も多いのではないかと思うが、一般的には、売上総利益率(粗利率)か売上高営業利益率の何れかの指標を、利益目標に採用している会社が多いと思う。じつは、売上総利益率(粗利率)と売上高営業利益率は、利益目標の指標として欠陥があり、場合によっては業績悪化のリスクを生み出すことがある。例えば、売上総利益率(粗利率)は、コストを差し引く前の仮の利益なので、儲けの実態を示していない。従って、コスト管理が杜撰になりやすく、蓋を開けてみたら大赤字という状況を招きかねない。売上高営業利益率は、業種業態や事業構成によって不公平感がでる場合がある。例えば、下表のように、ひとつの会社の中に複数の事業部があったとする。全社合計A事業部B事業部社員20名社員10名社員10名売上3,000万円1,200万円1,800万円売上原価1,000万円200万円800万円売上総利益2,000万円1,000万円1,000万円販売管理費1,800万円900万円900万円営業利益200万円100万円100万円営業利益率6.67%8.33%5.56%A事業部、B事業部、同じ社員数で営業利益の金額は共に100万円だが、売上高営業利益率はA事業部よりも、B事業部の方が▲2.77%劣っている。同じ営業利益金額を稼いでいるにも関わらず、売上高営業利益率が劣っているからといって、経営者がB事業部の社員の成績を悪く評価したら、社員はどう思うだろうか?恐らく、不公平感から不満に思う社員が出てくるだろう。また、A事業部とB事業部、お互いの目標営業利益率を掲げようと思っても、双方が納得する合理的な営業利益目標を掲げることの難しさも残る。売上高営業利益率には、公平な営業利益水準の測定だけでなく、合理的かつ公平な営業利益目標を立てることができないデメリットがあるのだ。営業利益率の効果的な運用方法会社の利益目標として営業利益率を効果的に運用するのであれば、売上高営業利益率ではなく、売上総利益高営業利益率を採用しなければならない。なぜなら、前章で解説した売上高営業利益率のような不公平感が解消されて、公平な営業利益水準の測定と共に、合理的かつ公平な営業利益目標を立てることができるからだ。前章のケース例を用いて「売上総利益高営業利益率」を計算すると下表の通りになる。全社合計A事業部B事業部社員20名社員10名社員10名売上総利益2,000万円1,000万円1,000万円販売管理費1,800万円900万円900万円営業利益200万円100万円100万円営業利益率10%10%10%ご覧の通り、営業利益の構成比率を算定する際の分母を「売上」から「売上総利益」に置き換えるだけで、A事業部もB事業部も、同じ営業利益率になった。これであれば、両事業部の収益性(営業利益)がイーブンであることを合理的に示すことができる。また、営業利益率の改善も、共通の指標を持って取り組むことが可能になる。働いている社員も、不満を抱くことなく、会社の利益を上げるために働いてくれるだろう。公平な営業利益水準の測定と共に、合理的かつ公平な営業利益目標を立てるには「売上総利益高営業利益率」が最も適しているのだ。営業利益率の適正水準(目安)中小企業の売上総利益高営業利益率の適正水準(目安)は下表の一覧表の通りである。売上総利益高営業利益率の適正水準(目安)売上総利益100100100営業利益20100営業利益率11~20%10%0~9%利益判定超優良標準要改善11%~20%営業利益率が11%~20%の範囲内であれば超優良水準である。この水準の営業利益率がキープできれば成長投資のサイクルが良好に回るので、持続的な会社成長が実現できる。10%営業利益率が10%であれば標準的な利益水準である。優良水準に向けた経営改善を継続しないと、少しのきっかけで衰退に向かうことがある。更なる利益拡大に向けた意識を強く持つことが大切である。0~9%営業利益率が0%~9%であれば、改善の余地が大いにある。マイナス営業利益率がマイナスであれば赤字経営ということになる。早急に再建計画を作成し、黒字化を目指す必要がある。黒字化の取り組みが遅くなればなるほど、赤字脱却の難易度が高まるばかりとなる。20%以上営業利益率が20%以上であれば、儲かりすぎである。人件費の水準が低すぎないか、保守修繕に不足がないか、取引先に無理を押し付けていないか、等々、会社の内外に歪みが出ていないか否かを確認する必要がある。会社の内外に歪みがあると、成長が一転して、あっという間に会社が衰退することがある。(急成長の後に倒産する会社は殆どがこのケースである)。主だった歪みが無いようであれば営業利益率の水準が20%以上でも問題ない。なお、営業利益率が上記適正指標の標準から優良(10%~20%)の水準に達していても、営業利益金額が小さすぎると、安定成長に支障が出る場合がある。従って、営業利益率の改善と共に、売上(営業利益金額)を常に拡大するという目標も決して忘れてはいけない。会社の安定経営を目指すのであれば、売上増加と共に営業利益金額が一定水準を上回っている必要がある。売上が増加傾向にあり、なお且つ、営業利益率が11~20%の水準に達していれば、会社の成長基盤はますます盤石になる。営業利益率を会社経営に活かすポイント営業利益率は、会社の生存を左右する大きな要素になり得る。なぜなら、会社の生存を保障するのは売上ではなく「利益」だからだ。営業利益率を見落としたまま売上拡大に走った結果、会社が傾く中小企業は少なく、営業利益率の適切な目標なくして、企業の成長はないといっても過言ではない。また、売上高ではなく、粗利対比の「営業利益率」のモニタリングも安定経営を実現するうえで欠かせないポイントになる。売上総利益高営業利益率の推移を長期的にモニタリングしていくと会社経営の正否が見えてくる。例えば、☑営業利益率が上昇傾向にあれば正しい経営(収益性と競争力アップ)☑営業利益率が下降傾向にあれば正しくない経営(収益性と競争力ダウン)というように、経営状態の正否が分かるので、先手先手で経営を見直すことができる。営業利益率の水準が適正か否か、営業利益率の目標運用が正しくされているか否か、しっかりチェックしてほしい。伊藤のワンポイント営業利益は本業の儲けを示す重要指標です。ですから、営業利益を見ずして、まともな会社経営はできません。然るべき利益目標を掲げることはもちろん、利益の実績を毎月モニタリングして推移をチェックすることも大切です。収益性や競争力の低下は必ず営業利益に表れます。
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  • 損益分岐点の計算方法と適正水準(目安)|採算性分析に用いる経営指標
    損益分岐点の計算方法と適正水準(目安)|採算性分析に用いる経営指標損益分岐点とは、損失が出るか利益が出るかの境目のことだ。つまり、損益分岐点は、会社の採算ラインを示す経営指標になる。例えば、売上が損益分岐点を上回ると利益が生まれ、売上が損益分岐点を下回ると損失が生じて、倒産リスクが高まる。この記事では、損益分岐点・損益分岐点売上高・損益分岐点比率の計算方法と適正水準(目安)について、詳しく解説する。損益分岐点(売上高)とは?損益分岐点とは、損失が出るか利益が出るかの境目のことで、会社の採算ラインを示す経営指標である。そして、損益分岐点売上高とは、会社の採算ラインを示す損益分岐点上の売上高のことである。損益分岐点と損益分岐点売上高は同義語になるが、言い換えると「売上の必達目標」或いは「回収すべき最低コスト」ともいえる。つまり、損益分岐点(損益分岐点売上高)が分かると、絶対達成すべき売上目標が明らかになる。損益分岐点売上高は、損益分岐点売上高を上回れば黒字経営、損益分岐点売上高を下回れば赤字経営というように、比較的簡単に業績の良否判定ができるので、簿記や会計が苦手な中小企業経営者でも運用しやすい経営指標になる。また、損益分岐点売上高に占める売上実績の構成比率を求めると、会社の安全性の評価も可能になる。損益分岐点売上高の計算方法損益分岐点売上高の計算方法は下記の通りである。損益分岐点売上高の計算式① 固定費の集計② 変動費の集計③ 変動費率の算定=(変動費÷売上高)×100④ 損益分岐点売上高=固定費÷(1-売上高変動費率)例えば、売上1,000万円、固定費500万円、変動費400万円の損益構造の場合、損益分岐点売上高の計算は以下の通りになる。損益分岐点売上高の計算例変動費率=(400÷1,000)×100=40%(0.4)損益分岐点売上高:500万円÷(1-0.4)=833.3万円【関連記事】固定費(固定費率)と変動費(変動費率)の計算方法損益分岐点比率の計算方法損益分岐点比率とは、損益分岐点売上高に占める売上実績の構成比率のことである。損益分岐点比率が100%であれば、売上実績が採算ライン上(損益分岐点上)にあることになる。つまり、損益分岐点比率が100%を下回ると黒字経営(利益発生)、100%を上回ると赤字経営(損失発生)となる。損益分岐点比率の計算式は下記の通りである。損益分岐点比率=(損益分岐点売上高÷売上実績)×100損益分岐点比率の計算例は下表の通りである。損益分岐点売上高売上実績計算式損益分岐点比率1,000万円1,250万円1,000÷1,250 80%1,000万円1,000万円1,000÷1,000 100%1,000万円800万円1,000÷800125%損益分岐点比率の適正水準(目安)中小企業の損益分岐点比率の適正水準(目安)は下記の通りである。損益分岐点比率の適正水準(目安)80%以下損益分岐点比率80%以下は安全水準である。景気動向等の外部要因に対しても比較的強い水準といえる。80%~損益分岐点比率80%~89%は標準水準である。但し、急激な景気悪化に左右される可能性がある。90%~損益分岐点比率91%~100%は要改善水準である。少しの売上減少で採算ラインを割り込む可能性が高い。なるべく早い段階で80%台に改善できるよう、売上増加対策、或いは、経費削減対策を講じる必要がある。101%~損益分岐点比率101%以上は危険水準である。損失が生じており、採算ライン以下の売上水準になっている。早急に抜本的経営改善を講じないと業績悪化が加速する。当然ながら、対策を先送りすると会社倒産のリスクは著しく上昇する。損益分岐点の構成でリスク構造が変わる!?損益分岐点を構成する固定費と変動費のバランスによって、会社のリスク構造が変わる。例えば、固定費が大きく変動費が小さい固定費中心型の会社と、固定費が小さく変動費が大きい変動費中心型の会社では、リスク構造に大きな違いが生じる。夫々の特徴は下記の通りである。固定費中心型ビジネスの損益分岐点固定費が大きく変動費が小さい「固定費中心型の会社」は、ハイリスク・ハイリターンの事業構造といえる。損益分岐点が高い位置にあるので、利益が出るのが遅いが、損益分岐点を超えると大きな利益が出る。固定費中心型の会社は、黒字化するのが遅い、赤字リスクが高い、黒字後の利益増加率が高い、等々の特徴が挙げられる。経営リスクを引き下げるには、固定費削減を主体とした経営改善が有効になる。変動費中心型ビジネスの損益分岐点固定費が小さく変動費が大きい「変動費中心型の会社」は、ローリスク・ローリターンの事業構造といえる。損益分岐点が低い位置にあるので、利益が出るのが早いが、損益分岐点を超えても大きな利益があまり出ない。変動費中心型の会社は、黒字化するのが早い、赤字リスクが低い、黒字後の利益増加率が低い、等々の特徴が挙げられる。経営リスクを引き下げるには、変動費削減を主体とした経営改善が有効になる。伊藤のワンポイント損益分岐点は全ての経営者が理解すべき重要指標です。損益分岐点が分かると経営者の判断基準が明快になり、赤字経営に転落するリスクが低下するからです。また、損益分岐点に時間軸を加えると、先行投資型のビジネスモデルの損益分岐点を緻密に分析することができます。起業前後問わず、様々な事業局面で活用してください。
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  • 固定費(固定費率)と変動費(変動費率)の計算方法|損益分岐点分析に用いる経営指標
    固定費(固定費率)と変動費(変動費率)の計算方法|損益分岐点分析に用いる経営指標固定費とは、売上高の増減に関わらず発生金額が一定の費用で、売上高に占める固定費の構成比率を固定費率という。変動費とは、売上高に連動して増加する費用で、売上高に占める変動費の構成比率を変動費率という。この記事では、固定費と変動費の特性や収益に与える影響、並びに、固定費率と変動費率の計算式(求め方)に至るまで、詳しく解説する。固定費とは?固定費は、売上高(生産高)の増減に関わらず発生金額が一定の費用、或いは、売上高(生産高)の増減に比例しない費用のことで、管理不可能な費用も固定費に含まれる。固定費は、継続的に事業活動を展開するために必要最低限消費される費用、或いは、必要最低限回収しなければならない費用ともいえる。当然ながら、固定費を下回る売上では、事業は成り立たない。なお、固定費になる主な経費例は下記の通りである。固定費になる経費例製造経費(労務費、減価償却費、その他定額性の製造費用)、人件費、業務委託料、法定福利費、支払報酬(定期)、地代家賃、賃借料、減価償却費、リース料、諸会費、租税公課(税金等)、支払保険料、通信費(サーバー、基本料金部分等)、など変動費とは?変動費とは、売上高(生産高)に連動して増加する費用、或いは、売上高(生産高)の増減に比例する費用のことである。また、管理可能な費用も変動費に含まれる。変動費は、継続的な事業活動の展開に応じて消費される費用ともいえる。なお、変動費になる主な経費例は下記の通りである。変動費になる経費例仕入、製造経費(水道光熱費等、定額制のない製造費用)、福利厚生費、外注費、荷造発送費、広告宣伝費、接待交際費、会議費、旅費交通費、通信費(通話料部分等)、消耗品費、保守修繕費、水道光熱費、新聞図書費、支払手数料、販売促進費、一般試験費、研究開発費、租税公課、支払報酬(不定期)、雑費、など固定費と変動費と収益の関係性費用の構成やバランスは、中小企業の収益性を左右する大きな要因になるが、費用を固定費と変動費に分けると、どのような仕組みで費用が収益性に影響を与えているのかが理解できる。また、固定費と変動費の収益性を左右する仕組みを理解すると、収益性向上の対策を合理的に検討することが可能になる。固定費と変動費の収益性に与える影響は下記の通りである。固定費が収益性に与える影響とは?固定費は、金額が低いほど利益の実現性が高くなる。従って、固定費は利益の実現性を決定する要素を持っている。例えば、固定費が100万円と1,000万円では、固定費を賄うために必要な利益の金額に大きな差が生じる。当然ながら、固定費が少ない方が、固定費を賄うために必要な利益が少なく済み、固定費が賄えると、後は利益が拡大する一方となる。変動費が収益性に与える影響とは?変動費は、売上高に対する比率が低いほど固定費の回収能力が高まる。従って、変動費は固定費の回収能力を決定する要素を持っている。例えば、売上高変動費率(〔変動費÷売上高〕×100)が10%と50%の比較であれば、固定費の回収能力は5倍の差が生じる。売上が増加しているにも関わらず、利益が増加していない会社は、売上高変動費率が上昇傾向にある場合が多い。(売上が拡大している一方で赤字金額が拡大している会社も同様である)固定費と変動費の費用分解会社全体の経費を固定費と変動費に分けることを「費用分解」という。固定費と変動費の費用分解は、売上高(生産高)との関係性に基づいて行うが、費用分解の正確性が低いと、様々な財務分析に支障をきたす。例えば、費用分解の精度が低いと、前章で解説した収益性に与える影響を読み間違えて、経営戦略を誤るリスクが高まる。また、会社経営の重要指標で、利益構造を明快に示す「損益分岐点」の分析にも大きな支障をきたす。損益分岐点の計算に、固定費と変動費の費用分解は不可欠であり、この固定費と変動費の費用分解が不正確だと、正しい損益分岐点を把握することはできない。正しい損益分岐点を計算するには、固定費と変動費の費用特性を正しく理解し、更に会社の実態に合わせて正確に費用分解することが求められる。固定費率と変動費率の計算方法(求め方)固定費率とは売上に占める固定費の構成比率のことで、変動費率とは売上に占める変動費の構成比率のことである。固定費と変動費の費用分解と同様、固定費率と変動費率の計算は、損益分岐点を求めるうえで不可欠な作業になる。固定費率と変動費率の計算式は下記の通りである。固定費率と変動費率の計算式固定費率=(固定費÷売上高)×100変動費率=(変動費÷売上高)×100固定費と変動費を正しく分別し、固定費率と変動費率を計算することが、正しい損益分岐点の把握に繋がる。損益分岐点が分かると、売上高の増減に応じた利益変化の予測や利益改善目標に応じたコスト削減値等の分析を容易に行うことができる。伊藤のワンポイント固定費と変動費の費用分解、並びに、固定費率と変動費率の計算は会社の損益分岐点を計算する上で不可欠です。この計算精度が低いと、損益分岐点が曖昧になり、経営判断を誤るリスクが高まります。また、事業の損益構造が固定費偏重型か変動費偏重型かによって事業戦略が大きく変わるので、計算が不正確だと会社経営の失敗リスクが高まります。
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  • 運転資金の計算方法と適正水準(目安)|資金繰りに用いる経営指標
    運転資金の計算方法と適正水準(目安)|資金繰りに用いる経営指標運転資金とは、経営を行うにあたって必要な資金(現預金)のことだ。回転資金とも云われ、資金繰りの管理に用いる経営指標になる。運転資金が無くなると事業活動が機能不全に陥り会社が倒産するので、運転資金は極めて重要な経営指標になる。この記事では、運転資金の計算方法と適正水準(目安)、並びに、実践的な必要運転資金の計算方法について、詳しく解説する。運転資金とは?運転資金とは、事業活動を円滑に進めるための必要な資金(現預金)のことだ。会社経営は運転資金が無くなると同時に破綻するので、運転資金は資金繰りの管理に欠かせない極めて重要な指標になる。運転資金は安定経営の要といっても過言ではなく、例えば、日頃から運転資金の必要水準を把握し、余裕を持って必要な運転資金を確保する姿勢は、安定経営の絶対条件になる。また、必要運転資金の管理が盤石であれば、自然とコストコントロールがシビアになるので赤字経営に転落するリスクが低くなる。逆に、必要運転資金の管理が杜撰だと、コスト意識と利益意識が低下するので、企業の衰退リスクが高まる一方になる。運転資金の種類運転資金は、売上を作るための必要コストの支払いに充当する資金になるが、その種類は多岐にわたる。売上を作るために経常的に発生する運転資金に限らず、業績悪化時、或いは、急成長時に必要になる運転資金、成長投資の際の運転資など等、様々ある。主だった運転資金の種類を以下に紹介する。正常運転資金(経常運転資金)正常運転資金(経常運転資金)とは、経常的に発生するコストの支払い資金(原資)のことで、正常な事業活動を支える重要な運転資金になる。正常運転資金の対象は、商品の仕入れ、商品の製造原価(材料費・労務費・製造経費等)など等の売上原価、並びに、人件費、家賃、水道光熱費など等、経常的に支払いが発生する販売管理費が対象になる。増加運転資金増加運転資金とは、売上のプラス成長に伴い発生する増加コストの支払い資金(原資)のことで、売上増加に対応する仕入れコストや変動費コストが対象になる。増加運転資金の手当てが不十分だと資金繰りが悪化し、経営破たんのリスクが高まるので、重要な資金になる。減少運転資金減少運転資金とは、売上のマイナス成長に伴い発生する資金補填のことで、収入減に伴い困窮する仕入れコストや変動費コストの支払い補填が対象になる。赤字補填の運転資金と同様、手当が遅れると資金繰りが悪化し、経営破たんのリスクが高まる。スポット運転資金スポット運転資金とは、一過性のコストの支払い資金(原資)のことで、企業の成長投資を支える重要な運転資金になる。スポット運転資金の対象は、設備投資、大規模修繕、大規模保守保全、開発投資、新規事業投資など等の成長投資が対象になる。運転資金が不足するとどうなる?運転資金が不足するとどうなるのか?運転資金が不足すると、商品の仕入れや支払いに支障がでて、事業活動が機能不全に陥る。また、必要な運転資金が枯渇気味になると経費の支払いも停滞するので、水道や電気がストップする、事務所の立ち退きを請求される、など等、事業活動に支障をきたす不都合が沢山でてくる。当然ながら、不足した運転資金の補填(金融機関からの借入・自己資本の投入等)を速やかに実行しないと、経営破たんのリスクが高まる一方になり、最悪、会社が倒産することになる。運転資金の計算方法と適正水準運転資金の計算方法と適正水準について解説する。運転資金は、売掛金や受取手形等の売上債権に棚卸資産を加算し、買掛金や支払手形等の仕入債務を引くことで計算できる。簡単に言うと、売上を作るための資産(売上債権+棚卸資産)を回転させるための総コストが運転資金になる。運転資金が回転資金と云われる所以はココにある。運転資金の計算方法運転資金=〔売上債権(売掛金+受取手形等)+棚卸資産〕-仕入債務(買掛金+支払手形等)運転資金の適正水準運転資金<現預金残高以上が、一般的な運転資金の計算式と適正水準になるが、売上と仕入の債権債務をベースに計算するので、不良性の売上債権や棚卸資産が混入すると計算結果が不正確になることがある。また、貸借対照表の残高金額から計算するため、現時点(過去)における運転資金の必要金額しか計算できない。こうした問題を解消するために、不良性資産を除外し、更に、売上成長率を加味すると、運転資金の計算精度が上がる。成長率を加味するだけで増加運転資金の計算も可能になる。平均月商を用いた運転資金の計算方法平均月商を用いた運転資金の計算方法について解説する。前章で解説した運転資金の計算方法は、貸借対照表の残高が基準になるので、季節変動や特需等で残高が大きく増減すると、運転資金の計算結果も大きく増減し、整合性のない計算結果を招く場合がある。そこで、運転資金の計算に用いる指標(売上債権・仕入債務)を平均月商で計算する方法がある。それぞれの計算式を以下に紹介する。売上債権の計算式売掛金=平均月商×平均売掛回収日数受取手形=平均月商×売上原価率×手形回収率×受取手形サイト棚卸資産=平均月商×売上原価率×商品在庫期間仕入債務の計算式買掛金=平均月商×売上原価率×平均買掛サイト支払手形=平均月商×売上原価率×手形支払率×手形支払サイト実践的な必要運転資金の計算方法実践的な必要運転資金の計算方法について解説する。前章まで一般的な運転資金の計算式と適正水準を解説してきたが、現時点(過去)における運転資金、不良性資産が混入すると不正確な計算結果が出る、売上債権や仕入債務が発生しない会社の運転資金の計算ができない、など等、実践的な必要運転資金が計算できないデメリットがある。そこで、より実践的で、実際の会社経営に必要な運転資金が計算できる方法を紹介する。計算はシンプルで、単純に売上から、現金流出のない「減価償却費」と「経常利益(内部留保)」を引く方法で求める。実践的な必要運転資金の計算方法必要運転資金=売上-(減価償却費+経常利益)※月商に波がある場合は、過去12か月間の平均月商で計算する(減価償却費、経常利益含む)例えば、月商1億円・減価償却費0.1億円・経常利益0.1億円であれば「1億円-(0.1億円+0.1億円)=必要運転資金0.8億円」となる。この計算で求めた必要運転資金が、外部に流失する現預金、つまり実質的な運転資金になる。普通の会社は、売上入金や支払いサイトが一定なので、概ね、この計算で必要運転資金の実態が把握できる。実践的な運転資金の適正水準実践的な必要運転資金の適正水準について解説する。中小企業の必要運転資金の適正水準は、現金商売や掛売り商売など、業種業態によって多少前後するが概ね下記の通りになる。優良水準【必要運転資金×3倍以上】必要運転資金の計算結果の3倍以上の現預金があれば優良水準といえる。成長投資に回す余剰資金や、経営悪化に備える余剰資金も十分に貯蓄することができる。標準水準【必要運転資金×2倍以上】必要運転資金の計算結果の2倍以上の現預金があれば標準水準といえる。この水準の運転資金をキープしていれば、資金繰りに窮することはない。但し、成長投資に回す余剰資金や、経営悪化に備える余剰資金の貯蓄は余裕を持ってできない。危険水準【必要運転資金×1.5倍以下】必要運転資金の計算結果の1.5倍以下の現預金残高は危険水準になる。運転資金が枯渇気味で、その月の支払いが終わると、手元には月商の半分も残高が残っていない状況になる。この危険水準で経営を続けると自転車操業に陥るリスクが高まり、万が一、自転車操業に陥ると資金繰りに窮して、最悪、倒産することもあり得る。余剰資金はどのくらいあれば良いのか?会社経営を長く続けていると必ず逆境がやってくる。当然ながら、逆境がやってきた時に、手元に十分な余剰資金が無ければ、運転資金がすぐに枯渇してしまい、経営が破たんする。中小企業は資金の調達方法に限りがあるので、出来れば、自前で一定の余剰資金を貯蓄しておいた方が安全だ。それでは一体、どの程度の余剰資金があれば逆境を乗り越えることができるか?中小企業の余剰資金の計算方法は色々なアプローチがあるが、売上が20%ダウンしても1年間は持ち堪えることのできる水準が安全ラインである。計算式は、「年商×売上総利益率×20%=適正な余剰資金」で求めることができる。例えば、年商が5億円で売上総利益率が50%であれば、5億×50%×20%=5千万円が適正な余剰資金になる。事業活動に必要な運転資金に加えて、逆境に備えた余剰資金が手元にあれば、経営が大きく傾くリスクは限りなく小さくなる。なぜなら、急激な経済変動や不慮の事故など等、よほどのことがない限りは、売上が20%も減少することはないからだ。売上が20%落ちても1年間経営が続けられる余剰資金が手元にあれば、様々な逆境に打ち克つ経営が実践できる。例えば、売上が激減したとしても、1年間の運転資金(余剰資金含め)が手元にあれば、経営改革を断行し、経営を正常化させることができる。資金調達手段が限られている中小企業は、逆境に陥ってから1年分の運転資金を確保するが難しい。逆境に陥る前に1年分の運転資金を確保しておくことが大切になる。伊藤のワンポイント運転資金に無頓着な会社は高い確率で経営に失敗します。また、運転資金の管理と共に、現金回収の管理を厳格に行うことも忘れないでください。現金回収の意識が低下すると、必ず、資金繰りが悪化します。最悪、黒字倒産という結末もありますので、十分に注意してください。
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  • 流動比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    流動比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標流動比率とは、会社の支払能力を示す経営指標のことである。流動比率は、1年以内に現金化される流動資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。流動資産よりも流動負債が下回っていれば支払能力が高く、流動資産よりも流動負債が上回っていれば支払能力が低いと判断できる。この記事では、流動比率の計算式と適正水準(目安)について詳しく解説する。流動比率の計算式流動比率の計算式は下記の通りである。流動比率の計算式流動比率=(流動資産÷流動負債)×100下図は貸借対照表の「流動資産」と「流動負債」を示したものである。青枠が「流動資産」、赤枠が「流動負債」で、流動比率は、1年以内に現金化される流動資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。流動資産よりも流動負債が下回っていれば支払能力が高く、流動資産よりも流動負債が上回っていれば支払能力が低いと判断できる。流動資産の計算例流動資産の計算例を紹介する。例えば、流動資産が150万円で、流動負債が100万円であれば、流動比率は、(150万円÷100万円)×100=150%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して150%の流動資産が手元にあるので、支払能力に余裕があることが分かる。金額を逆にして、流動資産が100万円で、流動負債が150万円であれば、流動比率は、(100万円÷150万円)×100=66.67%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して66.67%の流動資産しか手元にないので、支払能力に問題があることが分かる。このように、流動比率は会社の支払能力を簡易判定する際に活用できる。流動比率の適正水準(目安)中小企業の流動比率の適正水準(目安)は下記の通りである。流動比率の適正水準(目安)150%以上流動比率が150%以上であれば優良水準である。120%~149%流動比率が120%~149%の範囲であれば安全水準である。100%~119%流動比率が100%~119%の範囲であれば改善の余地がある。99%以下流動比率が99%以下であれば、危険水準である。一般的に、流動比率が99%以下だと、資金繰りに影響が出始める。また、外部からの会社の心証が悪くなる。例えば、銀行融資や助成金の交渉に影響が出る場合がある。流動比率は会社の支払能力を示す経営指標のひとつだが、流動資産の中には棚卸在庫等、換金性の低い資産が含まれているので、支払能力の安全性を十分に示せない一面がある。流動比率は当座比率と比べると、支払能力を示す絶対的な経営指標とはいえないので、会社の状況に応じて、参考指標として運用することをお薦めする。伊藤のワンポイント流動比率は会社の支払能力を示す経営指標ですが、経営者が重要視すべきなのは、次ページで解説している「当座比率」です。流動比率のように、経営状況を診断するうえで意外と使えない指標は少なくありません。何事もそうですが、学術理論に流されすぎると、本質を見失いますので注意してください。
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  • 当座比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    当座比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標当座比率とは、会社の支払能力を示す経営指標のひとつである。当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の当座資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。当座資産よりも流動負債が大きく下回っていれば支払能力が高く、当座資産よりも流動負債が大きく上回っていれば支払能力が低いと判断できる。この記事では、当座比率の計算式と適正水準(目安)について、詳しく解説する。当座比率の計算式当座比率の計算式は下記の通りである。当座比率の計算式当座比率=(当座資産÷流動負債)×100下図は貸借対照表の「当座資産」と「流動負債」を示したものである。青枠が「当座資産」、赤枠が「流動負債」で、当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の当座資産と、1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。当座資産よりも流動負債が大きく下回っていれば支払能力が高く、当座資産よりも流動負債が大きく上回っていれば支払能力が低いと判断できる。当座資産とは?当座資産とは、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の資産のことだ。従って、当座比率の計算に用いる当座資産には、換金性の低い棚卸資産や仕掛品などは含まれない。当座資産の詳しい分類は、下表の通りである。流動資産の項目流動資産当座資産現金・預金○○売掛金○○受取手形○○有価証券○○棚卸資産○×仕掛品○×その他の流動資産○×当座比率の計算例当座比率の計算例を紹介する例えば、当座資産が120万円で、流動負債が100万円であれば、当座比率は、(120万円÷100万円)×100=120%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して120%の当座資産が手元にあるので、支払能力に余裕があることが分かる。金額を逆にして、当座資産が100万円で、流動負債が120万円であれば、当座比率は、(100万円÷120万円)×100=83.33%となる。この場合、1年以内に支払期限が到来する流動負債に対して83.33%の当座資産しか手元にないので、支払能力に余裕がないことが分かる。このように、当座比率は会社の支払能力を判定する際に有効活用できる。当座比率の適正水準(目安)中小企業の当座比率の適正水準(目安)は下記の通りである。当座比率の適正水準(目安)120%以上当座比率が120%以上であれば優良水準である。90%~119%当座比率が90%~119%の範囲であれば安全水準である。70%~89%当座比率が70%~89%の範囲であれば改善の余地がある。69%以下当座比率が69%以下であれば、危険水準である。一般的に、当座比率が69%以下だと、資金繰りに影響が出始める。また、外部からの会社の心証が悪くなる。例えば、銀行融資や助成金の交渉に影響が出る場合がある。当座比率を会社経営に活かすポイント当座比率は会社の支払能力の判定に活用できる実用性の高い経営指標である。支払能力の安全性を示す点においては、流動比率より当座比率の方が格段に正確である。業種業態によって適正指標に幅があるが、中小企業の支払能力を計る経営指標としては大いに活用できる。経営指標のなかには、当座比率のように幅広い業種業態に有効活用できる指標がある一方で、流動比率のように特定の業種業態にしか有効活用できない指標がある。当然ながら、数多に存在する経営指標の中から、自分の会社に有効活用できる経営指標を選別する能力に劣っていると、数字に振り回される結果を招きかねない。「数字に強い社長」と「数字に弱い社長」の差は、このような部分にも表れてくる。なお、当座比率を上げるには次のポイントを意識した経営を行うことが大切だ。☑資金繰りを改善する☑営業利益率を高める☑キャッシュフローを重視する何れも経営者の意識ひとつで容易に改善できる。伊藤のワンポイント当座比率は換金性の高い流動資産とすべての流動負債を元に計算する指標です。会社は、お金が無くなると倒産するので、支払能力を正確に表す当座比率は、超重要指標といって過言ではありません。資金繰りやキャッシュフローの改善を助ける基準指標にもなり得るので、日常的に活用してください。
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  • 売上債権回転日数(期間)の計算式と適正水準(目安)|資金効率を計る経営指標
    売上債権回転日数(期間)の計算式と適正水準(目安)|資金効率を計る経営指標売上債権回転日数(期間)とは資金効率を計る経営指標の一つである。売上債権回転日数(期間)は良好な資金繰りの実現に欠かせない重要な経営指標といえる。この記事では、売上債権回転日数の計算式(求め方)と適正水準(目安)について、詳しく解説する。売上債権回転日数(期間)とは?売上債権回転日数とは、商品販売に伴い発生した売上債権が現金化(回収)されるまでの日数のことで、会社の資金効率を計る経営指標の一つである。売上債権とは、売上の対価として受け取る現金以外の売掛金と受取手形のことで、売上債権残高を日商売上で割ることで、売上債権回転日数の計算ができる。売上債権回転日数のことを、売上債権回転率や売上債権回転期間とも云い、日商ではなく月商で計算する売上債権回転月数という指標もある。売上債権回転日数が分かると、現金化までの日数が明らかになるので、資金効率の良し悪しが分かる。また、売上債権回転日数が短いほど現金化が早く、売上債権回転日数が長いほど現金化が遅い、ということが分かるので、キャッシュフロー重視の経営、或いは、資金繰りを改善する際の目標指標としても活用することができる。売上債権回転日数の計算式(求め方)売上債権回転日数の計算式(求め方)は下記の通りである。売上債権回転日数の計算式(求め方)売上債権回転日数=(売上債権:売掛金+受取手形)〕÷(日商:年商÷363日)例えば、現金商売の場合は、売上債権が発生しないので、売上債権0円÷日商〇〇=売上債権回転日数0日となり、売上が即日現金化されていることが分かる。売上債権の期末残高が1億円で、日商が0.1億円の場合は、売上債権1億円÷日商0.1億円=売上債権回転日数10日間となる。売上債権の期末残高が2億円で、日商が0.1億円の場合は、売上債権2億円÷日商0.1億円=売上債権回転日数20日間となる。売上債権回転日数の適正水準(目安)売上債権回転日数の適正水準(目安)は、30日以下が標準になる。売上債権回転日数が標準にない場合は、資本効率が悪く、資金繰りに支障が出る可能性が高いので、売上債権の回収を早める努力をした方が良いだろう。なお、売上債権回転日数は、現金商売や消費者相手の商売に比べて、卸売業や法人相手の商売の方が長くなる傾向にあるため、業種業態によって適正水準に差が生じる。従って、上記適正水準に合致しない場合は、売上債権回転日数の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。定点観測の結果、売上債権回転日数が悪化しているようなら、現金化の回収スピードが悪化している可能性が高いといえる。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである売上債権回転日数を会社経営に活かすポイント売上債権回転率は良好な資金繰りを実現するうえで欠かせない経営指標だ。会社の資金繰りは、売上債権の回収で決まるといっても過言ではないからだ。資金繰りは会社経営の生命線であり、資金繰りが行き詰まると、大概の会社はあっという間に倒産する。資金繰りを悪化させないためには、日頃から売上債権回転日数をモニタリングし、現金回収のスピードを短縮する努力が欠かせないので、くれぐれも注意してほしい。伊藤のワンポイント売上は現金を回収して初めて成立しますが、ここがおざなりになると、資金繰りが悪化し、会社が衰退します。ですから、売上債権回転日数は経営者だけでなく営業担当全員が意識すべき指標です。この意識が強まると、キャッシュフロー重視の経営が組織に定着して、儲かる経営基盤が整いやすくなります。
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  • 仕入債務回転率(日数)の計算式と適正水準(目安)|支払効率を計る経営指標
    仕入債務回転率(日数)の計算式と適正水準(目安)|支払効率を計る経営指標仕入債務回転率(日数)とは、支払効率を計る経営指標の一つである。仕入債務回転率(日数)が売上債権回転率(日数)を上回るとキャッシュフローが悪化するので、良好な資金繰りの実現に欠かせない重要な経営指標といえる。この記事では、仕入債務回転率、及び、仕入債務回転日数(期間)の計算式(求め方)と適正水準(目安)について、詳しく解説する。仕入債務回転率とは?仕入債務回転率とは、仕入債務に占める売上原価の構成比率のことで、支払効率を計る経営指標の一つである。仕入債務とは、仕入れの対価として支払う現金以外の買掛金と支払手形のことで、仕入債務に占める売上原価(仕入の総原価)の構成比率を求めることで仕入債務回転率の計算ができる。仕入債務回転率が分かると、仕入費用の支払い率が明らかになるので、支払効率の良し悪しが分かる。また、仕入債務回転率が高いほど仕入債務の支払いが早く、仕入債務回転率が低いほど仕入債務の支払いが遅い、ということが分かるので、資金繰りを改善する目標指標として活用することができる。仕入債務回転率の計算式(求め方)仕入債務回転率の計算式(求め方)は下記の通りである。仕入債務回転率の計算式(求め方)仕入債務回転率=(売上原価÷仕入債務)×100例えば、売り買い共に現金商売の場合は、仕入債務が発生しないので、(売上原価〇〇円÷仕入債務0円)×100=仕入債務回転率は計算不能になる。売上原価が1億円で、仕入債務の期末残高が0.1億円の場合は、(売上原価1億円÷仕入債務0.1億円)×100=仕入債務回転率1,000%となる。売上原価が1億円で、仕入債務の期末残高が0.2億円の場合は、(売上原価1億円÷仕入債務0.2億円)×100=仕入債務回転率500%となる。仕入債務回転率の適正水準(目安)仕入債務回転率の適正水準(目安)は、1,200%以上が標準である。仕入債務回転率が標準にない場合は、支払効率が悪く、支払条件の悪化や支払遅延のリスクが高まっている可能性が高いので、注意した方が良いだろう。なお、仕入債務回転率は、現金商売や消費者相手の商売に比べて、卸売業や法人相手の商売の方が低くなる傾向にあるため、業種業態によって適正水準に差が生じる。従って、上記適正水準に合致しない場合は、仕入債務回転率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。定点観測の結果、仕入債務回転率が悪化しているようなら、支払効率が悪化している可能性が高いといえる。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである仕入債務回転日数(期間)とは?仕入債務回転率と同じ用途で活用できる仕入債務回転日数(期間)という経営指標がある。仕入債務回転日数(期間)とは、仕入に伴い発生した仕入債務が支払われるまでの日数のことで、仕入債務回転率と同様の役割りを持つ経営指標である。仕入債務回転日数のメリットは、売上債権回転日数と共に運用すると、キャッシュフロー重視の経営を実現しやすくなる点にある。例えば、売上債権回転日数を下回らないように仕入債務回転日数をコントロールすることができれば、資金繰りが悪化することはなく、常に、プラスのキャッシュフローが維持することができる。【関連記事】売上債権回転日数の計算式と適正水準仕入債務回転日数(期間)の計算式と目安仕入債務回転日数(期間)の計算式(求め方)は下記の通りである。仕入債務回転日数(期間)の計算式(求め方)仕入債務回転日数=(仕入債務:買掛金+支払手形)÷(売上原価÷365日)例えば、仕入債務の期末残高が0.1億円で、売上原価が1億円の場合は、仕入債務0.1億円÷(売上原価1億円÷365日)≒仕入債務回転日数36日となる。仕入債務回転日数の適正水準(目安)は40日以下が標準である。仕入債務回転日数が標準にない場合は、支払効率が悪く、支払条件の悪化や支払遅延のリスクが高まっている可能性が高いので、注意した方が良いだろう。なお、仕入回転日数は、仕入債務回転率同様、現金商売や消費者相手の商売に比べて、卸売業や法人相手の商売の方が長くなる傾向にあるため、業種業態によって適正水準に差が生じる。従って、上記適正水準に合致しない場合は、仕入債務回転日数の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。伊藤のワンポイント仕入債務回転日数は、支払いの気前の良さを表すバロメーターです。取引先にとっては短いほど喜ばれますが、売上債権回転日数を下回らないように注意しなければキャッシュフローが悪化し、最悪、黒字倒産という残念な結果を招くこともあり得ます。短期過ぎても長期過ぎても都合悪いのが、この指標の特徴です。
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  • 借入限度額の計算方法と適正水準(目安)|法人の借入危険度を計る経営指標
    借入限度額の計算方法と適正水準(目安)|法人の借入危険度を計る経営指標借入限度額とは、借入をする際に金融機関等から設定される、或いは、借金過多を防衛するために自己設定する借入金の限度額のことである。金融機関から設定される借入限度額の計算方法は、定形計算式で決まるビジネスローンや事業ローンと非定形計算式で決まる法人融資の二種類ある。借入金を調達する側の会社が借金過多を防衛するために自己設定する借入限度額の計算方法は、月商倍率で計算する方法が一般的だ。この記事では、借入金を調達する側の会社が借金過多を防衛するために自己設定する借入限度額の計算方法と借入限度額の適正水準について、詳しく解説する。借入限度額は借入危険度を計る経営指標借入限度額は、借金過多の防衛に役立つ重要な経営指標になる。自分の会社に適した借入限度額が分かると、返済計画の破綻リスクや借金過多による返済苦のリスクを減らせるので、自己防衛のために積極的に有効活用したい経営指標である。例えば、上場企業に比べて資金の調達方法に限りのある中小企業にとって、最も一般的な資金調達方法は銀行借入になる。銀行借入は中小企業の成長を後押しするメリットがある一方で、借入金の返済が会社の支払余力を超えた途端に返済苦に陥るリスクがあり、場合によっては、資金繰り難から経営が傾くこともある。借入金で経営に失敗しないためには、自己防衛のために、事前に会社の借入限度額を設定し、その範囲内で借入金をコントロールする姿勢が大切になる。借入限度額の計算方法(月商倍率)借入限度額を月商倍率で計算する方法について、解説する。借入限度額を月商倍率で計算する場合は、業種業態によって範囲が広がるが、大よそ月商の1~5ヵ月が目安といわれている。借入限度額の計算式(月商倍率)月商倍率の借入限度額計算式=(年商÷12ヵ月)×1~5ヵ月次の金額は、わたしが過去に会社再建で調査に入った年商50億円程度の中小企業の借入金の残高である。A社:8億円B社:10億円C社:12億円月商倍率で借入限度額を計算すると、(50億円÷12ヵ月)×1~5ヵ月=4億円~20億円となる。A社、B社、C社、何れも適正な借入限度額の範囲内に収まっているので、借入金の残高に問題なし、ということになる。借入限度額を誤ると倒産リスクが高まる!!借入限度額を月商倍率で計算する場合、ひとつ注意点がある。それは、銀行借入は必ず返済しなければならないということだ。借入金を返済するには、借入金の返済原資となる利益を出すために黒字経営を継続しなければならない。もし万が一、赤字経営に転落するとどうなるだろうか?言うまでもなく、借入金の返済原資である利益がなくなるので、たちまち返済が滞ってしまう...。前章で解説した借入限度額を月商倍率で計算した結果、問題なしと判定した3社は、実は何れも赤字経営の会社だった。次の金額は、年間赤字金額の実態である。A社:経常利益▲8千万円B社:経常利益▲7千万円C社:経常利益▲2千万円借入限度額を月商倍率で計算すると「適正判定」という結果が出たが、経常利益が赤字であれば、返済原資がないので、借入金の返済に支障が出る。借入金の返済が滞ると、場合によっては債務不履行で会社が倒産することもある。このように、月商倍率で借入限度額を計算すると、返済能力の実態を見誤り、銀行借入がきっかけで会社の衰退リスクが飛躍的に高まることがある。借入限度額の計算方法(収益ベース)月商倍率で借入限度額を計算すると、返済能力の実態を見誤り、借入限度額の判断を誤る。従って、借入限度額は、返済能力の確実性と安全性が高い収益ベース、つまり、会社の経常利益をベースに計算する方法がお薦めだ。借入限度額の計算式(収益ベース)借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=「借入限度額2,500万円~5,000万円」ということになる。(減価償却費がある場合はその金額を借入限度額に加算する)”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、或いは、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。年商に関係なく、会社の収益性から借入限度額を計算するので、返済能力の安全性が担保された借入限度額が分かる。この方法で借入限度額を計算すると、借金過多に陥るリスク、或いは、借入金の返済苦に陥るリスクが殆どなくなる。借入限度額を見誤り、多額の借入金を抱えてしまい、返済に苦しんでいる中小企業は少なくない。もしも、既に借入限度額を超過している中小企業は、なるべく追加の銀行借入を行わずに、経営健全化を推進することをお薦めする。借入限度額を会社経営に活かすポイント稀に「銀行借入=悪い経営」という論調を見かけるが、銀行借入中心に資金調達を行い会社を成長発展させることは決して悪いことではない。例えば、銀行借入を積極活用した方が資金効率と投資効率が高まるので、会社の成長スピードは間違いなく加速する。ただし、銀行からの借入限度額を見誤ると、借入がきっかけで会社が衰退することがあるので注意しなければならない。お金を借りることは、同時に、お金を返すことでもある。そして、借入返済の原資は会社の売上(収入)ではなく、利益(収益)になる。借入金を元手にした成長投資が売上と利益を押し上げれば問題ないが、期待に反して売上と利益が増えないことは珍しいことではない。借入の失敗リスクを抑えるには、借入限度額を、常に経常利益ベースで計算し、なお且つ、借入限度額を絶えずモニタリングすることが大切だ。然るべき借入限度額をモニタリングしていれば、次のような借入コントロールが容易にできる。☑経常利益が増加したら借入枠を拡大して成長投資を拡大する☑経常利益が縮小したら借入を停止して利益拡大の経営改革を断行する常に経常利益を基準に借入限度額を判定している限り、借入で失敗することも、返済に苦しむこともないのだ。伊藤のワンポイント借入限度額の見誤りから返済苦に苦しむ中小企業は少なくありません。返済の失敗リスクを小さくするには、利益ベースで借入限度額を計算することと、常に一定の利益水準をキープすることです。資金調達の手段に限りのある中小企業は借入限度額をシビアに管理しないと、借入投資の小さな失敗がきっかけで、会社が衰退します。
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  • 債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準|借入・融資適性を計る経営指標
    債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準|借入・融資適性を計る経営指標債務償還年数と預貸率は、銀行融資を左右する指標だ。なぜなら、何れも銀行が融資先企業を格付分析する際に用いる指標だからだ。債務償還年数は返済能力を示し、預貸率は返済余力を示すので、融資先企業の債務償還年数と預貸率が分かると、自ずと、融資限度額や金利等の融資条件が決まる。従って、銀行から有利な融資条件を引き出すには、適正な債務償還年数と預貸率をキープすることが大切になる。この記事では、債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準について、詳しく解説する。債務償還年数と預貸率悪化の弊害は?債務償還年数と預貸率が悪化すると、融資枠を縮小される、或いは、追加融資を断られる、など等の状況に陥ることが往々にしてあり得る。或いは、債務償還年数と預貸率を把握せずに銀行融資を続けた結果、いつしか返済苦に陥ることも往々にしてあり得る。資金調達手段が限られている中小企業にとって、銀行融資ほど身近なものはない。また、運転資金や成長投資の原資を銀行融資で賄うケースも一般的である。銀行融資に失敗しないためには、融資審査を行う銀行側が重視している債務償還年数と預貸率の把握が欠かせない。債務償還年数と預貸率の計算式と適正水準について、それぞれ順を追って、さらに詳しく解説する。債務償還年数の計算式と適正水準債務償還年数とは会社の返済能力を示す経営指標である。債務とは文字通り、返済すべき借金のことで、すべての短期借入金と長期借入金を合計することで計算できる。償還年数とは、債務の完済に要する年数で、債務を会社が生み出す年間キャッシュフローで割ることで計算できる。債務償還年数の計算式は下記の通りである。年間キャッシュフロー=(経常利益×50%)+減価償却費債務償還年数=債務÷年間キャッシュフロー例えば、債務が5千万円で、年間キャッシュフローが1千万円であれば、5千万円÷1千万円で、債務償還年数は5年となる。債務償還年数の適正水準は5年以内で、一般的に債務償還年数が10年を超えると銀行の融資条件が厳しくなる。預貸率の計算式と適正水準預貸率とは会社の返済余力を示す経営指標である。預貸率は、銀行が預かっている預金と、貸し出してる融資金の割合で計算される。貸し出している融資金より、預かっている預金が多ければ、預貸率が高くなり、銀行側の安心度が高まる。逆に、貸し出している融資金より、預かっている預金が少なければ、預貸率が低くなり、銀行側の不安感が高まる。つまり、預貸率は、企業の心証を決定付ける指標でもあるのだ。預貸率の計算式は下記の通りである。預貸率=預金÷借入金例えば、預金が1億円あり、借入金が8千万円あった場合の預貸率は、1億÷8千万円で、預貸率125%となる。預貸率の適正水準は100%以上で、一般的に100%を下回ると銀行の融資条件が厳しくなる。ちなみに、借入金があっても実質無借金経営と云われる会社は、運転資金を差し引いた預貸率が100%を上回っている会社である。実質無借金経営は、返済しようと思えばいつでも返済できる経営状態なので、金利の払い損と思う経営者もいるかも知れないが、適度な借入枠を常に確保することができるので、実質無借金経営であっても多少の借入はしておいた方が得策だ。伊藤のワンポイント債務償還年数と預貸率、重要なのは債務償還年数です。債務償還年数が適正水準から外れると、早晩、資金繰りが厳しくなりますので、適正水準内に収まるように融資をコントロール、或いは、返済計画を考えなければなりません。債務償還年数の管理が杜撰になると、必ず借金で失敗します。
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  • 負債比率(有利子負債比率)の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    負債比率(有利子負債比率)の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標負債比率とは、会社の返済余力や安全性を表す経営指標のことだ。負債比率は、「自己資本(純資産=自分のお金)」と「他人資本(負債=他人のお金)」、ふたつの指標を用いて計算する。この記事では、負債比率の計算式から計算上の注意点、及び、負債比率の適正水準(目安)、並びに、有利子負債比率の計算式と目安に至るまで、詳しく解説する。負債比率とは負債比率とは、会社の返済余力や安全性を表す経営指標のことで、自己資本(純資産=自分のお金)と他人資本(負債=他人のお金)の二つの指標を用いて計算する。自己資本とは、自身で調達した資金(資本)のことである。自身で調達した資金(資本)なので、返済義務がない。一方、他人資本とは、他人から調達した資金(資本)のことである。他人から調達した資金(資本)なので、返済義務がある。他人資本は、返済義務が生じる負の債務なので「負債」といい、負債をさらに細分化すると、1年以内に支払期限が到来する「流動負債」と、1年以後に支払期限が到来する「固定負債」に分別される。負債比率は、返済義務のない自己資本と、返済義務のある負債である他人資本のバランスを明かにする経営指標なので、負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができる。なお、負債と自己資本の関係性を明確にする負債比率は、財務分析用語で、DEレシオ、レバレッジ比率、ギアリング比率とも呼ばれている。負債比率の計算式(求め方)負債比率の計算式(求め方)は下記の通りである。負債比率の計算式(求め方)負債比率=(負債÷自己資本)×100下図は、貸借対照表の負債と自己資本を示したものである。青枠が「負債(他人資本)」、赤枠が「自己資本」で、負債比率は、負債と自己資本の二つの数字を用いて計算する。負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができる。負債比率の計算例負債比率の計算例を紹介する。例えば、負債(他人資本)が1億円で、自己資本が2億円だった場合、負債比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、負債(他人資本)が2億円で、自己資本が1億円だった場合の負債比率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。先に述べた通り、負債比率は、返済余力を表す経営指標である。従って、負債比率が小さければ返済余力が高く会社の安全性が高い。逆に、負債比率が大きければ返済余力が低く会社の安全性が低い、ということが分かる。負債比率を計算するうえでの注意点負債比率は会社の返済余力や安全性を示す経営指標だが、中小企業の場合、計算するうえでの注意点がある。それは、返済義務のない負債を除く、ということだ。例えば、中小企業にありがちな返済期限のない代表者や身内に対する未払金や債権放棄や塩漬けが容認されている役員や身内からの借入金などの負債は、除いた方が良い。返済期限がない、或いは、返済義務のない負債を除いたうえで負債比率を計算すると、負債比率の実態がより正確に分かる。特に、金融機関からの借り入れを検討する場合は、返済義務等のない負債を除いた負債比率をベースに交渉した方が有利になるので留意してほしい。負債比率の適正水準(目安)負債比率の適正水準(目安)は下記の通りである。負債比率の適正水準(目安)100%以下負債比率が100%以下であれば優良水準である。自己資本で全ての負債を返済できるので、返済余力に問題はない。101%~300%負債比率が101%~300%の範囲内であれば標準水準である。無理のない返済計画であれば返済余力に問題はない。301%~600%負債比率が301%~600%の範囲内であれば要改善である。直ちに返済に支障はでないが、なるべく300%以下に収まるように改善した方が良いだろう。601~900%以下負債比率が601%~900%の範囲内であれば早急な改善が必要である。返済に支障が出る前に600%以下に収まるように改善した方が良いだろう。901%以上負債比率が901%以上の場合は、資本欠損の可能性がある。返済義務のある他人資本(負債)に充当する自己資本(資金)が枯渇気味の状態なので、待ったなしで経営改善を行う必要がある。負債>自己資本がマイナス自己資本がマイナスに陥り計算不能になった場合は債務超過である。返済義務のある他人資本(負債)に充当する自己資本(資金)がゼロ以下の状態なので、待ったなしで経営改善を行う必要がある。この状態を放置しておくと何れ会社は倒産する。負債比率は、設備投資が多い業種業態と少ない業種業態で適正水準に差が生じるので、上記適正水準に合致しない場合は、負債比率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである有利子負債比率とは?有利子負債比率とは、利息を付けて返済しなければならない負債(主に金融機関からの短期借入金や長期借入金等)と自己資本のバランスを示す経営指標のことである。有利子負債比率の計算対象になる有利子負債は、利息を付けて返済しなければならない負債に限定されるので、利息が生じない買掛金や未払金等の負債は有利子負債に含まれない。多くの中小企業において、有利子負債比率は、純粋に金融機関からの借金の返済能力を示す経営指標といえる。有利子負債比率も負債比率同様、定期的にモニタリングしたい経営指標だ。有利子負債比率の計算式と適正水準(目安)有利子負債比率の計算式は下記の通りである。有利子負債比率の計算式有利子負債比率=(有利子負債÷自己資本)×100例えば、有利子負債が1億円で、自己資本が2億円だった場合、有利子負債比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、有利子負債が2億円で、自己資本が1億円だった場合の有利子負債比率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。なお、有利子負債比率の適正水準(目安)は、負債比率の適正水準とは異なり、中小企業の場合は、有利子負債比率100%以下が標準である。有利子負債比率が100%超だと、自己資本で有利子負債の返済ができない状態を表すので、利益水準が低かったり赤字経営だと、追加融資が受けられない可能性が高くなる。また、有利子負債が100%超だと下記のような経営状況に陥っている可能性が高いので、自己診断してみてほしい。☑金融機関からの借金が運転資金に消えている☑借金ベースの成長投資がうまくいっていない☑借金で導入した固定資産が収益を生み出していない負債比率(有利子負債比率)を経営に活かすポイント負債比率(有利子負債比率)は、返済能力を示す経営指標だが、標準水準以下であっても一概に返済能力が低いといえないケースもある。例えば、銀行借入を中心に資金調達を行い、業績拡大を推進している会社は一時的に負債比率(有利子負債比率)が悪化する。新規店舗、或いは新規事業を立ち上げる場合は、どうしても事業開始から一定期間は利益水準と共に負債比率(有利子負債比率)が悪化することがある。このように戦略的に事業拡大を推進した結果、負債比率(有利子負債比率)が悪化することは良くあることだ。但し、忘れてはいけないことは「負債は返済すべき資金である」ということである。例えば、杜撰な事業計画をもとに新規事業をスタートした結果、事業が失敗してしまい、多額の負債を抱えたまま会社が一気に傾いてしまうことがある。多角化で失敗する中小企業の多くは、このパターンで倒産の危機に瀕している。会社経営に失敗しないためには、負債比率(有利子負債比率)に加えて、利益水準、借入限度額、投資基準など等、安定経営に欠かせない経営指標を常時モニタリングし、万全な事業計画を運用することが大切だ。伊藤のワンポイント負債比率は貸借バランスの健全性を表す重要な指標ですが、中小企業においては、有利子負債比率の方が遥かに重要です。適正な有利子負債比率をキープしないと、利益水準が少し落ち込んだ途端に返済苦に陥るからです。事業拡大に有利子負債(借金)は不可欠ですが、借金で経営に失敗するケースはとても多いので、くれぐれも注意してください。
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  • 固定比率と固定長期適合率の計算式と適正水準(目安)|資産・投資効率を計る経営指標
    固定比率と固定長期適合率の計算式と適正水準(目安)|資産・投資効率を計る経営指標固定比率とは、購入した固定資産が会社の自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことだ。固定比率は、自己資本に対する固定資産の構成比率を求めることで計算することができるが、固定比率が分かると、購入資産の返済余力だけでなく、購入資産の投資効率も分かる。この記事では、固定比率の計算式と適正水準(目安)、並びに、固定長期適合率の計算式と目安に至るまで、詳しく解説する。固定比率と固定資産の関係性固定比率は、自己資本に対する固定資産の構成比率を求めることで計算できる。固定比率の計算対象となる固定資産は、長期間に亘って使用可能な資産のことであり、原則、収益を生み出すために購入された資産になる。固定資産には、収益を生み出し、会社の成長を加速する役目があり、土地・建物・機械設備等の有形固定資産と、営業権・特許権・商標権等の無形固定資産がある。この固定資産の購入方法は、会社によって様々な方針がある訳だが、例えば、会社の利益を積み立てて自己資金だけで購入する経営者もいれば、銀行融資等で他人から資金を借り入れて購入する経営者もいる。当然ながら、購入した固定資産が想定通りの収益を生み出していれば、自己資金でも他人の資金(借入金)でも、固定比率が悪化することはない。しかし、ひとたび、固定資産の収益が想定よりも下回ると、固定比率が悪化し、会社経営に支障が出る。例えば、自己資本の減少、資金返済の困窮、固定資産の不良資産化などは、固定比率の悪化と共に表れる最たる症状になる。固定比率を日頃から把握していると、資金計画の修正や投資効率の改善などの手を事前に打つことができるので、固定比率はしっかり運用したい経営指標のひとつだ。固定比率の計算式(求め方)固定比率の計算式(求め方)は下記の通りである。固定比率の計算式(求め方)固定比率=(固定資産÷自己資本)×100下図は貸借対照表の「固定資産」と「自己資本」を示したものである。青枠が「固定資産」、赤枠が「自己資本」で、固定資産は、自己資本に対する固定資産の構成比率を求めることで計算できる。固定比率は、購入資産の返済余力を計る経営指標としてだけでなく、購入資産の投資効率を計る経営指標としても活用できる。固定比率の計算例固定比率の計算例を紹介する。例えば、固定資産が1億円で、自己資本が2億円だった場合、固定比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、固定資産が2億円で、自己資本が1億円だった場合の固定比率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。先に述べた通り、固定比率は購入資産の返済余力を表す経営指標である。従って、固定比率が小さければ返済余力に余裕がある。逆に、固定比率が大きければ返済余力に余裕がないということが分かる。また、固定比率は、固定資産の投資効率を示す経営指標としても活用できる。つまり、固定比率が良好であれば投資効率も良好、固定比率が悪化しているようなら投資効率も悪化しているということが分かる。固定比率の適正水準(目安)中小企業の固定比率の適正水準(目安)は下記の通りである。中小企業の固定比率の適正水準(目安)100%以下固定比率が、100%以下であれば優良水準である。固定資産の購入資金が100%自己資金で賄われているので、万が一、設備投資が失敗(想定の収益が得られない等)しても影響が小さく済む。101%~120%固定比率が、101%~120%の範囲内であれば標準水準である。121%~150%固定比率が、121%~150%の範囲内であれば要改善である。151%以上固定比率が151%以上であれば、過剰投資の可能性がある。資金の返済計画を作成して、返済に支障がないか否か検証する必要がある。更に、過剰投資を継続し、万が一、投資に失敗した場合は、購入資金の返済が滞り会社経営が危機的状況に追い込まれる可能性がある。また、固定資産の中に収益を生み出していない遊休資産や不良性資産が含まれていないかの選別作業も行う必要がある。固定比率は、設備投資が多い業種業態と少ない業種業態で適正水準に差が生じるので、上記適正水準に合致しない場合は、固定比率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。定点観測の結果、固定比率が悪化しているようなら、固定資産の不良化が進行している可能性が高いといえる。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである固定長期適合率とは?固定長期適合率とは、購入した固定資産が返済期限に余裕のある会社の長期資金(固定負債+自己資本)で、どの程度まかなわれているかを示す経営指標のことである。固定長期適合率は、長期資金に対する固定資産の構成比率を求めることで計算することができる。固定比率同様、購入資産の返済余力を計る経営指標としてだけでなく、購入資産の投資効率を計る経営指標としても活用できる。固定資産を購入する際に、金融機関等から外部調達した固定負債(長期借入金等)を購入資金に充てる場合は、固定比率と合わせて、固定長期適合率を併用すると、借入過多等の投資の失敗リスクを回避することができる。固定長期適合率の計算式と目安固定長期適合率の計算式(求め方)は下記の通りである。固定長期適合率の計算式(求め方)固定長期適合率=〔固定資産÷(固定負債+自己資本)〕×100例えば、固定資産が1億円で、固定負債と自己資本の合計が2億円だった場合、長期固定適合率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。逆に、固定資産が2億円で、固定負債と自己資本の合計が1億円だった場合の長期固定適合率は「(2億円÷1億円)×100」=200%になる。なお、固定長期適合率の適正水準(目安)は、固定比率の適正水準とは異なり、中小企業の場合は、固定長期適合率100%以下が標準である。固定長期適合率が100%超だと、長期資金(固定負債+自己資本)だけで購入固定資産の返済ができない状態を表すので、利益水準が低かったり赤字経営だと、追加融資が受けられず、資金繰りに行き詰まる可能性が高くなる。また、固定長期適合率が100%超だと下記のような経営状況に陥っている可能性が高いので、自己診断してみてほしい。☑金融機関からの借金が運転資金に消えている☑借金ベースの固定資産の投資がうまくいっていない☑借金で導入した固定資産が想定の収益を生み出していない固定比率(固定長期適合率)を会社経営に活かすポイント固定比率(固定長期適合率)は、固定資産の返済能力と投資効率を示す経営指標だが、標準水準以下であっても一概に返済能力や投資効率が低いといえないケースもある。例えば、固定負債(長期借入金)を中心に固定資産の投資を推進している会社は、一時的に固定比率(固定長期適合率)が悪化する。新規店舗、或いは、新規設備投資は、どうしても事業開始から一定期間は利益水準と共に固定比率(固定長期適合率)が悪化することがある。このように戦略的に固定資産の投資を推進した結果、固定比率(固定長期適合率)が悪化することは良くあることだ。但し、忘れてはいけないことは「負債は返済すべき資金である」ということである。例えば、杜撰な計画をもとに固定資産の投資を推進した結果、投資が失敗してしまい、多額の負債を抱えたまま会社が一気に傾いてしまうことがある。固定資産の投資で失敗する中小企業の多くは、このパターンで倒産の危機に瀕している。会社経営に失敗しないためには、固定比率(固定長期適合率)に加えて、利益水準、借入限度額、投資基準など等、安定経営に欠かせない経営指標を常時モニタリングし、万全な事業計画を運用することが大切だ。伊藤のワンポイント資本集約型の会社は、固定比率(固定長期適合率)をしっかりモニタリングしてください。返済余力や投資効率の情報把握は安定経営に不可欠だからです。また、投資後に収益が悪化すると、投資の失敗リスクが高まるので、固定比率と共に営業利益率を把握することも忘れないでください。
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  • 自己資本比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標
    自己資本比率の計算式と適正水準(目安)|安全性分析に用いる経営指標自己資本比率とは、会社の資本力や経営の安全性を示す経営指標のことである。自己資本比率は、資本力が小さく、資金調達の手段に限りのある中小企業ほど高める必要がある。この記事では、自己資本比率の計算式(求め方)から適正水準(目安)まで、詳しく解説する。自己資本比率とは?自己資本比率とは、会社の資本力や経営の安全性を示す経営指標のことで、経営分析や株式投資の現場で幅広く活用されている。自己資本比率は、「自己資本(純資産=自分のお金)」と「他人資本(負債=他人のお金)」、そして、「自己資本と他人資本の合計である総資本」の三つの指標を用いて計算する。自己資本とは、自身で調達した資金(資本)のことである。自己資本は、自己出資や利益の積み立てなど、自身で調達した資金(資本)なので返済義務がない。一方、他人資本とは、他人から調達した資金(資本)のことである。他人資本は、金融機関等からの借金など、他人から調達した資金(資本)なので、返済義務がある。この自己資本と他人資本の合計が総資本になり、総資本に占める自己資本の比率が大きいほど自己資本比率が高くなり、自己資本比率が高いほど、経営の安全性が高いといえる。自己資本比率の計算構造自己資本比率は、会社の総資本(自己資本+他人資本の合計)に占める自己資本の構成比率のことなので、自己資本比率が分かると、会社の資本力や経営の安全性を簡単に把握することができる。下図は、自己資本比率の計算構図が分かる貸借対照表の構成図である。赤枠の部分が自己資本に相当する。そして、流動負債と固定負債の合計が他人資本で、この自己資本と他人資本の合計が、自己資本比率を求める際に使う総資本(他人資本と自己資本の合計)になる。自己資本比率の計算式(求め方)と自己資本比率の適正水準(目安)について、さらに詳しく解説する。自己資本比率の計算式(求め方)自己資本比率の計算式(求め方)は下記の通りである。自己資本比率の計算式(求め方)自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本(負債の部+資本の部の合計)〕×100例えば、総資本が2億円で自己資本が1億円の場合、自己資本比率は「(1億円÷2億円)×100」=50%になる。総資本が2億円で自己資本が0.2億円の場合は、自己資本比率が「(0.2億円÷2億円)×100」=10%になる。総資本が2億円で自己資本が△0.1億円の場合は、自己資本比率が「(△0.1億円÷2億円)×100」=△5%になる。ちなみに、自己資本比率の計算値がマイナスになる場合は、債務超過といって、総資本よりも他人資本(負債)が多いことを表す。【関連記事】債務超過とは?自己資本比率の計算例と資本主義の原理自己資本比率の計算例を用いて、資本主義の原理を解説する。例えば、自己資金(資本)100万円で設立した会社があったとする。会社が設立されて商取引が開始されるまでの貸借対照表の構成は下表の通りになる。借方金額貸方金額現金100万円自己資本100万円この時点の自己資本比率は「(100万円÷100万円)×100=100%」になる。次に、商品を50万円、信用取引(買掛金=他人資本)で購入すると、貸借対照表の構成は下表の通りになる。借方金額貸方金額現金50万円他人資本(買掛金)50万円商品50万円自己資本50万円この時点の自己資本比率は「(50万円÷100万円)×100=50%」となる。最後に、商品を200万円で販売すると同時に買掛金50万円を支払うと、貸借対照表の構成は下表の通りとなる。借方金額貸方金額現金200万円自己資本200万円この時点の自己資本比率は「(200万円÷200万円)×100=100%」になる。最初の自己資本比率と同じ100%に戻ったが、自己資本の金額は100万円から200万円に増額している。この仕組みが、投じた自己資本が経済活動を通して価値を生み出し、さらに自己資本が大きくなる「資本主義」の原理になる。自己資本比率の適正水準(目安)中小企業の自己資本比率の適正水準(目安)は下記の通りである。自己資本比率の適正水準(目安)自己資本比率 50%以上自己資本比率が50%以上であれば、優良企業である。更に、70%を超えると殆ど無借金経営になり、超優良企業になる。自己資本比率 20%~49%自己資本比率が20~49%の範囲に収まっていれば、一般的な水準の会社である。40%以上であれば、倒産のリスクは殆どない。自己資本比率 10%~19%自己資本比率が10~19%の範囲であれば、資本力に乏しい状態である。直ちに経営が悪化する恐れはないが、20%以上の水準を目指して利益体質を改善した方が良いだろう。自己資本比率 9%以下自己資本比率が9%以下であれば、資本欠損の恐れがある。既に赤字経営に陥っているような場合は、早急に利益体質を改善し、会社の黒字化を最優先しなければならない。自己資本比率がマイナス自己資本比率がマイナスの場合は、債務超過である。債務超過とは、総資本よりも、返済義務のある他人資本の金額が上回っているということである。この場合は、待ったなしで会社再建の手を講じる必要がある。不採算部門の閉鎖、人員整理、返済計画のリスケジュール、等々、会社の足を引っ張る部分を早急に取り除かないと、会社全体が蝕まれてしまう。自己資本比率の業界平均自己資本比率の業界平均は各業界団体が発表しているが、自己資本比率の業界平均を知ったところで役立つことは何もない。なぜなら、自己資本比率の業界平均は、数少ないトップ企業の実績を、数多くの下位企業が足を引っ張る構図で計算されているからだ。業界平均を目指すことは無意味であり、業界平均を上回っていたとしても、経営の安全性が確約されるわけではない。自己資本比率の業界平均に振り回されることなく、前章で示した自己資本比率の適正水準(目安)に実績を照らし合わせて、自己資本比率を1%ずつでも改善する姿勢が正しい経営である。自己資本比率の高い企業と低い企業自己資本比率の高い企業の特徴と低い企業の特徴は、下記の通りである。自己資本比率の高い企業の特徴自己資本比率が高い企業は、買掛金や借金等の他人資本が少なく、自己資本の代表格である現預金と純資産が多い特徴がある。また、現金化のスピードが速いキャッシュフロー重視の経営を行っていて、資本効率の高い経営が実践されている傾向が強い。この他にも、利益水準が高い、在庫が少ない、設備の減価償却が速い、不良債権や不良資産が少ない、といった特徴も挙げられる。自己資本比率の低い企業の特徴自己資本比率が低い企業は、買掛金や借金等の他人資本が多く、自己資本の代表格である現預金と純資産が少ない特徴がある。また、現金化のスピードが速いキャッシュフロー重視の経営が定着しておらず、資本効率の悪い経営に陥っている傾向が強い。この他にも、利益水準が低い、在庫が多い、設備の減価償却が遅い、不良債権や不良資産が多い、といった特徴も挙げられる。自己資本比率を会社経営に活かすポイント自己資本比率は会社の資本力と経営の安全性を示す重要な経営指標だが、自己資本比率が標準水準よりも劣っているからといって、会社の経営状態が悪いと断定することはできない。例えば、銀行借入を中心に資金調達を行い、グングン成長している中小企業の自己資本比率は標準を下回っているケースが多い。この場合、成長投資が糧となって、現金水準と利益水準が標準を上回っていれば、会社の安全性に問題はない。逆に、想定の収益が得られず、現金水準と利益水準が標準を下回っている場合は、会社の安全性に問題あり、となる。このように自己資本比率の適正水準は、会社の経営環境によって良否の判断が異なる場合がある。経営者が数字に振り回されないためには、自己資本比率をはじめとする様々な経営指標の本質を理解することが大切だ。伊藤のワンポイント自己資本比率を気にする経営者は多いですが、資本欠損や債務超過に陥っていないのであれば、あまり、敏感になる必要はありません。成長投資の過程で自己資本比率が悪化することは良くあることです。大切なのは、投じた資本以上の利益を追求する意識を忘れず、キャッシュフローを悪化させないことです。
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  • 自己資本利益率(ROE)の計算式と目安|収益性が分かる経営指標
    自己資本利益率(ROE)の計算式と目安|収益性が分かる経営指標自己資本利益率(ROE=Return On Equity)は、収益性分析に用いられる経営指標の一つである。自己資本利益率(ROE)は、自己資本(純資産)に対する当期純利益の構成比率を求めることで計算できる。この記事では、自己資本利益率(ROE)の計算式と目安について、詳しく解説する。自己資本利益率(ROE)とは?自己資本利益率(ROE)とは、企業の自己資本(純資産)に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す経営指標で、主に、収益性の内部分析や株式投資家が活用する指標になる。自己資本利益率はROEと省略表記されるが、これは英語のReturn On Equity(リターン・オン・エクイティ)の頭文字が語源になっている。かつて、自己資本利益率(ROE)のことを株主資本利益率とも呼んでいたが、日本では2006年の会計基準の改正において、株主資本と自己資本とが異なる値として明確に定義されたことで、現在では「自己資本利益率」が正確な呼称になっている。なお、自己資本利益率(ROE)の派生用語として、自己資本営業利益率(営業利益÷自己資本×100)や自己資本経常利益率(経常利益÷自己資本×100)があるが、これらも自己資本利益率(ROE)と同様、企業の自己資本(純資産)に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを判断するのに用いられる指標になる。自己資本利益率(ROE)の計算式自己資本利益率(ROE)の計算式は以下の通りになる。自己資本利益率(ROE)の計算式自己資本利益率(ROE)=(当期純利益÷自己資本)×100例えば、自己資本(純資産)が10億円で当期純利益が1億円であれば、(1億円÷10億円×100)=自己資本利益率(ROE)10%になる。自己資本(純資産)が10億円で当期純利益が0.5億円であれば、(0.5億円÷10億円×100)=自己資本利益率(ROE)5%になる。因みに、自己資本(純資産)、或いは、当期純利益の何れかがマイナスの場合は、計算結果もマイナスになり、投資価値のない企業という判断が下される。自己資本利益率(ROE)の目安自己資本利益率(ROE)の目安は10%~20%が標準と云われている。但し、中小企業など、元々の資本金が小さな会社は、標準値よりも目安が高くなる。また、業績悪化に伴い自己資本が減少している場合も、標準値よりも目安が高くなる。なお、自己資本利益率(ROE)がマイナスの場合は、債務超過、或いは、赤字経営に陥っているということなので、早急に経営改善しなければならない。また、自己資本利益率(ROE)の目安は、資本金の規模や業種業態によって変わるので、定点観測で推移分析しながら、自社に合った適正目安を探るのがお薦めだ。自己資本利益率(ROE)の改善手法自己資本利益率(ROE)は、企業の自己資本(純資産)に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す指標なので、改善するには収益性の向上が欠かせない。例えば、売上拡大一辺倒に走るのではなく、利益率改善、コスト削減、生産性改善など等、収益性に貢献する経営改善を推進すると、自己資本利益率(ROE)の数値が改善される。なお、収益性改善の具体的手法については、当サイト内の「会社が儲かる実践経営ノウハウ」を参考にしてほしい。何れにしろ、売上拡大をキープしながら、最小コストで最大利益を生み出す経営基盤を確立することが、自己資本利益率(ROE)の確かな改善手法になる。自己資本利益率(ROE)と総資本利益率(ROA)の違い自己資本利益率(ROE)に似た指標に総資本利益率(ROA)という指標がある。総資本利益率(ROA)の計算式は以下の通りになる。総資本利益率(ROA)の計算式総資本利益率(ROA)=〔当期純利益÷総資本〕×100総資本利益率(ROA)は、分母が純資産ではなく、外部調達した負債等も含まれた総資本になる。自己資本利益率(ROE)とは異なり、負債を考慮した数値になるため、ROEとROAの二つの経営指標を活用することで負債リスク(倒産リスク)の経営分析ができる。例えば、ROEが高くROAが低い場合は、純資産が少なく、大きな負債を抱えている可能性が高くなる。なお、一般的にROEは10%以上だと投資価値がある会社だと判断されるのに対して、ROAは5%以上で投資価値がある会社だと判断される。
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  • 総資本利益率(ROA)の計算式と目安|資本効率が分かる経営指標
    総資本利益率(ROA)の計算式と目安|資本効率が分かる経営指標総資本利益率(ROA=Return On Assets)は、収益性と資本効率の分析に用いられる経営指標の一つである。総資本利益率(ROA)は、総資本に対する当期純利益の構成比率を求めることで計算できる。この記事では、総資本利益率(ROA)の計算式と目安について、詳しく解説する。総資本利益率(ROA)とは総資本利益率(ROA)とは、企業の総資本に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す経営指標で、主に、資本効率と収益性の内部分析や株式投資家が活用する指標になる。総資本利益率(ROA)は、経営資源である総資産を如何に効率的に活用して利益に結びつけているかを示すので、企業の収益性と効率性を同時に示す経営指標である。総資本利益率はROAと省略表記されるが、これは英語のReturn On Assets(リターン・オン・アセット)の頭文字が語源になっている。ちなみに、総資本の額は総資産の額と等しいので、総資本利益率(ROA)と総資産利益率は実質的には同じものになる。なお、総資本利益率(ROA)の派生用語として、総資本営業利益率(営業利益÷総資本×100)や総資本経常利益率(経常利益÷総資本×100)があるが、これらも総資本利益率(ROA)と同様、企業の総資本に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを判断するのに用いられる指標になる。総資本利益率(ROA)の計算式総資本利益率(ROA)の計算式は以下の通りになる。総資本利益率(ROA)の計算式総資本利益率(ROA)=(当期純利益÷総資本)×100例えば、総資本が20億円で当期純利益が1億円であれば、(1億円÷20億円×100)=総資本利益率(ROA)5%になる。自己資本(純資産)が20億円で当期純利益が0.5億円であれば、(0.5億円÷20億円×100)=総資本利益率(ROA)2.5%になる。因みに、当期純利益がマイナスの場合は、計算結果もマイナスになり、投資価値のない企業という判断が下される。総資本利益率(ROA)の目安総資本利益率(ROA)の目安は5%~10%が標準と云われている。但し、中小企業など、元々の総資本が小さな会社は、標準値よりも目安が高くなる。また、業績悪化、或いは、不良資産や不良債権の処分に伴い総資本が減少した場合も、標準値よりも目安が高くなる。なお、総資本利益率(ROA)がマイナスの場合は、赤字経営に陥っているということなので、早急に経営改善しなければならない。また、総資本利益率(ROA)の目安は、総資本の規模や業種業態によって変わるので、定点観測で推移分析しながら、自社に合った適正目安を探るのがお薦めだ。総資本利益率(ROA)の改善手法総資本利益率(ROA)は、企業の総資本に対してどれだけの利益(リターン)が生み出されているかを示す指標なので、改善するには収益性の向上が欠かせない。例えば、売上拡大一辺倒に走るのではなく、利益率改善、コスト削減、生産性改善など等、収益性に貢献する経営改善を推進すると、総資本利益率(ROA)の数値が改善される。また、負債を起点とした投資効率を高める財務レバレッジの改善も有効な改善策になる。なお、収益性改善の具体的手法については、当サイト内の「会社が儲かる実践経営ノウハウ」を参考にしてほしい。何れにしろ、売上拡大と高い財務レバレッジをキープしながら、最小コストで最大利益を生み出す経営基盤を確立することが、総資本利益率(ROA)の確かな改善手法になる。総資本利益率(ROA)と自己資本利益率(ROE)の違い総資本利益率(ROA)に似た指標に自己資本利益率(ROE)という指標がある。自己資本利益率(ROE)の計算式は以下の通りになる。自己資本利益率(ROE)自己資本利益率(ROE)=(当期純利益÷自己資本)×100自己資本利益率(ROE)は、分母が総資産ではなく、外部調達した負債等を除外した自己資本(純資産)になる。総資本利益率(ROA)とは異なり、負債が考慮されていないため、ROAとROEを併用しないと、負債リスク(倒産リスク)を見落とすこともあり得る。例えば、ROEが高くても、ROAが低ければ、純資産が少なく、大きな負債を抱えている可能性が高いということが分かる。
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  • 総資本回転率の計算式と適正水準(目安)|資本効率を計る経営指標
    総資本回転率の計算式と適正水準(目安)|資本効率を計る経営指標総資本回転率とは、資本効率の適正度合いを判定する経営指標のことだ。具体的には、年間売上によって総資本が何回入れ替わったかを表す指標で、売上高(年商)を総資本(総資産)で除した値になる。この記事では、総資本回転率の仕組みから総資本回転率の計算式と適正水準(目安)に至るまで、詳しく解説する。総資本回転率|資本の回転とは?総資本回転率とは、資本効率の適正度合いを判定する経営指標のことで、売上高(年商)を総資本(総資産)で除した値になる。総資本回転率の計算対象になる資本とは、会社の事業活動の元手のことで、例えば、会社の設立時点の資本(元手)は資本金である資金、いわゆる現金しかない。会社経営が始まると、資本金である現金が商品に姿を変え、商品が売れると商品が現金に変わり、再び、資本金に戻ってくる。この資本→商品→現金→資本という一連のサイクルを「資本の回転」といい、資本の回転を通して獲得した年間売上によって総資本が何回入れ替わったかを表す指標が「総資本回転率」になる。総資本回転率の仕組み総資本回転率の仕組みが分かる具体例を挙げる。例えば、自己資金(資本)100万円で設立した会社があったとする。会社が設立されて商取引が開始されるまでの貸借対照表の構成は下表の通りになる。借方金額貸方金額現金100万円自己資本100万円この時点の自己資本比率は「(100万円÷100万円)×100=100%」になる。次に、商品を50万円、信用取引(買掛金=他人資本)で購入すると、貸借対照表の構成は下表の通りになる。借方金額貸方金額現金50万円他人資本(買掛金)50万円商品50万円自己資本50万円この時点の自己資本比率は「(50万円÷100万円)×100=50%」となる。最後に、商品を200万円で販売すると同時に買掛金50万円を支払うと、貸借対照表の構成は下表の通りとなる。借方金額貸方金額現金200万円自己資本200万円100万円の資本が、資本→商品→現金→資本と回転した結果、資本が200万円に増額した。これが資本回転の仕組みであり、少ない資本で大きな売上が獲得できるほど、資本効率の高い経営ができているということになる。つまり、資本効率の良し悪しを測定する指標が総資本回転率になる。総資本回転率の計算構造総資本回転率は、会社の総資本と年商を用いて計算する。下図は、総資本の構成が分かる貸借対照表の構成図になる。赤枠の部分が総資本(他人資本+自己資本)に相当する。自己資本は全て自身で調達した資金(資本)なので返済義務がなく、他人資本は全て他人から調達した資金(資本)なので返済義務がある。この自己資本と他人資本の合計が会社の総資本になり、この総資本が効率よく売上に転換されていれば、資本効率が高いということになる。総資本回転率の計算式総資本回転率の計算式は下記の通りである。総資本回転率の計算式総資本回転率(回)=売上高(年商)÷総資本例えば、年商2億円、総資本が1.5億円の会社の場合、総資本回転率は、2億円÷1.5億円=1.33回転になる。年商が1.5億円、総資本が2億円の会社の場合は、総資本回転率が、1.5億円÷2億円=0.75回転になる。総資本回転率をモニタリングしていれば、資本効率の適正度合いの判定ができるので、総資本回転率が高ければ資本が効率的に売上に転換している、逆に総資本回転率が低ければ資本効率が落ちている、ということが分かる。総資本回転率の適正水準(目安)中小企業の総資本回転率の適正水準(目安)は下記の通りである。総資本回転率の適正水準(目安)1.3回転以上総資本回転率が1.3回転以上であれば、優良水準である。資本効率が高く、不良性の資産も殆どない健全な資本環境といえる。1.0~1.2回転総資本回転率が1.0~1.2回転の範囲内に収まっていれば、標準水準である。0.8~0.9回転総資本回転率が0.8~0.9回転の範囲内に収まっていれば、要改善である。0.7回転以下総資本回転率が0.7回転以下であれば、投じた資本の割に売上が伸びていない。或いは、資産の中に、遊休資産、不良性の売掛金、水増し在庫、など等といった不良性の資産が含まれている可能性が高い。総資本回転率は、設備投資が多い業種業態と少ない業種業態では適正水準に差が生じるので、上記適正水準に合致しない場合は、総資本回転率の推移を定点観測(※1)することをお薦めする。※1 定点観測とは、同じ方法(定点)で継続的にある一定の項目を観察し、以前のものと比較してその差異を分析することである伊藤のワンポイント総資本回転率は、主に設備投資の多い資本集約型の産業が重要視すべき経営指標です。また、総資本にリース残高などの簿外債務を加算すると、より実態に近い数値が計算できます。なお、総資本回転率が適正水準であっても、負債比率や固定比率が悪化していると会社経営に失敗しますので、十分注意してください。
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  • 事業撤退の判断基準とタイミング|リスク管理に用いる経営指標
    事業撤退の判断基準とタイミング|リスク管理に用いる経営指標事業撤退の基準を誤ると、会社が一気に衰退することがある。事実、新規事業や多角化事業の大失敗の根本原因は、事業撤退基準の誤りにある。「見切千両」という言葉がある通り、事業を見限る選別眼は中小企業経営者にとって欠かせない能力のひとつといえる。この記事では、事業撤退の判断基準とタイミングについて、詳しく解説する。事業撤退の大切なポイント事業を見限るうえで大切なのは、事業撤退の判断基準とタイミングだ。なぜなら、事業撤退の判断基準とタイミングを誤ると、会社の更なる成長の芽を潰す結果を招く可能性、或いは、会社全体が衰退の危機に陥る可能性が高まるからだ。例えば、事業撤退の基準が曖昧だと、もう少し積極投資すれば事業が軌道に乗る、或いは、ここで撤退しなければ会社全体が衰退する、といった経営判断を正確に下すことができない。これでは、事業の成長発展を円滑に推進することが困難であることは容易に想像ができるだろう。つまり、事業撤退の判断基準とタイミングを誤ると、経営の失敗リスクが飛躍的に高まるのだ。【関連記事】中小企業の改善事例・成功のポイント事業撤退の判断基準に欠かせない要素事業撤退の判断基準に欠かせない要素は、正確な損益集計になる。なぜなら、既存事業と切り離した独立採算の損益集計をしなければ、新規事業や個別事業の正しい損益状況が不明瞭になるからだ。当然ながら、正しい損益が分からなければ、その事業が儲かっているのか、或いは、損をしているのかの判断基準が曖昧になるので、成長投資、或いは、事業撤退の判断を正しく下すことが出来なくなる。独立採算の損益集計なくして、確かな事業撤退基準を作ることはできない。新規事業等の単体損益を明らかにする正確な損益集計が、確かな事業撤退基準のベースになるのだ。事業撤退の判断基準となる損益集計の方法中小企業が、新規事業、或いは、新店舗を出店した場合は、必ず独立採算の損益集計をしなければならないが、事業撤退の判断基準となる損益集計の方法等は、下記の通りである。独立採算の損益集計表売上新規事業の売上のみを計上する売上原価新規事業の売上原価のみを計上する売上総利益新規事業の売上総利益を算定する直接経費新規事業に関わる直接経費のみを計上する貢献利益新規事業の貢献利益を算定する本部経費本部経費を一定比率に応じて配賦する営業利益新規事業の営業利益を算定する独立採算の損益項目の解説独立採算の各損益項目の解説と集計のポイントは下記の通りである。売上新規事業の商取引(経済活動)を通じて得られた収入のみを売上として計上する。本業や他事業の収入が混入しないように注意する。売上原価新規事業の商取引(経済活動)を通じて行った仕入(材料費、外注費等)のみを計上する。本業や他事業の仕入が混入しないように注意する。売上総利益新規事業の売上総利益を算定する。〔売上総利益=売上-売上原価〕直接経費新規事業の商取引(経済活動)を通じて支出した経費のみを計上する。本業や他事業の経費が混入しないように注意する。新規事業単体の正確な損益を集計するうえで最も大事なのは、この直接経費の集計である。責任者の人件費や家賃等の固定費、水道光熱費等の変動費まで、新規事業に関わっている全ての直接経費を集計する。貢献利益新規事業の貢献利益を算定する〔貢献利益=売上総利益-直接経費〕。この貢献利益は、会社全体への貢献度を示す利益である。つまり、貢献利益の黒字額が多ければ貢献度が高く、貢献利益が赤字(マイナス)であれば、会社の足を引っ張っている事業ということになる。本部経費新規事業へ配賦する本部経費である。本部経費とは、会社の管理部門(総務、経理、開発等)の経費のことである。一般的な配賦基準は、売上総利益(粗利)の構成比率に本部経費を乗じて配賦することが多い。例えば、本部経費が100万円で、会社に5つの事業あった場合の配賦は下表の通りである。A事業B事業C事業D事業E事業粗利構成比率10%15%20%25%30%本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円売上総利益の金額の構成比率が大きいということは、それだけ本部のサポートを受けて事業活動を行っているといえるので、売上総利益の構成比率を用いて本部経費を配賦する方法は公正かつ合理的な方法である。この他にも、社員人数の構成比率や、床面積の構成比率等を用いて本部経費を配賦する方法もある。営業利益新規事業の営業利益を算定する。〔営業利益=貢献利益-本部経費〕新規事業の撤退基準とタイミング新規事業等の単体損益が明らかになると、損益悪化の兆候を素早く捉えるができ、なお且つ、事業撤退基準も明快になるので、会社の衰退リスクが低下する。中小企業の新規事業等の撤退基準とタイミングは下記の通りである。事業の撤退基準とタイミング貢献利益が黒字で営業利益が赤字営業利益が赤字であっても、貢献利益が黒字であれば、撤退する必要はない。配賦された本部経費が負荷になっているが、単体事業としては貢献利益が黒字なので、経営改善次第で、営業利益の黒字化が見込める。売上拡大、或いは、直接経費のコスト削減を図り、営業利益の黒字化が見込めるか否か検討して、黒字化の見込みがあれば、一層の経営改善を推し進める。逆に、営業利益黒字化の見込みがなく、何れ貢献利益が赤字になることが予想される場合は、撤退を検討した方がよい。貢献利益が赤字貢献利益が赤字であれば、撤退を検討する。但し、売上拡大や直接経費のコスト削減で貢献利益黒字化の見込みがあれば、事業撤退を保留し、経営改善を推し進める。既に、売上拡大やコスト削減の余地がない状況であれば、即時撤退を検討した方がよい。貢献利益の赤字は、本業や他部門の利益を食いつぶしている経営状態を示す。当然ながら、貢献利益の赤字を放置するほど会社倒産のリスクは高まる。会社全体が赤字に転落する前に手を打つことが大切になる。事業撤退基準を経営に活かすポイント中小企業経営者が、事業撤退の判断基準とタイミングを誤らないためには、日ごろから正確な損益管理を行うことが大切だ。また、会社全体の損益管理に限らず、部門別、更には商品別というように、事業を細分化して損益管理を行う仕組みを定着させることも重要だ。そして、最も大切なのは「継続性をもって損益状況をモニタリングする」ことである。長期的に事業活動の損益結果をモニタリングすると、その事業の将来性が自然と見えてくる。そして、事業の将来性が見えるほど、事業撤退の判断基準とタイミングの精度が上がる。会社経営において継続することほど難しいものはないが、地道な努力ほど経営力を押し上げるものはない。伊藤のワンポイント事業撤退の判断が遅れたために会社経営が危機的状況に陥る例はじつに多いです。ですから、黒字経営の見込みがない事業であれば、迅速な撤退を検討すべきです。多少の損切りをしてでも一度撤退して体制を立て直せば、再挑戦の芽も残せますし、経営の安全性もキープできます。決断の先送りが命取りになることを忘れないでください。
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  • コストダウンの目標と効果的手法|コスト分析を後押しする経営指標
    コストダウンの目標と効果的手法|コスト分析を後押しする経営指標コストダウンは企業存続の生命線になる。なぜなら、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供することが、企業存続の絶対条件になるからだ。この記事では、コストダウンの目標と効果的手法、並びに、コスト分析を後押しする経営指標について、詳しく解説する。コストダウンの目的とは?コストダウンの目的は二つある。ひとつは「利益の拡大」、もう一つは「競争優位性の向上」である。会社の売上を獲得するために支出される経費は全て会社の必要コストになる。商品仕入もコスト、人件費や水道光熱費もコスト、地代家賃もコストだ。コストゼロで儲けることができれば笑いが止まらないが、現実はそれほど甘くはなく、一定の売上を上げるには、必ず、一定のコストがかかる。そして、コストを売上以下に抑えることが出来なければ、利益も競争優位性も生まれない。つまり、日頃のコストダウンの成果次第で、会社の利益、強いては、競争優位性が決まってしまうのだ。コストダウンの効果とは?売上とコストは対の関係性にあるので、コストの増減は、常に会社の存続を左右する利益に直結する。売上に対するコストが少ないほど利益が増え、逆に、売上に対するコストが多くなるほど利益が減少する。万が一、売上以上のコストがかかると利益がゼロ(赤字経営)になり経営が破たんする。つまり、コストダウンなくして、会社の利益拡大も、会社の存続もあり得ないということだ。また、コストダウンは、企業の競争優位性を決定付ける。例えば、他社よりも低コストで商品を提供することができれば競争の優位性が高まるが、他社よりも高コストになると、途端に競争の優位性が失われる。コストダウンの効果は利益拡大と競争優位性の向上にあり、これこそがコストダウンの主たる目的(目標)になる。コストダウンを効果的に進めるには?利益拡大と競争優位性の向上は企業存続の必須条件なので、コストダウンは会社経営の必須活動になる。しかし、目標がない中で闇雲にコストダウンを進めても、効果的な実績は上がらないし、失敗リスクも高い。また、一つひとつのコストと売上(事業活動)との関係性を分析せずに進めるコストダウンも、効果が上がらない典型になる。コストダウンの効果を上げるには、正しい現状認識のもとで明確な目標を掲げ、費用対効果を意識することが欠かせない。繰り返すが、闇雲なコストダウンは経営悪化のリスクが高い。コストダウンを成功させるには、然るべき目標と基本の改善手法を理解することが欠かせない。コストダウンの目標指標と効果的手法中小企業のコストダウンを効果的に進めるには、「正しい現状認識」と「目標設定」が重要になる。つまり、スタート地点とゴール地点が曖昧では、コストダウンを効果的に進めることができない、ということだ。正しい現状認識と目標を掲げたうえで、コストダウンをどのように進めるかが経営手腕の見せ所ともいえるが、コストダウンの目標は、経営指標を活用するのが良い。例えば、「売上原価率」と「経費率」などは、コストダウンの目標指標として使える代表的な経営指標になる。売上原価率は売上に占める売上原価の構成比率で、経費率は売上に占める販売管理費の構成比率だが、何れの指標も、コストダウンの効果を押し上げる数値目標として、有効活用できる。売上原価率と経費率の計算式売上原価率=(売上原価÷売上)×100経費率=(販売管理費÷売上)×100数値目標がコストダウンの効果を押し上げる売上原価率と経費率、この二つの経営指標を活用し、正しい現状認識の下で目標がセットされると、改善目標と改善手段が明らかになり、効果的にコストダウンの実績を上げることができる。例えば、現状の売上原価率が50%で、目標を45%に設定したとすると、コストダウンの目標値はマイナス5%になる。単純に、「売上原価を削減する」というコストダウン手法と、「売上原価率を5%削減する」というコストダウン手法を比べた場合、効果的にコストダウンの実績を上げることができるのは、後者の「数字のある目標」だ。経験上、具体的な数値目標があると、具体性のあるコストダウンの手法やアイデアが生まれやすくなる。また、コストダウンのアイデア毎に想定改善値を算出すると、目標達成のためにすべきことを分かりやすく整理することができるので、コストダウンを効率的に進めることができる。さらに、経営者と社員の間に共通の数値目標が生まれると、全社員が同じ目的意識のもとにコストダウンに取り組むことが可能になる。共通認識と共通目標ほど大きなコストダウン効果を生み出す環境はない。参考まで、代表的な売上原価と経費のコストダウンの手法を紹介する。売上原価のコストダウン手法仕入先を工夫して仕入単価を下げる、容器等の包材を工夫して包材単価を下げる、歩留まりや廃棄率を改善して製造原価を下げる、製造効率を工夫して製造原価を下げる。経費のコストダウン手法不要不急のコストを一律カットする。売上貢献度の低いコストを一律カットする。消耗品の調達先を工夫して消耗品費を下げる、印刷物や広告物の発注先を工夫して広告宣伝費を下げる、営業効率を工夫して人件費を下げる。労働効率の改善も有効なコストダウン手法中小企業のコストダウンは、仕入や消耗品等々、金額が目にみえる部分に着目する手法の他にも、金額が目に見えないコストロスを改善してコストダウンを図る手法もある。それは、労働効率のコストロスを改善して、コストダウンを図る手法である。労働効率の改善は、場合によって金額が目に見えるコストダウンよりも数倍の効果を得られることがある。例えば、一人の社員が1時間に10個の商品を作るのと、20個の商品を作るのでは、商品1個あたりの人件費コストが2倍も違う計算になる。或いは、一人の社員が1時間に10個の商品を売るのと、20個の商品を売るのでは、上の例と同じく、商品1個あたりの人件費コストが2倍も違う計算になる。労働効率のコストロスが発生する主な場所は「製造現場」と「営業現場」、この2つの領域に絞られる。例えば、製造効率や営業効率に無駄やロスがあれば、1円、10円、100円と、無駄なコストが垂れ流しになる。コストロスは利益の喪失、コストダウンは利益の増額という公式が成り立つので、コストロスを解消すれば、自ずとコストダウンに繋がる。参考まで、製造現場と営業現場コストロスのポイントを紹介する。製造現場のコストロス製造現場の労働効率のコストロスは、製造効率の低下が大きな原因である。製造効率の最適化を行うには、製造商品の組み合わせや人員配置、製造ラインの組み換え等々、様々な非効率要因を洗い出し、コストロスを探る必要がある。営業現場のコストロス営業現場の労働効率のコストロスは、営業効率の低下が大きな原因である。営業体制の最適化を行うには、営業ルートや配送ルートの損益分析、催事やイベントの損益分析等々、個別損益を分析し、コストロスを探る必要がある。コストダウンの効果的実践ノウハウコストダウンの具体的方法は企業を取り巻く経営環境や経営状況によって、無限に広がる。大切なことは、自社にフィットしたコストダウンの方法を定着させるために、トライ&エラーを小さな規模で繰り返し、コストダウンの精度を高めることだ。最後に、コストダウンの効果的実践ノウハウとして、当サイト内のお薦め記事を紹介する。経費率の計算式と適正水準経費率は、会社の収入に対するコストバランスを示す経営指標だが、会社経営は収入以下のコストで運営することによってはじめて成り立つので、経費率ほど重要な経営指標はない。この記事では、経費率の計算式と適正水準について詳しく解説している。【この記事を読む】人件費率の計算式と適正水準人件費はすべての企業において発生する費用であり、殆どの企業において最大コストになるので、人件費率ほど重要な経営指標はない。この記事では、人件費率の計算式と適正水準について詳しく解説している。【この記事を読む】コストダウンのネタは無限にあるコストダウンのネタ探しに悩みを抱える経営者はじつに多いが、コストダウンのネタが尽きると会社の衰退リスクが高まる。なぜなら、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供できなければ、たちまち市場競争から脱落するからだ。この記事では、コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで、詳しく解説している。【この記事を読む】伊藤のワンポイントコストダウンは企業存続に不可欠な活動です。但し、企業の付加価値を棄損するようなコストダウンは行わないでください。企業の付加価値が棄損すると、競争優位性が低下し、会社が衰退します。また、良好なコストバランスを保つために、人件費や各経費の適正水準をキープする努力も忘れないでください。
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  • 労働分配率の計算式と適正水準(目安)|労働効率を計る経営指標
    労働分配率の計算式と適正水準(目安)|労働効率を計る経営指標労働分配率とは、企業が獲得した収益から、労働の対価(人件費)がどの程度支払われているかを表す経営指標のことである。労働分配率は、社員への収益還元度や人件費の適正具合を測定、或いは、総人件費を上手にコントロールするうえで欠かせない重要な指標といえる。この記事では、労働分配率の計算式から適正水準(目安)や業界水準に至るまで、詳しく解説する。労働分配率とは?労働分配率とは、企業が獲得した収益と労働対価の支払いバランスを示す経営指標で、売上総利益に占める人件費の構成比率を求めることで計算できる。労働分配率は、会社の分配可能な付加価値(売上総利益=粗利)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標で、社員への収益還元度や人件費の適正具合の測定等に活用できる。また、労働分配率が分かると会社の人的投下の構造が明かになる。例えば、労働分配率の高い会社は沢山の労働力を要する人的投下が大きい労働集約型の企業で、労働分配率の低い会社は少ない労働力で済む人的投下の小さい資本集約型の企業ということが分かる。このように、労働分配率は、社員への収益還元度や総人件費のコントロールの基準として活用できるだけでなく、会社の人的投下の構造も明らかにするので、日常的にチェックしておきたい指標になる。労働分配率の計算「人件費」労働分配率の計算には、付加価値(売上総利益=粗利)と、人件費(労働の対価)のふたつの数字を用いる。付加価値の計算は次章で解説するとして、まずは、人件費の計算方法について解説する。人件費とは労働の対価の事だが、計算方法はやや複雑になる。なぜなら、人件費のなかには、役員報酬や社員給与のほか、外注費やアルバイト料等の雑給、福利厚生費や法定福利費など、多種多様な人件費が含まれるからだ。労働分配率は、会社の分配可能な付加価値が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標なので、人件費には役員報酬から雑給に至るまで、内外問わず、すべての人への支払い費用が含まれる。人件費の集計漏れがあると、正しい労働分配率が計算できなくなるので、その点、注意してほしい。労働分配率の計算「付加価値」続いて、付加価値の計算方法について解説する。会社の付加価値とは企業が獲得した収益の事だが、端的に「売上総利益」、いわゆる粗利のことだ。正式な付加価値の計算方法は、日銀方式の加算法(付加価値=経常利益+人件費+賃借料+金融費用+減価償却費+租税公課)と中小企業庁方式の控除法(付加価値=売上高-外部購入価値)の二種類があるが、難しく考える必要はなく、付加価値=粗利と考え、定点観測すれば問題ない。実際に、中小企業庁方式は売上総利益(粗利)を付加価値としている。労働分配率は、事業活動のコストを賄う原資である売上総利益(粗利)に占める人件費の構成比率なので、分かりやすく言うと、企業の儲けが、どれだけ労働者に還元されているかが分かる経営指標といえる。労働分配率の計算式と適正水準(目安)労働分配率の計算式は下記の通りである。労働分配率の計算式労働分配率=(人件費÷売上総利益)×100中小企業の労働分配率の適正水準(目安)は、概ね下表の通りである。売上総利益100100100100100人件費7060504030その他経費2030405060営業利益1010101010労働分配率70%60%50%40%30%人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型人件費の分配原資となる売上総利益は「100」として、営業利益は、中小企業の標準利益水準である「10」としている。従って、分配可能な最終原資は、売上総利益100-営業利益10=「90」になる。労働分配率は、業種業態によって異なるが、上表の通り、概ね30%~70%の範囲内に収まる。労働分配率の適正可否の判定方法と業界水準労働分配率の適正可否の判定方法は以下の通りである。会社の労働分配率の適正可否を判定するには、第一に、自分の会社が、労働集約型なのか、資本集約型なのか、はたまた標準的な産業なのかを判定する必要がある。そのうえで、自分の会社の労働分配率を計算し、前章で示した労働分配率の適正水準表と比較し、適正可否を判定する。中小企業の労働分配率の判定基準は下記の通りである。労働分配率の判定基準適正指標よりも労働分配率が高い適正指標よりも労働分配率が高い場合は、人件費が過分にかかっているということである。人員の活用がうまくいっていない場合は、配置転換等で収益を上げる方法を検討し、配置転換等で収益増加が見込めない場合は、適正な水準になるように人員整理を検討した方がよいだろう。適正指標よりも労働分配率が低い適正指標よりも労働分配率が低い場合は、少数精鋭で効率的な経営が実現できることを表している。少数精鋭体制は中小企業にとって理想的な姿である。良好な労働分配率を保つには、日頃から労働生産性を追求する姿勢が大切である。労働分配率の高い業種「コールセンター」労働分配率が高い水準の労働集約型の代表例は「コールセンター」である。コールセンターの運営には沢山の人員(電話オペレーター)が必要な反面、その他の費用はさほどかからない。なぜなら、拠点は地代(家賃)の安い地方が多く、地代家賃以外の経費も電話通信費以外は大してかからないからだ。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく低いのが、労働集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり、労働分配率が高くなる。労働分配率の低い業種「製造業」労働分配率が低い水準の資本集約型の代表例は、無人化が進んでいる「製造業」である。無人化が進んでいる製造工場は、監督する人間が少なく済み、殆どが機械任せの運営になるが、一方で、人件費以外の費用はたくさんかかる。例えば、機械のリース代やメンテナンス費用、減価償却費用、などである。このように、人件費に比べて、人件費以外の費用割合が著しく高いのが、資本集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり労働分配率が低くなる。労働分配率の低い業種「美容サロン等」労働分配率が低い水準の資本集約型の代表例として、「美容サロン等」のサービス業も挙げられる。なぜなら、利便性の高い駅近で競争を強いられる美容サロン等のサービス業は、地代相場が高い駅近のテナントに入居するケースが多く、テナント料のほか、多額の広告宣伝費や設備代など等、人件費以外の費用が多くかかるからだ。このように、美容サロン等は、人件費よりも、人件費以外の経費が多くかかる資本集約型の特徴を持っていて、売上総利益に占める人件費の構成比率、つまり労働分配率が低くなるケースが多い。美容サロンのほか、ブランドショップ、アパレルショップ、不動産屋、駅近飲食店、歯科医院、弁護士事務所なども資本集約型の産業に近く、労働分配率が低いケースが多い。労働分配率が標準の業種「スーパー等小売業、飲食店、卸売業等」労働分配率が標準の業種は、労働集約型と資本集約型のバランスが中間に位置する、スーパー等小売業、飲食業、卸売業などである。労働分配率が標準の業種の適正水準は概ね40%~50%なので、50%超は労働分配率が高いということになる。労働分配率が適正水準より高い場合は、人件費の割に収益が少ないか、収益の割に人件費が多いか、のどちらかの状態に陥っているということなので、収益改善と同時に労働効率の改善を進めることが必要である。労働分配率を経営に活かすポイント労働分配率は人件費を上手にコントロールするための経営指標として有効に活用できる。例えば、自分の会社が目標にすべき労働分配率が分かれば、「人員を補充して労働分配率を改善すれば良いのか?」、或いは、「人員を補充せずに労働分配率を改善すれば良いのか?」といった、労働分配率を改善するための初動判断を適切に下せるようになる。労働分配率が悪化しているにも関わらず人員を補充している会社、或いは、労働分配率が適正値よりも下回っているにも関わらず人員を十分に補充せずに社員に無理な労働環境を押し付けている会社など等、人件費のコントロールがうまくいっていない中小企業は少なくない。中小企業が、ヒトの増減を検討・判断するうえで、労働分配率は有効な根拠として活用できるので、是非、積極的に活用してほしい。伊藤のワンポイント自分の会社に適した労働分配率が分かると、人件費の適正水準が見えてくるので、人員のコントロールが簡単になります。また、社員に対する利益還元の基準指標としても活用できるので、合理的な賞与計算も可能になります。労働分配率を上手に運用すれば、人に関する悩みが緩和されるので、しっかり活用してみてください。
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  • 在庫回転率の計算式と適正水準(目安)|在庫効率を計る経営指標
    在庫回転率の計算式と適正水準(目安)|在庫効率を計る経営指標在庫回転率とは、商品在庫が効率よく売上に転換されているかどうかを計る経営指標のことだ。在庫回転率は、主に、製造業、小売業、卸売業で重要視されている経営指標で、在庫管理の要になる。この記事では、在庫回転率の計算式から適正水準(目安)、在庫回転率の運用上の注意点に至るまで詳しく解説する。在庫回転率とは?在庫回転率とは、商品在庫が効率よく売上に転換されているかどうかを計る経営指標のことで、主に、製造業、小売業、卸売業で重要視されている。無駄な在庫は、手間や管理を増やす一方で会社の現金を減らすため、在庫状況や在庫効率を可視化する在庫回転率は安定経営の必須指標といって過言ではない。在庫回転率は、売上と在庫金額の二つの数字を使って計算することができるが、簡単に言えば、商品が短期間で売れていれば在庫回転率が高くなり、商品が長期間に亘って売れていなければ在庫回転率が低くなる。つまり、在庫回転率が高いほど効率よく商品が販売されている、ということが分かる。なお、在庫回転率のことを、在庫回転日数、棚卸資産回転日数、棚卸資産回転率とも云う。なぜ、在庫回転率が重要なのか?なぜ、在庫回転率が重要なのか?その答えは、在庫は会社にとってお金そのものであり、在庫回転率はお金のコントロールに欠かせない重要な経営指標だからだ。例えば、商品が在庫で眠っている限り、会社のお金は一向に増えず、商品在庫が販売に展開(回転)して、初めて在庫がお金に生まれ変わる。当たり前だが、在庫回転率に無頓着でいると、会社のお金がすべて在庫に消えてしまい、不良在庫の山や資金ショートのリスクを生み出すこともあり得る。在庫回転率を把握していれば、在庫過多の状況を未然に防ぐことができるので、不良在庫の山や資金ショートのリスクを回避することができる。つまり、在庫回転率は、会社の安定経営に欠かせない重要な経営指標でもあるのだ。在庫回転率の計算式(求め方)在庫回転率は、売上と在庫金額(棚卸資産)の二つの数字を使って計算する。売上は、年間売上(年商)を用いるので、直近12ヵ月の合計売上(年計売上)が計算の基準になる。在庫(棚卸資産)は、売価金額を用いるので、商品在庫数に商品売価をかけた商品在庫の売価金額が計算の基準になる。(例えば、売上原価@50円の商品が100個あり、その商品の売価が@100円であれば、50個×@100円=5,000円が在庫の売価金額になる)在庫回転率の計算式(求め方)は下記の通りである。在庫回転率(回)=〔年間売上高÷(商品在庫数×商品売価)〕例えば、年商が1,200万円で、商品在庫(棚卸資産)の売価金額が100万円であれば、在庫回転率は、1,200万円÷100万円=12回となる。年間12回、在庫が回転しているということは、12ヵ月÷12回転=1ヵ月、つまり、在庫がひと月に1回転しているということになる。【関連記事】「儲かる在庫管理の方法」はこちら在庫回転率の適正水準(目安)中小企業の在庫回転率の適正水準(目安)は業種業態によって異なるが、一般的な適正水準は下記の通りである。在庫回転率の適正水準(目安)24回以上在庫回転率が24回以上であれば優良水準である。在庫回転率が24回であれば、商品在庫が2週間で1回転していることになるので、効率よく商品が売上に転換しているといえる。12~23回在庫回転率が12~23回の範囲内であれば標準的な水準である。在庫回転率が12回であれば、商品在庫が1ヵ月で1回転していることになる。6~11回在庫回転率が6~11回の範囲内であれば要改善である。在庫回転率が6回であれば、商品在庫が2カ月で1回転していることになる。在庫管理に無駄がないか、チェックした方が良いだろう。5回以下在庫回転率が5回以下であれば売れ残り等、不良在庫を抱えている可能性が高い。在庫回転率が5回転以下は早急な改善が必要なレベルで、不良在庫を抱えるリスクのほか、倉庫代等の保管費用の負担が重くなるデメリットも出てくる。在庫回転率の適正水準には例外がある!?在庫回転率の適正可否を判定するうえで、例外がある。例えば、年に数回大量に輸入する品物や、年に1回しか生産・製造できない品物を扱う会社である。このような会社は、自ずと在庫回転率が低くなる。一般的な会社よりも保管費用が過分にかかるので、一連の過分な費用を売価に反映させなければ、営業利益率が悪化するので注意が必要だ。また、在庫回転率が低下すると資金効率が悪化するが、在庫回転率を追求するあまり、商品欠品等の機会損失(※1)を招くのは避けなければならない。一般的には12回~24回程度の在庫回転率(安全水準)でコントロールするのが良いだろう。※1 機会損失:接客不足や商品欠品等で商品の販売機会を損失すること伊藤のワンポイント在庫を制する者は経営を制する、在庫管理はそれほどに重要です。在庫はお金そのものだからです。自社に適した在庫回転率の目安を見つけるにはモニタリングを継続することです。在庫回転率の推移が分かれば、悪化傾向に歯止めをかけることが容易になります。在庫回転率が悪化すると資金繰りも悪化するので注意してください。
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  • 投資のタイミングと適正投資金額|投資効率を計る経営指標
    投資のタイミングと適正投資金額|投資効率を計る経営指標投資なくして、会社の成長なし。会社を成長させるには、継続的な投資が不可欠だ。しかし、最適な投資タイミングや投資金額を計る指標や基準がない中で、闇雲に投資を進めると、投資の失敗リスクが高まる。事実、投資のタイミングを誤ったり、過剰投資で会社が衰退するケースは後を絶たない。この記事では、経営指標を活用して投資のタイミングと適正投資金額を計る方法について、詳しく解説する。会社の投資とは?そもそも、会社の投資とは何か?投資とは、会社の売上や利益を上げるため、或いは、会社の成長を加速するために先行して投じる費用のことだ。投資のタイミングと金額を最適化するには、第一に、現状の投資経費の項目と共に、使われている投資金額を把握することが欠かせない。会社の投資に該当する費用は、研究開発費や広告宣伝費だけに止まらず、意外と多岐に亘る。投資経費の項目例費用科目補足接待交際費交際接待のほか、贈答品等も含まれる販売促進費リベート、割引、試供品提供、等々、販売を促進する費用広告宣伝費チラシ代、ネット広告等、広告宣伝に関する費用開発研究費商品開発、試作開発、販売前テスト費用等、開発全般費用一般試験費既存商品の分析費用等、商品の付加価値データ分析等の費用減価償却費販売管理費内の減価償却費用(※1)リース費用機械、設備用のリース費用投資保守修繕費システムの改修、増設費用(日常的な保守修繕費は対象外)投資消耗品費商品付加価値を上げるための消耗品等投資通信費DM等の郵送費用支払手数料外部システムの利用料等諸会費各種団体の会費等上表の通り、会社の投資は至る方面で費やされており、実際に自分の会社の投資経費を集計すると、投資費用の多さに驚かれる中小企業経営者もいると思う。ちなみに、投資経費の中には惰性で投じている費用が必ずあるので、年に数回は棚卸(必要可否の選別)を行い、会社の成長にさほど貢献していない投資費用は削減を検討した方が良い。※1 減価償却費とは、資産性の高い設備等(減価償却資産)を耐用年数に応じて費用化していく経費のこと投資タイミングと金額を計る経営指標最適な投資タイミングと投資金額を計る経営指標は「売上総利益高投資経費率」になる。売上総利益高投資経費率とは、売上総利益に占める投資経費の構成比率のことで、計算式は下記の通りになる。投資経費率=(投資経費÷売上総利益)×100中小企業の投資経費率の適正水準は下表の通りである。売上総利益100100100投資経費15~2010~1510以下営業利益20100投資経費率15~20%10~15%10%以下投資経費率の適正水準は、営業利益率の水準、並びに、業種業態によって変化するが、概ね10%~20%の範囲が適正水準になる。中小企業の投資経費率の適正判断は下記の通りである。範囲内投資経費が範囲内に収まっていれば、投資タイミング、並びに、投資金額が最適化されていて、過剰投資の可能性は低いといえる。上限オーバー投資経費が上限オーバーしている場合は、投資タイミングを誤っている、或いは、過剰投資の可能性が高いといえる。なお、上記適正ラインは、主に、小売りや卸売り等の中間産業を想定しており、投資経費の集計も販売管理費内に限定している。従って、製造業等、製造原価内に減価償却費等の大きな投資経費が含まれている会社の場合は適正水準が変わる。この場合は、売上比率で計算(投資経費÷売上高)し、毎月定点観測すると自社に適した適正ラインが見えてくる。何れにせよ、投資のタイミングや投資金額を誤ると、会社経営の失敗リスクが高まる。投資は勘と経験で行うのではなく、しっかりとした基準と指標を持ち、タイミングと金額を見極めることが大切だ。大型投資には別の判断基準がある!?投資には、機械設備の購入や建物の増改築等々、金額が大きいために費用化されず、資産計上(固定資産に計上)される大型投資がある。この場合の適正な投資金額の算定や投資タイミングの判定は別のアプローチで考えなければならない。なぜなら、大型投資を行うには多額の投資資金を必要とするからだ。因みに、大型投資の資金調達は、減価償却費分の現金を貯蓄する方法が最も安全な正攻法になる。減価償却費は現金流出の伴わない費用なので、費用として計上しても、現金が会社に残る。例えば、2,000万円の投資計画に対して、減価償却費が毎期500万円ある場合は、4年で投資原資の貯蓄ができる。(4年も待てないのであれば、借入限度額の範囲内で金融機関等から資金を調達する方法もある)伊藤のワンポイント投資の失敗による企業の衰退事例は数多にあります。失敗の原因は過剰投資に尽きます。ですから、全体のどの程度の経費が投資に使われているのかを常に把握し、その水準を適正にコントロールする意識を強く持つことが大切です。また、会社の強みと弱みを深く理解し、投資の優先順位を最適化することも重要です。
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  • 大型設備投資の判断基準とタイミング|投資リスク管理に用いる経営指標
    大型設備投資の判断基準とタイミング|投資リスク管理に用いる経営指標資本力に乏しい中小企業が大型設備投資の判断基準とタイミングを誤ると、会社の衰退リスクが飛躍的に高まる。適正な判断基準とタイミングを持たずに闇雲に行った設備投資が、経営の足かせになることもあり得る。大型設備投資の判断基準は、様々なアプローチがあるが、この記事では、多くの中小企業で普遍的に活用できる方法を詳しく解説する。大型設備投資の判断基準になる経営指標大型設備投資の判断基準とタイミングは何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。たとえ、十分な投資資金が手元にあったとしても、投資の判断基準やタイミングを誤れば、その投資は失敗に終わる。従って、大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準とベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせない。大型設備投資の判断基準として有効活用できる経営指標は「売上総利益高営業利益率」と「借入限度額」になる。このふたつの経営指標をベースにして、大型設備投資の可否を判断している限りは、失敗リスクが高まることはない。それぞれの指標について以下に解説する。投資後の利益判定売上総利益高営業利益率は、投資後の利益水準が十分かどうかを判断する基準として活用できる経営指標になる。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100投資後の返済判定借入限度額は、投資資金を銀行借入等で賄う場合に、投資後の返済リスクを判断する基準として活用できる経営指標になる。借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”例えば、過去3年分の経常利益の平均が1,000万円であれば、1,000万円×50%×”5~10”=2,500万円~5,000万円になる。”5~10”と係数に幅があるのは、会社の経常利益が拡大中なのか、縮小中なのかによって、係数を使い分けるためである。大型設備投資の判断基準大型設備投資の判断基準は、「利益水準」と「返済リスク」の両面で、投資計画の正否を判定すると、失敗リスクを抑えられる。利益水準の判断基準は「売上総利益高営業利益率」で、返済リスクの判断基準は「借入限度額」で判定する事ができる。それぞれの判断基準の解説は下記の通りになる。大型設備投資の判断基準「利益水準」大型設備投資前後の売上総利益高営業利益率を比較し、利益水準が悪化しなければ過剰投資の可能性は低い。逆に、利益水準が悪化するようであれば過剰投資の可能性が高い。(設備投資後の利益計算には必ず減価償却費を加算すること)また、売上総利益高営業利益率が10%以下の場合は、利益水準が心許ないので、投資収益が計画を下回った段階で衰退リスクが飛躍的に高まる。この場合は、利益水準を高める工夫をした後に、大型設備投資を再検討するのがよい。大型設備投資の判断基準「返済リスク」大型設備投資の資金を金融機関等から調達する場合は、借入限度額以下が投資OKの基準になる。借入限度額を超過する場合は返済苦に陥るリスクが高いので、大型設備投資を再検討した方がよい。また、投資収益が計画を下回ると、返済苦に陥るリスクが飛躍的に高まるので、設備投資後も「売上総利益高営業利益率」と「借入限度額」を絶えず測定し続けることを忘れてはならない。【関連記事】減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる大型設備投資のタイミングを計る判断基準大型設備投資後の「利益水準」と「返済リスク」に問題がなければ、後は、投資のタイミングを判断するのみとなる。大型の設備投資は多額の資金を要するので、タイミングを誤ると会社の衰退リスクが飛躍的に高まる。大型設備投資を成功に導くためには、綿密な収支シミュレーションとリスク分析が欠かせないが、特に注視すべきポイントは「投資後の操業度」だ。例えば、製造能力を引き上げる大型設備投資であれば、製造能力が限界に達し、なお且つ、投資後も操業度が下がらない見込みがあれば投資のゴーサインを出しても問題ない。逆に、製造能力に余力があり、設備投資後の操業度が当面低下、或いは、著しく低下するようであれば、投資のゴーサインは見送った方がよい。大型の設備投資は、大企業であっても判断基準とタイミングを誤ると、いとも簡単に会社経営が行き詰まる。大企業の投資失敗事例は数多にあるし、資本力の小さい中小企業の場合は、投資の失敗、即、倒産ということもあり得る。大型の設備投資は、正しい投資判断基準を持ち、尚且つ、念には念を入れた検証と考察が不可欠だ。また、想定収益に甘さがあると、誤った経営判断を誘引する可能性が高まるので、想定収益は、徹底して甘さを排除しなければならない。なお、中小企業における投資の回収期間は2年以内が適正なラインなので、大型設備投資の回収期間(収支のプラス化)が2年を超える場合は、投資計画を一から再考した方が良いだろう。伊藤のワンポイント新設備導入や新工場建設などの大型設備投資は会社の成長過程で必ず通る道です。ですから、大型投資を意識した資金計画を先手で立てることが大切です。また、ここで紹介した判断基準を上手に運用するには、大型投資の資金源になり得る減価償却の理解を深めることも大切です。
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  • 投資回収期間の適正水準と計算方法|投資シミュレーションに用いる経営指標
    投資回収期間の適正水準と計算方法|投資シミュレーションに用いる経営指標投資回収期間とは、投資の成否を判定する経営指標の一つだ。会社経営において投資は回収して初めて成功するので、投資回収を測定する「投資回収期間」は極めて重要な指標になる。この記事では、投資回収期間の適正水準と計算方法、並びに、投資回収の考え方から投資シミュレーションの考え方に至るまで、詳しく解説する。投資の成功は資金回収で決まる投資は会社経営の至るところに関わってくる。投資の範囲は設備増設や商品開発だけに止まらない。人材採用、社員教育、広告展開、試験研究、など等、中小企業の投資分野は多岐にわたる。投資は、会社の成長を後押しするので、なくてはならないものだが、投資の成功は資金回収で決まる。例えば、投資した途端に会社が衰退する、或いは、多角化投資が失敗して会社が衰退する失敗ケースは、資金回収がとん挫することで発生する。つまり、投資の成功は、投資した資金を回収することが絶対条件になる。会社の成長を促進するために先行して投じた資金を回収しなければ、投資の意味はなく、むしろ、資金回収のできない投資は会社衰退の原因にしかならない。資金回収がおぼつかない過大投資や杜撰な投資計画は、経営の失敗リスクを飛躍的に高める。投資を成功に導くには、投資計画の妥当性を徹底的に検証し、なお且つ、投資した資金を一定の期間で回収することが欠かせないのだ。投資の成否を判定する「投資回収期間」とは?投資の成否を判定する経営指標を「投資回収期間」という。投資回収期間とは、読んで字のごとく、投資資金の回収期間(年数)のことである。投資回収期間は、その投資が将来会社に役立つか否かを判定するうえで有効に使える経営指標になる。例えば、投資の回収期間が分かれば、その投資が、将来どの時点から会社に利益を生み出すのかが分かる。また、投資の回収期間が分かれば、会社全体の利益を棄損する危険な投資を未然に防ぐこともできる。投資で失敗しないためには投資回収期間を意識した投資計画の策定が大切になる。投資回収期間の適正水準投資回収期間の適正水準について、詳しく解説する。中小企業の投資回収期間の適正水準は2年以内、できれば1年以内がベストである。ひと昔前は3年~5年という判断もあったが、昨今は経済環境の変化が目まぐるしく、長期スパンで投資事業の妥当性を判定することが難しくなってきている。加えて、資本力に乏しい中小企業の場合、万が一、投資回収期間が長期化すると、会社の体力消耗(資本取崩し)が加速し、経営破たんのリスクが一段と高まる。投資回収期間は、極力、短期間の方が、失敗リスクが少なく済む。従って、投資回収期間が2年超かかる投資は見送った方がよく、他にも用途未定の土地建物への投資、将来値上がりが期待できる資源や株式への投資なども、手を出すべきではない。因みに、数十億単位の大型事業等の投資の場合は、投資回収期間2年以内での回収ができない。この場合は、当該投資に関連する返済も含めた事業活動のフリーキャッシュフローを1~2年以内にプラス化することが一つの適正基準になる。投資回収期間の計算方法投資回収期間の計算方法について、詳しく解説する。投資回収期間は、投資総額を投資対象の年間予測収益で割ることで計算できる。例えば、投資総額が1,000万円で年間予測収益が500万円であれば、1,000万円÷500万円=2年が、投資回収期間ということになる。なお、年間予測収益は投資の種類によって計算方法が変わる。例えば、設備投資などの場合は、設備投資をすることで削減される経費、或いは、増加する収益が年間予測収益になる。新規事業や商品開発などの場合は、その商品が販売されることで得られる貢献利益が年間予測収益になる。投資回収期間の計算に用いる貢献利益とは?貢献利益とは、読んで字のごとく、会社に貢献する利益のことだ。貢献利益の予測は、投資回収期間を計算するうえで最も重要な作業になる。なぜなら、貢献利益の予測がいい加減だと、投資回収期間の計算もいい加減になるからだ。貢献利益の予測精度が、投資回収期間の精度を決めるといっても過言ではない。なお、新規事業と新商品の貢献利益の計算方法は概ね下表の通りである。新規事業の貢献利益の計算売上新規事業の予測売上を計算する 売上原価新規事業の予測売上原価を計算する売上総利益新規事業の売上総利益を計算する(売上-売上原価) 直接経費新規事業に関わる予測直接経費を集計する。(新規事業単体の貢献利益を計算するうえで最も大事なのは直接経費の集計である。責任者の人件費や家賃等の固定費、水道光熱費等の変動費まで、新規事業に関わっている全ての直接経費を集計する)貢献利益新規事業の予測貢献利益を計算する(売上総利益-直接経費)新商品の貢献利益の計算売上新商品の予測売上を計算する 売上原価新商品の売上原価を計算する売上総利益新商品の売上総利益を計算する(売上-売上原価) 直接経費新商品に関わる予測直接経費を集計する。(新商品を販売するうえで必ず要する直接経費を全て集計する)貢献利益新商品の貢献利益を算定する(売上総利益-直接経費)投資回収シミュレーションの考え方投資回収シミュレーションの結果判定の考え方は難しくない。投資した資金を予定期間内で回収できれば、想定利益のリターンが獲得できた、つまり、投資が成功したということになる。当然ながら、投資した資金を予定期間内で回収することができなければ、想定利益は獲得できず、会社の損失が雪だるま式に増えていくことになる。投資回収の見誤りは、会社倒産に繋がる要因にもなり得るので、決して甘く見てはいけない。従って、投資シミュレーション表を事前に作成し、想定利益(貢献利益)が計画通り推移しているか否かを、適宜モニタリングすることを忘れてはならない。大型設備投資の投資シミュレーション大型設備投資(減価償却資産に該当・新規店舗など)の投資シミュレーションは、設備投資前後の売上総利益高営業利益率を比較することで、投資回収が良好に推移しているか否かを判定することができる。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100例えば、売上総利益高営業利益率が設備投資前と同じ水準以上であれば、投資回収が計画通りに進んでいると判断できる。売上総利益高営業利益率が設備投資前よりも悪化している場合は、投資回収が計画通りに進んでいないと判断できる。設備投資後に売上総利益高営業利益率がマイナス(赤字経営)に転落している場合は、設備投資分の減価償却費用が十分に賄えていないということになるので、投資が失敗に陥ってるということが分かる。なお、投資回収が不十分、或いは、投資が失敗に陥っていることが判明した場合は、早急に事業撤退の検討をしなければならない。投資回収が計画通りに推移することは稀だ。緻密な投資計画の運用と投資回収期間のモニタリングが、投資を成功に導く秘訣になる。伊藤のワンポイント投資なくして成長なし、つまり、成長投資は会社経営の肝です。成長投資の正否は、投資回収の出来不出来で決まります。確実な成長を遂げている企業ほど、投資回収の基準がシビアで、投資回収の失敗対応(撤退)も迅速です。投資回収期間は、資金調達手段に限りのある中小企業ほど、注視すべき指標です。
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  • 企業の収益性と競争力の分析方法|収益性分析に用いる経営指標
    企業の収益性と競争力の分析方法|収益性分析に用いる経営指標企業の経済活動の成果、いわゆる獲得利益のことを、経済用語で「企業の果実」という。企業の果実は、中小企業の収益性と競争力の分析に用いる経営指標として活用できる。例えば、企業の果実が多いほど、企業の果実が効率よく得られるほど、その会社の収益性と競争力が高いということになる。つまり、企業の果実の収縮が分かれば、会社の収益性と共に、競争力の判定もできるのだ。企業の果実は利益水準を基準に判定することができるが、利益水準だけだと企業の収益性は分かっても、競争力までは見えてこない。例えば、下図のような損益構造の会社があったとする。売上は年々増加しているが、営業利益率は年々低下している。果たして、この会社の収益性と競争力は向上しているのだろうか?そして、企業の果実の収縮度合はどのように計算すればいいのだろうか?収益性は企業の果実で測定できる企業の果実の収縮度合いを測定する基準指標は「売上高」と「営業利益率」になる。例えば、下図のように、縦軸に売上高、横軸に営業利益率を当てはめると、企業の果実の収縮が簡単に可視化される。企業の果実の収縮度合いの計算式は下記の通りである。企業の果実=売上×営業利益率「売上」は市場規模の拡大、つまり企業の競争力を示し、「営業利益率」は企業の収益性を示す。つまり、売上と営業利益率を掛け合わせた「企業の果実」の収縮が把握できれば、その会社の収益性と競争力の判定ができるのだ。例えば、企業の果実の縮小は収益性と競争力の低下を示す。一方、企業の果実の拡大は収益性と競争力の上昇を示す。下図は、前章で紹介した損益例になるが、この会社の「企業の果実」は縮小傾向にあることが分かる。売上は年々増加しているが、営業利益率は年々低下している。企業の果実(売上×営業利益率)も縮小傾向(利益の先細り)にあるので、この会社の収益性と競争力は何れも低下していると判断できる。営業利益率(収益性)を犠牲にして価格面の優位性(競争力)を確保し売上を伸ばしている、という見方もできるが、価格競争は中小企業が目指してはならない経営戦略の一つである。なぜなら、中小企業は価格勝負で大手に勝てない上、ライバルに価格競争をしかけられたら瞬間に、不毛な消耗戦(資本勝負)に突入するからだ。消耗戦に突入すると、提供する商品等の品質と付加価値が自ずと低下する。更に需要の減少が進行し、会社経営が危機的状況に陥るリスクが高まる。従って、中小企業が収益性と競争力の強化を図るためには、常に、企業の果実の拡大(売上×利益率)を意識することが大切になる。【関連記事】低価格路線や低価格戦略の末路|価格戦略で失敗する会社経営目標の収益性は売上×利益率の最大化!!下図は、企業の果実の拡大例を表したグラフである。売上と営業利益率が上昇傾向にあり、企業の収益性と競争力が年々高まっていることが分かる。会社の収益性と競争力は「売上」だけでは判断できない。また「営業利益率」だけでも判断できない。売上と営業利益率を掛け合わせた企業の果実を把握することが、より正確な収益性と競争力の判定を可能にする。つまり、企業の果実の拡大を推進すると、経営基盤(収益性と競争力)が自ずと盤石になるのだ。
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  • 企業成長率の計算方法と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標
    企業成長率の計算方法と適正水準(目安)|企業の成長性分析に用いる経営指標企業成長率とは、その企業がどの程度成長したかを客観的に示す経営指標のことだ。企業成長率が分かると、将来の業績推移を見通すことができるので、プラス成長は倒産リスクが低く、マイナス成長は倒産リスクが高い、といったことも容易に分かるようになる。企業は絶えず成長発展することが存続の条件であり、成長なき企業に待っているのは、衰退、或いは、会社倒産という残酷な結末しかない。企業成長率は会社経営の最重要指標といっても過言ではないので、ぜひ、理解を深め、日ごろから運用してほしい。この記事では、企業成長率の計算方法から適正水準(目安)に至るまで、詳しく解説する。企業成長率の計算に不可欠な3つの指標企業の成長を測定する指標は様々あるが、最も大切な指標は「売上・利益・現金」の3つの指標になる。企業は売上の源泉になる顧客なくして存続することができない。つまり、顧客創造、或いは、市場拡大を表す売上の成長なくして、企業の成長はあり得ない。さらに、売上だけ成長していても、会社の利益が増加しなければ、企業の存続は危ういものになる。事実、売上が成長している一方で利益が減少し、倒産の危機に瀕する企業は決して少なくない。加えて、売上と利益が共に成長していたとしても、会社の現金が増加しなければ、企業の存続は厳しいものになる。なぜなら、黒字経営であっても、現金がなくなると会社が倒産するからだ。事実、ある年の倒産企業の半数は黒字経営だった、というデータもある。企業成長率を計算するうえで「売上・利益・現金」、この3つの指標は欠かせない要素であり、どれか一つでも欠けると、正しい企業成長率の計算はできなくなる。企業成長率の計算方法企業成長率の計算方法は下記の通りである。企業成長率の計算式売上成長率 =〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100利益成長率=〔(当期営業利益高-前期営業利益高)÷前期営業利益高〕×100現金成長率=〔(当期現金残高-前期現金残高)÷前期現金残高〕×100例えば、当期売上高が10億円で前期売上高が9億円の場合の売上の企業成長率は、〔(10億円-9億円)÷9億円〕×100=11.11%になる。当期営業利益高が1億円で前期売上高が0.8億円の場合の利益の企業成長率は、〔(1億円-0.8億円)÷0.8億円〕×100=25%になる。当期現金残高が3億円で前期現金残高が2.5億円の場合の現金の企業成長率は、〔(3億円-2.5億円)÷2.5億円〕×100=20%になる。なお、各企業成長率の計算は、必ず年計の業績比較で行わなければならない。なぜなら、単月の業績比較だと、季節変動や特需に伴う業績の増減よって、実態とかけ離れた結果が出ることがあるからだ。各企業成長率の年計の業績比較計算は、決算を待たずとも、各業績の年計を毎月集計すれば容易に計算できるので、ぜひ試してほしい。企業成長率の適正水準(目安)中小企業の企業成長率の適正水準(目安)は下記の通りである。企業成長率の適正水準(目安)超優良水準 6~20%各企業成長率が6~20%の範囲内に収まっていれば超優良水準である。この水準で成長が持続すると、会社は着実に成長していき、現在の取り組みを積極的に継続展開すれば益々の企業成長が望める可能性が高い。なお、この水準で成長してる時は、会社のサービスを低下させないために、組織や経営管理面の体制強化を同時に進める必要がある。安全水準 0~5%各企業成長率が0~5%の範囲内に収まっていれば安全水準である。この水準で成長が持続すると会社経営は安定する。成長の前期、もしくは、成長の後期に、この水準に位置していることが多い。更なる企業成長を望める位置にあるので、新しい経営戦略と戦術を積極展開すれば、超優良水準へステップアップできる可能性がある。超優良水準からの降格であれば、新たな取り組みを検討する必要がある。準危険水準 ▲1~▲10%各企業成長率が▲1~▲10%の範囲内は準危険水準である。企業の成長が止まり、会社が衰退し始めている可能性が高い。対策としては、既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みが必要である。或いは、売上の減少を食い止めて、利益と現金を増やす戦略展開を積極化する必要がある。危険水準(1) ▲11~▲20%各企業成長率が▲11~▲20%の範囲内は危険水準である。企業の成長が完全に止まっている。既に、赤字経営に陥っていて、厳しい経営状況に陥っている可能性が高い。この水準まで企業成長率が落ち込んでいる場合は、真っ先に、会社のコストカットを行い、会社の黒字化を最優先しなければならない。黒字化した後、既存の市場、既存のノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みを行い、売上の早期回復を図ることが危険水準を脱するコツである。危険水準(2) 21%以上各企業成長率が21%以上であれば危険水準である。企業の成長率は下がっても問題だが、伸びすぎても問題が生じる。この場合、会社の収益面や財務面に問題はないが、組織や経営管理の体制に問題が生じる可能性がある。例えば、☑注文や発送対応が追いつかない☑商品製造や品質管理がキャパオーバー☑人員不足で業務の効率が著しく低下している等々、組織や経営管理の体制に綻びが出始めて、会社のサービスが低下し、客離れを引き起こすことがある。また、各企業成長率が20%を超える急激な成長は、特需やブーム等に乗った一時的なものかも知れない。このような急成長の最中に投資を加速すると、企業成長率が鈍ったときに人員が溢れたり、経費が賄えなかったり、操業度が落ちたり、等々、倒産リスクが高まる。会社が急成長した後に倒産するケースは稀に起こっている。会社が急成長した時ほど気を引き締めて、堅実な会社経営を心掛ける必要がある。超危険水準 ▲21%以下各企業成長率が▲21%以下であれば超危険水準である。会社は赤字経営で、現金も低水準で、資金繰りにも支障が出始めている。恐らく、倒産の可能性が極めて高い。この水準まで企業成長率が落ち込んでいる場合は、待ったなしで会社再建の手を講じる必要がある。不採算部門の閉鎖、人員整理、返済計画のリスケジュール、等々、会社の足を引っ張る部分を早急に取り除かないと、会社全体が蝕まれてしまう。会社が倒産すると経営者はもちろん、家族や社員、取引先も不幸にしてしまう。従って、各企業成長率が危険水準に陥った時点で、待ったなしで経営改善の手を講じなければならない。経営改善の着手が遅れると、時すでに遅しとなる。企業成長率を会社経営に活かすポイント企業成長率は、会社経営の最重要経営指標といっても過言ではない。なぜなら、企業成長に欠かせない「売上・利益・現金」の3つの指標の成長実態が明確になるからだ。企業成長率を日頃からモニタリングしていれば、「マイナス成長は経営改革の検討」を、「プラス成長であっても、行き過ぎたプラス成長は経営管理体制の見直し」を、というように、より良い成長環境を整えるための準備を先手先手で講じることが可能になる。また、企業成長率が分かれば、将来の倒産リスクを回避する対策も打ちやすくなる。普段から準備を怠ることなく会社の経営にあたっていれば、自ずと会社の成長、強いては、経営の成功がみえてくるものだ。企業成長率は、すべての経営者が活用すべき経営指標である。伊藤のワンポイント売上、利益、現金を絶えず伸ばすことが企業成長の基本原則です。売上は競争優位性、利益は付加価値、現金は資本効率、この3つのポイントを高める努力が成長を後押しします。どこかに弱み(手抜き)があると、そこが原因で企業が衰退しますので、常に3つのポイントを意識してください。
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  • 企業の付加価値の計算方法|収益性分析に用いる経営指標
    企業の付加価値の計算方法|収益性分析に用いる経営指標企業の付加価値は、いろいろな計算方法がある。単純に「売上」を付加価値と捉える見方もあるし、売上から仕入を差し引いた「売上総利益(粗利)」を付加価値と捉える見方もある。はたまた、売上から全ての諸経費を差し引いた「営業利益」を付加価値と捉える見方もある。どれも正しそうに見えるが、果たしてどうだろうか?そもそも、付加価値とは、ある「モノ」が有している価値と、それを生み出す元となった「モノ」の価値との差のことだ。例えば、100円のものを加工細工して500円で販売したとすると、粗利基準の付加価値は400円になる。しかし、粗利基準だと、モノを売るために費やした加工細工や販売までの手間暇(諸経費)が付加価値の計算に加味されない。これで正しい付加価値といえるだろうか?果たして、企業の付加価値は、どのように計算すれば良いのだろうか?企業の付加価値とは?企業の付加価値とは?と問われたら、やはり、手元に残る所得金額を企業の付加価値と捉えるのが一番自然な考え方だろう。付加価値の本来の意味である、『ある「モノ」が有している価値と、それを生み出す元となった「モノ」の価値との差』にも合致する。企業の付加価値を所得金額の大きさとすると、所得金額が多ければ付加価値の高い会社、所得金額が少なければ付加価値の低い会社となる。会社の所得金額は2種類にある。会社が社員に支払う「給与等(人件費)」の個人所得と、会社の法人所得である「営業利益(※1)」だ。つまり、人件費と営業利益の合計がその企業の所得金額であり、その企業の付加価値になる。企業の付加価値の計算式は下記の通りである。企業の付加価値=総人件費+営業利益※総人件費の集計は、役員報酬、給与、賞与、雑給、福利厚生、法定福利費、支払報酬、支払手数料(謝礼等)、等々、あらゆるヒトへの支払が対象になる※付加価値に減価償却費を含める見解もあるが、減価償却費は分配可能な所得金額ではなく、再投資の原資である。従って、減価償却費を付加価値に算入することは適当ではないと考える。企業の付加価値を数値化し、然るべき目標を掲げて、付加価値の拡大を推進すると、自ずと安定経営の基盤が整う。そして、企業の付加価値が大きくなるほど、景気や外乱の影響を受けにくい骨太な経営基盤が整う。なお、一般的には、企業の付加価値の金額が大きいほど、社員の給与水準と会社の利益水準が高くなる。※1 会社の法人所得は課税対象なので、本来、当期利益のことを指すが、付加価値の算定には会社の本業利益を示す営業利益を採用した方が実態が明確になるので、あえて営業利益としている企業の付加価値を会社経営に活かすポイント企業の付加価値を全て人件費として「ヒト」に支払えば、会社の営業利益は「ゼロ」になる。営業利益がゼロでは、成長投資に向けた貯蓄(内部留保)ができないので、会社の付加価値はバランスよく配分しなければならない。例えば、付加価値の一定額を必ず営業利益として確保し、その利益を元手に成長投資を加速すれば、会社の利益拡大と共に、会社の付加価値が更に増加する。付加価値が増加すれば、人件費の支払原資も増加するので、社員の報酬を無理なく引き上げることができる。一方、企業の付加価値が減少すると、社員の給与水準と会社の利益水準が低下し、会社の衰退リスクが高まる。このように、企業の付加価値は、会社の成長と衰退に直結する重要な経営指標になる。また、企業の付加価値を最大化するには、如何に少ない人員で付加価値を最大化するかを日頃から意識することが大切だ。なぜなら、利益を削って社員の報酬を増やしても、企業の付加価値は増えないからだ。利益の最大化を図りながら社員の報酬を増やす意識が、付加価値の最大化、つまり、会社と従業員の幸せを実現する秘訣になる。伊藤のワンポイント企業の付加価値は、社員の幸せと会社の幸せの両面を追及しながら拡大するのが正解です。どちらか一方に偏ると、会社経営に失敗します。また、会社全体だけでなく、社員一人当たりの付加価値を把握し、その付加価値を高める努力を継続すると、会社の経営基盤が一段と盤石になります。
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  • 社員一人当たりの付加価値の計算方法|労働付加価値を計る経営指標
    社員一人当たりの付加価値の計算方法|労働付加価値を計る経営指標社員一人当たりの付加価値とは、一人の社員が生み出す会社の付加価値のことだ。社員一人当たりの付加価値は、会社の労働生産性を計るうえで欠かせない、超重要な経営指標のひとつである。例えば、社員一人当たりの付加価値が高い会社は、社員一人当たりの収益性が優れているということなので、会社全体の生産性が非常に高いといえる。この記事では、社員一人当たりの付加価値の計算方法と適正水準について、詳しく解説する。社員一人当たりの付加価値で分かること社員一人当たりの付加価値は労働生産性を計る指標として活用できるが、単純に会社の付加価値を社員数で割るだけでは、正しい労働生産性は測定できない。なぜなら、社員数に社員の総労働時間を加えなければ、労働生産性の良否を正しく判定することができないからだ。正確な労働生産性を把握するためには、社員数に社員の総労働時間も加味した「社員一人一時間当たりの付加価値」を計算しなければならない。社員一人一時間当たりの付加価値とは、文字通り、一人の社員が一時間働いて生み出す会社の付加価値のことである。会社の付加価値は、手元に残る所得金額(総人件費と営業利益(※1))なので、社員一人一時間当たりの付加価値が分かると、会社の収益性のほか、労働生産性の良し悪しも判定することができる。つまり、社員一人一時間当たりの付加価値の高い会社は収益性と労働生産性が優れていて、付加価値の低い会社は収益性と労働生産性が劣っている、ということが分かる。※1 会社の法人所得は課税対象なので、本来、当期利益のことを指すが、付加価値の算定には会社の本業利益を示す営業利益を採用した方が実態が明確になるので、あえて営業利益としている一人一時間当たりの付加価値の計算式社員一人一時間当たりの付加価値の計算式は下記の通りである。社員一人一時間当たりの付加価値の計算式①付加価値=総人件費+営業利益②一人一時間当たりの付加価値=付加価値(①)÷総労働時間※総人件費を集計する際は、役員報酬、給与、賞与、雑給、福利厚生、法定福利費、支払報酬、支払手数料(謝礼等)、等々、あらゆるヒトへの支払が対象となります。※総労働時間は役員、社員、全従業員の労働時間の合計です。※付加価値に減価償却費を含める見解もありますが、減価償却費は分配可能な所得金額ではなく、再投資の原資です。従って、減価償却費を付加価値に算入することは適当ではありません。例えば、会社の付加価値が1億円で社員の総労働時間が10,000時間の場合、社員一人一時間当たりの付加価値は「1億円÷10,000時間」=1万円となる。会社の付加価値が5億円で社員の総労働時間が100,000時間の場合は、社員一人一時間当たりの付加価値が「5億円÷100,000時間」=5千円になる。一人一時間当たりの付加価値の適正判定社員一人一時間当たりの付加価値の適正判定について、解説する。社員一人一時間当たりの付加価値の適正判定は簡単で、「常に増加傾向」が、一人一時間当たりの付加価値の目指すべき目標であり、適正な状態である。なお、一人一時間当たりの付加価値は、会社の付加価値を社員の総労働時間で割るので、会社の付加価値が競合他社よりも多くても、人員と残業が多く労働生産性が劣っている会社は、一人一時間当たりの付加価値の水準が低下する。つまり、少ない人員と少ない労働時間の体制を確立したうえで、会社の付加価値を拡大しなければ、一人一時間当たりの付加価値は増加しない。少数精鋭体制に向いている中小企業が「一人一時間当たりの付加価値」を最大化することを目標に掲げると、自然と、骨太で力強い経営体質の会社に改善される。一人一時間当たりの付加価値が増えるメリット一般的には、一人一時間当たりの付加価値の金額が大きいほど、社員の給与水準と会社の利益水準が高くなる。従って、一人一時間当たりの付加価値の拡大を目標に掲げて経営改善を推進すると、自ずと安定経営の基盤が整う。また、一人一時間当たりの付加価値が拡大すれば、あらゆるヒト(関係者)へ支払う報酬金額も増加する。報酬が増額すれば会社の信頼感や求心力は益々高まり、報酬以上の能力を発揮する社員や関係者も増え、会社成長の好循環が生まれやすくなる。つまり、一人一時間当たりの付加価値は、会社の収益性と生産性が分かるだけでなく、会社の成長を後押しする有効な指標にもなり得るのだ。なお、一人一時間当たりの付加価値は、人時生産性(にんじせいさんせい)を計る経営指標でもある。人時生産性とは、労働生産性を計る経営指標の一つになるが、一定労働時間当たりの獲得収益を計算することで求めることができる。伊藤のワンポイント社員の労働生産性、或いは、社員の収益性を測定する指標として一人一時間当たりの付加価値は大変に有効です。労働の割に給与が上がらない、或いは、会社の利益が上がらない、といった症状が出ている会社は、この指標が悪化している可能性が高いですので、日頃からしっかりモニタリングしてください。
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  • 労働生産性の計算方法と向上方法|生産性分析に用いる経営指標
    労働生産性の計算方法と向上方法|生産性分析に用いる経営指標労働生産性とは、労働の投下に対する収益性を評価する経営指標である。労働生産性は、少ない労働で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いといえる。この記事では、労働生産性の公式・求め方・計算方法、並びに、労働生産性の適正判定から向上方法に至るまで、詳しく解説する。労働生産性とは?労働生産性とは、労働の投下に対する収益性を評価する経営指標のことである。労働生産性は、社員一人当たり、或いは、社員一人一時間当たりの収益(売上・粗利・営業利益等)、又は、会社が生み出す付加価値を求めることで計算できる。労働生産性は、少ない労働で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良く、常に「労働の投下」と「労働の投下に対応する収益」が対の関係にある。つまり、労働生産性が高い会社は少ない労力で大きな収益を、労働生産性の低い会社は、多くの労力で少ない収益を生み出していることになる。殆どの企業の最大コストは人件費になるので、社員の収益貢献度が分かる労働生産性は安定経営の必須指標といって過言ではない。例えば、会社の利益が拡大傾向にあったとしても、社員の労働生産性が悪化(低賃金・長時間労働等)していれば、持続的な成長発展は見込めない。会社の利益と共に労働生産性を高める経営姿勢が、持続的な成長発展を可能にする経営基盤を整えるのだ。労働生産性の基準になる人件費の計算労働生産性の計算は、労働の投下に該当する「人件費」と労働の投下に対応する収益に該当する「利益・付加価値」で求めることができる。利益は、売上・売上総利益(粗利)・営業利益・付加価値等の実績金額が基準になるが、人件費は、付随費用を加味しなければ、労働生産性を正しく計算することができない。例えば、下表は人件費の付随費用の一例になるが、社員ひとりの人件費に付随する費用は意外と多い。一般的に、社員を一人整理(解雇)すると、給与の1.5~2倍のコスト削減が図れる。つまり、社員一人の維持コスト(人件費)は、給与の1.5~2倍はかかるということだ。人件費の付随費用例人件費社員の給料である。通勤交通費、諸手当、残業代のほか、賞与等の臨時報酬も含まれる。法定福利費会社負担分の社会保険料である。会社は社員が負担すべき社会保険料の1/2の金額を負担しなければならない。福利厚生費社員用のアメニティー施設、社員優待制度の各種費用、社員旅行・社員行事の各種費用等、社員の福利厚生充実を図る費用が含まれる。研修教育費社員研修、勉強会等に費やす費用が含まれる。会議費・接待交際費社員と取引先との打合せ、接待や贈答等の費用が含まれる。旅費交通費社員の外出交通費、出張費などが含まれる。その他費用社員が仕事を行う上での電気代等の水道光熱費、デスクスペース等の地代家賃等などの付随費用もある。以上の通り、労働生産性の計算に用いる人件費には、様々な付随費用があり、これらの付随費用を含めた人件費を用いて労働生産性を計算しなければ、正しい結果は把握できない。労働生産性の計算式(付加価値ベース)労働生産性の計算式(付加価値ベース)について解説する。労働生産性は、社員一人当たり、或いは、社員一人一時間当たりの付加価値で求めることができる。労働生産性の計算式労働生産性=付加価値÷社員数労働生産性=付加価値÷総労働時間なお、付加価値は、総人件費に営業利益を加算することで計算できる。例えば、会社の総人件費が4億円で営業利益が1億円であれば付加価値は5億円になる。この会社の社員数が100名の場合、社員一人当たりの付加価値労働生産性は「5億円÷100名」=500万円になる。会社の付加価値5億円に対して、総労働時間が1万時間の場合は、社員一人一時間当たりの付加価値労働生産性は「5億円÷1万時間」=5万円になる。労働生産性の計算式(収益ベース)労働生産性の計算式(収益ベース)について解説する。労働生産性は、社員一人当たり、或いは、社員一人一時間当たりの収益で求めることができる。労働生産性の計算式労働生産性=収益÷社員数労働生産性=収益÷総労働時間なお、収益は、売上、売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益等の収益金額の実績が計算の基準になる。社員数は、正社員だけでなく、役員やパート等を含む総スタッフ数が計算の基準になる。総労働時間は、総スタッフの労働時間の合計が計算の基準になる。労働生産性の計算例(収益ベース)労働生産性の計算例(収益ベース)を解説する。労働生産性の計算基準は下表の通りで、社員一人当たりの労働生産性、並びに、社員一人一時間当たりの労働生産性の計算例を紹介する。労働生産性の計算基準収益データ売上10億円、粗利5億円、営業利益1億円/何れも月単位労働データ社員数100名、総労働時間1万時間/何れも月単位労働生産性の計算例(社員一人当たり)売上ベース10億円÷100名=1,000万円/一人当たり粗利ベース5億円÷100名=500万円/一人当たり営利ベース1億円÷100名=100万円/一人当たり労働生産性の計算例(社員一人一時間当たり)売上ベース10億円÷1万時間=10万円/一人一時間当たり粗利ベース5億円÷1万時間=5万円/一人一時間当たり営利ベース1億円÷1万時間=1万円/一人一時間当たり労働生産性の適正判定労働生産性の適正判定は以下の通りである。労働生産性の計算金額が増加傾向にあれば良好(適正)、労働生産性の計算金額が減少傾向にあれば悪化(要改善)ということになる。つまり、労働生産性の計算結果が増加傾向にある会社は労働生産性が高く、減少傾向にある会社は労働生産性が低いと判定できる。なお、労働生産性は、社員一人当たりよりも、社員一人一時間当たりで計算した方が、労働生産性の実態が把握できる。例えば、社員一人一時間当たりの労働生産性は、少ない人員と少ない労働時間の体制を確立した上で、会社の収益を拡大しなければ向上しない。つまり、社員一人当たりの労働生産性では見逃してしまう、人員過多や長時間労働の実態把握が可能になる。社員一人一時間当たりの労働生産性の向上を推進すると、自然と少数精鋭体制が確立されるので、人財が限られれている中小企業ほど活用してほしい。労働生産性の計算例(イベント編)労働生産性は、社員数や総労働時間から計算する方法の他に、社員一人ひとりの働き方に対する費用対効果を求めることで計算することもできる。例えば、日給2万円の社員2名が、AとBの2つのイベントに出店した場合の労働生産性(費用対効果)の計算事例を下表に解説する。夫々の前提条件は、人件費は付随費用含め一人当たり1.5倍、粗利率(売上総利益率)は50%、粗利高貢献利益率の採算ラインは50%以上とする。労働生産性の計算事例イベントAイベントB売上30万円20万円売上総利益15万円10万円人件費6万円6万円貢献利益9万円4万円貢献利益率60%40%労働生産性高い低い粗利高貢献利益率の採算ライン50%以上は、費用対効果を計算する際に、人件費しか把握できない時に活用できる採算基準になる。ご覧の通り、イベントAは採算をクリアしているので”労働生産性が高い仕事”、イベントBは採算割れしている”労働生産性が低い仕事”ということが分かる。このように、社員一人ひとりの働き方に対して費用対効果の検証を行う方法は、労働生産性の合理的計算を可能にすると共に、労働生産性の改善にも大いに役立つ。例えば、労働生産性の低い採算割れの働き方をピンポイントで改善することができれば、会社全体の労働生産性が一段と向上する。費用対効果の計算が、労働生産性の測定に繋がり、結果、社員の働き方を効果的かつ効率的に改善することができるのだ。労働生産性の向上方法作業の自動化や機械化に頼らずに労働生産性を上げるには、社員の働き方に潜んでいるムダムラを徹底的に排除することが有効になる。なぜなら、どんなに有能な社員であっても、仕事にムダやムラがあると、労働生産性低下の原因になり得るからだ。ムダムラとは、コストの垂れ流しなので、ムダムラの解消は、即、コストカットに繋がる。そして、コストカットは会社の収益アップに直結するので、自ずと、労働生産性も向上する。労働生産性の悪化を招く働き方のムダムラはあらゆる領域にあるが、「目標運用・情報共有・ブランド向上・やる気向上・仕事の仕組み化・責任感向上」などの取組みは、ムダムラの解消と労働生産性の向上に効果的だ。具体的な方法論は当サイト内の「会社の生産性を上げる実践ノウハウ」で詳しく解説している。労働生産性を会社経営に活かすポイント限られた人員、限られた能力、限られた戦力、限られた資金で勝負せざる得ない中小企業にとって、労働生産性ほど重要な経営指標はない。労働生産性の向上なくして安定経営の実現はあり得ない、といっても過言ではない。労働生産性を向上させるには、労働生産性(収益&付加価値)社員一人ひとりの働き方の費用対効果この2つの労働生産性指標を常にモニタリングし、分析結果をもとに、着実に経営改善に取り組む姿勢が労働生産性を向上させる確かな方法になる。伊藤のワンポイント労働生産性が高い企業は、高い競争優位性をキープすることができます。効率のよい労働体制で、高い収益の商品やサービスを提供することができるからです。企業の永続性を確立するためには生産性を高め続けることです。生産性の改善は、顧客や社員の利益拡大(幸せ拡大)を常に心掛けてください。
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  • 人時生産性の計算式と適正水準(目安)と向上方法|生産性分析に用いる経営指標
    人時生産性の計算式と適正水準(目安)と向上方法|生産性分析に用いる経営指標人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの収益性を評価する経営指標のことである。人時生産性(にんじせいさんせい)は、少ない人員且つ少ない労働時間で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いといえる。この記事では、人時生産性の計算式から基本の運用方法、人時生産性の向上方法に至るまで、詳しく解説する。人時生産性とは人時生産性とは、労働の投下に対する時間当たりの収益性を評価する経営指標のことだが、人時生産性は最重要指標といって過言ではない。なぜなら、殆どの企業の最大コストは人件費であり、人件費の収益効率が低下すると競争の優位性が失われ、会社が衰退するからだ。従って、常に人時生産性をモニタリングし、人時生産性を高める努力なくして企業の成長はないと言える。人時生産性(にんじせいさんせい)は、少ない人員且つ少ない労働時間で大きな収益を生み出す割合が大きいほど良いといえる。そして、人時生産性は、常に、「労働の投下」と「労働の投下に対応する収益」が対の関係にある。つまり、人時生産性が高い会社は少ない人員且つ少ない時間で大きな収益を、人時生産性の低い会社は沢山の人員且つ沢山の時間で、少ない収益を生み出していることになる。例えば、会社の利益が増加傾向にあっても、残業増加や人員過剰で労働効率が悪化すると、人時生産性も自ずと悪化する。従って、人員数と労働時間のふたつの軸を意識しなければ、人時生産性の改善は困難を極める。人時生産性と労働生産性の違い人時生産性と似た指標に労働生産性がある。労働生産性とは、労働の投下に対する収益性を評価する経営指標だが、時間当たりの収益性を計算する人時生産性に比べて生産性の計算範囲が広くなる。人時生産性も労働生産性の範疇に入るが、この他にも、イベントや新規事業の採算性(労働の投下に対する収益性)、商品や事業部毎の採算性なども労働生産性の計算範囲になる。労働生産性は、採算割れの働き方や事業活動の収益改善に役立つ経営指標として活用できる。【関連記事】労働生産性の計算方法と適正判定法と向上方法人時生産性の計算式(求め方)人時生産性を計算するには、全従業員の労働時間と会社の収益を算定する必要がある。会社の収益には、付加価値、売上総利益、営業利益、経常利益と様々あるが、ここでは会社の本業の収益を示す「営業利益」を採用する。全従業員の労働時間は、役員、社員、パート等を含む、全従業員の労働時間の合計が計算の基準になる。営業利益ベースの人時生産性の計算式は下記の通りである。人時生産性=営業利益金額÷総労働時間なお、人時生産性の計算精度は、総労働時間の集計精度で決まるので、日ごろの勤怠管理を決して疎かにしてはならない。また、この他にも、売上ベース、売上総利益ベース、販売管理費ベースなど等、様々な指標をベースに人時生産性を計算することができる。※ご参考まで、人時生産性を人事生産性とする表記を稀に見かけるが、これは誤りである。人時生産性は人の時間当たりの生産性を測定する経営指標なので人時生産性が正しい表記である人時生産性の適正判定(目安)人時生産性の適正判定(目安)は、以下の通りである。人時生産性の計算金額が増加傾向にあれば良好(適正)、人時生産性の計算金額が減少傾向にあれば悪化(要改善)ということになる。人時生産性を計算すると、会社の収益性や労働生産性だけでなく、社員の増員戦略・現場の生産性・会社の拡大戦略などの良し悪しも分かるので、日常的に運用することをお薦めする。なお、人時生産性がマイナス金額だと、赤字経営ということになる。社員が1時間働くたびに、借金の額が増加している状態を表すので、早急に経営改革の手を打たなければならない。【関連時期】中小企業の改善事例・成功のポイント人時生産性の業界基準(目安)人時生産性の業界基準(目安)は、労働分配率をベースに判定すると分かりやすい。例えば、労働分配率の高いコールセンターなど、労働集約型の業界の人時生産性は低い傾向にあり、労働分配率の低い製造業など、資本集約型の業界の人時生産性は高い傾向にある。労働分配率に関しては「労働分配率の計算式と適正水準」で解説しているので、参考にしてほしい。人時生産性の業界基準(目安)について、それぞれ詳しく解説する。人時生産性が低い業種「コールセンター」人時生産性が低い水準の労働集約型の代表例は「コールセンター」である。コールセンターの運営には沢山の人員(電話オペレーター)が必要な反面、その他の費用はさほどかからない。なぜなら、拠点は地代(家賃)の安い地方が多く、地代家賃以外の経費も電話通信費以外は大してかからないからだ。このように、人件費以外の費用に比べて、人件費の費用割合が著しく大きいのが、労働集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、人時生産性が低くなる。人時生産性が高い業種「製造業」人時生産性が高い水準の資本集約型の代表例は、無人化が進んでいる「製造業」である。無人化が進んでいる製造工場は、監督する人間が少なく済み、殆どが機械任せの運営になるが、一方で、人件費以外の費用はたくさんかかる。例えば、機械のリース代やメンテナンス費用、減価償却費用、などである。このように、人件費以外の費用に比べて、人件費の費用割合が著しく小さいのが、資本集約型の特徴であり、このような産業は、総じて、人時生産性が高くなる。人時生産性が高い業種「美容サロン等」人時生産性が高い水準の資本集約型の代表例として、「美容サロン等」のサービス業も挙げられる。なぜなら、利便性の高い駅近で競争を強いられる美容サロン等のサービス業は、地代相場が高い駅近のテナントに入居するケースが多く、テナント料のほか、多額の広告宣伝費や設備代など等、人件費以外の費用が多くかかるからだ。このように、美容サロン等は、人件費よりも、人件費以外の経費が多くかかる資本集約型の特徴を持っていて、人時生産性が高くなるケースが多い。美容サロンのほか、ブランドショップ、アパレルショップ、不動産屋、駅近飲食店、歯科医院、弁護士事務所なども資本集約型の産業に近く、人時生産性が高いケースが多い。人時生産性が標準の業種「スーパー等小売業、飲食店、卸売業等」人時生産性が標準の業種は、労働集約型と資本集約型のバランスが中間に位置する、スーパー等小売業、飲食業、卸売業などである。このような産業は、標準的な労働分配率をキープしつつ、人時生産性を高めることが業績改善の正攻法になる。労働分配率が標準より高い場合は、人件費の割に収益が少ないか、収益の割に人件費が多いか、のどちらかの状態に陥っているということなので、人時生産性の改善を進めることが必要である。【関連記事】「労働分配率の計算式と適正水準」人時生産性の改善ポイント人時生産性の改善ポイントは、以下の通りである。人時生産性は営業利益を全社員の総労働時間で割るので、営業利益が競合他社より優れていても、残業増加や過剰人員で労働生産性が劣っている会社は、人時生産性の水準が低下する。つまり、少ない人員と少ない労働時間の経営体制を確立したうえで、営業利益を拡大しなければ、人時生産性は改善しないのだ。少数精鋭体制に向いている中小企業が、人時生産性の最大化を目標に掲げると、自然と、骨太な経営体質に改善されていくので有効に活用してほしい。【関連記事】人件費と人件費率の計算と理想の目安人時生産性を計算するうえでの注意点!!人時生産性を計算するうえで、ひとつ注意点がある。それは、人時生産性で社員の働き方、或いは、社員の能力を評価する場合は、前章で紹介した営業利益ベースで計算しなければならない、ということだ。例えば、下表のような損益状況の2つの店舗があったとする。(金額単位:千円)売上営業利益総労働時間A店舗15,000▲1,000(赤字)1,500B店舗10,0001,000(黒字)1,500夫々の店舗の「売上」と「営業利益」の人時生産性は下表の通りである。(金額単位:円)売上ベース営業利益ベース判定A店舗10,000▲667社員が働くほど赤字金額が膨らむので会社への貢献度は低いB店舗6,667667社員が働くほど会社の利益が増えるので会社への貢献度が高い会社の生存を担保する要素は売上ではなく「利益」である。従って、人時生産性で社員の働き方、或いは、社員の能力を判定する場合は営業利益ベース(会社への利益貢献度)で判定しなければならない。もしも、売上ベース一辺倒で人時生産性の評価を行ってしまうと、黒字経営のB店舗の店長よりも、赤字経営のA店舗の店長の方が優れているという結果が出てしまう。当然ながら、会社への利益貢献度が高かったB店舗の店長が、自身の評価に不満を感じて会社を去ってしまったら大事な人財を失う羽目になりかねない。このように、人時生産性の計算は目的に応じて使い分けないと、会社経営の足を引っ張ることがあるので注意が必要だ。人時生産性を向上させる方法中小企業が人時生産性を改善するには、社員の働き方のムダムラを徹底的に解消するか、収益を増加させるかの二択しかない。社員の働き方のムダムラは、言ってみれば利益の垂れ流しなので、ムダムラの解消は、即、利益改善(収益アップ)と人時生産性の向上に繋がる。人時生産性の悪化を招く働き方のムダムラはあらゆる領域にあるが「目標運用・情報共有・ブランド向上・やる気向上・仕事の仕組み化・責任感向上」などの取組みは、ムダムラの解消と人時生産性の向上に効果的だ。具体的な方法論は「会社の生産性を上げる実践ノウハウ」で詳しく解説しているので参考にしてほしい。どんなに有能な社員であっても、仕事をしていなければムダムラの原因になり得るので、客観性と公平性を持った視点が、人時生産性を向上させる優れたアイデアを生み出す秘訣になる。【関連記事】中小企業の生産性を上げる方法人時生産性はコスト管理の最重要指標人時生産性はコスト管理の最重要指標である。なぜなら、会社のなかで最大のコストが人件費だからだ。人時生産性は、効率的な人員配置や人員投下の適性判断の基準指標、或いは、人件費と収益のバランスコントロールの基準指標になるので、コスト管理に欠かせない重要指標といえる。人時生産性の運用次第で、会社経営の明暗が分かれる場合もあり得るので、しっかり運用したい指標でもある。なお、人時生産性で人件費等のコストを管理することの重要性は、社員に付随するコストを考えれば自ずと理解できる。下表は、社員に付随するコスト例である。社員に付随するコスト例人件費社員の給料である。通勤交通費、諸手当、残業代のほか、賞与等の臨時報酬も含まれる。法定福利費会社負担分の社会保険料である。会社は社員が負担すべき社会保険料の1/2の金額を負担しなければならない。福利厚生費社員用のアメニティー施設、社員優待制度の各種費用、社員旅行・社員行事の各種費用等、社員の福利厚生充実を図る費用が含まれる。研修教育費社員研修、勉強会等に費やす費用が含まれる。会議費・接待交際費社員と取引先との打合せ、接待や贈答等の費用が含まれる。旅費交通費社員の外出交通費、出張費などが含まれる。その他費用社員が仕事を行う上での電気代等の水道光熱費、デスクスペース等の地代家賃等などの付随費用もある。以上の通り、社員ひとりに付随するコストは意外と多い。一般的に、社員を一人整理すると、ひとりの人件費の1.5~2倍のコストダウンが図れる。つまり、社員一人当たりの維持コストは、当該人件費の1.5~2倍のコストが費やされていることになるのだ。このことからも、人時生産性で人件費等のコストを管理することの重要性と、人時生産性が会社の利益水準を左右する重要な経営指標であることが分かると思う。伊藤のワンポイント人時生産性は安定経営に欠かせない重要指標です。人時生産性が分かると組織運営の悩みが緩和されるだけでなく、会社経営の肝となる収益性や競争力の分析・目標基準も明快になります。また、拡大経営や成長投資の失敗リスクを低減する効果もあるので、日頃からモニタリングすることが大切です。
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  • 売上ABC分析方法|販売効率と貢献度分析に用いる経営指標
    売上ABC分析方法|販売効率と貢献度分析に用いる経営指標売上ABC分析とは、会社の販売先を貢献度に応じて優劣をつける分析方法のことだ。売上ABC分析は、売上の良否を判定するだけに止まらず、あらゆる経営分析に応用できるので、中小企業経営者が覚えておきたい分析手法のひとつである。この記事では、主に販売効率と貢献度分析に用いる売上ABC分析方法について、詳しく解説する。売上ABC分析の基本売上ABC分析を行う上で、まず抑えるべきポイントは、売上ABC分析の基準になり得る「20:80の法則」だ。20:80の法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則で、パレートの法則ともいう。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論のことで、売上ABC分析に欠かせない法則になる。例えば、会社の8割の売上を、上位2割の販売先が生み出している、或いは、会社の8割の収益を、2割の優秀な社員が生み出しているなど、あらゆる方面で20:80の法則が当てはまると云われている。売上ABC分析は、販売先の売上を貢献度に応じてA・B・Cの三段階にランク分けし、営業効率、強いては、経営効率を高めるために行う分析だが、このランク分けに用いる基準が「20:80の法則」になる。売上ABC分析の具体例販売先の売上ABC分析は、下表の4項目について、一定のルールに則り作表(分析)する方法が基本になる。売上ABC分析の作表ルール記入項目記入ルール販売先売上上位順に販売先の社名を記入する売上売上上位順に販売先の売上金額を記入する売上構成比率売上構成比率=(販売先の売上÷全体の売上合計)×100累計構成比率売上上位順に、構成比率を累計記入する売上ABC分析の作表例(分析例)販売先売上売上構成比率累計構成比率ABC判定あ社500万円50%50%Aい社300万円30%80%Bう社40万円4%84%Cえ社40万円4%88%Cお社30万円3%91%Cか社30万円3%94%Cき社20万円2%96%Cく社20万円2%98%Cけ社10万円1%99%Cこ社10万円1%100%C合計1,000万円100%--売上ABC分析の判定方法売上ABC分析の良否は累計構成比率を用いて判定する。売上ABC分析の判定A判定(優良)売上ABC分析表の累計構成比率50%到達までをA評価とする。稼ぎ頭なので、経営資源を集中させて、販売を伸ばすための営業を積極展開する。B判定(準優良)売上ABC分析表の累計構成比率51%~80%到達までをB評価とする。A評価にランクアップするように営業を展開する。C判定(貢献度低い)売上ABC分析表の累計構成比率81%~100%到達までをC評価とする。成長の見込みが低い販売先なので、営業攻勢を停止する。但し、将来的にB評価、或いは、A評価にランクアップする見込みがある販売先に対しては営業展開を継続する。※上記基準でABC分析の判定を行うと「20:80の法則に合致」し、なお且つ、販売貢献度の実態とも合致することが多い※業種業態によっては上記基準に合致しない場合がある。合致しない場合は、独自基準を設定して判定することなお、販売先毎の売上総利益率が一定であれば「売上」をABC分析の判定対象に採用して問題ないが、販売先毎に売上総利益の水準が区々の場合は、「売上総利益」をABC分析の判定対象に採用しなければならないので留意してほしい。ABC分析で8割の収益を稼ぐ優良(A判定)と準優良(B判定)の販売先が明確になると、営業資源の投入判断が正確になり、より効率的かつ効果的な営業展開が実現でき、費用対効果が高くなる。当然ながら、営業の費用対効果が高まれば、会社の収益力は一層改善される。売上ABC分析は中小企業の経営分析に幅広く応用できるので、様々な領域の経営分析に活用して、経営効率の改善に役立ててほしい。伊藤のワンポイント売上ABC分析は、営業効率(低コスト高収益化)を高める為の必須スキルです。赤字取引等の特定も容易にできるので、赤字取引等の混入率が高い損益管理が曖昧な会社ほど、ABC分析を積極活用してほしいです。また、ABC分析はあらゆる面に応用ができ、うまく使いこなすと会社全体の経営効率を最適化することもできます。
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  • 売上占有率(構成比率)の計算式と適正水準|販売先のリスク管理指標
    売上占有率(構成比率)の計算式と適正水準|販売先のリスク管理指標売上高占有率(構成比率)とは、会社全体の売上高を占める販売先毎の売上高占有率(構成比率)のことである。売上高占有率(構成比率)は、販売先のリスク管理に欠かせない指標であり、日常的にモニタリングすることで販売リスクを軽減することができる。この記事では、売上占有率の計算式と適正水準、並びに、販売先のリスク管理の基本について、詳しく解説する。売上高占有率(構成比率)とは?売上高占有率(構成比率)とは、会社全体の売上高を占める販売先毎の売上高占有率(構成比率)のことで、販売先のリスク管理に用いる経営指標になる。中小企業は販売先毎にリスク管理を行わないと、思わぬところで倒産の危機を迎えることがある。販売先のリスク管理の指標は、売上高占有率(構成比率)の他にも、与信リスク、品質リスク、市況リスクなど等、様々あるが、最も重要視すべき指標は「売上高占有率(構成比率)」になる。中小企業においては、売掛金の貸し倒れに伴う連鎖倒産が、最たる販売リスク(衰退リスク)になるからだ。売上高占有率(構成比率)の計算式売上高占有率(構成比率)は、販売先のリスク管理(特に連鎖倒産のリスク管理)に欠かせない指標であり、日常的にモニタリングすることで販売リスクを軽減することができる。売上高占有率(構成比率)の計算式は下記の通りである。売上高構成比率(占有率)=(販売先の売上高÷会社全体の売上高)×100例えば、会社全体の売上高が1,000万円で、会社全体の内、ある販売先が100万円の売上高であった場合、その会社の売上高占有率(構成比率)は、100万円÷1,000万円×100=10%になる。なお、販売先毎の売上総利益率が一定であれば「売上高占有率(構成比率)」で問題ないが、販売先毎に売上総利益率の水準が区々の場合は、「売上総利益高占有率(構成比率)」で計算した方がよい。売上高占有率(構成比率)の適正水準売上高占有率(構成比率)の適正水準(連鎖倒産等のリスク判定基準)は下記の通りである。売上高占有率(構成比率)の適正水準5%以下全ての販売先の売上高占有率(構成比率)が5%以下であれば、超優良水準といえる。販売先のリスク分散が万全なので連鎖倒産の危険性は極めて低い。6~10%売上高占有率(構成比率)が6~10%の中に販売先が数社入っている程度であれば標準水準といえる。但し、4社以上ある場合は、連鎖倒産の危険性がある。なるべく5%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。11~20%売上高占有率(構成比率)が11~20%の中に販売先が1社でも入っているようであれば要改善である。連鎖倒産の危険性があるので、速やかに10%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。20%以上売上高占有率(構成比率)が20%以上の販売先が1社でもあるようであれば早急な改善が必要だ。連鎖倒産の危険性が極めて高いので、早急に販売先の新規開拓、新商品の投入等の対策を講じる必要がある。万が一、課題を先送りして、当該販売先が消滅、或いは、倒産すると連鎖倒産が現実のものになる。売上高占有率(構成比率)がリスク管理の指標になる下請け構造の中小企業は、少数の大口販売先によって経営が成り立っている会社が多い。しかし、会社全体の売上の大部分を少数の大口販売先に依存し過ぎると、会社の倒産リスクが高まる。例えば、大口販売先の倒産が引き金になり会社が倒産することを「連鎖倒産」というが、連鎖倒産の危機を含んでいる中小企業はじつに多い。大口販売先の取引が消滅すると、正常な会社経営が出来なくなるほどの打撃を受け、一瞬で会社経営が行き詰まる。こうした連鎖倒産のリスクを解消するには、販売先毎に売上高占有率(構成比率)を把握し、大口販売先の依存度を下げる努力が欠かせない。リスクヘッジを怠ると、会社の衰退リスクが高まる一方になる。日頃から先見性をもって現状を分析し、将来リスクを摘み取る努力を継続してれば、会社の衰退リスクを抑える事ができる。会社経営は時には臆病な面も必要で、販売先のリスク分散を行うことが安定経営の秘訣になる。伊藤のワンポイント販売先のリスク管理は経営者の重要な仕事です。この記事で解説した売上高構成比率の他にも、赤字取引を防ぐ利益分析、モラル違反を防ぐ品質・倫理管理、将来リスクに対応する経営課題分析なども、リスクヘッジに不可欠な管理です。衰退する企業ほどリスク管理が不十分です。決して手を抜かないでください。
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  • 経営に使えるパレート分析の活用方法|経営改革に用いる経営指標
    経営に使えるパレート分析の活用方法|経営改革に用いる経営指標パレート分析とは、「20:80の法則(パレートの法則)」を活用した分析方法のことである。パレート分析の根底を支える「20:80の法則(パレートの法則)」は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則(べきじょうそく)で、経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論である。パレート分析は、会社経営のあらゆる面で応用可能な分析手法になる。例えば、商品のABC分析、取引先毎の売上貢献度分析、社員の人材評価、など等、パレード分析が活用できる領域は数多にある。(なお、パレート分析を用いた売上ABC分析の方法は当サイト内の「売上ABC分析方法|販売効率と貢献度分析」で解説している)この記事では、会社の収益面と組織面を改善する2つのパレート分析手法について詳しく解説する。ひとつはパレート分析を活用した「利益改革」の方法、もう一つはパレート分析を活用した「意識改革」の方法である。パレート分析を活用した利益改革パレート分析は、会社の利益改革に活用することができる。会社の利益の源泉は会社の商品と顧客なので、会社の利益を拡大するには、会社の商品と顧客への成長投資が必須条件になる。成長投資のリターンは、投資対象の貢献度や影響度によって変わり、投資対象を見誤ると、投資のリターンが十分に得られないこともあり得る。例えば、成長投資のリターンは、売上貢献度の小さい商品や顧客への投資よりも、売上貢献度の大きい商品や顧客へ成長投資の方が大きくなる。つまり、売上貢献度の高い商品や顧客を明確にすれば、成長投資の効率と共に利益拡大のスピードを高めることができるのだ。利益拡大のスピードを加速するための商品や顧客の選別に用いるのが、パレート分析(20:80の法則)になる。パレート分析で商品や取引先の貢献度を分析すると「上位2割の商品や顧客が全体の8割の利益を稼ぎ出している」或いは「下位2割の商品や顧客が全体の8割の損失を生み出している」といった分析結果を導き出すことができる。パレート分析で商品や取引先の貢献度が分かると、効率的に会社の利益を拡大することができる。例えば、上位2割の商品や顧客に対して経営資源を積極投資すると、効率的に利益が伸びる。真ん中の6割は、上位2割に昇格するような取り組みを推進すると、利益拡大に結び付く。下位2割は、経営資源を積極投資せず、絶えず、赤字取引に陥っていないかをモニタリングし、赤字取引に転落した場合は、早急に販売終了等の手を講じると、利益拡大に繋がる。業績の伸び悩みを抱えている中小企業ほど、商品や顧客のパレート分析が不十分だ。また、商品や顧客のパレート分析が不十分であるがゆえに、赤字商品や赤字取引が見過ごされ、業績悪化の原因特定ができていない中小企業も珍しくない。商品と顧客の利益貢献度を明確に分類するパレート分析は、会社の経営資源(成長投資)を最適化するだけでなく、会社の利益体質の改善にも役立つ優れた分析手法なのだ。パレート分析を活用した意識改革パレート分析は社員の意識改革にも活用できる。パレート分析で組織を分析すると、「上位2割の優秀な社員が全体の8割の収益に貢献している」或いは「下位2割の社員が全体の8割の損失を生み出している」といった分析結果を導き出すことができる。パレート分析で人材の優劣分布が分かると、効率的に会社の組織力を上げることができる。例えば、上位2割の優秀な社員の意識を変えると、全社員の意識が見違えるように変化する。パレート分析を活用し、上位2割の社員を徹底的に育成するだけで、意識改革のスピードが格段に上がるのだ。組織力が上がると業績も伸びるので、パレート分析は一石二鳥以上の効果がある。なお、上位2割の社員を育成しながら、下位2割の社員を常に切り捨てて組織力を強化する方法もあるが、この方法は中小企業には不向きだ。なぜなら、人材獲得に難がある中小企業は、限られた人材での組織形成を強いられるからだ。従って、中小企業においては、上位2割の社員を徹底的に育成し続けることが、組織力強化に繋がる最善の方法といえる。
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  • 本部経費の公平な配賦方法と配賦基準|損益管理に用いる経営指標
    本部経費の公平な配賦方法と配賦基準|損益管理に用いる経営指標本部経費とは、主に管理部門の経費のことである。営業部門が複数ある場合は、管理部門である本部経費と、営業部門の直接経費を分別集計しないと、営業部門の真の利益が見えなくなる。この記事では、本部経費の集計と、本部経費の公平な配賦方法と配賦基準について詳しく解説する。本部経費の集計と配賦手続きとは?本部経費とは、主に管理部門(収益を生み出さない間接部門)の経費のことである。本部経費の集計は、収益を生み出さない総務や経理等の管理部門のほか、会社経営や営業部門を間接的にサポートしている役員の人件費や開発部門等の経費も対象になる。集計された本部経費は、最終的には営業部門に負担させることになるが、この本部経費を営業部門に負担させる計算手続きのことを「本部経費の配賦」という。本部経費の配賦は公平かつ合理的な方法で行わなければならず、なお且つ、本部経費の配賦方法と基準は一定でなければならない。なぜなら、毎回、配賦方法と基準が区々では、営業部門の損益を公平に算定、或いは、公平に判定・評価することができなくなるからだ。当然ながら、各営業部門の経費集計が不明瞭では、正しい損益を把握することはできず、経営判断を誤るリスクと共に、会社衰退のリスクが高まるばかりとなる。つまり、複数の営業部門がある企業において、正しい本部経費の集計と配賦なくして、正しい会社経営は出来ないのだ。中小企業の本部経費の配賦方法中小企業に適した本部経費の配賦方法はいくつかある。この記事では特に公平性の高い「粗利比率・社員比率・床面積比率」の3つの配賦方法を紹介する。それぞれの本部経費の配賦方法と基準について、詳しく解説する。粗利比率で本部経費を配賦する方法粗利構成比率を基準に本部経費を配賦する方法について、詳しく解説する。粗利とは、売上総利益のことだが、粗利構成比率で本部経費を配賦する方法は最も一般的な配賦基準である。例えば、5つの営業部門があり、本部経費が100万円であれば、本部経費の配賦は下表の通りになる。A事業B事業C事業D事業E事業粗利構成比率10%15%20%25%30%本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円売上総利益の金額の構成比率が大きいということは、それだけ本部のサポート貢献度も大きいといえるので、売上総利益の構成比率を用いて本部経費を配賦する方法は公正かつ合理的な基準といえる。社員比率で本部経費を配賦する方法所属社員数の構成比率を基準に本部経費を配賦する方法について、詳しく解説する。例えば、5つの営業部門があり、本部経費が100万円であれば、本部経費の配賦は下表の通りになる。A事業B事業C事業D事業E事業社員構成比率10名15名20名25名30名本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円所属社員数の構成比率が大きいということは、それだけ本部のサポート貢献度も大きいといえるので、所属社員数の構成比率を用いて本部経費を配賦する方法も公正かつ合理的な基準といえる。床面積比率で本部経費を配賦する方法床面積の構成比率を基準に本部経費を配賦する方法について、詳しく解説する。例えば、5つの営業部門があり、本部経費が100万円であれば、本部経費の配賦は下表の通りになる。A事業B事業C事業D事業E事業床面積構成比率10坪15坪20坪25坪30坪本部経費配賦10万円15万円20万円25万円30万円床面積の構成比率を配賦基準にする場合、各営業部門が同一地域であれば差ほどの不公平感は出ないが、各営業部門が都市部と地方に分かれている場合は、坪単価に差が生じるので不公平感が出てしまう。同一地域で展開する小売業などは床面積を基準して本部経費を配賦して差し支えないが、営業地域が広く分かれている場合は、粗利か所属社員数で本部経費を配賦した方が公平な配賦基準になる。本部経費の配賦をしない例外パターン本部経費の配賦をしない例外パターンについて、詳しく解説する。本部経費の営業部門への配賦は、正確な事業損益を把握するために欠かせないが、営業部門が赤字で、なおかつ、以下のようなケースに該当する場合は配賦しない判断もあり得る。当該赤字部門の黒字化に時間がかかる一定期間経過後に当該赤字部門の閉鎖等を検討している営業部門が赤字で、黒字化に時間がかかる、或いは、閉鎖を検討している場合は、本部経費を無理に配賦しない経営判断もあり得る。デメリットは、過去データとの比較の際に整合性が崩れることだが、1年経過後にズレが解消されるので特段気にする必要はない。また、他部門との収益比較がアンフェアになるデメリットもあるが、赤字部門は黒字化に全集中することが第一なので、割り切って考えた方が良い。健全部門は本部経費の負担が重くなるが、クリアしなければならない課題だと思って、業績改善に努めることが大切になる。営業部門と管理部門は一心同体!!!稀に営業部門と管理部門が仲違いしている会社があるが、そのような諍いは会社の足を引っ張るだけなので改めた方がよい。なぜなら、管理部門は営業部門がなければ報酬を得られないが、営業部門は管理部門のサポートがなければ売り上げを作ることができないからだ。お互い同じ会社の社員として外に目を向けて仕事をしなければ、会社は成長しない。そもそも、経営者自身が、管理部門と営業部門の立場を深く理解していれば、部門同士の仲違いは起こり得ない。日頃からお互いの部門を労う気遣いも、中小企業経営者の大切な仕事だ。伊藤のワンポイント本部経費の正確な集計と公平な配賦基準は、正しい部門別損益を把握するうえで不可欠です。日頃から正しい部門別損益を把握している会社は、業績悪化の芽を早く摘み取ることができます。一方、部門別損益が曖昧な会社は、業績悪化の原因が特定できないまま、衰退の一途を辿ることが多いです。
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  • 役員報酬の決め方|中小企業の公平な報酬相場を計算する方法
    役員報酬の決め方|中小企業の公平な報酬相場を計算する方法中小企業問わず、全ての法人の役員報酬の決め方には法的なルールが敷かれている。しかし、役員報酬を決める社内ルール、或いは、役員報酬の相場に関するルールは特段なく、その不透明さが原因で、社長の悩みや社員の不満を招いているケースもある。この記事では、役員報酬の基本的な決め方、役員報酬の税額シミュレーション、並びに、中小企業の公平な役員報酬相場を計算する方法について、詳しく解説する。役員報酬の基本の決め方役員報酬の決め方には、法的(主に税法)なルールが敷かれている。役員報酬の金額は「定額同額支給・期首から3ヶ月以内に決定」、役員報酬の決定手続きは「株主総会の決議・社会保険や住民税等の源泉徴収手続き」が基本ルールになっている。まず、役員報酬の金額は、税法によって定期同額支給と定められているので、役員報酬の支払金額は事業年度の期中で変更することができない。なぜ期中変更ができないかというと、期中での変更を認めると恣意的な利益操作が出来てしまうからだ。たとえ、期中で役員報酬の金額を増減変更したとしても、原則、全て税法で否認(※1)されるので、その増減分の役員報酬は経費で認められない。そして、役員報酬の支給金額の変更は予め株主総会の決議で決定する必要があり、支給金額の変更時期は事業年度開始、期首から3カ月以内と決まっている。また、役員報酬の金額が決まったら、社会保険や源泉徴収の諸手続きを行うことも忘れてはならない。なお、役員報酬の上限額は法的には定められていないが、明らかに不当に高額な役員報酬に関しては、税務署から否認されることがある。※1 否認とは費用として計上が認められないということ。例えば、会社が100万円を経費計上していても税務署に否認されたら、100万円は経費にならず、利益、いわゆる所得としてみなされ、その所得に課税される役員報酬の相場と決め方の実態中小企業の役員報酬の相場と決め方の実態は様々ある。一般的には、社長の役員報酬は月額100万円、役員報酬の決め方は社長の独断が多い。そして、多くの中小企業は、オーナー兼社長であることが一般的なので、役員報酬の決め方や相場に関する社内ルールはない。そもそも、会社のオーナーは、自身の役員報酬の金額を自由に決定することができる。(夫婦で役員を務めている場合は、かなり高額な役員報酬を手にすることも可能になる)また、オーナーの持ち株比率が100%であれば、第三者に対する経理帳簿の開示義務がないので、他人に詮索されることなく、際限なく役員報酬を引き上げることもできる。このような背景もあり、大概の中小企業経営者は、法人税と所得税の税額(税負担)をシミュレーションしながら、独断で役員報酬の金額を決めているケースが圧倒的に多い。役員報酬の税額シミュレーション役員報酬を決める判断基準の一つに税額シミュレーションがある。役員報酬に課せられる所得税は累進課税で最大税率45%、一方の、法人所得(当期純利益)に課せられる法人税の実効税率は約30%である。下表は、役員報酬の金額に応じた所得税率の早見表になるが、ご覧の通り、役員報酬の課税所得が1,800万円を超えると、中小企業の実効法人税よりも税負担が重くなる。課税所得金額税率控除額195万円以下5%0円195万円超え 330万円以下10%97,500円330万円超え 695万円以下20%427,500円695万円超え 900万円以下23%636,000円900万円超え 1,800万円以下33%1,536,000円1,800万円超え 4,000万円以下40%2,796,000円4,000万円超え45%4,796,000円(2021年10月現在の所得税率表)オーナー社長の場合は、役員報酬を際限なく引き上げることができるが、税負担を軽くして会社に財産を残すか、或いは、税負担を重くして個人財産を増やすかの選択は、役員報酬を決める一つの基準になる。不透明な役員報酬の決め方が招く弊害中小企業は、役員報酬の決め方の自由度が高い分、決め方なり相場感に不透明さが残る。不透明な役員報酬の決め方が招く弊害は様々あるが、社員のモチベーション低下等は典型になる。また、高額な役員報酬を貰うことで行き過ぎた節税に固執していると成長投資が鈍化する弊害もある。社員のモチベーション低下と成長投資の鈍化は、安定経営を阻害する極めて危険な衰退リスクになる。一代限りの会社経営であれば問題ないが、会社の永続性を確立する気のある経営者であれば、役員報酬の決め方や相場の透明性を高め、健全な経営基盤を整える意識を持つことが大切だ。中小企業の公平な役員報酬相場の計算方法中小企業の公平な役員報酬相場を計算するには、何かしらの報酬分配基準が必要になる。役員報酬の分配基準があれば、役員報酬の決め方の透明性が高まるだけでなく、自身の役員報酬の妥当性を検証することできるし、社員に対しても役員報酬の公平性を示すことができる。役員報酬の分配基準としておススメの指標は「付加価値配分比率」になる。付加価値とは、役員と社員の報酬原資のことで、総人件費+営業利益で計算することができる。この付加価値を一定の配分比率に応じて、役員と社員の間で公平に分配することができれば、役員と社員の間に公平な報酬決定の計算ルールが確立できる。付加価値配分比率を活用して役員報酬を決める場合は、第一に会社の付加価値金額を求める必要がある。付加価値の計算式付加価値=総人件費+営業利益※総人件費を集計する際は、役員報酬、給与、賞与、雑給、福利厚生、法定福利費、支払報酬、支払手数料(謝礼等)、等々、あらゆるヒトへの支払が対象になる※付加価値に減価償却費を含める見解もあるが、減価償却費は分配可能な所得金額ではなく、再投資の原資である。従って、減価償却費を付加価値に算入することは適当ではないと考える【関連記事】会社の付加価値の計算方法と拡大方法公平な役員報酬を決める計算方法(ケース1)会社の付加価値を「付加価値分配比率」に応じて、公平な役員報酬を決める具体的計算方法を詳しく解説する。例えば、下記のような損益比率の会社があったとする。売上総利益総人件費その他経費営業利益100%40%50%10%この会社の付加価値は、総人件費40%+営業利益10%で、売上総利益の50%相当になる。この場合の役員と社員の付加価値配分比率の適正基準は以下の通りになる。社員60% : 役員40%この適正基準を用いて付加価値の配分を計算すると、社員:付加価値50%×60%=30%役員:付加価値50%×40%=20%となり、会社の付加価値50%を、社員30%:役員20%で分配することになる。役員の場合は、さらに、20%を役員報酬(10%)と会社利益(10%)に分配するので、役員の最終的な報酬は、付加価値の10%が妥当かつ適正な金額ということになる。(20%を総取りすると利益がゼロになるので最低でも折半する事)例えば、付加価値が5億円であれば、5億円×10%で、役員の報酬は5千万円、付加価値が10億円であれば、10億円×10%で、役員の報酬は1億円になる。公平な役員報酬を決める計算方法(ケース2)公平な役員報酬を決める具体的計算方法を、別のケースで詳しく解説する。じつは、この付加価値配分比率の適正基準は、会社の損益の内容と共に変化する。例えば、人件費の割合が高い労働集約型の会社で、下表のような損益比率の会社があったとする。売上総利益総人件費その他経費営業利益100%70%20%10%この会社の付加価値は、総人件費70%+営業利益10%=売上総利益の80%相当になる。この場合の役員と社員の付加価値配分比率の適正基準は以下の通りになる。社員75% : 役員25%この適正基準を用いて付加価値の配分を計算すると、社員:付加価値80%×75%=60%役員:付加価値80%×25%=20%となり、会社の付加価値80%を、社員60%:役員20%で分配することになる。役員の場合は、さらに、20%を、役員報酬(10%)と会社利益(10%)に分配するので、役員の最終的な報酬は、付加価値の10%が、妥当かつ適正な金額ということになる。(20%を総取りすると利益がゼロになるので最低でも折半する事)先の例と同じく、付加価値が5億円であれば、5億円×10%で、役員の報酬は5千万円、付加価値が10億円であれば、10億円×10%で、役員の報酬は1億円になる。このように、付加価値配分比率を活用して役員報酬を計算すると、会社の付加価値の増減に関わらず、社員と経営者の間に公平な報酬分配の仕組みが作れる。役員報酬決定の公平性と透明性を保つには、ベストの計算方法といえるので、自社に適した「付加価値分配比率」を探って、運用してみてほしい。計算上の注意点この計算方法で算定した役員報酬金額は、経営者ひとりの役員報酬ではなく、取締役(経営陣)全員の役員報酬の総額を意味している。また、目標営業利益水準によって適正な付加価値分配比率が変わるので、その点、留意してほしい。役員報酬の基準になる付加価値配分比率表役員報酬の基準となる役員と社員の付加価値配分比率の適正表(目標営業利益=粗利高営業利益率10%)は下表の通りになる。利益水準、並びに、会社の労働分配率に応じて、役員と社員の適正な付加価値配分比率が変わるので、その点、留意してほしい。付加価値100100100100100社員7571676050役員2529334050人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型労働分配率70%60%50%40%30%【関連記事】労働分配率の計算式と適正水準役員報酬と社員給与の上限バランスは?付加価値配分比率を基準にした役員報酬の計算方法を紹介したが、最後に、役員報酬と社員給与の上限バランスについて解説する。会社に大きな利益をもたらしたからといって、際限なく役員報酬の上限を引き上げても良いのかというと、答えは否である。なぜなら、役員と社員の報酬格差が大きくなりすぎると、嫉妬や妬みなどの不平不満が蔓延し、経営者の求心力が著しく低下するからだ。一般的には、役員と社員の報酬格差が20倍を超えると、役員報酬に対する社員の不平不満が生じやすくなると云われている。従って、役員報酬の上限は、社員の最低年収が250万円であれば、役員報酬(同族会社の場合は役員家族の報酬総額)5,000万円以下という金額が、上限バランスの適正ラインになる。一方の社員給与は、年齢の20倍を上限にすると、報酬に対する満足感が最もピーク値に近づくと云われている。従って、社員給与の上限は、社員の年齢が30歳であれば、年収600万円という金額が、上限バランスの適正ラインになる。役員と社員の双方が満足のいく報酬を手にするには、一致団結して、報酬の源泉となる会社の付加価値を拡大することが大切だ。伊藤のワンポイント役員報酬を何となく決めている中小企業は多く、月額百万円という役員報酬が相場的に一番多いです。実は、合理的計算ルールのない役員報酬が原因で、利益減少や社内不和に陥る会社は少なくありません。社員との人件費バランスの悪化や成長投資の鈍化を招くからです。私欲抑制のためにも、客観的基準を掲げてみてください。
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  • 持株比率(出資比率)の計算方法と株主権利(支配権)|経営リスクの管理指標
    持株比率(出資比率)の計算方法と株主権利(支配権)|経営リスクの管理指標持株比率(出資比率)とは、株式の出資割合を示す経営指標のことだ。持株比率に応じて株主の権利(支配権)が変わるので、会社経営の重要な経営指標になる。この記事では、株式の基本概要、持株比率の計算方法から株主権利に至るまで、詳しく解説する。株式とは何か?持株比率(出資比率)の計算基準になる「株式」とは、株式会社の設立資本金の出資額に応じて交付される一種の権利のことである。そして、設立資本金の出資と引き換えに株式を交付される出資者のことを「株主」という。現在は1円の設立資本金で株式会社の設立が可能だが、2006年4月以前は1千万円の設立資本金が必要だったので、株主が複数人存在する会社も珍しくなかった。会社の設立資本金を出資した株主には、株式と共に会社の支配権が与えられる。株主がひとりであれば支配権はひとりに帰属するが、株主が複数人いれば出資割合に応じて支配権の範囲が変わり、その支配権を明らかにする指標が、持株比率(出資比率)になる。持株比率(出資比率)の計算方法持株比率(出資比率)の計算方法について解説する。持株比率は、発行済の総株式数に占める保有株式数を求めることで計算できる。計算式は下記の通りになる。持ち株比率の計算方法持株比率=(保有株式数÷総株式数)×100例えば、会社の発行株式数が100株で、株主A氏の保有株式数が50株であれば、(50÷100)×100=A氏の持株比率は50%になる。会社の発行株式数が100株で、株主B氏の保有株式数が25株であれば、(25÷100)×100=B氏の持株比率は25%になる。株主は会社経営を左右する重要な存在になるので、持株比率は会社経営の超重要指標になる。持株比率に応じた株主権利・支配権持株比率(出資比率)に応じた株主の権利・支配権は下記の通りである。持株比率毎の株主権利100%保有持株比率が100%(株式100%保有)、なお且つ、代表取締役に就任すれば、会社経営にかかわるすべての決議を自分ひとりで行うことができる。2/3以上保有持株比率が2/3以上あれば、株主総会の特別決議ができる。例えば、取締役の解任、定款変更、合併や解散、など等、会社経営に関する重要な事柄を決定することができる。1/2以上保有持株比率が1/2以上あれば、株主総会の普通決議ができる。例えば、役員報酬の変更、剰余金の配当等々の事柄を決定することができる。1/3以上保有持株比率が1/3以上あれば、株主総会の特別決議を阻止することができる。3%以上保有持株比率が3%以上あれば、株主総会の招集、会社の帳簿等、経営資料の閲覧ができる。株主総会とは?株主総会とは、株式会社の最高の意思決定機関であり、会社経営に関する重要事項を決定する会議である。株式会社の場合、最低年1回は開催される。株主権利とは?株主総会において議決権の行使ができる。議決権は株主の重要な権利になる。また、利益配当を請求(利益配当請求権)もできる。但し、会社の方針によっては、配当を行わず、再投資の原資として内部留保に回す場合もある。(会社に利益がない場合は配当できないこともある)。会社清算時の、残った財産の分配を受ける権利(残余財産分配請求権)も持っている。持株比率(出資比率)に応じた経営リスク大企業の大半は株主と代表取締役が分離しているが、中小企業の大半は株主と代表取締役が分離していない。殆どの中小企業は、代表取締役自身が2/3以上の株式を保有し、会社経営に関わる重要な決議を社長自身の裁量と判断で行っている。つまり、安定経営を実現するために必要な持株比率(出資比率)は2/3以上が一つの目安になり、2/3を下回ると様々な経営リスクが生じる。例えば、中小企業であっても、創業者の家族や親戚、或いは、友人知人に株式が分散されてしまい、正当な後継者が2/3以上の株式を保有せずに代表取締役に就任しているケースがある。この場合、株主同士の対立が原因で、会社衰退のリスクが飛躍的に高まることがある。「船頭多くして船山に登る」のことわざ通り、会社経営の舵取りも複数になるほど失敗リスクが高まる。また、持株比率の勢力次第では代表取締役を解任されることもあり得る。経営能力がない代表取締役の解任であれば問題ないが、株主同士の欲が絡んだ、代表取締役の解任であれば、社員が犠牲になる。つまり、企業の永続性を高めるための持株比率は2/3以上が絶対条件になる。但し、親子間で事業承継する場合で、子供の経営に危うさを感じる部分があれば2/3以上の株式は与えない方が良い。この場合は親が2/3以上の株式を保有していれば、万が一、子供が暴走しても食い止めることができる。持株比率が低い社長が取るべき行動とは?会社経営において、株主の存在は重要だ。また、中小企業の場合は、社長自身の持株比率も様々な経営リスクに直結するので重要視しなければならない。万が一、現役社長でありながら持株比率が2/3以下の場合は、株主同士の対立を避けるために日頃から株主をフォローする心がけが欠かせない。例えば、☑株主に業績を開示して安心感を与える☑株主に経営方針を丁寧に説明して安心感を与える☑株主に時折り利益配当を行い、出資の恩に報いる等々、会社経営の透明性と公平性を訴求することが、株主の信頼を得る秘訣になる。株主の信頼が得られれば、自ずと経営者に対する信頼感も高まり、株式譲渡という道も開けてくるはずだ。伊藤のワンポイント会社経営者にとって持株比率は超重要な指標です。じっくり将来を見据えた会社経営を目指すのであれば、持株比率2/3以上が条件です。また、株式は財産価値があるので、相続の際に揉める原因になります。ですから、不用意に株式を分散させないでください。株式の分散は次世代の経営者を悩ませる種になりかねません。
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  • 飲食業に有効な経営指標|飲食系経営者必見の業界指標
    飲食業に有効な経営指標|飲食系経営者必見の業界指標飲食業は景気や流行に左右されやすく、安定した経営を実現するのが非常に難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えて飲食業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、飲食業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。飲食業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、飲食業特有の経営指標を活用が欠かせない。以下に紹介する飲食店の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。原価率原価率とは、商品の売上に占める材料費の割合のことである。例えば、材料が25円で商品の売上が100円であれば、(25÷100)×100=原価率は25%になる。一般的に飲食業の原価率は20~30%が適正ラインで、飲食業にとって原価率は最も重要な経営指標といっても過言ではない。原価率の設定を誤ると衰退リスクが高まるし、店舗運営の戦略も原価率で決まる。原価率はメニュー構成全体で適正ラインの範囲内に収まっていれば問題ない。例えば、店舗の集客力を高める目玉メニューは原価率を高めに、前菜やドリンク類は原価率を低めに、というようにメニュー構成全体で適正バランスをとる工夫が大切になる。なお、原価率の計算は、歩留まり率(廃棄率)を加味しないと不正確になる。経営が悪化する飲食店は、例外なく原価率の計算がいい加減だ。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の来店客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。客単価は店舗の性格(コンセプト・メニュー構成)を決める経営指標でもある。例えば、高級店であれば客単価を高めに設定する必要があるし、大衆店であれば客単価を低めに抑える必要がある。また、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際にも活用できる。顧客回転率顧客回転率とは、定員人数(席数)の回転を表す経営指標である。例えば席数20の店舗に、1日100名の顧客が来店した場合、100名÷20席=顧客回転率は5回転になる。顧客回転数が高ければ、売上原価が適正水準よりも多少高くても利益が確保しやすくなるが、顧客回転率が低ければ、売上原価が適正水準よりも低くなければ利益が確保し難くなる。顧客回転率は、飲食店のコンセプトや顧客ニーズを決定する重要な経営指標でもある。来店客数来店客数とは、来店(商品・サービス購入)したお客様の人数のことである。来店客数×客単価で、全体の売上を算出することができる。従って、全体の売上を増やすには、来店客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。来店客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、来店客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、来店客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。廃棄率廃棄率とは、材料の廃棄割合を示す経営指標である。例えば、1,000円分の材料のうち、100円分を廃棄処分した場合、(100÷1,000)×100=廃棄率は10%になる。廃棄率を下げる工夫はさまざまある。例えば、有機無農薬の野菜は丸ごと食材として使えるが、農薬栽培の野菜は残留農薬の危険性があるので皮の部分は廃棄しなければならない。このように、使う食材ひとつで廃棄率が変わるので、食材選びは廃棄率を加味したトータルコストで考える意識が大切になる。1坪売上1坪売上とは、店舗1坪あたりの売上のことである。例えば、店舗面積が20坪で、月の売上が100万円であれば、100万円÷20坪=1坪売上は5万円になる。1坪売上は、1坪スペースあたりの収益性と効率性を計る経営指標でもある。例えば、1人来店が多い飲食店が、1人掛けのカウンターテーブルを主体にレイアウトすると、1坪売上が上がる。逆に、1人来店が多い飲食店が、4人掛けテーブル席を主体にレイアウトすると、1坪売上が下がる。このように、1坪売上は、来店ニーズのミスマッチを探る指標として有効活用できる。飲食業の安定経営に役立つ経営指標最後に、飲食業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングすべき指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、飲食業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない飲食業者は、早急な経営改善をお薦めする。
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  • 美容業に有効な経営指標|美容系経営者必見の業界指標
    美容業に有効な経営指標|美容系経営者必見の業界指標美容業は景気や流行に左右されやすく、安定した経営を実現するのが比較的難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えて美容業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。なお、この記事では、美容業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。美容業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、美容業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介する美容業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。来店客数来店客数とは、来店(商品・サービス購入)したお客様の人数のことである。来店客数×客単価で、全体の売上を算出することができる。従って、全体の売上を増やすには、来店客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。来店客数は美容業で最も重要な経営指標といっても過言ではない。なぜなら、美容業は人件費や家賃等の固定費が高く、比較的、損益分岐点が高い業種だからだ。損益分岐点に見合った来店客数の確保ができないと、たちまち会社が衰退するので、来店客は美容業の存続を左右する重要な指標になる。来店客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、来店客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、来店客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。リピート率リピート率とは、一定期間内に来店したお客様が再来店する割合である。一般的に、お客様のリピート測定期間は1年で設定する。例えば、10名中、4名が1年以内に再来店した場合、(4÷10)×100=リピート率は40%になる。リピート率が高まり、固定客が増えるほど美容業の経営は安定する。来店客数同様に、サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。顧客回転率顧客回転率とは、定員人数(席数)の回転を表す経営指標である。例えば、席数5の店舗に、1日20名の顧客が来店した場合、20名÷5席=顧客回転率は4回転になる。顧客回転数が高ければ人件費や家賃等の固定費の回収スピードが加速するが、顧客回転率が低ければ人件費や家賃等の固定費の回収スピードが遅くなる。つまり、顧客回転数は、儲けのスピードを表す経営指標でもあるのだ。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の来店客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。美容業の場合は、店舗内の商品販売(店販)を工夫するだけで客単価を上げることができる。また、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際にも活用できる。美容業の安定経営に役立つ経営指標最後に、美容業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、美容業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない美容業者は、早急な経営改善をおススメする。
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  • 製造業に有効な経営指標|製造系経営者必見の業界指標
    製造業に有効な経営指標|製造系経営者必見の業界指標製造業は景気や流行に左右されにくく、比較的安定経営を実現しやすい業種だ。とはいえ、健全な会社経営、並びに、効率の良いモノづくりを実現するためには、財務諸表の分析に加えて製造業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、製造業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。製造業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、製造業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介する製造業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。製造原価製造原価とは、商品製造にかかる製造原価のことで、製造原価は材料費、労務費、製造経費の3つの要素に分類される。例えば、材料費が15円、労務費が20円、製造経費が15円であれば、(15+20+15)=製造原価は50円になる。製造業にとって製造原価は、会社の収益体質を決定づける重要な指標になる。例えば、製造原価の管理を疎かにすると、儲けの実態が不明瞭になるので、赤字経営に転落するリスクが飛躍的に高まる。なお、製造原価の計算は、歩留まり率も加味しないと正確な原価計算ができないので注意が必要だ。経営が悪化する製造業は、例外なく製造原価の計算がいい加減である。歩留まり歩留まりとは、製造ラインに投入した商品材料の数量に対して、実際に商品となった数量の割合を示す経営指標である。例えば、商品100個分の材料を製造ラインに投入して、実際に商品となった数量が90個であれば、(90÷100)×100=歩留まりは90%になる。歩留まりが高いほど投入材料のムダが少なく、歩留まりが低いほど投入材料のムダが多い、ということになる。歩留まりは、1%改善するだけで大きなコスト削減効果を生み出すので、コスト改善のための目標指標としても大いに活用できる。歩留まり率は、一般的には100%以下になる。(例外的に、食品等、インラインで蒸気滅菌するような商品は投入材料に蒸気である水分が加算されて歩留まりが100%を超える場合がある)そして、歩留まりは、製造ラインの構造によって、大きく数値が変わる。例えば、素材、或いは、半製品を材料に用いて加工する製造ラインは歩留まりが低くなり、完成品の組立加工に近い製造ラインは歩留まりが高くなる。製造能力製造能力とは、1時間当たりの商品製造個数を示す経営指標である。例えば、1時間に100個の商品を製造できる製造ラインであれば、製造能力は100個/1hになる。製造能力が高いほど、商品1個当たりの製造原価は低くなる。製造能力は商品1個当たりの製造原価の簡易算定のほか、様々な原価計算に応用できる指標でもある。ちなみに、製造能力は、製造工程間のラインを短縮すると品質と共に製造能力も上がる。また、製造能力は、製造ラインの中で最も遅い工程以上の能力が出ない。つまり、一つの工程だけに製造能力の高い最新鋭の製造設備を導入しても、ライン全体の製造能力が対応していなければ、全体の製造能力は上がらない。不良率不良率とは、製造ラインにて商品化された数量のうち、検品検査で不適合となり最終的に商品化されなかった商品の割合を示す経営指標である。例えば、商品100個が商品化されて、検品検査で10個が不良品として判定された場合、(10÷100)×100=不良率は10%になる。不良率は、製造ライン上の様々な要因で上昇する。例えば、単純なポカミス、オペレーターの技術力不足、メンテナンス不足、機械の故障、物性特性、等々、その要因は多岐にわたる。不良率の高い商品は、二次クレームを引き起こすリスクが極めて高く、商品によっては二次クレームが重大事故に繋がる可能性もあるので、重要視したい指標でもある。また、同じ商品を製造しているにも関わらず、急に不良率が著しく上昇した場合は、製造ライン上に何かしら支障が生じている可能性が高い。その場合は、無理に製造を続けずに、直ちに製造を停止し、原因を究明した方がよい。不良率を左右する合格基準は、企業の品質レベルを担保する重要な要素になるが、不良率を改善するために合格基準を下げるのは本末転倒である。高品質を目標に、合格基準を維持、或いは、合格基準を高めつつ不良率を下げる努力を行うことが、優れた品質レベルを生み出すコツになる。不良率も歩留まり同様、1%改善するだけで大きなコスト削減効果を生み出す。コスト改善のための目標指標として大いに活用できる指標である。欠陥率・クレーム率欠陥率・クレーム率とは、販売後に商品の欠陥が見つかった率、或いは、商品クレームの発生率のことである。例えば、商品を100個販売した後に、欠陥・クレームが1個発生した場合、(1÷100)×100=欠陥率・クレーム率は1%となる。欠陥率・クレーム率は、製造業の生死を分かつ重要指標といって過言ではない。なぜなら、たった1件の欠陥やクレームが原因で、大きな事故や不信に繋がり、企業の信頼が失墜することがあり得るからだ。当然ながら、製造業の欠陥率・クレーム率の目標は0%が原則になる。欠陥率・クレーム率を改善するのは、製造ラインの品質レベルと現場の意識レベルの双方が高いレベルになければならないので、くれぐれも注意してほしい。製造業の経営分析に役立つ経営指標続いて、製造業の経営分析に役立つ経営指標を紹介する。以下に紹介する経営指標は、製造業の経営分析(財務分析)に役立つので、手元に決算資料を用意して実際に分析することをお薦めする。固定比率固定比率とは、購入した固定資産が会社の自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことである。設備投資が多い製造業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>負債比率負債比率は、返済義務のない自己資本と、返済義務のある負債である他人資本のバランスを明かにする経営指標である。負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができるので、設備投資が多い製造業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>労働分配率労働分配率は、会社の分配可能な付加価値(売上総利益)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標である。資本集約型の製造業は労働分配率を低く抑えることが経営の正攻法なので、日頃からモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>投資回収期間設備投資を成功に導くには、投資計画の妥当性を徹底的に検証し、なお且つ、投資した資金を一定の期間で回収することが欠かせない。製造業が投資回収期間の見通しを誤ると経営の失敗リスクが著しく高まるので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>大型設備投資の判断基準とタイミング製造業の大型設備投資の判断基準とタイミングは、何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。例えば、投資資金が十分にあり、投資判断にゴーサインを出したとしても、投資のタイミングを誤っていれば、投資は失敗に終わる。(逆もまた然りである)。製造業の大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準と、ベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせないので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>製造業の安定経営に役立つ経営指標最後に、製造業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、製造業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない製造業者は、早急な経営改善をおススメする。伊藤のワンポイント製造業は、計数管理の精度が、経営改善の成果と会社の業績を決定づけます。少しでも計数管理を疎かにすると、たちまち生産性低下、品質低下、収益性低下といった衰退リスクが噴出し、高確率で会社経営に失敗します。製造業者にとって計数管理は基本中の基本です。決して疎かにしないでください。
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  • 小売業に有効な経営指標|小売系経営者必見の業界指標
    小売業に有効な経営指標|小売系経営者必見の業界指標小売業は景気や流行に左右されやすく、安定した経営を実現するのが比較的難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えて小売業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、小売業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。小売業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、小売業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介する小売業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標設定等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の来店客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。小売店の場合、商品の陳列やレイアウトを工夫するだけで、ついで買いを誘発し、客単価を上げることができる。また、関連商品同士のクロス販売や季節や数量を限定した商品販売も単価を上げる有効策になる。経費を増やすことなく客単価を上げることができれば、会社の利益が増加し収益性が高まるので、客単価は小売業の存続を左右する重要な指標といっても過言ではない。なお、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際にも活用できる。来店客数来店客数は、来店(商品・サービス購入)したお客様の人数のことである。来店客数×客単価で、全体の売上を算出することができる。従って、全体の売上を増やすには、来店客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。来店客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、来店客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、来店客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。来店頻度来店頻度とは、1人のお客様がひと月に来店する頻度(回数)のことである。例えば、ひと月に5回来店した場合は、来店頻度は5回になる。一般的には、来店頻度の多い顧客ほど、顧客の月間購入単価が高くなる。リピート率リピート率とは、一定期間内に来店したお客様が再来店する割合である。リピート顧客は、新規顧客の数分の一の獲得コストで済み、一方で、新規顧客の数倍の客単価をもたらす。つまり、少ないコストで大きな利益を生み出すのが、リピート顧客の特徴である。一般的に、小売業のリピート測定期間は1ヵ月で設定する。例えば、10名中、4名が1ヵ月以内に再来店した場合、(4÷10)×100=リピート率は40%になる。リピート率が高まり、固定客が増えるほど小売業の経営は安定する。来店客数同様、サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。1坪売上1坪売上とは、店舗1坪あたりの売上のことである。例えば、店舗面積が20坪で、月の売上が100万円であれば、100万円÷20坪=1坪売上は5万円になる。小売店の店内の陳列棚は、不動産と同じでスペースが限られている。当然ながら、売れ筋商品を効率よく並べることができれば1坪売上は増加する。なお、売れ筋商品の分析方法は、ABC分析(パレート分析)がお薦めだ。原価率原価率とは、商品の売上に占める仕入の割合のことである。例えば、仕入が75円で商品の売上が100円であれば、(75÷100)×100=原価率は75%になる。一般的に小売店の原価率は、スーパーは75%、百貨店や雑貨店は50~60%が適正ラインになる。小売店が原価率を上げる工夫として、店内加工品(店内調理品)を増やす戦略がある。店内加工品は、原価率30%以下で作ることも可能なので、ヒット商品が出ると会社の収益に大きく貢献する。廃棄率廃棄率とは、商品の廃棄割合を示す経営指標である。主に、スーパーや百貨店の惣菜売り場で用いる指標である。例えば、商品を10個陳列したうち、2個が売れ残り廃棄処分となった場合、(2÷10)×100=廃棄率は20%になる。廃棄率を改善するには、日頃の販売データの収集・分析が欠かせない。売れ行き、売れ筋、売れる時間帯、など等、日頃の販売データを考慮したうえで商品陳列を行わないと、無駄に廃棄率が上がってしまう。また、仕入単価が安価という理由で賞味期限の残日数が少ないものを大量に仕入れても、結果として売れ残ると、無駄に廃棄率を上げることになる。廃棄率は、日頃の販売データの整理・分析如何で、ある程度コントロールできる指標だ。小売業の安定経営に役立つ経営指標最後に、小売業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、小売業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していない小売業者は、早急な経営改善をおススメする。伊藤のワンポイント小売業はサービス精神(顧客視点)が低下すると、途端に衰退します。ですから、常に顧客サービスの向上を追求してください。顧客サービスの効果は、日頃から計数管理を運用していれば正確に測定できます。しかも、その測定結果をサービス改善に役立てることもできるので、計数管理の精度でサービス価値が決まります。
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  • ホテル・旅館業に有効な経営指標|ホテル・旅館系経営者必見の業界指標
    ホテル・旅館業に有効な経営指標|ホテル・旅館系経営者必見の業界指標ホテル・旅館業は景気に左右されやすく、安定経営を実現するのが比較的難しい業種だ。健全な会社経営、並びに、効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えてホテル・旅館業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、ホテル・旅館業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。ホテル・旅館業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、ホテル・旅館業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介するホテル・旅館業の経営改善に役立つ独自指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。リピート率リピート率とは、一定期間内に来店したお客様が再来店する割合のことである。ホテル・旅館業のリピート測定期間は一般的には1年に設定する。リピート率の計算式は「(再来店者数÷総来店者数)×100」で、例えば、10名中、4名が1年以内に再来店した場合、(4÷10)×100=リピート率40%となる。リピート率はホテル・旅館業にとって最も重要な経営指標といっても過言ではない。なぜなら、リピート率が高まり、固定客が増えるほど、ホテル・旅館業の経営が安定するからだ。特定のホテル・旅館に宿泊する頻度が年に1回というお客様は珍しくない。従って、一期一会を大切に、一回の宿泊で如何に良い印象を残せるか否かが、リピート率を大きく左右する。サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。顧客満足度顧客満足度とは、顧客満足度を数値評価したデータである。顧客満足度は、リピート率に並んで、ホテル・旅館業の重要指標になる。顧客満足度は、接客、食事、温泉、施設、売店、など等、宿泊施設の満足度を構成する主要素に対するアンケート調査を行うことで把握できる。また、アンケート調査は五段階評価に加えて、必ずフリーハンドの自由記入欄を設けることが大切だ。五段階評価の真ん中以下、或いは、自由記入欄に不満足理由が記載してある場合は、二回目の宿泊利用は無いと思った方が良いだろう。不満足評価は経営的にはマイナス要素ではあるが、満足評価に変えるための経営課題と捉えればプラスの側面もある。大切なのは、不満足評価を満足評価に変えるための経営努力をひたむきに継続することだ。顧客満足度が向上すれば、リピート率も自ずと向上する。客室稼働率客室稼働率とは、保有客室の宿泊稼働状況を示す経営指標である。例えば、客室が100室あって、宿泊稼働客室が90室であれば、(90÷100)×100=客室稼働率は90%になる。ビジネスホテル等、客室定員1~2名の客室を多く保有しているホテル・旅館業には、有効な経営指標になる。定員稼働率定員稼働率とは、客室総定員に占める宿泊客数の割合を示す経営指標である。例えば、客室総定員が100名で、宿泊客数が60名であれば、(60÷100)×100=定員稼働率は60%になる。旅館等、客室定員が4~6名で、家族利用が多い宿泊施設は、客室稼働率ではなく、定員稼働率の方が有効な経営指標になる。例えば、客室定員4名の大部屋に1名で宿泊した場合と、定員一杯の4名で宿泊した場合を比べると、利益は後者の方が圧倒的に高くなる。このように、客室稼働率で見落とす収益性の測定が、定員稼働率の最大メリットになる。定員稼働率を見落とすと赤字経営に転落するリスクが高まるので、定員数が多い客室を多く保有しているホテル・旅館業者は日頃から注視したい経営指標である。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の宿泊客数が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。客単価はホテル・旅館の性格(コンセプト・宿泊料金)を決める重要な指標でもある。例えば、高級路線であれば客単価を高めに設定する必要があるし、大衆路線であれば客単価を低めに抑える必要がある。ホテル・旅館業の客単価は工夫次第でいかようにも上げることができる。経費を増やすことなく客単価を上げることができれば、会社の利益が増加し収益性が高まるので、客単価はホテル・旅館業の存続を左右する重要な指標といっても過言ではない。なお、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際の基準として有効活用できる。宿泊客数宿泊客数とは、宿泊利用したお客様の人数のことである。ホテル・旅館の宿泊売上は、宿泊客数×客単価で構成されるので、日頃から注視したい経営指標である。宿泊売上を増やすには、宿泊客数か客単価の何れかを上げる努力が必要になる。宿泊客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、宿泊客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、宿泊客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済むので、工夫して取り組んでほしい。一人当たり宿泊数一人当たり宿泊数とは、宿泊利用者一人当たりの宿泊数のことである。例えば、ひと月の宿泊利用者数が100名で、同月の宿泊数が150泊であれば、150÷100=一人当たり宿泊数は1.5泊になる。1泊利用者と3泊利用者では、施設内で使うお金の消費量に大きな差が生じる。一般的には、一人当たりの宿泊数が多いほど、顧客単価が高くなる。そして、日帰り客よりも宿泊客、同じ宿泊客でも、宿泊数が多いほど、顧客単価が高くなる。従って、1泊利用を2泊、3泊と、如何に一人当たりの宿泊数を長引かせることができるか否かが、顧客単価を高めるポイントになる。宿泊比率宿泊比率とは、来客者のうち、宿泊客と日帰り客の比率を示す経営指標で、主に、温泉やスパ施設があるホテル・旅館業で活用できる指標である。例えば、来客者が100名で、宿泊客が60名、日帰り客が40名であれば、(60÷100)×100=宿泊比率は60%になる。宿泊比率が高いと宿泊客の割合が多く、宿泊比率が低いと日帰り客の割合の方が多い、ということになる。日帰りの温泉施設がある宿泊施設の場合、宿泊比率が分かると、費用対効果を考慮した、きめの細かい顧客サービスの検討が可能になる。バックオーダー数バックオーダー数とは、キャンセル待ちの件数のことである。例えば、ひと月にキャンセル待ちが10件あれば、バックオーダー数は10になる。バックオーダー数は人気のバロメーターでもある。当然ながら、バックオーダー数が多いほど、景気に左右されにくいホテル・旅館業の経営基盤が整う。原価率原価率とは、料理の売上に占める材料費の割合のことである。例えば、材料が250円で料理の売上が1,000円であれば、(250÷1,000)×100=原価率は25%になる。一般的にビジネスホテルの朝食の原価率は20%以下、旅館の食事は25%以下が適正ラインになる。原価率はメニュー構成全体で適正ラインの範囲内に収まっていれば問題ない。例えば、ホテル・旅館の集客力を高める目玉メニューは原価率を高めに、前菜やドリンク類は原価率を低めに、というようにメニュー構成全体で適正バランスをとる工夫が大切だ。なお、原価率の計算は、歩留まり率(廃棄率)も加味しないと、正確な原価計算ができないので注意が必要だ。経営が悪化するホテル・旅館は、例外なく原価率の計算がいい加減である。ホテル・旅館業の経営分析に役立つ経営指標続いて、ホテル・旅館業の経営分析に役立つ経営指標を紹介する。以下に紹介する経営指標は、ホテル・旅館業の経営分析に役立つので、手元に決算資料を用意して実際に分析することをお薦めする。固定比率固定比率とは、購入した固定資産が会社の自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標のことである。設備投資が多いホテル・旅館業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>負債比率負債比率は、返済義務のない自己資本と、返済義務のある負債である他人資本のバランスを明かにする経営指標である。負債比率が分かると、会社の返済余力や安全性を簡単に把握することができるので、設備投資が多いホテル・旅館業は日ごろからモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>労働分配率労働分配率は、会社の分配可能な付加価値(売上総利益)が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標である。資本集約型のホテル・旅館業は労働分配率を低く抑えることが経営の正攻法なので、日頃からモニタリングしておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>投資回収期間設備投資を成功に導くには、投資計画の妥当性を徹底的に検証し、なお且つ、投資した資金を一定の期間で回収することが欠かせない。ホテル・旅館業が投資回収期間の見通しを誤ると経営の失敗リスクが著しく高まるので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>大型設備投資の判断基準とタイミングホテル・旅館業の大型設備投資の判断基準とタイミングは、何れも正しくないと失敗リスクが拭えない。例えば、投資資金が十分にあり、投資判断にゴーサインを出したとしても、投資のタイミングを誤っていれば、投資は失敗に終わる。(逆もまた然りである)。ホテル・旅館業の大型設備投資を成功させるには、然るべき投資基準と、ベストなタイミングを見計らう判断基準が欠かせないので、しっかり把握しておきたい経営指標である。詳しくはこちら>>ホテル・旅館業の安定経営に役立つ経営指標最後に、ホテル・旅館業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、ホテル・旅館業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していないホテル・旅館業者は、早急な経営改善をおススメする。ホテル・旅館業は経営の最高峰ホテル・旅館業は経営の最高峰だ。なぜなら、ホテル・旅館業は単なる宿泊業に止まらず、観光業、レジャー業、飲食業、サービス業、小売業、製造業、不動産業など等、あらゆる産業の集合体だからだ。例えば、ホテル・旅館業は大きな資本投資(土地建物・機械設備・什器備品等)のもとに成立しているので、資本集約型の産業といえるが、同じ資本集約型の製造業とは、求められる経営の質が全く違う。資本効率の追求、労働生産性の向上、人財育成、ホスピタリティとサービスの追求、美食の追求、広告戦略、経営データの解析、経営データ検証と経営改善の推進、など等、ホテル・旅館業の経営者に求められる経営領域は、他の産業とは比にならないほど広範囲にわたる。当然ながら、経営者の能力がどれか一つでも劣っていれば、その部分が衰退の原因になり、会社の成長が鈍化する。また、立地や客層、施設概要によって、成功の経営戦略がガラリと変わるものホテル・旅館業の特徴だ。ホテル・旅館業が経営の最高峰と云われる所以はココにあり、資本に特化、或いは、運営に特化するホテル・旅館業の経営スタイルは賢い選択といえる。伊藤のワンポイントホテル・旅館業は経営の最高峰です。経営者であれば、いつかは挑戦したいと思うのがこの業界です。それほどに、ホテル・旅館業の経営は難易度が高いです。とても繊細な経営判断が求められますので、他業種の経営者よりも経営の勉強をしなければなりませんし、相当な人間力も必要です。ですから、おざなりな経営は厳禁です。
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  • ネットショップ・通販業に有効な経営指標|ネット通販系経営者必見の業界指標
    ネットショップ・通販業に有効な経営指標|ネット通販系経営者必見の業界指標ネットショップ・通販業は購入者が一般消費者なので、一定水準の顧客数を確保できれば安定した経営を実現しやすい業種だ。とはいえ、健全な会社経営、並び、に効率のよい現場運営を実現するためには、財務諸表の分析に加えてネットショップ・通販業特有の指標を活用して、日頃から経営課題を抽出することが欠かせない。この記事では、ネットショップ・通販業の経営改善をすすめる上で役立つ業界特有の経営指標について、詳しく解説する。ネットショップ・通販業の経営改善に役立つ経営指標経営改善を進めるうえで、最も即効性のある改善方法は、現場のムダムラの解消である。現場のムダムラを見つけるには、財務諸表の分析だけでは不十分である。効率的に現場のムダムラを解消するには、ネットショップ・通販業特有の経営指標を活用する必要がある。以下に紹介するネットショップ・通販業の経営改善に役立つ経営指標を活用(分析・目標等)すると、経営改善を効率的に進めることができる。新規顧客新規顧客とは、新規で商品を購入してくれたお客様のことである。新規顧客はネットショップの成長を支える原動力になる。新規顧客が増加しない限り、ネットショップ・通販業の事業規模は拡大しない。登録顧客登録顧客とは、商品購入者として顧客情報が登録されたお客様のことである。購入者の累計人数でもある。一般的には、登録顧客が1万人を超えると成長スピードが加速する。有効顧客有効顧客とは、一定期間内に商品を購入してくれたお客様のことである。期間は商品特性によって変わるが、購入頻度の高い商品の場合は6ヵ月、購入頻度の少ない商品の場合は1年で設定する。有効顧客は、一定期間の売上を構成する実働顧客である。従って、お得な情報等を発信する際の対象顧客として運用すると費用対効果が高まる。また、有効顧客を貢献度別に分類すると、更にきめの細かいサービスを検討することができる。分類例は下表の通りである。分類フェーズ1フェーズ2フェーズ3フェーズ4顧客属性新規新規リピート既存リピート既存リピート購入期間1年以内1年以内1年超1年超購入金額--3万円以下3万円超購入期間と購入金額は取り扱う商品によって調整が必要だが、共通の傾向としてフェーズが進行するほど客単価が高くなる。また、投資効率もフェーズが進行するほど高くなる。有効顧客は、ネットショップ・通販業を運営するうえで、最も重要視すべき指標でもある。離脱顧客離脱顧客とは、商品購入後に、一定期間内に再注文(リピート)せずに離脱したお客様のことである。期間は商品特性によって変わるが、購入頻度の高い商品の場合は6ヵ月、購入頻度の少ない商品の場合は1年で設定する。新規顧客よりも離脱顧客の人数が上回ると、顧客が純減となりマイナス成長に陥る。リピート顧客リピート顧客とは、商品購入後に、一定期間内に再注文(リピート)してくれたお客様のことである。リピート顧客は、新規顧客の数分の一の獲得コストで済み、更に、新規顧客の数倍の客単価をもたらす。つまり、少ないコストで大きな利益を生み出すのが、リピート顧客の特徴になる。リピート率リピート率とは、一定期間内に購入したお客様が再注文(リピート)する割合のことである。リピート測定期間は商品特性によって変わるが、購入頻度の高い商品の場合は6ヵ月、購入頻度の少ない商品の場合は1年で設定する。例えば、新規顧客100名の内、一定期間内に30名が再注文してくれた場合、(30÷100)×100=リピート率は30%になる。リピート率は業界平均で約30%程度、業界によって30%~50%の範囲が適正水準である。化粧品やブランド品等、愛用性の高い分野の商品は50%を超える場合もある。リピート率が高まり、固定客が増えるほど、ネットショップ・通販業の経営が安定する。サービス精神なくして、リピート率の向上はあり得ない。サイトアクセス数サイトアクセス数とは、ネットショップのサイトアクセス数(ページビュー数)のことである。一般的には1ヵ月で10万アクセスを超えると競合他社から一歩抜け出し、成長のスピードが加速する。転換率転換率とは、サイトにアクセスした後に実際に商品を購入したお客様の割合のことである。例えば、サイトアクセス数が1,000件で注文者が10名だった場合、(10÷1,000)=転換率は1%になる。転換率の高低には、商品そのものの力よりも、商品ページの見た目の方が影響を及ぼす。売れているサイトを参考に商品ページを作り直すだけで転換率が上昇する場合もある。客単価客単価とは、1客あたりの売上のことである。例えば、全体の売上が月100万円で、月の購入者が100名であれば、100万円÷100名=客単価は1万円になる。また、客単価は、顧客サービスの費用対効果を計る際、或いは、新規顧客獲得のための広告宣伝費の費用対効果を計る際の基準としても活用できる。購入客数×客単価購入客数×客単価とは、全体の売上拡大を推進する公式(指標)になる。全体の売上を増やすには、購入客数か客単価の何れかを上げる努力が欠かせない。購入客数を上げるにはサービス精神の高低がポイントになり、一期一会を大切に、良い印象を与えることができるか否かが分かれ道になる。なお、購入客数を上げるには、広告宣伝等の投資コストがかかるが、一般的には、購入客数よりも客単価を上げる投資コストの方が安く済む傾向にある。売上高ネットショップ運営費比率売上高ネットショップ運営比率とは、ネットショップ運営にかかる諸経費の割合を示す経営指標である。諸経費は、外部サイトの利用手数料、決済手数料、割引原資、サイト管理費用等々が含まれる。例えば、売上が100万円でネットショップ運営諸経費が10万円であれば、(10÷100)×100=売上高ネットショップ運営費比率は10%になる。ネットショップを外部サイトに出店する場合、売上高ネットショップ運営費比率が15%を超過することもある。従って、採算割れを防ぐ商品構成・販売戦略が大切になる。ネットショップ・通販業の安定経営に役立つ経営指標最後に、ネットショップ・通販業の安定経営に役立つ経営指標を紹介する。例えば、下記の経営指標は常時モニタリングしたい指標になる。経費率の水準営業利益率の水準人時生産性の水準上記3つの経営指標の適正水準をクリアすることが、ネットショップ・通販業の成長を実現する最低限の条件といっても過言ではない。(それぞれの経営指標をクリックすると計算方法と適正水準が分かる)各経営指標が適正水準に達していないネットショップ・通販業者は、早急な経営改善をおススメする。
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  • 成長率の計算方法|売上・利益・企業・人時生産性の成長率
    成長率の計算方法|売上・利益・企業・人時生産性の成長率成長率の計算は、経営分析の要になる。なぜなら、成長なくして、企業の存続はないからだ。この記事では、成長率の計算方法、並びに、売上・利益・企業・人時生産性等の成長率の計算方法に至るまで、詳しく解説する。成長率の計算方法基本の成長率の計算方法を解説する。成長率の計算方法は、ある期間の「現在と過去の2つの地点の差」の「過去の値に占める構成比率」を求めることで計算できる。例えば、A社との取引高が現在150万円で、1年前(過去)が100万円であれば、現在と過去の差は150万円-100万円=50万円となり、過去の値に占める構成比率は(50万円÷100万円)×100=50%となる。この50%が成長率になり、1年前(過去)の取引高100万円に50%をかけると、過去から現在にかけて増加した50万円という成長金額が明らかになる。このように成長率は簡単に計算することができ、様々な項目の成長率を計算することで、その企業の成長実態を明らかにすることができる。売上成長率の計算方法売上成長率の計算方法を解説する。売上成長率の計算式は、以下公式で求めることができる。■単年成長率の場合:売上成長率=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100例えば、当期売上高が20億円で、前期売上高が15億円だった場合は、〔(20億円-15億円)÷15億円〕×100=33.33%が売上成長率になる。【関連記事】売上高成長率の計算方法と適正水準利益成長率の計算方法利益成長率の計算方法を解説する。利益成長率の計算式は、以下公式で求めることができる。■単年成長率の場合:利益高成長率=〔(当期営業利益高-前期営業利益高)÷前期営業利益高〕×100例えば、当期営業利益高が2億円で、前期営業利益高が1億円だった場合は、〔(2億円-1億円)÷1億円〕×100=100%が利益成長率になる。利益成長率は、営業利益の他にも、売上総利益、経常利益、当期純利益等の利益指標を用いて計算すると、利益の成長実態がより明らかになる。企業成長率の計算方法企業成長率の計算方法を解説する。企業成長率は、企業存続を左右する重要指標である「売上・利益・現金」の成長率を計算することで求めることができる。売上・利益の成長率の計算式については前章で解説した通りになり、現金成長率の計算式は以下公式で求めることができる。■単年成長率の場合:現金成長率=〔(当期現金残高-前期現金残高)÷前期現金残高〕×100例えば、当期現金残高が5億円で、前期現金残高が4億円だった場合は、〔(5億円-4億円)÷4億円〕×100=25%が現金成長率になる。【関連記事】企業成長率の計算方法と適正水準人時生産性成長率の計算方法人時生産性成長率の計算方法を解説する。人時生産性成長率の計算式は、以下公式で求めることができる。■人時生産性=営業利益金額÷全従業員の総労働時間■単年成長率の場合:人時生産性成長率=〔(当期人時生産性-前期人時生産性)÷前期人時生産性〕×100例えば、当期人時生産性が1,200円で、前期人時生産性が1,000円だった場合は、〔(1,200円-1,000円)÷1,000円〕×100=20%が人時生産性成長率になる。人時生産性成長率は、営業利益の他にも、売上、売上総利益、経常利益、当期純利益等の各収益指標を用いて計算すると、生産性の成長実態がより明らかになる。
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  • 経営指標の業界平均は当てにならない|ベストな目標は平均値ではなく絶対値
    経営指標の業界平均は当てにならない|ベストな目標は平均値ではなく絶対値経営指標の業界平均は様々な機関が集計している。例えば、中小企業庁、日本金融公庫、TKCグループ等のホームページにアクセスすれば、経営指標の業界平均を誰でも閲覧することができる。しかし、会社経営の目標に掲げるのであれば、経営指標の業界平均は全く当てにならない。この記事では、経営指標の業界平均は当てにならない理由と共に、ベストな目標になり得る絶対値について詳しく解説する。経営指標の業界平均経営指標の業界平均は、中小企業庁、日本金融公庫、TKCグループ等のホームページにアクセスすれば、誰でも閲覧することができる。経営指標と対象業界も多種多様で、中小企業庁は44業種8分析項目、日本金融公庫は302業種29分析項目、TKCグループは505業種14分析項目など、それぞれ事細かに業界平均が分析・公開されている。主だった経営指標は、営業利益率、経営資本回転率、従業員1人当り年間粗収入高、売上総利益率、経費比率、人件費比率、当座比率、流動比率、自己資本比率などがある。主だった業界は、建設業、製造業、卸売業、小売業、運輸業、通信業、不動産業、サービス業などがある。経営指標の業界平均は当てにならない経営指標の業界平均を知ることで、その業界におけるポジショニングや業績改善の目標値が分かるかも知れないが、経営指標の業界平均は当てにしない方がよい。なぜなら、業績平均は、少数の好調企業の数値を多数の不調企業が足を引っぱる構図で計算されているからだ。下図は業界平均の計算構造を示したグラフである。ご覧の通り、僅かな上位集団の実績を、数多の下位集団が足を引っ張る構図で業界平均が計算されていることが分かると思う。業界平均イコールみんなと一緒という安心感を抱くかもしれないが、みんなと一緒レベルでうまくいくほど会社経営は甘くない。周囲から一歩抜け出すには独立独歩で高い目標を掲げることが欠かせない。ベストな目標は業界平均ではなく絶対値会社経営の本質は、他力本願ではなく自力本願である。つまり、他人の実績が多く混入した業界平均よりも、自己研鑽を加速する絶対的な目標値を掲げた方が成長を阻害する会社の欠点や課題が明かになり、経営改善が効率化される。以下に紹介する経営指標はどんな業界であっても通用する目標値になる。業界平均に頼ることなく、上手に活用することをお薦めする。売上成長率計算式:〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100目標値:5~20%売上総利益高営業利益率計算式:(営業利益÷売上総利益高)×100目標値:20%以上当座比率計算式:(当座資産÷流動負債)×100目標値:120%以上自己資本比率計算式:(自己資本÷総資本)×100目標値:50%以上その他の経営指標その他の経営指標に関しても業界平均に頼ることなく、常に前年よりも良い数値に改善する経営努力が基本姿勢になる。
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  • 経営の悩みの解消方法|社長の悩みが解決するシンプルな考え方
    経営の悩みの解消方法|社長の悩みが解決するシンプルな考え方小さな会社ほど重要な経営判断が社長に集中するので、経営者の悩みは尽きることがない。社長が悩みを抱えることは、ある意味、当然のことであり、悩みがあって当たり前ではあるが、大切なことは悩みを放置しないことだ。この記事では、経営の悩みの解消方法、並びに、社長の悩みが解決するシンプルな考え方について、詳しく解説する。経営の悩みの解消方法経営の悩みの解消方法として確実な方法は「相談できる専門家」を抱えることである。経営の悩みを解消する手段として、自分で勉強する方法もあるが、独学は、誤った時に修正が利かないデメリットがある。大概は、失敗して初めて気が付くパターンが殆どであり、それであれば、最初から、専門家を頼った方がよい。経営の専門家は多岐にわたる。会社経営全般であれば経営コンサルタント、法務は弁護士、税務は税理士など等、必ず、その道の専門家がいる。そもそも社長の時間は極めて限られている。社長のパフォーマンスを上げるには、悩む時間を減らすために専門家を活用し、自身がすべき重要な仕事に集中するための取捨選択を日常的にしなければならない。初めから専門家を頼れば、社長業の生産性が上がるだけでなく、判断基準の精度も上がるため、成功の確率がグッと上がる。従って、できるだけ若い内から、専門家に身銭をきる習慣をつけ、頼るべき専門家を選別する眼を養うことをお薦めする。悩みを放置すると悩みが大きくなる経営の悩みは放置せず、サッと解決するのが良い。なぜなら、経営の悩みを放置するほど、衰退リスクが高まり、更に悩みが大きくなるからだ。悩みは小さな内に解消することが安定経営の鉄則であり、悩みの放置は経営者の怠惰といっても過言ではない。専門家の悩み相談は、せいぜい1時間1万円程度である。その1万円で悩みが解決でき、更に、会社の損失リスクを抑えられるのであれば、安いものである。1万円の相談料が、100万円や1,000万円の価値を生み出す事も往々にしてある。成功社長ほど、自身の苦手分野を把握しており、その苦手を補う専門家、或いは、ブレーンを上手に活用して悩みを解決している。ちなみに、公的機関の無料のよろず相談等はピンポイントで活用する分には問題ないが、悩みの根本解決の手段としてはお薦めできない。タダほど高いものはないと云われるように、時間と労力の割に役立たないケースが多いからだ。社長の悩みが解決するシンプルな考え方最期に、社長の悩みが解決するシンプルな考え方について解説する。経営の悩みはサッと解決することに越したことはないが、中には、尾を引く悩みもあれば、すぐには解決しない悩みもある。例えば、悩みを解決するために人事を尽くしたとしても、なかなか悩みの種が解消されないケースが稀にある。こういう場合は、強引に悩みを解決しようとはせずに、ただ静観し、流れに身を任せる手もある。押してダメなら引いてみろ、ではないが、悩みを解決する手段が強引になるほど、話がこじれることは良くあることである。特に家族や組織などの人の問題は、強引さが仇となる。やる事をやっても悩みが解決されない場合は、一度、立ち止まって解決法を考え直すことも時には必要で、場合によっては静観することで悩みが勝手に解決することもある。
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  • 経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選|社長の悩みは放置するな
    経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選|社長の悩みは放置するな中小企業の経営者は悩みを沢山抱える。なぜなら、トップダウン構造にある中小企業ほど経営者に重要な決断が集中するからだ。この記事では、経営者の悩みを解決する実践ノウハウについて、詳しく解説する。社長の悩みは放置するな!!!社長業ほど難易度の高い仕事はない。従って、経営者に弱点があるほど経営の悩みが山積する。経営の悩みには程度の大小があるが、経営課題に直結する深刻な悩みを放置すると、少しのきっけで会社が衰退することもあり得る。また、社長が解決できない悩みを抱えるほど精神面のダメージが大きくなり、リーダーシップ力の低下と共に業績が悪化することもある。会社経営は生き物のようなものなので、経営者が悩みを抱えることはとても自然なことではあるが、経営の悩みは素早く解決するのが鉄則で、決して放置してはならない。経営者はどんな悩みを抱えているのか?経営の悩みは絶えないが、中小企業の社長が抱える悩みは概ね以下ランキングの通りになる。1位は売上の悩みで、売上をどう伸ばせばよいのか、売上の減少に歯止めがかからない等の悩みは典型になる。2位はコストの悩みで、過分なコストをどうやって削減すればよいのか、どうやってコスト削減のネタを作ればよいのか等の悩みは典型になる。3位は資金繰りの悩みで、運転資金に余裕がない、返済苦に陥り資金繰りが苦しい、成長投資の原資が捻出できない等の悩みは典型になる。4位は人事組織の悩みで、社員採用や社員教育に悩みがある、組織力が低下している、問題社員の存在に悩んでいる等の悩みは典型になる。5位は会社経営(マネジメント)の悩みで、会社経営に不安を抱えている、経営者としてのスキルやマインドが不足している等の悩みは典型になる。以上の通り、中小企業の経営者は様々な悩みを抱えているが、経営の悩みは放置することなく、速やかに解決することが大切だ。経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選経営者の悩みを解決する実践ノウハウ20選として、当サイト内からお悩み解決に役立つ厳選ノウハウを紹介する。売上・コスト・資金繰り・人事組織・会社経営の上位5位について、テーマ別に悩みを解決するお薦めのノウハウ記事を紹介しているので参考にすることをお薦めする。売上の悩みを解決する実践ノウハウ経営者の売上の悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。売上のお悩み解消に役立ててほしい。売れる商品の作り方売れる商品は安定経営の必須アイテムになる。また、売れる商品が多い程、少ない努力でモノが売れ続ける仕組みが定着するので、会社の成長スピードが一段と加速する。この記事では、売れる商品の作り方について詳しく解説している➡この記事を読む営業力を強化する7つの効果的方法営業力は企業の存続を左右する。商品やサービスが売れなければ商売が成り立たないからだ。この記事では、営業力を強化する7つの効果的方法について詳しく解説している➡この記事を読む売れる営業マンが持っている売る技術・戦略・コツビジネスのなかで最も難易度の高い仕事が「モノを売る(売上を作る)」仕事なので、いかにして売れる営業マンを育成するかが、ライバル企業に差をつけるポイントになる。この記事では、売れる営業マンが持っている売る技術・戦略・コツについて詳しく解説している➡この記事を読む経営健全化から成長戦略までの事業拡大の正攻法事業拡大なくして企業の存続なし。つまり、事業拡大の取り組みは、企業の生命線になる。この記事では、事業拡大の方法、並びに、事業拡大のための経営健全化から成長戦略に至るまで詳しく解説している➡この記事を読むコストの悩みを解決する実践ノウハウ経営者のコストの悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。コストのお悩み解消に役立ててほしい。コストダウンのネタは無限にあるコストダウンのネタが尽きると会社の衰退リスクが高まる。なぜなら、ライバルよりも低コストでより良い商品やサービスを提供できなければ、たちまち市場競争から脱落するからだ。この記事では、コストダウンのネタからコスト削減の限界に至るまで詳しく解説している➡この記事を読む効果的なコスト削減/経費削減の方法同じ商品を競合他社よりも低コストで提供できれば、市場競争を優位に展開することができる。この記事では中小企業に適したコスト削減の基本ステップについて詳しく解説している➡この記事を読む簡単かつ即効性のあるコストダウン手法低コスト体制で高付加価値商品を開発することができれば、大きな利益を獲得することが容易になるので、コストダウンは高い収益基盤を整える効果もある。この記事では、簡単かつ効果的なコストダウンの手法について詳しく解説している➡この記事を読むコスト削減の考え方・目的・効果・方法を徹底解説闇雲なコスト削減が原因で企業の付加価値が棄損し、会社が衰退することがある。つまり、コスト削減は、方法論ひとつで企業の盛衰を決し、企業の成長に大きく影響を及ぼす。この記事では、コスト削減の考え方、コスト削減の目的・効果・方法から成功事例に至るまで詳しく解説している➡この記事を読む資金繰りの悩みを解決する実践ノウハウ経営者の資金繰りの悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。資金繰りのお悩み解消に役立ててほしい。5つの数字で資金繰りを改善する方法資金繰りは会社の生命線になる。なぜなら、資金繰りに失敗し、現金が枯渇すると、いかに儲かっていようが、会社が倒産するからだ。この記事では、5つの数字で資金繰りを改善する具体的方法について詳しく解説している➡この記事を読むキャッシュフロー経営で利益を劇的改善キャッシュフロー重視の経営は、会社の利益を押し上げ資金繰りを改善する効果がある。なぜなら、キャッシュフロー重視の経営は、会社のお金の動きを可視化し、経営者に明快な損得基準を与えるからだ。この記事では、キャッシュフロー経営の基本について詳しく解説している➡この記事を読む減価償却が分かればキャッシュフローが良くなる減価償却が分かれば、キャッシュフローが良くなる。なぜなら、減価償却費は経費として計上しても、現金流出が伴わないからだ。この記事では、減価償却とキャッシュフローの関係性について詳しく解説している➡この記事を読む会社の利益を上げる5つの方法資金繰りを楽にする現金の源泉は利益になる。従って、良好な資金繰りを実現するには利益拡大が不可欠になる。この記事では、利益を上げる前に理解すべき注意点、並びに、すぐに実践できる中小企業の利益を上げる5つの方法について詳しく解説している➡この記事を読む人事組織の悩みを解決する実践ノウハウ経営者の人事組織の悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。人事組織のお悩み解消に役立ててほしい。事業は人なりは経営の理なり事業は社員一人ひとりの働きのうえに形作られるので「事業は人なり」は紛れもない事実であり、経営の本質を突いた理である。この記事では、中小企業の人材育成の重要ポイントを詳しく解説している➡この記事を読む人事評価の本当の目的とスゴイ効果人事評価の本当の目的は社会で広く通用する社員を育てるところにある。社員が育てば、自ずと会社の業績が拡大するので人事評価の効果は計り知れない。この記事では、人事評価の本当の目的とスゴイ効果について詳しく解説している➡この記事を読む社員のリストラは最悪の方法社員の生活の糧(生計)を脅かすリストラは、社員にとってみれば最悪の方法であり、リストラを免れて会社に残る社員にとってもモチベーションを下げるきっかけになり得る。この記事では、社員のリストラのデメリットと共に、社員に感謝し大切にすることでリストラを回避する方法について詳しく解説している➡この記事を読む社員が会社を辞める本当の理由社員が会社を辞める動機はより良い環境を求めるところにあるので、社員が会社を辞める根本的な理由を突き詰めて考えると「先行きの不安」ということになる。この記事では、社員が会社を辞める本当の理由について詳しく解説している➡この記事を読む会社経営の悩みを解決する実践ノウハウ経営者の会社経営(マネジメント)の悩みを解決する実践ノウハウを紹介する。人事組織のお悩み解消に役立ててほしい。起業の基本知識と成功ノウハウこれから起業する方や新規事業を計画している中小企業経営者、或いは、すでに起業している起業家のために、起業に失敗しないための基本知識と成功ノウハウを詳しく紹介している➡この記事を読む経営者になるためのスキルとマインド社長になるにはどうすべきかを考えている後継者、或いは、経営者になるために必要なスキルとマインドを習得したいと考えているビジネスパーソンは意外と多い。この記事では、経営者になるための必須スキルとマインドについて詳しく解説している➡この記事を読む中小企業が後継者不足に陥る本当の理由中小企業の約半数以上は後継者不足に陥っていると云われていて、年商1億未満の中小零細企業に至っては約八割もの会社が後継者不足に陥ってる。この記事では、中小企業が後継者不足に陥る本当の理由について、詳しく解説している➡この記事を読む経営管理能力の自己採点チェックシート中小企業において社長の経営管理能力ほど重要なものはない。なぜなら、社長の経営管理能力によって、会社の成長と衰退が決まるからだ。この記事では、社長の経営管理能力の低下サインを具体的に記した自己採点チェックシートを紹介している➡この記事を読む
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  • 女性社長の悩みはあって当たり前|経営の悩みを解決する確かな方法
    女性社長の悩みはあって当たり前|経営の悩みを解決する確かな方法女性社長の悩みはあって当たり前である。なぜなら、女性、男性関係なく、会社経営に悩みはつきものだからだ。この記事では、女性社長の悩みを解決する確かな方法について、詳しく解説する。女性社長は経営者のスタンダード女性社長の割合は全体の1割弱、そして、女性社長の3割は自分で事業を起業した創業者となっている。(共に帝国データバンク調べ:2018年)このデータに個人事業主を含めると女性社長や女性起業家の比率はグッと上がり、既に、経営者のスタンダートとして女性社長が広く定着しつつあることが伺える。女性社長や女性起業家の増加は社会にとって大変喜ばしいことだが、10年後の会社生存率は約5%と云われているように、事業承継や起業家として社長の地位に就くことより、事業を継続することの方が遥かに難しい。事実、思うように経営が進まずに事業運営に悩みを抱える女性経営者、或いは、理想と現実のギャップに悩みを抱えて孤立する女性経営者は少なくない。女性社長はなぜ悩みを抱えるのか?女性社長はなぜ経営の悩みを抱えるのか?良くあるパターンは、家庭生活や出産育児との両立から抱える悩みだが、この悩みは、男性社長にはない女性社長特有の悩みといえる。また、男女関係なく、経営者や起業家としての準備不足から経営の悩みを抱えるパターンも多い。会社経営は周囲の環境変化と共に絶えず課題が生まれるので、経営者のスキルとマインドのレベルが低いと、経営の悩みが無限に山積する。しかも、山積した悩みを放置するほど経営状況が悪化し、悩みの深刻度が増す一方になる。社長は全ての経営責任を背負っているので、一人で悩みを抱えて業績悪化を見過ごすわけにはいかない。悩みを抱えたら速やかに解決する、これが会社経営の正攻法になる。女性社長の悩みを解決する確かな方法女性社長の悩みを解決する方法は3つある。ひとつは、女性社長特有の悩みを解決してくれる先輩社長に学ぶこと、二つめは、専門家を活用すること、三つめは、経営者の必須スキルとマインドを身につけることだ。女性社長の悩みを解決するそれぞれの方法を詳しく解説する。女性社長に学ぶ女性社長の悩みは女性社長が一番よく知っている。従って、先行して成功している女性社長に悩みを打ち明けアドバイスを仰ぐことは、お悩み解決の有効な方法になる。専門家の活用専門家の活用もお悩み解決の有効な策になる。弁護士等の士業、マーケティング等の特定分野の専門家、会社経営であれば私のような経営コンサルト等を活用することが、最も確実で最速なお悩み解決法になる。経営者の必須スキルとマインドを身につける会社経営の全ての悩みはスキルやマインド不足から生まれる。社長は、決断力、責任感、数字力など等、様々なスキルやマインドが求められるが、悩みを緩和、或いは、悩みを解決するには、経営者の必須スキルとマインドの習得が欠かせない。
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  • 経営者はしんどいが成功すれば人一倍の幸せを勝ち取れる
    経営者はしんどいが成功すれば人一倍の幸せを勝ち取れる経営者の仕事はじつにしんどい...。トップダウン構造にある中小企業ほど様々な決断が経営者に集中するので悩みの量やストレスの負荷が半端ない。この記事では、経営者のしんどさ、並びに、経営のしんどさから抜け出す方法について、詳しく解説する。なぜ経営者はしんどいのか?なぜ経営者はしんどいのか?それは、会社のトップに君臨する最高経営責任者だからだ。会社のトップである社長の立場は実にしんどい。なぜなら、最終決断するのも社長、経営責任を負うのも社長、副社長以下すべてスタッフの不平不満の矛先も社長、とにかく、会社経営に関わる全てのストレスを背負うのが社長の立場だからだ。トップダウン構造にある中小企業ほど様々な決断責任や采配責任が経営者に集中するので、悩みの量やストレスの負荷が半端なく、経営者としての力量が不足するほど、しんどい思いをする。経営のしんどさから抜け出す方法経営のしんどさから抜け出す方法は3つある。ひとつは専門家を活用すること、二つめは好調な業績をキープすること、三つめは経営者の必須スキルとマインドを身につけることだ。経営のしんどさから抜け出すそれぞれの方法を詳しく解説する。専門家を活用する経営者のしんどさの正体は大きな悩みや不安感に行きつく。こうした悩みや不安感は専門家を活用すれば確実に解消される。弁護士等の士業、マーケティング等の特定分野のコンサル、私のような経営コンサルタント等、しんどくなったら悩みや不安感の元になっている分野の専門家に速やかに相談することがしんどさから抜け出す確かな方法になる。好調な業績をキープする経営者は業績が悪化するほどしんどい思いをする。お金の苦労や組織内の苦労が山積し、しんどさがピークに達すると参ってしまう社長もいる。こうしたしんどさは好調な業績をキープすることで解消される。つまり、衰退を予見し先手を打つ会社経営の実践が、しんどさから抜け出す確かな方法になる。経営者の必須スキルとマインドを習得する経営者のスキルとマインドが不十分だと、会社経営の悩みが次々と生まれて、次第にしんどさが増していく。こうしたしんどさは経営者の必須スキルとマインドを習得することで解消される。つまり、経営者の自己研鑽がしんどさから抜け出す確かな方法になる。成功すれば人一倍の幸せを勝ち取れる経営者にとってしんどい思いをするのは辛いものだが、そのしんどさ(現実)を受け止めてしまえば、前に進む勇気が湧いてくる。しんどさを背負ったら、このしんどさと同じくらいの幸せが訪れると思って、プラス思考でしんどさを受け入れ、一歩ずつ成功のステップを歩めば必ず幸せが訪れるものだ。ピンチはチャンスと捉えて諦めずに努力することが大切で、何事も努力を継続すれば必ず活路は開ける。経営者は沢山のストレスを抱え、しんどい思いも沢山するが、経営者として成功することができれば人一倍の幸せを勝ち取れる。成功を勝ち取るには、しんどさを抱えても、絶対に成功するという強い想いを持って成功するための歩みを止めないことが大切だ。
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  • 中小企業の成長性分析と経営診断方法|企業の成長性は重要な診断ポイント
    中小企業の成長性分析と経営診断方法|企業の成長性は重要な診断ポイント企業の成長性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の成長性が分かれば、現在の立ち位置と共に会社の将来性が明らかになり、今後の対策が立て易くなるからだ。この記事では、中小企業の成長性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の成長性分析・診断の必要性成長性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、高い成長性なくして、企業の存続はあり得ないからだ。企業の成長性が分かれば、会社の将来性は自ずと見えてくる。更に、企業の成長性の適正具合が診断できれば、現時点の立ち位置が分かり、今後の対策を立てやすくなる。例えば、企業の成長性が適正指標よりも劣っていれば成長性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば成長性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の成長性分析・診断の具体的方法中小企業の成長性分析と経営診断は、「売上成長率」と「企業の果実」、この2つの経営指標を使って診断する。売上成長率は売上の伸び率を示す経営指標で、企業の果実は会社の収益性と競争力、つまり、獲得利益の大きさを示す経営指標になる。企業の成長は、成長投資の原資となる利益(現金)を増やすことが必須条件になるので、売上と利益を同時に拡大する意識が欠かせない。売上成長率と企業の果実の2つの経営指標を用いた中小企業の成長性分析と経営診断方法を順を追って解説する。企業の売上成長率の分析・診断方法売上成長率は、売上の伸び率を示す経営指標で、売上成長率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上成長性の計算式単年成長率の場合 : 〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100=売上成長率単月成長率の場合 : 〔(当月売上高-前月同月売上高)÷前年同月売上高〕×100=売上成長率売上成長率の診断方法売上成長率診断結果6~20%超優良水準である。この水準で売上が推移していれば会社が着実に成長しているといえる。現在の取り組みを積極的に継続展開すれば、益々の売上成長が望める可能性が高い。0~5%安全水準である。この水準で売上が推移していれば会社経営が安定しているといえる。成長の前期、もしくは、成長の後期に、この水準に位置していることが多い。▲1~▲10%準危険水準である。会社の成長が止まっていて、徐々に低迷している。既存の市場、既存の技術とノウハウを活用して、新しい売上を創出する取り組みが必要である。▲11~▲20%危険水準である。会社の成長が完全に止まっている。既に、赤字経営に陥っていて、厳しい経営の舵取りを強いられてる可能性が高い。21%以上危険水準である。売上は下がっても問題だが、伸びすぎても問題が生じる。この場合、会社の収益面は問題ないが、会社組織や経営管理の内部体制に問題が生じている可能性が高い。企業の果実の分析・診断方法企業の果実は、会社の収益性と競争力、つまり、獲得利益の大きさを示す経営指標のひとつである。企業の果実は「売上×営業利益率」の掛け合わせで測定することができるが、獲得利益の収縮が分かるので、売上成長率だけでは見落としてしまう利益金額の成長を把握することができる。例えば、下図のように、縦軸に売上、横軸に利益率を当てはめると、会社の獲得利益の大きさを視覚的且つ明確に把握できる。企業の果実の縮小は収益性と競争力の低下を示し、企業の果実の拡大は収益性と競争力の向上を示す。企業の果実の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。企業の果実の計算式企業の果実 = 売上×営業利益率企業の果実 = 営業利益額(獲得利益)企業の果実の診断方法企業の果実診断結果拡大健全な経営状態で会社が成長している。縮小不健全な経営状態に陥っている可能性が高い。価格競争に巻き込まれていないか?既存顧客が競合他社に流出していないか?経費や原価が増加していないか?、など等、会社の成長を阻害する要因を分析する必要がある。企業の成長性は売上成長率と企業の果実で分かる売上拡大一辺倒で会社の成長を推し進める経営者がいるが、利益を見落とした状態で売上を拡大すると、衰退リスクが高まる。なぜなら、利益縮小、或いは、赤字拡大といった症状を見逃すと、会社の現金が目減りし、最悪、黒字倒産という結末もあり得るからだ。従って、中小企業の成長性を診断する際は、必ず売上と利益、両面の拡大をセットに考えなければならない。「売上成長率」と「企業の果実」の両面で企業の成長性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント成長性は市場での競争優位性だけでなく、収益力も示します。ですから、成長性を診断し、然るべき目標に向かって現状改善を推進すると自ずと競争力と収益性の高い企業体質に変貌します。また、成長性に意識を向けると、会社全体の拡大意識が高まり、前向きでモチベーションの高い組織体質が定着しやすくなります。
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  • 中小企業の安全性分析と経営診断方法|企業の安全性は重要な診断ポイント
    中小企業の安全性分析と経営診断方法|企業の安全性は重要な診断ポイント企業の安全性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の安全性が分かれば、社員や取引先からの信頼を勝ち取ることが出来ると共に将来の投資戦略も見えてくるからだ。この記事では、中小企業の安全性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の安全性分析・診断の必要性安全性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、安全性が低下すると、たちまち経営が不安定になるからだ。企業の安全性が分かれば、社員や取引先からの信頼を勝ち取ることが出来ると共に将来の投資戦略も見えてくる。また、企業の安全性が適正指標よりも劣っていれば安全性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば安全性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の安全性分析・診断の具体的方法中小企業の安全性分析と経営診断は、「自己資本比率」と「当座比率」、この2つの経営指標を使って診断する。自己資本比率は、会社の資本力や安全性の度合を示す経営指標で、当座比率は、会社の支払能力を示す経営指標になる。会社は、現金で始まり現金で終わる。つまり、会社の現金が底をつくと会社が倒産する。企業の安全性を高めるには、資本を厚くし、尚且つ、支払能力を高める努力が不可欠で、この2点を抑えている限りは、現金残高が減少することはそうそう起こり得ない。自己資本比率と当座比率の2つの経営指標を用いた中小企業の安全性分析と経営診断方法を順を追って解説する。自己資本比率の分析・診断方法自己資本比率は、会社の資本力や安全性の度合を示す経営指標で、自己資本比率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。自己診断比率の計算式自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本(負債の部+資本の部の合計)〕×100自己資本比率の診断方法自己資本比率診断結果50%超極めて安全性が高いといえる優良企業水準である。更に、70%を超えると殆ど無借金経営になり、超優良企業になる。20~49%安全性に問題ない標準水準である。40%以上であれば、倒産のリスクは殆どない。10~19%安全性に乏しい水準である。直ちに経営が悪化する恐れはないが、会社の安全性を高めるために20%以上の水準を目指して、利益改善を推進した方がよい。9%以下安全性が低い水準である。会社は資本欠損の恐れがある。すでに会社が赤字経営に陥っている場合は、早急に黒字化する必要がある。マイナス極めて安全性が低い水準である。会社は債務超過である。つまり、総資本よりも、返済義務のある他人資本の金額が上回っている状態である。会社倒産の可能性が極めて高い。※ 自己資本比率とは、会社の総資本(負債の部+資本の部の合計)に占める自己資本の構成比率のことである当座比率の分析・診断方法当座比率は、会社の支払能力を示す経営指標で、当座比率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。当座比率の計算式当座比率=(当座資産÷流動負債)×100当座比率の診断方法当座比率診断結果120%超優良水準である。支払能力が高い状態といえる。90~119%安全水準である。支払能力に問題ない状態といえる。70~89%改善の余地がある。資金繰りへの影響は軽微だが、急を要する支出に対応できない可能性がある。69%以下危険水準である。資金繰りに影響が出ている可能性が高い。また、外面的に会社の心証が悪くなる水準でもある。銀行融資や助成金の交渉にも影響が出る場合がある。※ 当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の当座資産と1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて計算する。業種業態によって適正指標に幅があるが、会社の支払能力を分析する経営指標としては有効に活用できる企業の安全性は自己資本比率と当座比率で分かる中小企業の安全性を分析する際に、支払能力を示す「当座比率」だけに注目する経営者がいるが、過去の経営実績(利益)の蓄積を示す「自己資本比率」を見落とすと、企業の安全性を見誤る。なぜなら、一時的に現金にゆとりがあったとしても、自己資本比率が著しく低下していると、少しのきっかけで会社が衰退するからだ。従って、中小企業の安全性を診断する際は、必ず資本力と支払能力をセットに考えなければならない。「自己資本比率」と「当座比率」の両面で企業の安全性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント会社の安全性の診断は重要です。会社は現金がなくなると倒産するからです。また、安全性は会社の体力を示しますので、経営戦略や投資戦略など、会社の経営姿勢に大きな影響を及ぼします。安全性の診断を定着させることが、安全性を高める会社経営の実践に繋がりますので、定期的に診断しましょう。
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  • 中小企業の生産性分析と経営診断方法|企業の生産性は重要な診断ポイント
    中小企業の生産性分析と経営診断方法|企業の生産性は重要な診断ポイント企業の生産性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の生産性が分かれば、会社の労働効率と収益性と共に、効率的な会社経営が出来ているか否かを判定することができるからだ。この記事では、中小企業の生産性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の生産性分析・診断の必要性生産性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、高い生産性なくして、企業の成長はあり得ないからだ。企業の生産性が分かれば、会社の労働効率と収益性と共に、効率的な会社経営が出来ているか否かを判定することができる。また、企業の生産性が適正指標よりも劣っていれば生産性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば生産性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の生産性分析・診断の具体的方法中小企業の生産性分析と経営診断は、「労働分配率」と「1人1時間当たりの付加価値」、この2つの経営指標を使って診断する。労働分配率は、会社全体の労働生産性を示す経営指標で、1人1時間あたりの付加価値は、社員1人あたりの労働生産性を示す経営指標になる。社員の犠牲に成り立つ高い生産性は何れ破たんする。社員一人ひとりの生産性を高めながら、会社全体の生産性を高めなければ、会社の成長を加速する生産性を確立することはできない。会社の成長を加速させる生産性を確立するには、会社と社員、両面を意識した生産性向上対策が欠かせないのだ。労働分配率と1人1時間当たりの付加価値の2つの経営指標を用いた、中小企業の生産性分析と経営診断方法を順を追って解説する。労働分配率の分析・診断方法労働分配率は、会社全体の労働生産性を示す経営指標で、労働分配率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。労働分配率の計算式労働分配率=(人件費÷売上総利益)×100労働分配率の診断方法1売上総利益100100100100100人件費7060504030その他経費2030405060営業利益1010101010労働分配率70%60%50%40%30%人的投下労働集約型準労働集約型標準標準資本集約型上表の「経営診断判定表1」に照らし合わせて、自身の会社が、労働集約型なのか、資本集約型なのか、はたまた標準的な産業なのかを判断する。そのうえで、下表の「経営診断判定表2」に照らし合わせて、労働分配率の適正指標と比較し、適正度合いを判定する。なお、労働分配率が高い水準の労働集約型の代表例はコールセンターで、労働分配率が低い水準の資本集約型の代表例は無人化が進んでいる製造工場である。労働分配率の診断方法2労働分配率診断結果適正指標より低い労働生産性が高い。少数精鋭で効率的な経営が実現できている。少数精鋭体制は、中小企業にとって理想的な姿である。適正指標より高い労働生産性が低い。人件費が過分にかかっている。人員の活用がうまくいっていない場合は、配置転換等で収益を上げる方法を検討した方がよい。配置転換等で収益増加が見込めない場合は、適正な水準になるように人員整理を検討することをおススメする。1人当たりの付加価値の分析・診断方法1人1時間あたりの付加価値は、社員1人あたりの労働生産性を示す経営指標で、1人1時間あたりの付加価値の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。1人1時間あたりの付加価値の計算式①付加価値=総人件費+営業利益②1人1時間当たりの付加価値=付加価値(①)÷総労働時間1人1時間あたりの付加価値の診断方法1人1時間の付加価値診断結果増加労働生産性が向上している。生産性と収益性が高く、骨太で力強い経営体質の会社経営ができているといえる。減少労働生産性が低下している。人員過剰や残業過多等に陥っている可能性がある。生産性と収益性を上げるための経営改善が必要である。企業の生産性分析は労働分配率と1人当たりの付加価値で分かる中小企業の生産性を分析する際に、会社全体の労働生産性を示す「労働分配率」だけに注目する経営者がいるが、社員1人あたりの労働生産性を見落とすと、企業の生産性を見誤る。なぜなら、労働分配率が適正水準であっても、社員1人あたりの労働生産性が悪化していれば、少しのきっかけで会社全体の生産性が低下し、会社が衰退するからだ。従って、中小企業の生産性を診断する際は、必ず会社全体の労働生産性と社員ひとりの労働生産性をセットに考えなければならない。「労働分配率」と「1人1時間あたりの付加価値」の両面で企業の生産性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント生産性は企業の生命線です。数多のライバル企業の中から一歩抜け出すには高い生産性が不可欠だからです。生産性を客観的に評価している中小企業は多くありませんが、生産性は測定可能な指標です。ここで紹介した2つの指標だけでも、しっかりモニタリングを続ければ、自ずと生産性の高い経営環境が整います。
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  • 中小企業の収益性分析と経営診断方法|企業の収益性は重要な診断ポイント
    中小企業の収益性分析と経営診断方法|企業の収益性は重要な診断ポイント企業の収益性分析は、重要な経営診断の一つといえる。企業の収益性が分かれば、成長投資の資金余力が分かり将来の投資戦略が自ずと見えてくるからだ。この記事では、中小企業の収益性分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業の収益性分析・診断の必要性収益性分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、経営資源が脆弱な中小企業ほど、高い収益性なくして、会社の成長はあり得ないからだ。企業の収益性が分かれば、成長投資の資金余力が分かり将来の投資戦略が自ずと見えてくる。また、適正な収益性を把握することで過剰投資等の経営判断の誤りを未然に防ぐこともできる。更に、企業の収益性が適正指標よりも劣っていれば収益性を向上させるための対策を検討することができるし、適正指標よりも優れていれば収益性を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業の収益性分析・診断の具体的方法中小企業の収益性分析と経営診断は、「売上総利益高営業利益率」と「付加価値金額」、この2つの経営指標を使って診断する。売上総利益高営業利益率は、売上総利益に占める営業利益の構成比率、つまり、会社の収益性の高さを示す経営指標で、付加価値金額は、会社の可処分所得金額の大きさ、つまり、会社の収益量の大きさ示す経営指標になる。会社の収益性は、利益率を上げるだけでは心もとなく、やはり、高い利益率に加えて、利益額の拡大なくして、会社の収益性は改善しない。売上総利益高営業利益率と付加価値金額の2つの経営指標を用いた、中小企業の収益性分析と経営診断方法を順を追って解説する。売上総利益高営業利益率の分析・診断方法売上総利益高営業利益率は、売上総利益に占める営業利益の構成比率、つまり、会社の収益性の高さを示す経営指標で、業種業態関係なく、会社の収益性の適正判定ができる経営指標である。売上総利益高営業利益率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上総利益高営業利益率の計算式売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100売上総利益高営業利益率の診断方法営業利益率診断結果11~20%優良水準である。会社の収益性が高く、持続的な会社成長が期待できる。10%標準的な利益水準(収益性)である。0~9%改善の余地がある。少しのきっかけで収益性が低下し、経営が低迷する可能性がある。マイナス危険水準である。収益性の高低以前に、収益性がマイナスの状態である。赤字経営なので、早急に黒字化する必要がある。20%超危険水準である。儲かりすぎである。人件費の水準が低すぎないか?保守修繕に不足がないか?等々、会社の内部に歪みが出ていないか確認する必要がある。会社の内部に歪みがあると、内部から会社経営が崩壊していく可能性がある。特段問題なければ、この水準でも問題ない。付加価値金額の分析・診断方法付加価値金額は、会社の可処分所得金額の大きさ、つまり、会社の収益量の大きさ示す経営指標で、付加価値金額の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。付加価値金額の計算式付加価値金額=総人件費+営業利益額付加価値金額の診断方法付加価値診断結果増加収益性が高く、良好な状況である。会社の利益と社員の報酬が増加に向かっている。減少収益性が低く、危険な状況である。会社の利益と社員の報酬が減少に向かっている。会社経営のなかにムダムラがないか徹底的に分析し、経営改善を行う必要がある。企業の収益性は売上総利益高営業利益率と付加価値金額で分かる中小企業の収益性は、利益率だけでは判断を誤る。なぜなら、利益率が適正水準であっても、利益金額を含めた付加価値が増加傾向にないと、会社の成長スピードが鈍化するからだ。従って、中小企業の収益性を診断する際は、必ず利益率と利益金額をセットに考えなければならない。「売上総利益高営業利益率」と「付加価値金額」の両面で企業の収益性を診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント収益性は会社の稼ぐ力だけでなく、競争力も示します。ですから、収益性を診断し、然るべき目標に向かって現状改善を推進すると自ずと競争力の高い企業体質に変貌します。また、収益性に意識を向けると、会社全体の利益意識が高まり、ムダやムラのない働き方が定着しやすくなります。
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  • 中小企業のリスク分析と経営診断方法|企業のリスクは重要な診断ポイント
    中小企業のリスク分析と経営診断方法|企業のリスクは重要な診断ポイント企業のリスク分析は、重要な経営診断の一つといえる。将来の経営リスクが分かれば、今すべきことが明快になり、衰退を予見して先手を打つ会社経営が実践できるからだ。この記事では、中小企業のリスク分析と経営診断方法について、詳しく解説する。企業のリスク分析・診断の必要性リスク分析は、中小企業の安定経営を実現するうえで欠かせない経営診断になる。なぜなら、会社の規模関係なく、経営リスクを見逃すと、衰退リスクが高まる一方になるからだ。将来の経営リスクが分かれば、今すべきことが明快になるので、衰退を予見して先手を打つ会社経営の実践が可能になる。例えば、企業の経営リスクが適正指標よりも高まっていればリスクを取り除くための対策を検討することができるし、適正指標よりも低下していれば現状を維持するための対策を検討することができる。会社経営は、闇雲に管理するよりも、正しい経営指標と目標を持って管理した方が数倍、経営効率が向上する。そのためにも正しい経営診断を行うことが重要になる。企業のリスク分析・診断の具体的方法中小企業のリスク分析と経営診断には、「売上総利益高経費率」と「1社あたりの売上占有率」、この2つの経営指標使って診断する。売上総利益高経費率は、売上総利益に占める販売管理費の構成比率、つまり、経営破綻のリスク度合いを示す経営指標で、1社あたりの売上占有率は、会社全体の売上に占める1社あたりの売上構成比率、つまり、連鎖倒産等のリスク度合いを示す経営指標になる。会社経営のリスクは、収入減少と支出増加に集約される。つまり、売上減少と経費増加である。簡単な理だが、売上減少、或いは、経費増加を放置すると、何れ会社の利益がゼロになって会社の経営が破綻する。会社の衰退リスクを払しょくするには、衰退リスクに繋がる売上減少と経費増加を絶えずモニタリングすることが欠かせないのだ。売上総利益高経費率と1社あたりの売上占有率の2つの経営指標を用いた、中小企業のリスク分析と経営診断方法を順を追って解説する。売上総利益高経費率の分析・診断方法売上総利益高経費率は、売上総利益に占める販売管理費の構成比率、つまり、経営破綻のリスク度合いを示す経営指標で、業種業態関係なく、経費水準の適正判定が可能な経営指標である。売上総利益高経費率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上総利益高経費率の計算式売上総利益高経費率=(販売管理費÷売上総利益)×100売上総利益高経費率の診断方法経費率診断結果80%以下優良水準である。経営リスクは極めて低く、現状の経営を推し進めて問題ないといえる。81~90%標準的な費水準である。経営リスクは低いといえる。91~100%改善の余地がある。少しの売上減少で経費が賄えなくなるリスクが高いため、早めに90%以下の水準に収まるような経営改善を行った方がよい。100%超危険水準である。経営破綻のリスクが高いといえる。売上総利益よりも経費の方が上回っているので赤字経営である。早急に黒字化してリスクを払しょくしないと会社が倒産する可能性が高い。売上占有率の分析・診断方法1社あたりの売上占有率は、会社全体の売上に占める1社あたりの売上構成比率、つまり、連鎖倒産等のリスク度合いを示す経営指標で、1社あたりの売上占有率の計算式、並びに、診断方法は下記の通りである。売上占有率の計算式売上占有率=(販売先の1社の売上÷会社全体の売上)×100売上占有率の診断方法売上占有率診断結果5%以下全ての販売先が5%以下であれば超優良水準である。販売先のリスク分散が万全なので、連鎖倒産のリスクは極めて低い。6~10%数社入っている程度であれば標準水準である。3社以下なら連鎖倒産のリスクが低いが、4社以上ある場合は、連鎖倒産のリスクがある。なるべく1社あたりの売上占有率を5%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。11~20%1社でも入っているようであれば、改善の余地がある。連鎖倒産のリスクが高い。なるべく1社あたりの売上占有率を10%以下に抑えられるよう、リスク分散を進めた方がよい。20%以上1社でもあるようであれば早急な改善が必要である。連鎖倒産のリスクが極めて高いので、早急に販売先の新規開拓、新商品の投入等の対策を講じる必要がある。万が一、リスクを放置して、当該販売先が倒産してしまったら連鎖倒産が現実のものになるだろう。企業の経営リスクは売上総利益高経費率と売上占有率で分かる中小企業の経営リスクは、経費率だけでは判断を誤る。なぜなら、経費率が適正水準であっても、大口取引先の消滅等によって経営が行き詰る可能性があるからだ。従って、中小企業の経営リスクを診断する際は、必ず経費水準と大口取引先の有無をセットに考えなければならない。「売上総利益高経費率」と「1社あたりの売上占有率」の両面で企業の経営リスクを診断すると、本当の姿が見えてくる。伊藤のワンポイント会社経営におけるリスクヘッジの基本は、経費を収入以下に抑える事と少数の取引先に依存しない販売構造を確立する事です。この2つのリスク診断を定着させ、リスクヘッジを実践することが安定経営の近道になります。どちらか一方のリスクが上がると、会社の衰退リスクが著しく上がりますので注意して下さい。
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  • 中小企業を成長させる管理会計の基本|企業の経営力を高める管理会計とは
    中小企業を成長させる管理会計の基本|企業の経営力を高める管理会計とは管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことである。中小企業の安定経営を実現するうえで、管理会計ほど優れた効果を発揮するツールはなく、管理会計の有り無しで、会社の成長が決まるといっても過言ではない。この記事では、中小企業の成長を後押しする管理会計の基本について、詳しく解説する。管理会計の基本概要管理会計とは会社の数字を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことで、計数管理や統計学も管理会計の範疇に入る。管理会計は自社の数字の活用(分析)が基本になるので、運用するほどに経営采配の根拠、或いは、問題解決の糸口が充実し、会社の経営力が一段と高まる。管理会計は決して難しいものではなく、例えば、当期と前期の売上を用いて計算する売上成長率のモニタリングも立派な管理会計になる。売上という数字を管理会計にインプットすると、売上成長率という情報がアウトプットされ、その情報が経営采配の根拠や問題解決の糸口になる。つまり、管理会計とは、会社の数字を良質な情報に変換させるフィルターのようなもの、ともいえる。管理会計に活用する基本の数字管理会計を有効に運用するには、会社の数字の活用が不可欠だが、管理会計にインプットする基本の数字は、決算書(月次試算表含む)の情報になる。決算書(月次決算書)は、会社経営の実態を最も忠実に表しているので、決算書の数字は管理会計のインプットに最適な情報といえる。例えば、決算書の実績金額を眺めただけでは、資産と負債のバランスが適正なのか、売上の成長率は適正なのか、利益の水準は適正なのか等々、会社経営の正否を判別することはできないが、管理会計に決算書の数字をインプットすると、有益な情報がアウトプットされる。つまり、管理会計は、数字の羅列を有益な経営情報に変換し、経営をサポートする役割を果たしてくれるのだ。また、管理会計は、幾通りにも及ぶ膨大な会社の数字(経営データ)を、有益な情報に整理・分類することも可能にする。経営者の正しい判断と決断を支えるのは良質な情報なので、管理会計ほど安定経営をサポートするツールはない。管理会計は会社の経営力を押し上げる管理会計を会社に導入すると、経営判断の環境が飛躍的に向上する。なぜなら、正しい根拠材料(判断材料)が沢山増えて、経営判断の失敗リスクが低下するからだ。管理会計が導き出だす答えは実績の裏付けなので、この情報を頼りに経営采配している限りは、たとえ経営者の経験値が多少劣っていたとしても、経営判断を大きく誤ることはない。管理会計は四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロであっても、誰にでも習得することができるが、中小企業の管理会計導入率は極めて低い水準にある。下表は、中小企業の管理会計未導入率と赤字経営の比率を表したグラフである。ご覧の通り、中小企業の管理会計未導入率は8割と云われている。中小企業の7割が赤字経営と云われているので、管理会計未導入と赤字経営は相関がとれており、管理会計なしの会社経営は、衰退リスクが極めて高いと言わざる得ない。管理会計の優れた5つの基本メリット管理会計最大のメリットは、小さな変化をいち早く察知できる点だ。業績悪化の小さな芽をいち早く察知できれば、会社が大きく傾くことはなく、赤字経営に転落するリスクも著しく低くなる。管理会計の基本メリットはこの他にも様々あるが、主だったものを挙げると下記の通りである。経営がみえる経営が可視化される。例えば、業績と適正値(目標値)とのかい離が一目瞭然で把握できる。また、会社の健康状態が把握できるので、経営判断の精度が一層高まる。将来がみえる1年後の業績予測が可能になる。良い面も、悪い面も事前に対策を講じることが可能になり、より効率的かつ効果的な会社経営が実現できる。また、将来がみえることで漠然とした不安が払しょくされる。課題がみえる具体的な経営課題が浮き彫りになる。重要度別に優先順位をつけて経営課題に取り組むことで、よりスピーディーに、会社を成長させることができる。効果がみえる経営改善効果の数値変化が把握できる。自ずと経営改善効果の検証と実行サイクルのスピードが加速する。さらに、手ごたえをしっかり感じながら経営改善に取り組むことができる。経営者が数字に強くなる経営者の業績理解が深まり、経営者の数字力が高まる。また、経営者の決断力が高まり、会社経営の成功確率が格段に高まる。伊藤のワンポイント管理会計は経営マネジメントの肝であり、経営者の必須スキルです。従って、管理会計の運用は成功企業の絶対条件になります。管理会計を運用すると決断と検証精度が高まりますので、自ずと、衰退リスクが低くなります。専門家の力を借りてでも、いち早く、自社にフィットする管理会計を構築することをお薦めします。
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  • 近江商人から学ぶ会計と戦略眼|経営者に必要なスキルとマインド
    近江商人から学ぶ会計と戦略眼|経営者に必要なスキルとマインド近江商人は、経営のお手本として代表的な存在といえる。江戸中期に近江商人(おうみしょうにん・おうみあきんど)が提唱した、三方よし「買い手よし、売り手よし、世間よし」の商売理念は、あまりに有名だ。この記事では、近江商人から学ぶ会計と戦略眼、並びに、経営者に必要なスキルとマインドについて、詳しく解説する。近江商人から学ぶ会計と戦略眼近江商人の三方よしの商売理念を支える要素は「会計スキル」と「戦略眼(マインド)」ではないかと思う。会計スキルとは簡単にいって事業活動の帳簿付けのことで、儲かっているか、儲かっていないかは帳簿を見ればわかると云われるように、近江商人は会計の重要性を認識していたはずだ。戦略眼とは、経営マインド、或いは、判断基準のようなもので、純真無垢な判断基準を持つには、無欲でなければならない。私欲が入ると、どうしても曇った判断基準になり、経営を誤る。三方よしに合致する判断基準を持つには、やはり無欲でなければならないという意識が近江商人の胸の内にあったはずだ。成功している経営者の多くは、会計の重要性を理解し、無欲の戦略眼(マインド)を持っている。そして、日本の歴史を振り返っても、会計の重要性が見えてくる。例えば、天下統一を果たした豊臣秀吉は、会計の重要性を間違いなく理解していた。その証拠に、豊臣政権を支える五奉行の内4人は会計実務に長けた人物だった。しかも、近江に関わりのある人物で、その筆頭が石田三成だった。近江商人の確かな会計スキルと無欲の戦略眼石田三成の会計と戦略眼を考えるうえで有名な話がある。それは、島津氏の敗戦処理の話である。豊臣政権に敗れた島津氏は薩摩に閉じ込められた。侍の数は変わらず、領地だけが狭くなったので、薩摩藩は経営に難渋した。敗戦処理を命じられた三成が真っ先に薩摩藩に教え込んだのは会計だった。文献によると、島津藩の再建計画だけでなく、帳簿の記帳から現金出納帳の類に至るまで細かく教えたようだ。恐らく、無欲だったのだろう。近江商人の会計と戦略眼の原型は石田三成にあるのではないかとも思える。会計によって藩の経営が可視化され、財政が把握できるようになると、薩摩藩の経営はみるみる回復した。会社を成長発展させるうえで、確かな会計スキルと無欲の戦略眼(マインド)は欠かせない要素だ。衰退する会社には、杜撰な会計、或いは、私欲にまみれた戦略眼(マインド)が蔓延っている。☑経営者の会計スキルは万全か?☑経営者の戦略眼(マインド)は無欲か?経営者自身のスキルとマインドについて、時には立ち止まって考えることも大切なことだ。無欲の戦略眼から生み出されるピュアな発想わたしが中小企業の経営指導を引き受けるうえで一番心掛けていることは無欲に徹するということだ。例えば、「こうすればコンサル報酬を増やすことができる」「こうすればコンサル契約を長引かせることができる」といった私欲が絡んだ発想は排除するようにしている。私欲を排除した上で、「この会社を更に発展させるために今すべきこと一体何なのか?」という一点を突き詰めると、ピュアで透明な経営指導プランが浮かび上がってくる。無欲の戦略眼(マインド)ほど、力強いプランやアイデアを生み出す秘訣はない。江戸時代に米沢藩を立て直した名君”上杉鷹山公”が残したといわれる言葉に「働き一両、考え五両、知恵借り十両、コツ借り五十両、ひらめき百両、人知り三百両、歴史に学ぶ五百両、見切り千両、無欲万両」という名言がある。ここでも「無欲」が一等上に位置付けられている。「こうすればお客様からもっとお金をもらうことができる」「こうすればお客様からお金をもらい続けることができる」といった私欲ありきの発想をするのではなく、「こうすればお客様がもっと喜んでくれる」「こうすればお客様の人生がもっと豊かになる」といった無欲ありきの発想でビジネスを組み立てないと、その商売は決して長続きしない。成功する経営者やビジネスパーソンほど、自分の成功よりも、相手の成功を優先する。近江商人が大切にした会計スキルと無欲の戦略眼(マインド)は、経営者に欠かせない重要なスキルといえるのだ。伊藤のワンポイント近江商人の「三方よし」を支える会計スキルと無欲の戦略眼は経営者の必須スキルであり、安定経営の条件です。このスキルを活かすだけで、会社経営の質がガラリと変わり、新しい仕事に恵まれる土壌が整います。確かなスキルを持って、常に相手の成功を優先することが、自分の成功を引き寄せるのです。
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  • 数字に弱い社長が、数字に強くなる方法|経営者の数字力を高める管理会計とは
    数字に弱い社長が、数字に強くなる方法|経営者の数字力を高める管理会計とは社長の数字力は、業績を大きく左右する。事実、業績を伸ばしている経営者は数字に強く、業績悪化に苦しんでいる経営者は総じて数字に弱い。この記事では、数字に弱い社長が数字に強くなる方法について、詳しく解説する。数字に強くなる方法は無限にあるが...数字に弱い社長が数字に強くなる方法は無限にある。一般的には簿記や会計を習う、ビジネススクールに通う、経営塾に入塾する等の方法があるが、時間が限られている経営者にはハードルが高い。しかも、財務諸表をスラスラと読み解くには、最低限、日商簿記2級程度の知識が必要だが、知識ゼロから日商簿記2級の知識を習得(合格)するには、最低半年間はかかる。知識ゼロでも財務諸表が読み解ける的な参考書もあるが、効果は甚だ怪しい。恐らく、売上、売上総利益、販売管理費、営業利益、或いは、流動資産、固定資産、純資産等の財務諸表の項目と意味ぐらいは理解できると思うが、財務諸表をスラスラ読み解くレベルに達することはないだろう。更に言ってしまえば、たとえ財務諸表がある程度読み解けるようになったとしても、会社の経営状態が適正か否かを判断するには、さらに高度な上級テクニックが必要になる。日商簿記2級どころの話ではない...。それでは一体、時間の限られている経営者が数字に強くなるためには、どのような方法が良いのだろうか?社長が数字に強くなる優れた方法とは?数字に弱い社長が、比較的短期間で数字に強くなる方法としてお薦めなのは「管理会計の導入」である。管理会計とは財務諸表の数値を、有益な情報に変換、管理、運用し、企業の経営力を高める会計手法のことで、「売上原価率(売上原価÷売上)」のモニタリングも立派な管理会計である。管理会計は四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、簿記や会計の知識ゼロであっても誰でも習得することができるし、会社の活きた数字を使うので、日常的に運用することで会社の数字の理解が一段と進む。運用開始から三ヵ月もすれば、数字に強い社長に変貌することも可能だ。管理会計は会社の数字を良質な情報に変換させるフィルターのようなものだ。例えば、財務諸表に記載されている数字は事実なので、資産や負債、売上や利益の実績金額は分かるが、資産と負債のバランス具合、売上成長率や利益水準の適正具合、等々の会社経営の適正度合いを実績金額だけで判断するのは困難だ。こうした数字を経営に活かす情報に変換するのが管理会計であり、管理会計というフィルターを通した良質な情報が蓄積されるほど社長の数字力が向上する。数字に強い社長が導入している管理会計の効果管理会計の導入効果は極めて高い。下表は、中小企業の管理会計導入率と赤字経営率を表したグラフになる。ご覧の通り、中小企業の管理会計未導入率は80%と云われていて、赤字経営率70%と概ね相関が取れている。このことからも、社長の数字力が会社の業績に大きな影響を与えることがお分かり頂けると思う。管理会計未導入の会社の経営者は、数字を軽視した行き当たりバッタリの経営に陥っているものと思われるが、経験や勘だけに頼り切った会社経営はじつに危うい。やはり、数字等の客観的情報を活用した会社経営を実践しないと、失敗リスクは拭えない。繰り返すが、簿記や会計の知識ゼロであっても、管理会計を導入することで社長の数字力が高まる。数字に強くなりたい中小企業経営者は、是非とも、管理会計にトライしてほしい。伊藤のワンポイント数字は事業活動の真実を照らし、客観性にも優れています。昨今は経験や勘だけでは乗り切れない決断が増えていますので、数字等の根拠情報が決断の精度を大きく左右します。数字一辺倒の経営は危ういですが、数字を無視した経営はもっと危ういです。数字に弱い社長ほど管理会計の導入を進め、数字に強くなって下さい。
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  • 管理会計は中小企業の経営力を上げる|管理会計の基本機能と効果
    管理会計は中小企業の経営力を上げる|管理会計の基本機能と効果管理会計とは、会社の数字を有益な情報に変換し、中小企業の経営力を上げる会計手法のことで、学問的には統計学の範囲に入る。中小企業の経営力、強いては業績を上げるうえで、管理会計ほど優れた効果を発揮するマネジメントツールはない。この記事では、会社の経営力向上に役立つ管理会計の基本機能と効果について、詳しく解説する。管理会計の基本は数字の活用にある管理会計を通して得られる有益な情報量が増えるほど会社の経営力が上がり、業績改善が加速する。管理会計の有り無しで中小企業の成長と衰退が決まるといっても過言ではないが、管理会計の基本は、会社の数字の活用にある。会社の数字とは端的に事業活動の結果のことで、例えば、人を雇えば人件費が発生し、モノを売れば売上が発生する。すべての事業活動は、会社の数字に集約されるが、会社の数字を漠然と眺めるだけでは会社の経営力は向上しない。会社の数字を経営に活かすには、数字の傾向や性質を分析しなければならず、そのための分析ツールが管理会計になる。管理会計を効果的に運用するには基本を抑えることが不可欠だが、管理会計の基本機能と効果は5つの作業ステップを理解すると分かる。管理会計の基本の作業ステップについて、順を追って詳しく解説する。管理会計の基本ステップ1「収集・把握」管理会計の基本ステップ1は「収集・把握」である。収集・把握とは、会社の数字を認識する工程のことだ。元になる会社の数字は、財務諸表、売上台帳、顧客台帳など等、経営に関わる全ての数字が対象になる。これらの会社の数字は、有益な情報源(インプット)になるので、常に高い整合性をキープする必要がある。元の数字の整合性がいい加減では管理会計の効果(アウトプット)もいい加減になる。会社の数字は至るところに転がっている。財務諸表だけが会社の数字ではなく、売上帳、仕入帳、商品台帳、顧客台帳、勤怠表など等、あらゆる領域に数字が転がっている。これらの数字を如何に見つけるかが、管理会計の効果を最大化する秘訣であり、この収集と把握が、管理会計の効果を決定づける出発点になる。管理会計の基本ステップ2「整理・分析」管理会計の基本ステップ2は「整理・分析」である。整理・分析とは、収集・把握した経営データを整理分析する工程のことだ。データの整理は年単位、月単位、週単位、など等、一定期間に区切ると分析データとして採用しやすくなる。データの分析は様々な経営指標を用いた分析のほか、平均や傾向の分析、推移や定点観測など等、様々な角度から数字を分解することでデータが整理される。また、分析した数字をあらゆる角度から対比することも重要な作業になり、例えば、前年対比、前年同月対比、前年同週対比、など等、対比の手法は様々ある。データの分析・整理、並びに対比の精度が、管理会計の有益性を決めるといっても過言ではない。管理会計の基本ステップ3「取捨・選択」管理会計の基本ステップ3は「取捨・選択」である。取捨・選択とは、整理・分析された経営データを取捨選択する工程のことだ。会社の数字を収集し分析した結果の中には、経営判断の根拠材料として重要性が高いものがある一方で、重要性の低いものもある。重要性の低い経営データの収集や分析は時間のムダであり、時間のムダは、即、コストロスに繋がるので、重要性の高低に応じて、会社の数字を取捨選択しなければならない。経営データの分析結果を取捨選択する作業を継続すると、数字の勘が磨かれる。そして、勘が磨かれると会社の数字を見渡しただけで、使える数字に反応できるようになる。つまり、会社の数字に対するピントが合ってくる。また、取捨選択を通じて使える数字と判定された情報は、経営判断を支える良質な情報になる。良質な情報の精度が高まるほど、経営判断を誤るリスクが低下するが、これこそが、管理会計の最大の効果といっても過言ではない。管理会計の基本ステップ4「予測・推定」管理会計の基本ステップ4は「予測・推定」である。予測・推定とは、取捨・選択された経営データを予測や推定に活かす工程のことだ。先の3つのステップを経て分析された数字は、将来予測、或いは行動成果の推定に活用できる。せっかく分析した数字を過去の行動根拠や検証だけに限定活用するのはもったい。将来予測や、行動成果の推定に活用してこそ、管理会計の効果が最大限に活かされる。管理会計は、過去と未来を見通す情報を提供してくれる。そして、長期的に管理会計を運用すると予測と推定の精度が高まり、会社の経営力も自ずと高まる。管理会計の基本ステップ5「表現・伝達」管理会計の基本ステップ5は「表現・伝達」である。表現・伝達とは、先の4つのステップを経た経営データを表現・伝達する工程になる。管理会計ではじき出された数字は、会社経営において重要な意思決定の根拠として活用できる。せっかくの有効な数字を、経営者ひとりの胸の内に収めていてはもったいない。管理会計の数字を会社全体で活用するには、数字を社員と共有することが不可欠になる。社員と数字を共有すると、経営者と社員の間に「数字」という共通言語が生まれる。行動も、目標も、修正も、数字という共通言語があれば、意思決定がスピーディーになり、業績改善を効果的に推進できる。以上の5つの基本ステップの精度を高めながら管理会計を運用すると、会社の経営力が高まり、業績改善のスピードが一段と加速する。伊藤のワンポイント管理会計は企業成長の必須ツールです。管理会計の運用効果を高めるにはこの記事で紹介した5つの基本ステップの精度を高めることです。どこか一つでも精度が劣ると、管理会計全体の効果・精度が低下します。企業の盛衰は管理会計で決まるといっても過言ではありませんので、しっかり運用してください。
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  • 統計学は経営に活かせる分析手法|経営と統計学の密接な関係性
    統計学は経営に活かせる分析手法|経営と統計学の密接な関係性統計学とは、データ分析と推測の方法論を体系化したものである。統計学は、中小企業の経営に活かせる経営分析手法でもあり、事実、多くの経営者は、知らず知らずのうちに統計学に接している。会社経営と統計学は、じつに密接な関係にある。例えば、業績予測や予算管理、市場動向予測等は統計学の範囲であり、財務諸表等の経営データを有益な情報に変換する管理会計の手法も統計学の範囲になる。この記事では、経営に活かせる統計学の基本、並びに、統計学と経営の密接な関係性に至るまで、詳しく解説する。統計学と経営の密接な関係性統計学とは、バラツキのあるデータの性質を調べたり、或いは、大きなデータから一部を抜き取って、その抜き取ったデータの性質を調べることで、元の大きなデータの性質を推測したりするための方法論を体系化したものである。データとは「何らかの目的のために取得されたまとまった数値の集合体」だが、それらの集合体を漠然と見ても、そこからは何も得ることはできない。データの数を数えたり、平均を出したり、傾向を見たり、分類をしたりと、何らかの手を加えることによって、初めてデータの性質や意味を知ることができ、データとして活用することができる。例えば、会社の決算書を眺めているだけでは、会社の業績が良くなることはない。会社の数字を有益な情報に変換することで初めて会社の課題や問題点を把握することができ、経営データが会社経営に活かされる。そして、データには必ずバラツキ(不確実性)が伴う。例えば、売上、売上に伴う経費、売上から経費を差し引いた利益が毎月一定であれば、データの平均や傾向を分析することに全く意味がないが、現実には、売上も経費も利益も、毎月バラツキが生じる。さらに、会社を部門別、商品別と細分化していけば、バラツキのあるデータ量が膨大になる。統計学は、それらのバラツキあるビックデータを、有効な情報に変換することを可能にする優れたツールである。なお、統計学が歴史的に注目されたのは、イギリスのジョン・グラントやハレー彗星で有名なエドモンド・ハレーによる、人口の推測や死亡の規則性の発見だといわれている。その後、急速に発展した統計学は、会社経営の分野においても、大量のデータ(ビッグデータ)の収集、分析、推測、意思決定の経営プロセスに幅広く活かされている。経営に活かせる2つの統計体系統計学には、大きく分けて2種類の統計体系がある。ひとつは、あるデータを集めて、表やグラフを作り、平均や傾向を見ることでデータの特徴を把握する「記述統計」で、もうひとつは、母集団からサンプルを抜き取って、そのサンプルの特性から母集団の特性を推測し、それが正しいかどうかを検定する「推測統計」である。会社経営の分野においても、記述統計と推測統計は広く活用できる。例えば、記述統計は、売上、経費、利益等の業績推移の把握に活用でき、推測統計は、業績予測や予算管理、ABC分析(パレート分析)や事業計画作成等に活用できる。なお、中小企業の経営に実効性のある統計学の殆どは、管理会計の範疇に入る。管理会計は四則演算(加減乗除・+-×÷)の世界なので、難しい数式や法則を覚える必要はない。例えば、売上に占める販売管理費の構成比率である売上高経費率(経費÷売上)をモニタリングすることも立派な管理会計であり、統計学の範囲である。つまり、管理会計のコツとポイントを抑えることができれば、中小企業の経営に有効な統計学を容易に習得することができるのだ。中小企業の統計学の活用度は低い!?中小企業の管理会計導入率は20%以下といわれている。80%以上の中小企業が管理会計を導入していない、つまり、統計学を会社経営に活用していないということだ。じつに、もったいない現状だが、そもそも、統計学が会社経営の分野において重要視されるようになった背景には、勘や経験に頼った会社経営に限界が生じることが多くなったからである。市場動向や経済環境の多様化は一層進み、何らかの根拠がなければ解決しない経営課題、或いは、経営判断は増加するばかりだ。このような状況下で、会社の数字と統計学を活用せずに、勘と経験に頼った会社経営をしていては、失敗するのは時間の問題になる。事実、過去に接した倒産の危機に瀕した中小企業のすべてにおいて、会社の数字と統計学が有効に活用されていなかった。経営者の勘と経験に一定の根拠を与える会社の数字と統計学の活用なくして、安定経営を実現するのは困難である。そして、統計学の活用なくして、経営者自身が数字に強くなることも不可能である。数字に強い社長は例外なく統計学を活用して会社の業績を伸ばしている。統計学は、経営者が身につけるべき必須スキルといっても過言ではないのだ。伊藤のワンポイント統計学は会社経営のあらゆる面で活用ができます。統計学を活用すれば、計画や検証の精度を高めることも、経営者の決断力を高めることもできます。統計学は管理会計の範疇に入りますが、管理会計の導入・活用は簡単です。確実に業績が向上しますので、どんどん管理会計(統計学)を活用してください。
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  • 経営数値の整え方|経営指標の目安から活用例まで徹底解説
    経営数値の整え方|経営指標の目安から活用例まで徹底解説経営数値の整え方は簡単だ。主要な経営指標の実績値と適正値のギャップを埋めるだけで、経営数値は正常化される。この記事では、経営数値の重要性、並びに、歪な経営数値を適正ラインに整える方法に至るまで、詳しく解説する。経営数値とは?経営数値とは、様々な経営指標を通じて経営状態を可視化した数値結果のことである。事業活動の結果は必ず数字に表れるので、この経営数値のバランスが崩れると、その瞬間に会社経営が不安定になり、たとえ、黒字経営であっても少しのきっかけで衰退することもあり得る。経営数値は、財務諸表の項目数値(現預金や売上の実績金額)のみならず、流動比率、売上総利益率、営業利益率等々、様々な経営指標を活用することで、より具体的に数値化することができる。そして、そうした経営指標に対して適正目安をセットすることで経営課題が明らかになり、その課題を解消することで経営数値が正常化される。経営指標の目安と活用例経営数値を整えるためには、経営指標の活用が欠かせない。例えば、現預金水準、当座比率、売上総利益率、粗利高営業利益率等は、経営数値の正常化を図るうえで、重要な指標になる。これらの経営指標を上手に活用することが、実績値と適正値のギャップを速やかに埋める秘訣になる。売上や粗利といった馴染みのある指標だけでなく、現預金や当座比率などの資産状態を表す経営指標、粗利高営業利益率などの損益状態を表す経営指標をより細かく把握する姿勢が大切だ。なお、経営数値を整える上で活用できる経営指標の計算式と適正水準(目安)は当サイト内の「中小企業の経営指標と経営分析手法」で詳しく解説しているので参照頂きたい。経営数値の整え方経営数値の整え方は、実績把握→目標設定→ギャップ解消→経過検証の4ステップをしっかり回すことが肝要になる。以下のグラフは私が経営サポートに入った企業の、サポート開始一年前のグラフになる。殆どの経営数値が目標に達していないことが分かると思う。以下のグラフは経営サポート開始一年後のグラフになる。実績と目標の間にあるギャップ(経営課題)を、経過検証しながら丁寧に解消した結果、殆どの経営数値が目標を上回っていることが分かると思う。繰り返すが、経営数値のバランスが崩れると、その瞬間に会社経営が不安定になり、たとえ、黒字経営であっても少しのきっかけで衰退することもあり得る。つまり、歪な経営数値を放置しないことが安定経営の絶対条件になる。
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  • 社長の数字力を上げる方法|ビジネスの成功は経営者の数字力で決まる
    社長の数字力を上げる方法|ビジネスの成功は経営者の数字力で決まる社長の数字力は中小企業の経営を成功に導くうえで欠かせない。なぜなら、中小企業は、経営者の数字力の優劣で、ビジネスの成功確率が決まるからだ。この記事では、社長の数字力を上げる方法について、詳しく解説する。数字力とは何か?数字力とは、算数や数学の出来不出来ではない。社長の数字力とは、会社の経営実態を表す財務諸表をはじめ、会社の数字と云われるあらゆる情報を読み解き、会社経営に数字を活用する力のことだ。会社の数字は多岐にわたり、財務諸表だけでも、貸借対照表、損益計算書、確定決算書、月次決算書といった数字の情報がある。財務諸表のほかにも、資金繰りデータ、販売データ、顧客データ、投資データ、商品データ、取引先データ、市場データ、競合データなど等、会社の数字に関連するデータは挙げたらキリがない。数字一辺倒の会社経営は絶対にうまくいかないが、かといって、数字を無視した経営も絶対にうまくいかない。社長の数字力は、会社の経営力を一段と高める効果があり、社長の数字力なくして、中小企業の会社経営を成功に導くことは困難といっても過言ではない。事実、業績を伸ばしている中小企業の社長は数字に強く、倒産の危機に瀕するような中小企業の社長は例外なく数字に弱い。会社の数字とは?会社の数字とは一体何なのか?会社の数字を端的に表現すると「事業活動の結果」である。例えば、モノを売れば「売上」が発生し、モノを売るための支出がかかれば「経費」が発生する。そして、売上から経費をマイナスすると「利益」が出るというのが、会社の数字の簡単な仕組みになる。何かしらの事業活動を行うと必ず数字が発生するので、会社の数字は事業活動の結果を絶えず表す。当然ながら、事業活動の結果である会社の数字の活用度合いが高いほど(社長の数字力が高いほど)、社長の判断ミスは少なくなる。逆に、会社の数字の活用度合いが低下すると、社長の判断ミスが多くなる。会社の数字を無視した会社経営の末路は想像するまでもないが、会社の数字を無視した会社経営は経営者の不安やミスの原因を作り、衰退リスクも高める。社長の数字力がビジネスの成功を決定づけると云われる所以はココにあるのだ。重要な会社の数字とは?会社の数字を大きく分けると3つに集約することができ、それは、「売上・経費・利益」である。売上の最大化と経費の最小化を推進し、利益の最大化を実現することがビジネスの基本になるので、この3つの数字ほど重要なものはない。中でも「利益」は成長投資の原資になるので、中小企業の成長を決定づける数字になる。また、利益が多いほど潤沢なキャッシュが形成されるので、安定経営が一段と盤石になる。つまり、社長が最も重要視すべき会社の数字は「利益」である。利益の増減は、売上と経費の増減に連動しており、例えば、売上減少と経費増加は即、利益の減少に連動する。利益の減少は会社衰退の危険信号で、利益が減少すると、会社の成長が鈍化、或いは、衰退するので、いかなる状況下であっても、売上と経費は最低でもキープ(現状維持)することが大切になる。また、常に利益を注視することも大切で、利益の小さな変化を察知できれば、先手先手で業績悪化の要因を解消することができる。利益という重要な数字を見落とさない意識が、社長の数字力を高めると共に、会社衰退を防ぐ有効な方法になるのだ。数字の変化の捉え方数字の変化を捉えるには、日頃から数字をモニタリングする必要がある。とはいっても、モニタリングの手法は様々あり、単純に、売上、経費、利益の3つの単月結果だけをモニタリングしていても、小さな変化を見つけるのは難しい。小さな変化を事前に捉えるには、それなりの工夫と努力が必要だが、実践で使える、おススメの方法を二つ紹介する。ひとつは、年計の推移をモニタリングすることだ。年計推移を毎月モニタリングすると、決算を待たずに年単位の業績の変化を把握することができる。また、年計推移のモニタリング期間が1年を超えると、比較的簡単に1年後の業績予測ができるようになる。もう一つは、数字の構成を細分化することだ。売上ひとつとっても細分化の対象は数多くあり、例えば、売上を構成する商品や取引先などである。一つひとつの商品や取引先の販売状況を細かくモニタリングすると小さな変化に気が付きやすい環境が整う。小さな数字の変化を捉えることができれば、結果を営業戦略にフィードバックして、数字の落ち込みをカバーする展開も容易になる。数字のモニタリングは、社長の数字力を上げる有効な方法であると共に、会社の成長を支える重要な経営管理でもあるのだ。
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  • 中小企業の経営指標一覧表|儲かる会社経営は経営指標の活用にある
    中小企業の経営指標一覧表|儲かる会社経営は経営指標の活用にある経営指標とは、経営の目標になり得るひとつの基準のことだ。中小企業の会社経営において、あるべき将来の目標を明確に照らす経営指標は大変有効に機能する。この記事では、経営指標の基本概要と機能、並びに、中小企業の会社経営に活用できる経営指標一覧表について、詳しく解説する。経営指標の活用が盛衰を分かつ経営指標の活用が、企業の盛衰を分かつ。例えば、経営指標は会社経営の目標基準になり得るが、目標がある会社と、目標がない会社を比べた場合、将来が明るいのは目標のある会社になる。残念ながら、経営指標を有効活用している中小企業の数は意外と多くない。下のグラフは経営指標を運用する管理会計の導入率と赤字率を示したものである。ご覧の通り、中小企業の80%は経営指標の活用に無頓着で、しかも、中小企業の管理会計導入率と赤字率は相関がとれている。つまり、黒字経営と赤字経営を分かつ根本原因は、経営指標の活用次第ともいえるのだ。なぜ経営指標が必要なのか?なぜ、中小企業に経営指標が必要なのか?その答えは、経営指標を有効活用すると、経営判断の根拠が充実し、会社経営の失敗リスクが低下するからだ。根拠のない経営判断ほど怖いものはなく、例えれば、目隠しをして、自動車を運転しているようなものだ。根拠のない経営判断を繰り返していると、会社は間違いなく衰退するので、判断根拠のベースを形成する経営指標ほど重要なものはない。例えば、経営指標の分析に用いる主なデータは財務諸表に記載されている会社の数字になるが、経営指標を用いて会社の数字を分析・整理するほど経営判断の根拠が充実し、様々な局面において自信を持って経営判断を下せるようになる。また、経営指標は、経営の良し悪しを判定する確固たる基準にもなり得るので、会社の成長スピードも格段に早まる。中小企業の経営指標一覧表最後に中小企業が有効活用すべき経営指標を、以下の一覧表で分かりやすく紹介する。それぞれの経営指標の意味と機能を理解し、会社経営に有効活用してほしい。経営指標一覧表(貸借対照表編)以下は貸借対照表を用いて分析する経営指標の一覧である。実際の会社の数字を分析してみて経営の正否を分析してみてほしい。現金・預金貸借対照表の資産項目である。会社はお金で始まりお金で終わる。つまり、お金が無くなると死(倒産)が訪れるという事だ。「現金・預金」残高は常に増加傾向が望ましい。最低でも横ばいをキープしたい。純資産貸借対照表の純資産項目である。純資産とは、会社の総資産から総負債を差し引いた純粋な資産価値のことである。中小企業の場合は会社の売買価値と考えても差し支えない。「純資産」残高は常に増加傾向が望ましい。最低でも横ばいをキープしたい。当座比率当座比率は会社の支払能力を示す経営指標である。当座比率は、1年以内に現金化される流動資産の中でも換金性の高い現金、売掛金、受取手形等の当座資産と1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて算出する。優良水準は120%である。当座比率=(当座資産÷流動負債)×100流動比率流動比率は会社の支払能力を示す経営指標である。流動比率は、1年以内に現金化される流動資産と1年以内に支払期限が到来する流動負債を用いて算出する。優良水準は150%以上である。流動比率=(流動資産÷流動負債)×100固定比率固定比率は購入した固定資産が自己資金でどの程度まかなわれているかを示す経営指標である。固定比率が小さければ自己資本の占める割合が大きく、固定比率が大きければ自己資本の占める割合が小さいということになる。優良水準は100%以下である。固定比率=(固定資産÷自己資本)×100負債比率負債比率は返済義務のない自己資本と返済義務のある負債である他人資本のバランスを示す経営指標である。負債比率が小さければ返済余力が高く、負債比率が大きければ返済余力が低いということになる。優良水準は100%以下である。負債比率=(負債÷自己資本)×100自己資本比率自己資本比率は会社の総資本(負債の部+資本の部の合計)に占める自己資本の構成比率のことで、会社の資本力や安定経営の度合を示す経営指標である。優良水準は50%以上である。自己資本比率=〔自己資本(純資産)÷総資本(負債の部+資本の部の合計)〕×100経営指標一覧表(損益計算書編)以下は損益計算書を用いて分析する経営指標の一覧である。実際の会社の数字を分析してみて経営の正否を分析してみてほしい。売上損益計算書の収益項目で、商品やサービスの対価として受け取る会社の収入である。「売上」は増加傾向~横ばい維持が望ましい。売上原価損益計算書の支出項目で、売上に対応する仕入等の支出である。少ない売上原価で大きな売上を作ることが儲かる経営の原則だ。売上総利益損益計算書の収益項目で、売上から売上原価を差し引いた会社の収入である。売上総利益のことを「粗利(あらり)」ともいう。売上総利益が多いほど販売管理費(経費)を賄う余力が大きくなる。販売管理費損益計算書の支出項目で、売上に対応する経費の支出である。売上原価同様、少ない経費で大きな売上を作ることが儲かる経営の原則だ。営業利益損益計算書の収益項目で、売上総利益から販売管理費を差し引いた会社の収入である。営業利益は本業の儲けを示す重要な経営指標だ。営業利益がプラスであれば黒字経営で、マイナスは赤字経営になる。常にプラスが絶対条件である。また、営業利益は中小企業が最も重要視すべき利益指標でもある。売上総利益率売上総利益率は、売上に占める売上総利益の構成比のことで、会社の収益性を示す経営指標である。粗利率(あらりりつ)ともいう。売上に占める売上総利益の構成比が高ければ高いほど、商品、またはサービスの付加価値が高いといえる。売上総利益率=(売上総利益÷売上)×100売上原価率売上原価率は、売上に占める売上原価の構成比のことで、会社の収益性を示す経営指標である。売上に占める売上原価の構成比が小さければ小さいほど、商品、またはサービスの付加価値が高いといえる。売上原価率=(売上原価÷売上)×100売上成長率売上成長率は、会社の売上がどの程度成長したかを示す経営指標である。売上成長率をみれば会社の将来性が見えてくる。また、会社の売上成長率の適正具合が判定できれば現時点の立ち位置が分かり、今後の対策を立てやすくなる。優良水準は6~20%の範囲内である。売上成長率(単年成長率)=〔(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高〕×100売上総利益高営業利益率売上総利益高営業利益率は、売上総利益に占める営業利益の構成比率のことで、どんな業種業態にも共通して使える適正な利益目標を示す経営指標である。売上総利益に占める営業利益が大きければ大きいほど収益性が高いといえる。優良水準は11~20%の範囲内である。売上総利益高営業利益率=(営業利益÷売上総利益)×100労働分配率労働分配率は、会社の分配可能な収益である売上総利益が、どの程度労働の対価(人件費)に支払われているかを示す経営指標である。労働分配率の高い会社は沢山の労働力を要する人的投下が大きい労働集約型の企業で、労働分配率の低い会社は少ない労働力で済む人的投下の小さい資本集約型の企業といえる。労働分配率=(人件費÷売上総利益)×100付加価値付加価値は会社の収益性を計る経営指標である。付加価値は、ある「モノ」が有している価値と、それを生み出す元となった「モノ」の価値との差のことである。一般的には、付加価値の金額が大きいほど、社員の給与水準と会社の利益水準が高い傾向にある。付加価値=総人件費+営業利益1人1時間当たりの付加価値1人1時間当たりの付加価値とは1人の社員が1時間働いて生み出す会社の付加価値のことである。社員1人1時間当たりの付加価値は、会社の収益性と労働生産性を示す経営指標で、中小企業が最も勝つようしたい経営指標である。1人1時間当たりの付加価値=付加価値÷総労働時間損益分岐点売上高損益分岐点売上高とは、損失が出るか利益が出るかの境目、つまり会社の採算ラインを示す経営指標である。損益分岐点売上高が経営者の頭の中に入っていれば、よほどのことがない限り、経営を誤ることはない。損益分岐点売上高=固定費÷(1-売上高変動比率)借入限度額借入限度額は返済能力の安全性を計る経営指標で、会社が銀行借入を検討する際に活用する経営指標である。借入限度額=過去3年分の経常利益の平均×50%×”5~10”在庫回転率在庫回転率は、商品が効率よく売上に転換されているかを計る経営指標である。在庫回転率は、主に、製造業、小売業、卸売業で重要視する経営指標の一つである。在庫回転率が高いほど、効率よく商品が販売されているということになる。在庫回転率(回)=〔年間売上高÷(商品在庫数×商品売価伊藤のワンポイント経営指標を活用する会計手法を管理会計と云いますが、管理会計ほど会社経営に役立つツールはありません。現状分析、将来予測、計画検証、など等、あらゆる経営管理の精度が飛躍的に高まるからです。できる社長ほど独自の経営指標を活用していますが、まずはここで紹介した基本の経営指標を活用してみてください。
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